2018年1月29日5,694 View

【海外取材】最低な過去を持ち、最高の未来を生きるフレンチブルドッグ「Mike」

日本でも少しずつ認知されてきた“pet adoption(犬を里子に迎えるということ)”。ペットショップやブリーダーのところへ行くのではなく、シェルターや保護施設にいる犬たちを引き取る家族が増えてきました。ペット大国と呼ばれるアメリカでは、“pet adoption”がもっと盛ん。

今回は、ペット大国アメリカで、里子に迎えたフレンチブルドッグMikeと暮らすお母さんにインタビューいたしました。

片目のフレンチブルドッグMikeと素敵なファミリー

こちらが今回ご紹介するクリームのフレンチブルドッグ、Mike(マイク)。お姉ちゃんブヒFarrah(ファラ)をはじめとした素敵な家族に囲まれて暮らしているフレブルです。

左がファラ、右がマイク。

 

ファラと一緒にお昼寝したり、

 

車でお出かけしたりする、いたって普通の男の子。

 

でも、ひとつ、マイクには失ってしまったものがあります。

それは、右目。そして、残った片目も見えません。つまり、彼は完璧に目が見えないのです。

そこには、とても悲しいお話がありました。

 

片目のフレンチブルドッグ、マイクを里子に迎えたきっかけ・いきさつ

今回お話を伺ったのは、マイクのお母さんのサリーさんです。

 

—マイクを家族に迎えることになったいきさつを教えてください。

「アメリカにはFBRN(French Bulldog Rescue Network、フレンチブルドッグレスキューネットワーク)というフレンチブルドッグ専門のレスキュー団体があります。わたしたちにはすでにファラというフレブルがいましたが、わたしがどうしてももう1頭家族に迎えたい、それならシェルターの子を迎えたいと、ずっとFBRNのサイトをチェックしていました。そしてある日、マイクが“新しい家族募集中”としてトップページに掲載されたんです。彼の紹介ページにあった、彼の過ごしてきた半生はとても過酷なものでした。それを読んで、わたしは“彼を家族に迎えたい!”と強く思いました。

 

わたしたち家族は、すぐにFBRNに“家族になりたい”と申し出ました。それから、マイクを一時的に保護していた家族と電話で1時間マイクについて話し、近くのFBRNのボランティアメンバーから訪問を受けました。FBRNの地域代表の方との面接もありました。FBRNは、保護したフレンチブルドッグたちの新しい家族候補について、環境は良いのか、先住犬はフレンドリーかなど、徹底的に調べるんです。そして、晴れてマイクがわたしたちの家族になりました」

 

これが、マイクがサリーさんたちの元へ行く日の車の中。ちょっと緊張していますが、新しい生活にワクワクしているようにも見えます。

 

—マイクの今までの人生について、教えていただけますか?

「マイクは、違法なブリーダーによって、子犬を作る目的だけのために飼われていました。ガレージで、ケージの中に入れられて暮らしていたと聞きます。片目がないのは、子犬のころに大きな犬に襲われて噛まれてしまったから。残った目は白内障で、そちらも完璧に見えなくなってしまいました。一時的に保護していた家族によると、マイクが最初に発見されたときには彼の体は黄色だったそうです。それは、彼が尿にまみれていたから。そして、ひどい栄養失調状態で、治っていない傷が何個も肌にあったそうです。彼は、飼い主から完璧に放置されていたのです」

 

—マイクを家族に迎えるに当たって、大変だったことはありますか?

「まず、一番大変だったのは彼をわたしたちの住むテキサスからバージニアまで迎えに行くこと!飛行機で運ぶという手もあったのですが、マイクが発作を起こしたことがあることから、それはあまりにリスクが高いということになり、車で移動することになりました」

 

その距離およそ2,200km、かかった時間は30時間。サリーさんは娘さんとドライブを楽しみながら、マイクを“永遠の家族”のもとへと連れて帰りました。

『旅の途中、テキサスとアーカンソーの州境で』

 

—マイクが家にきてからの様子を教えてください。

「マイクは、わたしたち家族にはすぐ慣れました。家に来た直後からわたしたちの膝の上で眠り、可愛い顔を見せてくれました。彼には、わたしたちが本当の彼の家族だということが最初からわかっていたのだと思います。ただ、家の作りに慣れるまで時間がかかりました。階段や、壁や、家具。ずっとケージで暮らしていた彼にはわからないことだらけだったようです。でも、慣れてからは彼はソファーが大好きになりました。ケージのある場所はわかっているんですが、ケージで寝ることはもうありません。マイクは“僕は家族と一緒にこの家にいるんだ、もうケージに入っている必要はないんだ”と思っているんでしょうね」

 

—最後に、日本でフレブルを里子に迎えようとしている人にメッセージをお願いします。

「もし可能であれば、その犬にまず実際会ってください。それが難しければ、できる限りその犬について調べてわかってあげてください。プロの助けを借りるのもいいと思います。わたしたちは、プロのドッグトレーナーに家にきてもらい、犬だけでなく家族全員をトレーニングしてもらったんですよ。それと、今先住犬がいるなら、ゆっくりと慣れさせるということも大事です。わたしたちの、甘やかされて育ったお姫様ブヒのファラと新しい家族マイクは、お互いが心を開くまでに実に63日もかかりました。今では一緒に遊んだり眠ったりする仲良し姉弟ですが、今でもごはんのときはファラがマイクの邪魔をしないように見張っていなければいけません。フレンチブルドッグは、とても頑固。だから、焦らないことが大事です」

 

最低な過去を持ち、最高な未来を生きるフレンチブルドッグ、マイク。お姉ちゃんのファラと一緒に、これからの犬生、思いっきり楽しんでね!

 

 

盲目の元保護犬、マイクをご紹介しました。

どの犬にも幸せになる権利がある。わたしたちは、それを信じて、これからもすべての保護犬たちを応援していこうと思います。

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