【取材】眼球にメラノーマ発生。10才で左目を手放すも、失ったもの以上の愛に包まれて。 #41武蔵
10歳を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench Bulldog life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。
今回お話を伺ったのは、取材時10歳と10ヶ月になる武蔵(たけぞう)くん。いつもウインクをしているように見える茶目っ気たっぷりな彼の左目は、メラノーマ(皮膚がんの一種)によって昨年秋に摘出しました。でもそんなことはお構いなし。片目を失っても元気いっぱいに過ごす彼の日常、ちょっと覗いてみませんか?
目次
武蔵(たけぞう)くんのプロフィール
年齢&性別
10歳の男の子(6月18日で11歳に!)
体重
13kg。体重はずっと一定
大好きなこと
ボール命! 人間(特にママさんのお父上)が好きで可愛がってもらうこと。
既往歴
・2歳の時、ビワの種を誤飲し開腹手術。
・6才頃から馬尾症候群(馬尾神経の圧迫によって起こる徴候の相性で、後ろ足のふらつきや激痛、失禁など)の症状が出るように。
・2020年7月、左眼球にメラノーマが見つかる。
出会いからもうすぐ11年。武蔵と共に経験した様々なこと
子どもの頃から犬が飼いたかったというママさんが初めて迎えたのが武蔵くん。
フレブルを探すこと1年、やっと巡り合ったのは当初の予定と少々違う男の子でした。
「最初は可愛い女の子のブヒを探していて名前もハイジにすると決めていました。
が、ことごとく見つからず“こうなったらブチャイクな男の子ではどうだろう”と思った矢先、ネットで見つけたのが武ちゃん。
愛知から埼玉の我が家にやってきた彼は、途中でウンチをしたのか、初対面はウンチまみれというインパクト満点の姿でした。輸送中不安だったのでしょうね。
差し出した私の手を舐めたその瞬間、この子を絶対に守るんだと強烈に思いました」
そこからはのびのび、本来のヤンチャぶりを遺憾なく発揮して成長。
初めてのワンコ。その上、我の強い性格の武ちゃんに振り回される日々だったそうですが、笑いが絶えず、驚きや学びもたくさんあったそう。
「初のトラブルは2歳の時。果物のビワの種を丸呑みしてしまい、炎症を起こして開腹手術をしました。
それ以降誤飲には気をつけていたのですが、2年前にはペットボトルの蓋を飲み込んでしまいました。
蓋は3ヶ月後くらいにウンチと一緒に出たのですが、出てくるまでは心配で...。
恥ずかしいけれどウンチを揉んで異物がないか確かめる日々でした」。
それまでトラブルといえば誤飲くらいだった武ちゃんですが、6歳頃から散歩中後ろ足でスキップするような仕草を時々し始めます。
診断名は、馬尾症候群。7歳の時でした。
「症状を和らげられたらとスウェーデン式ドッグマッサージの講習を受けたり、症状が出ると病院で電気治療を受けたりしています」
今年はあまり症状は出ていないそうですが、歩き方に違和感を感じた日は散歩を短めにするなどして対応しているそうです。
環境の変化で体調不良に? ママさんの結婚にヤキモキ。
ママさんは武蔵くんを家族に迎えたあとに結婚。この環境の変化がストレスだったようで、体調不良を起こします。
「武蔵と共に歩いてきた日々の中には、震災や結婚といった節目がありました。
東北大震災の時は埼玉県の我が家ですらかなり揺れ、被害はなかったものの私は仕事先から帰れず、実家で過ごしていた武ちゃんの顔をすぐに見られないのが不安でしたね。
その後結婚したのですが、その時期に武ちゃんが体調を崩しちゃって。
発作のように震え出したりうずくまってしまうことがあり、病院でも理由がわからない状態。
今思えば環境が変わることに対してのストレスを感じていたのでしょう。
ただ結婚後も実家の近くに住み、私が仕事の間は実家に預けているため、以前とほぼ変わらないと分かったのか体調が戻りました。
まあ夫に心を開くのは5年がかりでしたけれど(笑)。
武ちゃん、結婚式にも出席しエスコート役を務めてくれたんです。
しかも式の最中に牧師さんがこの結婚に異議のある人はいますかという問いかけに、すかさず『ワン!』とひと声。
そこからは笑いを堪えるのが大変でした。それも良い思い出ですが、人生の節目を一緒に過ごせたのは特に印象深いですね」
順風満帆な日々を襲った眼球メラノーマ。
そして去年、想像もしなかった病に襲われます。
「我が家は毎年暮れに御岳山に登るのが恒例行事。
今までは先頭を切って歩いていた武ちゃんが、一昨年は途中リタイアしてしまいました。
少しずつ耳も遠くなってきていたし、こうして老いていくのかと寂しく思っていたんです。
そんなある日、うずくまったまま動かなくなって。病院で診てもらった結果、メラノーマが左目にできていると判明し愕然としました。
良性か悪性かは不明。しかし悪性の可能性を考えて摘出する人も多いと聞き、念のため一応手術の予約はしたのですが……決心がつきませんでした。
だって目を摘出するなんて…。とにかく怖かった。でも、もし先生が手術が必要と判断した時は強く言ってくださいとお願いしました」。
その後、ひとまず様子を見ようと日に4回4種の目薬で治療しながら、毎週診察を受けることに。
点眼をするうち一旦手術をキャンセルするまでに眼圧が下ります。
しかしその後、やはり摘出が必要なレベルまで悪化。最初の診断から3ヶ月後の10月に手術を受けました。
「武ちゃんはメラノーマが分かった時点で緑内障が進んでいて、既に左目の視力はほとんどなかったんです。だから、手術までの3ヶ月は、私自身が覚悟を決める期間でしたね」
用意した赤いゴーグル。でも周囲に励まされありのままで。
左目を摘出した武蔵くん。ママさんは片目を失った愛ブヒが周囲に怖がられないようにと犬用ゴーグルまで用意したそう。
「手術後の面会までは何も手につきませんでした。だけどそんな時、インスタに寄せられたコメントに本当に励まされました。
無事手術が終わりようやく面会した際は、腫れ上がった顔を見てその酷さにびっくり。
片目が無いと、すれ違う人に怖がられないか不安でしたが、退院した日にカラーをつけて散歩をしたら、怖がられるどころか“頑張ったね”と声をかけてくれて。
そのやさしい言葉にも救われました」。
結局ゴーグルは、写真撮影で一度つけたきりだそう。
「手術という闘いを経て無事帰ってきてくれた武ちゃんは本当に立派。
ただ毎日家族で面会に行ったのですが、差し入れたドライフードには見向きもせず、持参した肉団子のみを完食した時は先生も思わず苦笑。
こんな時でもクスッと笑わせてくれるところ、武ちゃんらしいです」
手術後は今まで通り元気いっぱい。よく食べ、大好きなボールでよく遊び、よく寝るといった日々を過ごす毎日だそうです。
これからもママと二人三脚で15歳まで
現在は癌の転移や再発を防ぐため、ビタミンC点滴を打ちに隔週で病院へ通う日々。
武蔵くんは、視界が狭くなったせいか以前より無茶をすることが減り、ママさんに頼ることが増えたのが少し寂しくもあるそう。
ですが、さらなるレジェンドを目指し、工夫を続けています。
「武ちゃんを迎えた10年前と今では犬の健康に対する常識も変化しているので、情報をアップデートしながらより良いご飯や運動方法を模索中です。
普段の散歩は武ちゃんのペースで朝夕の2回、夏はプールで泳がせたりもします。
ご飯にはボイルしたお肉や野菜、果物をトッピングするなどもしています。
あと私がぬいぐるみや陶芸作品を作っていて、フレブルのイベントに出展した際は看板犬として丸1日付き合ってもらっていました。
歳が歳なので今後は難しそうですが、こういったことも武ちゃんのペースで一緒に楽しみながらできるといいなと。
武蔵に合わせた楽しみ方を考えるのも、また素敵な時間なんです」。
武蔵くんの姿を目にして最初に感じたのは、ウインクしているみたいでなんて可愛いのだろうということでした。
あるはずのものを失うこと、そうせざるを得ない選択を迫られること。これはオーナーにとって自分の一部を失うことと同じくらいの衝撃。
でも武ちゃんは知っていたのでしょう。片目を手放しても、それ以上の愛とサポートで包んでもらえることを。
「ご近所の人も優しい言葉をかけてくれて、可愛がられている武蔵は本当に幸せ」。
以前より少しママさんを頼りつつ、これからも二人三脚で歩く武蔵くんは、失った以上のものを得たうえ、ママさんにも山盛りのハッピーを運ぶ存在です。
ママさんは武蔵くんをはじめ、様々なブヒをモチーフにした作品を作って販売しているので、そちらもブヒラバーは必見ですよ!
◼ショップHP
取材・文/横田愛子
★「#レジェンドブヒ」で投稿お待ちしています!
フレンチブルドッグライフでは、取材にご協力頂けるレジェンドブヒを探しております!
10歳を超えたブヒたちは、「#レジェンドブヒ」をつけてInstagramに投稿してみてくださいね。
編集部から取材のお声がけをさせて頂くかも!?
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