2019年8月22日1,228 View

【心臓病】成功率は94%以上!治療困難とされた病気を手術で完治【JASMINEどうぶつ循環器病センター・神奈川】

フレブルが罹患しやすい病気・ケガの“スペシャリスト”を紹介する特集『もしものときの名医図鑑』。

今回は、心臓外科医のスペシャリストで、ゴッドハンドの異名をもつ上地正実センター長が在籍する「JASMINEどうぶつ循環器病センター」を取材しました。

心臓病の8割をしめる「僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)」は、従来治すことが難しいとされてきた病気。 上地センター長は世界屈指の技術で手術をおこない、犬や猫たちが再び元気な姿を取り戻し、寿命をまっとうさせることに成功。 今までに2,000症例以上の手術をこなし、その成功率は94%にも及ぶといいます。

愛ブヒが心臓病と診断されても、諦めなくて大丈夫! そんな時代に突入しています!

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JASMINEどうぶつ循環器病センター 上地正実(うえちまさみ)センター長

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犬たちの死因ランキング2位とされる心臓病。

 

心臓の病気は、呼吸器・腎臓と密接に関係していることもあり、生まれつき呼吸器が弱いフレンチブルドッグを襲うケースも少なくありません。

 

心臓病の8割を占めるのが「僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)」といわれる病気。

 

聞きなれない病名ですが、動物医学書によれば治すことが非常に難しい病気とされ、一般的な動物病院でも“内科的治療で症状をおさえ、できるだけ安静にするしかない”といわれてきました。

 

ところが…私たちが住む日本に、僧帽弁閉鎖不全症をはじめとした心臓外科医のスペシャリストがいるというのです。

 

神奈川県横浜市にある「JASMINEどうぶつ循環器病センター」では、治療が難しいとされる僧帽弁閉鎖不全症を、外科手術により根治に近い形で治療できるといいます。

 

ゴッドハンドの異名をもつ同院の上地正実センター長が在籍する「JASMINEどうぶつ循環器病センター」を取材してきました。

 

▼今回お話をうかがったのは、「JASMINEどうぶつ循環器病センター」に在籍する獣医師・高橋新音先生です。

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僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)とは

——僧帽弁閉鎖不全症とは、どのような病気なのでしょうか

高橋先生:

僧帽弁閉鎖不全症は、心臓の左心房から左心室に血液が流れる時に通過する弁に異常の起こる病気です。

 

とても簡単にいえば、血液が逆流することでキレイな血液を全身に送り出させる量が減ってしまうという現象が起きています。

 

僧帽弁閉鎖不全症が進行すると、肺に水が溜まる肺水腫を起こし、命を落としてしまうケースも少なくありません。

 

さらに大きな特徴として、手術をしなかった場合は安静が求められるため、今までのように元気に走ることができないなど、ワンちゃんにとっても辛い日々をおくることになってしまいます。

 

心臓病の8割が僧帽弁閉鎖不全症といわれていますが、従来は治らない病気とされてきました。

 

当院では外科手術をおこない、もとの元気な心臓を取り戻すことで、今までと同じように元気に走り回り、寿命をまっとうできるケースがほとんどです。

 

——内科的処置との大きな違いはなんでしょうか

高橋先生:

心臓病の多くは、弁に異常をきたしている場合がほとんどです。

 

症状を改善・緩和するためには、弁自体に糸を縫いつけるなど物理的な処置が必要になります。

 

これは内科療法では治すことができないので、外科手術をすることで可能な限り根本から治療するというのが大きな違いだと思います。

 

愛犬が元気な状態で長く生きられる、というのが外科手術の特徴だと考えています。

 

海外からの患者さんも後を絶たない

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JASMINEどうぶつ循環器病センターの手術室。人間の手術を行うものと同様の最新機器が完備されている

——上地センター長は心臓外科医のスペシャリストを言われていて、海外からの患者さんも多いとうかがっています

高橋先生:

日本では今までに2,000症例ほどの手術をおこなっていまして、海外からの患者さんはここ3年間で60症例ほどあります。

 

とくにアメリカからの来院が多いですね。日本は動物の検疫が厳しいので、海外からワンちゃんを連れてくるのも難しいんです。

 

ところがみなさんそれを乗り越えて、当院にいらしてくださっています。

 

ワンちゃんの心臓というのは“うずらの卵”ほどの大きさのため、心臓操作には細かな技術が必要になるんですね。

 

センター長の上地はどんな手術も短時間で器用にこなすので、そういった意味でもスペシャリストと言われているのかもしれません。

 

術後管理が最も大切

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JASMINEどうぶつ循環器病センターの診察室。獣医師およそ10名、看護師5名が在籍し、24時間常駐している

——治療を行う上で、手術の他に大切なことはあるのでしょうか

高橋先生:

手術に関していえば、9割以上は成功しています。何より大切なのは、手術を行ったあとの術後管理なんです。

 

心臓病の手術で命を落としてしまうケースというのは、術後管理中の経過が思わしくない場合がほとんどです。

 

センター長の上地は内科出身ということもあり、循環生理を理解した上で手術をおこない、術後管理を徹底しています。

 

さらに当院では24時間獣医師が常駐していて、入院中については看護師が入念なケアをおこなっていますので、トータルで遂行できているというのも強みではないでしょうか。

 

犬の痛みは精神状態からくるケースが多い

手術室の外にはモニターが用意され、手術の様子を見ることができる。上地センター長の技術を見に、海外からドクターが訪れることも多い

高橋先生:

術後管理をする上で特に重視しているのは、ワンちゃんたちの精神状態です。

 

ワンちゃんの痛みというのは、精神的な恐怖と合間って感じるようなんです。

 

寂しさを感じたり、ストレスが溜まっているとそれが痛みにつながってしまうということですね。

 

ですから診察から術後まで、ワンちゃんたちが良い精神状態を保てるように心がけています。

 

抽象的なお話になってしまいましたが、私たちはこれがとても大切だと思っています。

 

実際、入院しているワンちゃんのご家族さんからも、他の病院だとごはんを食べてくれないけれど、当院なら安心した様子で過ごしてくれると言っていただけることもあります。

 

フレンチブルドッグと心臓病

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Tienuskin/shutterstock

——僧帽弁閉鎖不全症は、フレンチブルドッグにも多い病気なのでしょうか

高橋先生:

僧帽弁閉鎖不全症は、主に小型犬に多い病気とされています。

 

心臓病というのは、心臓・呼吸器・腎臓が密接に関係しているんですね。ほとんどの子が、これらがセットになって併発している可能性が高いです。

 

フレンチブルドッグのような鼻ペチャの子は生まれつき呼吸器に異常をきたしやすい犬種ですから、別の心臓病を患うケースが多いですね。

 

後天的な病気としては、心臓のつけねに腫瘍ができてしまうことがあります。

 

これは低換気といって、呼吸をしにくい状態がつづくことで心臓に負担をかけてしまい、腫瘍ができるのではないかと考えられています。

 

フレンチブルドッグたちは、いつも肩で息をしているような状態ですから、それだけ呼吸器と心臓に負荷がかかってしまっているんですね。

 

先天的な病気としては、生まれつき血管や心臓の構造に異常がある場合に起こる肺動脈弁狭窄症などがあります。

 

心臓は4つの部屋にわかれていて、全身に血をおくる部屋、肺に血をおくる部屋など、それぞれに役割が決まっています。

 

フレンチブルドッグのような鼻ペチャの子は、生まれつき肺に血をおくる通り道が狭まっているケースが多いので、肺にうまく血をおくることができず、その影響で心臓が変形してしまうことがあります。

 

このような場合は残念ながら長らく生きられず、寿命をまっとうできないケースが多いので、手術が必要になってしまいます。

 

——後天的な心臓病を予防するためには、どうすれば良いでしょうか

高橋先生:

フレンチブルドッグはもともと呼吸をしにくい身体の構造をしていますから、それを正常に近づけてあげる手術が必要になります。

 

激しい運動をしていないのにガァガァする子、大きなイビキをかくような子は、中でも鼻の穴が狭かったりノドにある軟口蓋が大きくなっている可能性があります。

 

他のフレンチブルドッグたちと比べてみて、「うちの子はガァガァしやすい」「イビキが大きい」と感じるようでしたら、鼻の穴を広げる鼻腔狭窄症(びくうきょうさくしょう)の手術や、ノドを広げてあげる軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)の手術をした方が良いかもしれません。

 

これは年齢を重ねるごとに悪化してしまいますから、小さい頃に避妊・去勢手術をする際にいっしょに行ってしまうのが良いでしょう。

 

手術時間も極端に延長することもないような手術ですから、できれば1度の麻酔でおこなってしまう方が良いと思います。

 

手術をして呼吸状態を良くすることで、心臓の負担を軽減させることができますので、愛犬が大きくなったときに、「やってよかった」と思っていただける手術だと思います。

 

——先天的な異常というのは、防げないものなのでしょうか

高橋先生:

非常に難しいご質問ですが、ブリーダーさんの見極めや話し合いが重要だと考えています。

 

先天的な異常というのは、つまり遺伝になりますから、お父さん・お母さんのいずれかが心臓を患っている場合は、子どもにも影響してしまう可能性が高くなってしまいます。

 

さらにいえば、お父さん・お母さんに異常がなくても、おじいちゃん・おばあちゃんから遺伝してしまうこともあります。

 

新しく子犬を迎えられる際は、ブリーダーさんとよくお話しをしていただくことも大切だと思います。

 

フレンチブルドッグはヨーロッパで誕生した犬種ですが、近年ではヨーロッパでも“特徴を出しすぎる”ブリーディングが問題になっています。

 

ブヒブヒいったりイビキをかくというのもフレンチブルドッグの可愛い特徴ですが、それを助長するようなブリーディングは動物愛護上いかがなものか…といわれはじめています。

 

日本でも先天性の病気をもつ子が増えていますから、今まで以上にブリーダーさんの見極めが大切ではないでしょうか。

 

自宅できる心臓病チェック

10秒間に7回呼吸をしている場合は異常

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praditkhorn somboonsa/shutterstock

高橋先生:

平常時の呼吸数から、心臓の異変に気づけることがあります。

 

愛犬がリビングでくつろいでいる時、リラックスしているときの呼吸数をチェックしてみましょう。

 

フレンチブルドッグほどの大きさでしたら、平常時に「1分間に40回以上」呼吸をしている場合は心臓に異常をきたしている可能性が極めて高いです。

 

「10秒間に何回呼吸をしているか」を計測していただいて、その数字を6倍する方法でもかまいません。

 

「10秒間に7回」呼吸をしている場合は、1分間で42回ということになりますから、すぐに病院へ行くようにしてください。

 

 

心臓の鼓動が“一定でない”場合は異常

LightField Studios/shutterstock

高橋先生:

静かな場所で、愛犬の胸に耳をあててみてください。正常の場合は「ドクドク」と一定のリズムで鼓動を打っています。

 

心臓に異常がある場合は「ドクドドドッドク…ドドッ…」のようにリズムが一定でないことが多いです。つまり、不整脈ですね。

 

このような場合もホームドクターさんで受診されることをおすすめします。

 

 

何かを“こするような雑音”が聞こえたら異常

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bozsja/shutterstock

高橋先生:

愛犬の胸に耳をあてたときに、何かをこするような雑音が聞こえた場合も心臓に異常をきたしていることが多いです。

 

雑音がひどい場合は、オーナーさんの手を通して雑音を感じることもあります。

 

どんな感触かというと、ビジネスホテルのシャワーカーテンに手を添えて、その手に向かってカーテン越しにシャワーの水をあててみてください。

 

カーテンを通してシャワーの細かい水が手に当たる感触が伝わってくると思います。

 

心雑音がひどいワンちゃんは、胸に手をあてたときに、それと同じような感触が伝わってきます。

 

ご自宅のシャワーでも確認できると思いますので、もしものために感触を覚えておくと良いと思います。

 

聴診器を取り入れよう

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高橋新音先生が愛用する聴診器。「リットマン」が高性能でおすすめ

高橋先生:

フレンチブルドッグやパグといった鼻ペチャの子は、常にブヒブヒいっているので、獣医師でも心雑音を聞きとりにくいんです。

 

近年では獣医師が使うような聴診器も簡単に手に入りますので、取り入れてみるのもひとつの方法だと思います。

 

2,000円以下で買えるものもありますが、できれば高性能のものが良いでしょう。

 

「リットマン」の聴診器は性能が良いので、愛用している獣医師も多いですよ。

 

 

聴診器から“洋服をこするような音”が聞こえたら、雑音の合図

高橋先生:

聴診器がお手元に届いたら、まずは耳にあてて“チェストピース”という先端の丸い部分をご自身の洋服にあてて、優しくこすってみてください。

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着ている洋服の上に小さな円を描くように、優しくこすりましょう。すると、「ゴゴゴゴゴ…」という雑音が聞こえると思います。

 

ワンちゃんの心雑音も、これと同じような音がしますので、そのような場合はただちにホームドクターさんの元で受診しましょう。

 

直感を大切に!

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高橋先生:

それから、オーナーさんの直感はとても大切だと思っています。

 

「何かおかしい」「いつもより舌が青い気がする」といった直感は、当たっていることが多いです。

 

平常時の状態を知った上で、いつもと違うと感じたら、ホームドクターさんに相談されてみると良いと思います。

 

愛ブヒが「心臓病」だと判断されたら

フレンチブルドッグパピー

Marharyta Lias/shutterstock

——もし愛ブヒが心臓病だと判断されたら、どのような手順で行動すれば良いのでしょうか

高橋先生:

まずは信頼できるホームドクターさんを見つけることが先決です。もしいない場合は、必ず見つけるようにしましょう。

 

愛ブヒが心臓病だと診断されたら、先生とどのような治療を進めていくかを話し合ってください。

 

手術をするのか、内科的処置で投薬をするのか、漢方などの東洋医学を希望するのかなど、オーナーさんの考えを尊重してくれる先生といっしょに治療方針を決めることが先決です。

 

JASMINEどうぶつ循環器病センターは二次診療

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JASMINEどうぶつ循環器病センターの問診室。初診は1時間以上かけて丁寧にヒアリングを行う。初診料は1.5万円程度

高橋先生:

当院は二次診療として、紹介状をご用意いただいた方のみ診察をさせていただいております。

 

ホームドクターさんと相談をして、「手術で治したい」ということでしたら、先生に紹介状を書いていただいた上でお越しください。

 

当院では連携病院だけでなく、すべての獣医師さんからの紹介状での受け入れが可能です。

 

近年では専門医が増えていることもあり、オーナーさんが「この病院を紹介してほしい」と依頼することも当たり前になってきました。

 

当院だけでなく大学病院などの紹介状も書いてくださると思いますので、ぜひお気軽にお話されてみてはいかがでしょうか。

 

 

★献血ご協力のお願い

JASMINEどうぶつ循環器病センターでは犬猫の心臓病の外科手術をおこなっています。心臓の手術には輸血が必要です。心臓病の動物を救うために、献血にご協力ください。

 

犬猫の献血ドナーについて

 

センター長プロフィール

上地正実(うえちまさみ)センター長

 

経歴

フレンチブルドッグ,心臓病,病院

 

 

病院DATA

フレンチブルドッグ,心臓病,病院

JASMINEどうぶつ循環器病センター

神奈川県横浜市都筑区中川2-7-3

045-532-8451

E-mail: info@jasmine-vet.co.jp

受付時間 9:00–15:00

HP https://jasmine-vet.co.jp/

 

 

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