2024年8月14日196 View

駄々をこねる可愛い生きものと暮らしてきたー特集「アバウトな幸福論」こにし#1

フレブルライフの編集メンバーは、ほぼ全員フレブルオーナー。

果たしてメンバーたちは、日々どんなことを考え、どのような「フレブルライフ」をおくっているのだろうかー。

メディア始まって以来初! メンバーの「素」がわかる、自由で小っ恥ずかしいエッセイがスタート。

その名も『FBL編集部の アバウトな幸福論』。

 

今日は、編集メンバー「こにし(BUHI編集長)」の#1。

あの子は元気にしてるかな

フレンチブルドッグ

両手をのばすと
耳がぺたーんってなって
うれしい顔をして
じゃあそれだけでおれは
生きていけるじゃんか?

 

晴れた日にベランダで洗濯物を干していると、あれこれ考えごとが頭に浮かぶ。

 

気がつかないうちに唄っていることさえある。
 
そういえば、あの子は元気にしてるかな。

 

愛ブヒの時雨は16歳の一歩手前で逝ってしまったが、よくがんばった。

 

これ以上は無理しなくていい、と飼い主がその瞬間に言えるのは、実は幸せなことなのかもしれない。

 

思い出話をひとつしよう。

 

だいじょうぶ、最期のことなんかじゃなくて、犬も駄々をこねる、という割とどうでもいい話。

 

ふつう、犬として生まれてきたからには、毎朝に散歩をせがんで飼い主を起こす、というのがまっとうな生き方なのではないだろうか。

 

それなのに時雨ときたら、毎日いちばんの朝寝坊。

 

ぼくらがコーヒーを飲みはじめた頃にようやく、からだをゆっくり猫のように伸ばしてから、のろのろとこちらへやってくる。

 

そしてぼくの膝の上で二度寝。日によっては、畳もうとする布団にかじりついて「まだ眠い」と駄々をこねる。

 

だったら散歩に行かないで寝てればいいじゃん、といえば、「散歩」のワードに即座に起きるしテンションが上がる。

 

そういう意味では非常に寝起きがよろしいわけだけれども。

 

駄々をこねる

フレンチブルドッグ
ところで、「駄々をこねる」というのはなかなか趣のある言葉だ。

 

漢字の「駄々」は当て字らしい。

 

怒りや悔しさで激しく地面を踏むことを「地団駄を踏む」というが、この「じだんだ」から「だだ」になったという説が有力とのこと。

 

「い・や・だ」という表現を強くあらわす。

 

「い」と「や」と「だ」の間にはこのとおり、中黒が入るくらいの感じでしょうかね。

 

たまに「い・や・な・の」となり、「イヤァァァァァァァァァァァァ」に変化する。

 

まあ、子どもはいずれ大人になるものだけれど、こちらは永遠の3歳児。

 

駄々をこねるのも犬の仕事と思って(そんなことある?)こねるだけこねさせてあげたいものだ。
 
とはいえ、外でやられるとちょっと困ることもある。

 

時雨の場合、「まだ帰りたくない」「この道を行きたい」というふうにこねる駄々が多かった。

 

犬ってやつは、また複雑(本当は単純、というよりも素直なのだけど)で、言いなりになってばかりだと、やっかいなことになる。

 

そんなときは、駄々を無視してすたすたと歩き続けたり、ときには「こっちに行きたいならおすわりしてね」と、ワンクッションおいてから行く。

 

そんな、どうでもいいような駆け引きが散りばめられた毎日。

 

わくわくするでしょ、これが犬との暮らし。

 

もちろんほかの犬種だって駄々はこねるだろうけど(こねるのか?)、ぼくにとって特別なフレンチブルドッグがしっかり駄々をこねてくれたおかげで、なんというか、いまでもその場面を鮮明に思い出すことができる。

 

これは、うれしいことだ。

 

月日とともに記憶は薄れてゆくが、思い出は駄々とともにくっきりと刻まれている。

 

時雨はお散歩が好きだったな。

 

お散歩に出かけよう

短いようで長い、長いようで短い犬との生活の中では、飼い主の体調が思わしくなかったり、生活スタイルの変化に伴い、ときには散歩ができない日があったりもする。

 

散歩するのがめんどうに思える日もあるだろう。

 

そんな中で、時雨の散歩『に』行くのと、時雨『と』散歩に行くのでは、気持ちのあり方が違う。

 

お散歩をしなくちゃいけないことにしてしまうのは、つまらない。

 

義務をまっとうするのは大切だが、もっとみんなが楽しめるほうがいいよね。

 

ぼくはいつも思っていた。

時雨と散歩するのは楽しいって。

 

きみといるから、外の世界は刺激と美しさに満ちていた。

 

タンポポは踏みつけずに走ったし、一生懸命いっしょにボールも追いかけた。

 

土手の夕陽は、きれいだったよね。

 

ベランダで洗濯物を取り込む。

なんとなく気分がよくなって、小さな声であの子の名前を呼ぶ。

おお、今日も夕陽がきれいじゃん。

 

 

書いた人:こにし(BUHI編集長)

フレブル専門誌『BUHI』編集長。

愛ブヒはクリームの女の子、時雨(しぐれ)。

16歳の誕生日二日前にして、虹の橋へ。

怒ることを忘れた、優しさと愛情に満ちた男。

酒は好きだが、じつはそんなに強くない。

 

 

 

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