【取材】皮膚病は食事と運動で9割治る!「プラーナ和漢自然医療アニマルクリニック」森研一院長 [ミドルシニアLIFE]
French Bulldog Lifeでは、シニアブヒになる手前の「ミドルシニア期(5、6歳)」をどう過ごすかが、とても大切だと考えています。
女性でいえば、いつまでも美肌を保つために30代でスキンケアを始めるのか、それとも60代で始めるのか…と同じこと。
体内年齢をキープすることが、ご長寿ブヒを目指すカギになるわけです! そして、それには身体を作り上げる「食事」が欠かせないと考えています。
今回は、食事療法のスペシャリストでもある「プラーナ和漢自然医療アニマルクリニック」の森研一院長に、自宅でできる食事療法についてお話をうかがいました。
多くのフレブルオーナーさんが悩む「皮膚病」について、ミドルシニアはもちろんのこと、パピー・シニア犬にも“超役立つ”情報ばかり。健康なご長寿ブヒになるヒントが、たくさん詰まっています!
目次
お話をうかがったのは「プラーナ和漢自然医療アニマルクリニック」の森研一院長
『プラーナ和漢自然医療アニマルクリニック』は大阪に本院、横浜市に分院をもつ動物病院。
食事療法を中心とした治療をはじめ、漢方療法、鍼療法といった東洋医学に力を入れている病院です。
森研一院長(以下、森院長)は、ほとんどの病気は食事で改善することができるといいます。
さらには、食事によって体内年齢をキープすることで、病気知らずの若々しいカラダを保ち、最後まで寿命をまっとうできるとか。
「フレンチブルドッグは短命な犬種ではない!」
そう豪語する森院長ですが、今回はフレブルオーナーたちが頭を悩ませる「皮膚病」について、詳しくお話をうかがいました!
▼以下、森研一院長のお話になります。
皮膚病の原因と対策
フレンチブルドッグに限らずですが、ワンちゃんの皮膚病というのは、大きくわけて3つだと考えています。
皮脂が原因となる脂漏症、アトピーなどのアレルギー症状、乾燥がひきおこす乾皮症(かんぴしょう)。
それ以外は存在しない、と考えていただいて大丈夫です。
そしてどの皮膚病も、『冷え性・食べ過ぎ、運動不足』が原因で発症していることがほとんどなのです。
<原因1:冷え性>
フレンチブルドッグのような短頭種は、生まれつき100%冷え性の犬種。
人間も“冷えは万病の元”といいますが、それはワンちゃんたちも同じです。
冷え性は身体にどんな影響を与えるかというと、身体が冷えることで胃腸が弱まり、下痢や嘔吐といった症状が出て、そこから皮膚病に発展します。
身体が冷えているということは、血行不良を起こしているということ。
血行不良を起こすと、身体がむくんでしまい「リンパ浮腫」になってしまいます。
とくにフレンチブルドッグには多いですが、身体を触るとブヨブヨして柔らかい子がいますよね。
あれは、むくみが原因なんです。あのブヨブヨ(むくみ)の正体は老廃物。
これが原因となって、皮膚に悪影響が出てしまうというわけです。
これは血液検査ではわからないことなので、多くの飼い主さんが見落としがちになっています。
<「冷え性」の対策>
腹巻を使おう
冷え性を改善するには、お腹を温めてあげることが不可欠です。
方法はとってもシンプルで、毎日「腹巻」をつけてあげましょう。
あとは、電子レンジで温めて使うホットパックも良いでしょう。濡らしたタオルを電子レンジで温めて使うのも効果的です。
これだけで、冷えは大きく改善されるはずです。
夏場などに氷を食べさせる方がいますが、身体が冷える原因になりますので避けるようにしましょうね。
水は1日1リットル飲ませる
中でも大切なのは、水をたっぷり飲ませること。
フレンチブルドッグほどの大きさであれば「1日1リットル」は飲ませた方が良いです。
ワンちゃんが自ら飲もうとする水分量では足りないことがほとんどですから、食事やおやつに混ぜるなど、工夫してあげられると良いと思います。
表現が難しいのですが、冷え性とはいっても、フレンチブルドッグのような体型の子は体内に熱がこもりやすいんです。
暑さに弱いというのも、体内に熱がこもりやすいからですね。つまり、心は寒い・身体は熱いといった状況です。
水を飲ませると、体内にこもった熱を外に出してあげることができます。
さらに、おしっこがたくさん出ることによって老廃物が排出され、むくみもとれるようになります。
皮膚病の原因のひとつは冷えによって老廃物がたまることですから、お水をたっぷり飲んでおしっこをするだけで、むくみも取れて、お肌もだいぶ改善するはずですよ。
体内の老廃物はおしっこからしか出すことができません。
ウンチは老廃物を出すものではありませんので、やはりお水を飲むことが重要なのです。
<原因2:食べ過ぎ>
皮膚病のもうひとつの原因は、食べ過ぎであること。
その子が必要とする量“以上”のごはんを与えてしまうと、食べたものが体内に余ってしまい、それが皮脂となって皮膚に悪影響をおよぼします。
愛ブヒにとって適切な量のごはんをあげること、1日の運動量によって食事の量を変えることがとても大切です。
<「食べ過ぎ」の対策>
正しい体型なのか、チェック
愛ブヒの肋骨(お腹の両サイド)がちょっとさわれて、お腹がキュッと引き上がっていること。そして毛艶がいい状態が好ましい体型です。
このような体型でない場合、食べ過ぎの可能性が高いです。ごはんの量を減らし、まずはその体格までもっていきましょう。
反対に痩せすぎている場合は、ごはんの量を増やしてあげましょう。
※注意※ 体重はあてにしない
くれぐれも体重の数値だけをあてにしないようにしてください。その数値には、先ほど申し上げた「むくみ」が含まれている可能性があります。
「むくみ体重」と「脂肪体重」は大きく異なりますから、触診で検査するのが大切です。
当院では独自に開発した触診検査を行っていますので、ご自分ではわからない場合は、ぜひ一度当院へいらしてください。
運動をしなかった日は、10%食事を減らす
雨の日や夏場はお散歩へ行けないこともありますよね。
運動をできなかった日は、ごはんをいつもより「1割減らす」ようにしましょう。
運動をしなかった日は代謝が下がっていますので、いつも通りあげてしまうと体内に余った食べものが皮脂に代わり、皮膚に悪影響をおよぼします。
お散歩が少なかった日は、5%減らすのが良いでしょう。それだけで、だいぶ体調が良くなるはずです。
<原因3:運動不足>
運動不足になると、筋肉が落ちて代謝が下がり、さらには免疫力が低下してしまいます。
免疫力が下がると、身体が悪い菌に負けてしまい、皮膚に悪い影響をおよぼすようになります。
<「運動不足」の対策>
1日1.5〜2時間はお散歩を
毎日たっぷりお散歩をすることに尽きます。
フレンチブルドッグはあまり運動をさせない方がいい、ダッシュをしない方が良いと思われている方もいますよね。
しかし、それはかえってヘルニアの原因になったり皮膚病を起こす要因になります。
毎日1.5〜2時間はお散歩をして、それが難しかった日は食事を減らす。
これだけで、皮膚病の改善や予防に必ずつながります。
皮膚病は「4つのコト」で9割治せる!
おさらいをすると、以下の4つをするだけで皮膚病の改善・予防につながります。
1.腹巻をする
皮膚病の原因のひとつは、冷え性であること。お腹を温めて胃腸を活発にすることで、皮膚は改善します。フレンチブルドッグは、100%冷え性の犬種です!
2.お水をたっぷり飲む
体内に溜まった老廃物は、おしっこからしか排泄することができません(ウンチは老廃物を出すものではありません)。
1日1リットルのお水を飲み、老廃物を出してあげましょう。するとむくみ(リンパ浮腫)が改善されて、皮膚の状態もよくなります。
3.適切な食事量をあげる
愛ブヒの体型をチェックして、適切な量の食事をあげましょう。
お散歩へ行かなかった日は、いつもより「10%減らす」。これだけで、とても健康的になります。
4.しっかり運動する
運動をして免疫力を高めることは、皮膚病だけでなくすべての病気予防につながります。1日1.5〜2時間はお散歩をすると良いでしょう。
この4つをするだけで、皮膚は9割9分よくなります。
さらに食事療法を加えてあげれば、良くなるスピードは格段に上がるはずです。
治るスピードがアップ!食事による皮膚病改善と予防方法
上記の4つに加えて、ちょこっと食事をアレンジするだけで、皮膚病が治る時期が早まります。
とっても簡単な方法ですから、ぜひご家庭でチャレンジしてみてくださいね。
1.ドライフードは食材が多く含まれているものを選ぶ
ドライフードを選ぶときは、肉や野菜など「食材が多く含まれているもの」、成分表の「粗脂肪が少ないもの」を選ぶようにしましょう。
あとは、添加物・ビタミン・アミノ酸といった余計なものが「含まれていない」ものを選ぶことも大切です。
フードに添加されている様々な添加物・ビタミン・アミノ酸などはフードの品質、身体に必要な栄養素として重要ではありますが、身体が必要としないものは肝臓で代謝されるため、肝臓の働きすぎによるトラブルの源になりえます。
よって、ビタミン、アミノ酸についてはどの程度がその子の必要量なのかがわかりませんので、後述の野菜スープを与えることで必要な栄養成分を極力体の負担にならない量与えることが大事です。
添加物はなるべく無いほうが望ましいです。
2.野菜スープでデトックス&水分補給
「にんじん、キャベツ、きのこ類」を小さく刻んで15〜20分煮込んだスープを入れてあげましょう。
最初はスプーン1杯程度、水分はたっぷりと。
これだけで体内の老廃物が出て、むくみが改善され、とっても健康的になります。
さらにおいしく水分補給ができるので、愛ブヒも喜んで食べてくれると思いますよ。
3.フード:野菜=1:1が好ましい
うんちの状態を見ながら、スープ以外にも少しずつ野菜の量を増やしてあげるとさらに良いと思います。
好ましいのは「フード:野菜=1:1」、半分ずつですね。
うんちは、長い一本のツヤツヤした、臭くないものが出て入ればOK。
状態を見ながら、少しずつ野菜の量を増やしてあげると良いと思います。
さらに野菜には、体内にじっくりと水分を吸収させる力があります。
シニア犬になると、摂取した水が体内に吸収されずに排出されることがありますが、野菜はじっくり体内に水分を浸透させるので、シニア犬にもぴったりだと思います。
膿皮症や涙やけ、外耳炎も改善します
フレンチブルドッグは、膿皮症や涙やけに悩ませる子も多いですよね。
冒頭で申し上げた通り、皮膚病の原因は3つ(脂漏症/アレルギー症状/乾皮症)しかありません。
膿皮症も涙やけも「脂漏症」にふくまれますので、さきほどの方法をしていただくだけで必ず改善します。
涙やけの場合は、野菜スープをあげてたっぷり水を飲んで、正しい食事量と運動をすれば1週間ほどで治ることもあります。
外耳炎といった耳の病気も脂漏症による皮膚疾患ですから、同じように改善するはずです。
フレンチブルドッグは短命ではない
短命といわれるフレンチブルドッグですが、ぼくはそんなことはないと思っています。
犬にも人間にも、実年齢と体内年齢がありますよね。
若いうちから予防をしていれば、体内年齢を維持して長寿を全うすることができます。
フレンチブルドッグは冷え性であること。この冷えは、さまざまな病気を招いてしまうこと。
これらの知識を筆頭に、今から食事や運動で予防すれば、実年齢を大きく下回る状態で健康に過ごせるようになります。
ぼくが見ているフレンチブルちゃんも、15歳や16歳、17歳の子たちがたくさんいます。どの子も他の犬種と同じくらい長生きしていますよ。
食事療法で改善したフレブルたち
皮膚病でいいますと、5歳のモルトちゃんが食事療法で改善しまして、今でもお薬を飲まずにケアできています。被毛もツヤツヤです。
そして、12歳のグレイスちゃんは来院時後ろ足の震え、変形性脊椎症があり抗炎症薬を服用していましたが、お薬を止めて元気に過ごしています。
今回は皮膚病についてお話をしていますが、どのような症状でもお力になれることがありますので、気になることがありましたらいつでも当院へいらしてくださいね。
ミドルシニアからはじめましょう!
5歳になると、少しずつ老化の兆しが出るようになります。
今まで皮膚が荒れやすかった子はその頻度が高まったり、症状が悪化しやすくなったり。
もともと出ていた症状にプラスされていくようであれば、それは老化のサインです。
食事や運動をして、体質改善をしてあげましょう。
そして、これらはパピー期からするに越したことはありません。特にパピー期はお腹の調子を整える一番大事な時期でもあります。
とはいっても、すべての子にとって「今からでは遅い」ということはありません。シニア犬の子も、今日から始めてもまったく遅くはありません。
諦めることは決してありませんので、ストレスのない範囲で、楽しくそしてリーズナブルにできる方法をいっしょに考えていきましょう。
知識をお分けして、あとはご家庭で
症状がひどい場合や気になることがありましたら、いつでも当院へいらしてください。
すべての症状には必ず原因がありますので、それを追求し、何をすれば良いのかをアドバイスさせていただくことが、ぼくの役割だと思っています。
食事療法もまちがった方法をしてしまうと、残念ながらいつまでたっても良くなりませんから…。
食事療法はご家庭でできることがほとんどですし、お薬のようにお金をかけずにできますから、いっしょに頑張っていきましょうね。
当院では、初診に加え1ヶ月に1度だけ通院していただいていますが、あとはLINE・メールなどでフォローしています。
食事やうんちの状態など、基本的に24時間いつでもお送りいただき、私が診察時間の合間に確認対応していますので、ご安心ください。
「プラーナ和漢自然医療アニマルクリニック」
大阪市・横浜市にある動物病院。
食事療法、漢方療法、鍼療法などの東洋医学・自然療法により、身体に優しく治療を行うことを方針としている。
特に食事療法については日本最先端といっても過言ではなく、毎日全国から多くの動物たちが訪れている。
※なお、1頭でも多くの動物を診られるようにと、毎月大阪院・横浜院を行き来されているため、訪れる際は事前にホームページでの確認するのがオススメ。
★クリニック情報
診療時間
9:00~20:00
※上記時間以外のご相談も受け付けております。ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
※診察中や移動中で電話に出られないことも多いですが、メールや留守番電話にメッセージを入れて頂ければ、折り返しこちらからご連絡させて頂きます。
ご予約専用電話
大阪院及び横浜院共通tel : 080-5656-8356
定休日
不定休
※ホームページのお知らせページよりご確認ください。
住所(アクセスマップ)
<大阪>
◆『プラーナ和漢自然医療アニマルクリニック』(大阪院)
※毎月前半(1日~14日)に診察可能です
大阪市西区北堀江1丁目22番4号 HORIE LUX 602
[アクセス]大阪Metro長堀鶴見緑地線「西大橋」駅 4番出口南へ約100メートル
◆大阪都島院
※毎月「月曜日」に診察可能です
大阪市都島区都島北通1-4-30 わん子ん家3F
[アクセス]大阪Metro谷町線「都島」駅 5番出口徒歩5分
<横浜>
◆『すこやか和漢自然医療アニマルクリニック』(横浜院)
※毎月後半(15日〜末日)に診察可能です
横浜市西区南浅間町20-2
[アクセス]相鉄本線「西横浜」駅出口を出て水道橋を渡って右折し約200メートル
<ご注意点>
森研一院長の診察を求めて、毎日全国から悩みを抱える動物たちが来院しています。少しでも多くの子を診られるように、森研一院長は大阪院・横浜院を行き来していますので、訪問する際は必ずホームページで情報を確認するようにしましょう。
「プラーナ和漢自然医療アニマルクリニック」ホームページ
http://animalclinic-wakan.com/
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