フレンチブルドッグは何歳まで生きられるのか〜パティ動物病院にきく〜
他の犬種に比べ、平均寿命が短いといわれるフレンチブルドッグ。短頭種の病気治療に力を入れるパティ動物病院に、そもそもフレンチブルドッグは何歳まで生きられるのか。長生きする秘訣は何なのかをうかがいました。
目次
この記事はBUHI vol.41からの転載記事です。配信元または著者の許可を得て配信しています。
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BUHI 2017 冬号(vol.43)
BUHIは創刊10周年!
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*
フレンチブルドッグの寿命。
10年前にくらべたら、ずいぶん伸びたように思います。
15歳の子もちらほらいる。いや、それ以上の子も…。
いまや10歳までならだいじょうぶ。
けれども20歳までだとまだちょっと夢のような話。
そこで、リアルな「15歳」という数字にこだわって、フレンチブルドッグの衣食住から最新医療まで網羅して、
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発売日: 2016/12/27
フレンチブルドッグの平均寿命
犬の平均寿命は、昔に比べ飛躍的に伸びています。フレンチブルドックは短命だとよく耳にするかもしれませんが、フレンチブルドッグの平均寿命もこれから延びていくことが期待されます。
そもそも、フレンチブルドッグは何歳まで生きられるのか…、日本の記録では20歳まで生きたという猛者もいるようですが、フレンチブルドッグの平均寿命は10~11歳前後です。
犬は犬種や体格で平均寿命が異なることがわかっており、小型犬や中型犬は平均寿命でいえば13~14歳ほどで大型犬より長生きする傾向にあります。
フレンチブルドッグの体格は小型犬もしくは体格のいい子で中型犬クラスなので、少なくとも同じくらい生きられるのではないでしょうか。
長生きするために必要なこと
犬に長生きしてもらうために大切なことが2つあります。「病気にならないようにすること」と「病気になったらできるだけ早く適切な治療を受ける」ことです。
「なに当たり前なことを…」と思われるかもしれませんが、フレンチブルドッグの場合だと、他の犬種と比べてこの2つを実践することがとりわけ難しいことなのです。
そのためフレンチブルドッグは結果的に短命になってしまうのかもしれません。具体的にどういった点で難しいのか見ていきましょう。
短頭種気道症候群は命に関わる病気をもたらす可能性も
フレンチブルドッグにおいて「病気にならないようにする」「病気になったらできるだけ早く適切な治療を受ける」ことを難しくする最も大きな要因となるのは、短頭種気道症候群です。
フレンチブルドッグは他の短頭種と比べても特に鼻の孔が狭かったり軟口蓋も長かったり分厚かったりすることが多く、こういった特徴は著しく呼吸の障害となります。
また、『BUHI 秋号(2016)』でも触れていますが、こういった呼吸の問題は放っておくと様々な臓器に負担をかけ続け、新たな病気を生み出します。
逆に他の病気により呼吸器に負担がかかることもあります。
痛みや熱、気持ち悪さがあると犬はハアハアと呼吸が早くなりますが、フレンチブルドッグでは早い呼吸が刺激となり、喉が腫れ呼吸困難になってしまうことがあるのです。
短頭種気道症候群があるだけで、短期的にも長期的にも命に関わる病気になる可能性が格段に高くなってしまうのです。
何か病気を治療しようという時でも、消化器にも負担がかかっているので薬に対する許容力が低くなり、薬を内服すると嘔吐や下痢をしてしまうことがあります。
こういった場合、病気がうまく治療できず悪化してしまうこともあるでしょう。
検査や病気・怪我を治療するために麻酔が必要となることもありますが、短頭種気道症候群だと麻酔をかける上で、寝かせたり起こしたりするタイミングや術後に喉が腫れて窒息死するリスクが高くなります。
この点は獣医師にとっても家族の方々にとっても麻酔をかけることを躊躇してしまう原因になります。
そうならないように短頭種気道症候群を治療するにはやっぱり麻酔をかけて手術する必要がある、というのも悩ましい点です。
本来、フレンチブルドッグは長生きできる身体のはず
「特に短頭種気道症候群の治療をしてなくても長生きしている子はいるよ。」と思っている方もいるでしょう。
シー・ズーやチワワ、ポメラニアンも実は同じ短頭種ですが、手術をしていなくても他の小型犬種並みに長生きする子が多いです。
短頭種気道症候群の影響は外鼻孔狭窄や軟口蓋過長・気管低形成の程度に加え、性格や体質、運動量により変わってきます。
割と長生きできる他の短頭種では、フレンチブルドッグほど短頭種気道症候群が重度になることは多くないですし、性格・体質や運動量もフレンチブルドッグとは違うので、寿命が短くなるほどの影響を受けないのでしょう。
つまり良い条件が揃えば、短頭種気道症候群の影響をあまり受けないで長生きできるフレンチブルドッグもいるわけです。
しかし、本来であれば条件など関係なく、どのフレンチブルドッグも他の小型犬種に負けないくらい長生きできる身体であろうはずなのです。
ここから先はパティ動物病院が考える、どのフレンチブルドッグも本来の寿命を全うできる確率を上げるために「病気にさせない」「病気になったら速やかに適切な治療を受ける」をどのように実践していくべきかについて述べていきます。
本来の寿命を全うするために大切なこと
まず短頭種気道症候群に対する手術を行い、病気になる確率を減らし、病気になっても治療を受けやすい状態に整えることが肝心です。
当院では基本的に、身体が麻酔に耐えられ、手術で呼吸の状況の改善を期待できる状況であれば、年齢や短頭種気道症候群の程度に関わらず、できるだけ早く手術すべきだと考えています。
なぜならば、条件によっては影響が少ないこともあるという話をしましたが、様々な要因が関わるため正確にどの程度影響を受けるかを判断することが難しいからです。
つまり短頭種気道症候群が軽症な子でも、興奮や炎症で窒息することがあるということです。
さらに短頭種気道症候群は進行して重症化することもあるので今は影響が少なくとも将来的に問題となることもあります。
麻酔は確かに他の犬種よりリスクが高いですが、安全に麻酔をかけるためのコツが何点かあります。それさえ押さえられていれば、短頭種ゆえの麻酔リスクというのは少なくなります。
手術を依頼する病院は当然ながら手術手技・フレンチブルドッグの麻酔両方において精通している病院で受けられることをお勧めします。
こういった病院では手術が原因で亡くなる確率はほとんどありません。
それでも100%安全ということは無いので、麻酔のリスクや術後の注意点など、納得いくまで話し合っていただくのが良いでしょう。
早期発見のために、定期検診や血液検査を
短頭種気道症候群が解決すれば、あとは基本的なことになります。
病気になりにくくなるようにフレンチブルドッグに合った正しい身体の日常ケアをして、適切な運動、良質なご飯、十分な休息をとらせます。
7歳ぐらいまでは血液検査等の定期健診を年に1回、それ以降は血液検査以外にも超音波検査やレントゲンも含めた定期健診を年に少なくとも2回はしていただくと良いでしょう。
定期健診を受けることで獣医師も家族の皆様もその子の健康な状態を把握でき、病気の前兆を捉えることや病気の早期発見につながります。
日常で何か「病気かな?」と思うことがあれば、受診する前にまず病院に相談されると良いでしょう。
病気によっては時期により検査で異常をきたさないことがあり、病気の種類をうまく絞り込めないことがあります。
適切な治療につなげるため、経過や症状を詳しく説明して、受診するベストなタイミングを指示してもらうと良いでしょう。
いざ病気になった場合は、積極的な治療を進めることをお勧めします。
フレンチブルドッグは体形や体質のせいなのか、自然治癒力に期待して経過観察していたり、消極的な方法を中心に治療を進めていたりすると、治らずに病気が悪化することがあります。
軽症のうちにしっかり治すことで治療期間も短くなり結果的に身体への負担を減らすことになるのです。
こういった点に気を付けていただければ、フレンチブルドッグが長生きできる可能性はずいぶん高くなるのではないでしょうか。
最後に…
実際には色々な要因や腫瘍などの病気が寿命に影響しますが、今回は短頭種気道症候群を中心にお話しました。
フレンチブルドックが大好きな皆様としては、よく耳にする嫌な単語かと思いますが、窒息や熱中症以外にも色々な面で長生きの妨げになりうると理解していただけたのではないでしょうか。
とても魅力的なフレンチブルドッグと少しでも長く一緒に過ごす手助けとなれば幸いです。
今回詳細まで書ききれなかったことも多くあるので、もっと詳しく聞きたいという方は気軽にパティ動物病院までお問い合わせください。
パティ動物病院
犬・猫専門に治療を行っている動物病院。犬は短頭種に力を入れており、フレンチブルドッグの来院患者は40%以上。
住所 |
東京都文京区大塚3-19-10 文京KSビル1F |
---|---|
TEL |
03-3945-4976 ※お電話でのお問い合わせは診察時間内にお願いします |
営業時間 |
平日 午前9:00〜12:00 午後16:00〜19:00 土日 午前9:00〜12:00 午後16:00〜18:00 |
休診 |
木曜・祝日 |
公式サイト | http://www.pati-clinic.com/ |
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