【トレーニングは絶対必要なの?】人間の義務教育と同じ!犬が社会で不便なく、幸せに暮らせるようにするのがトレーニングです。
国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。今回は、「そもそも、犬のトレーニングって必要なの?」という人に向け、なぜドッグトレーニングが大切なのかを詳しく解説します。
目次
そもそも、トレーニングって必要なの?

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「うちは小さな頃から愛犬とトレーニングをしっかりしてきました!」というオーナーさんもいれば、「うちはトレーニングを一切せずに、のびのび自由に育てています!」というオーナーさんもいます。
どうやら“ドッグトレーニング”や“しつけ”という言葉は、人によって抱いているイメージが違うようです。
しかし犬が幸せに暮らすためには、トレーニングは絶対に必要なもの。今回は、その理由を紐解いていきましょう。
トレーニングって強制的でストレスをかけるものなの?

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ドッグトレーニングに対して、「犬を叱ったり罰を与えそうで嫌だ」、「犬のやりたいことを無理やり制限して可哀想」などの、ネガティブなイメージをお持ちの方もいるでしょう。
確かに昔は、トレーニングの目的が“犬を人間の思い通りに従わせる”ことだった場合もありました。
そのため、“トレーニングされた犬=命令を100%聞く犬”と想像する方もいるのではないでしょうか?
犬が好きな人達からすると、犬自身の欲求を表現できない姿を可哀想だと思うのは当然です(そういったイメージからなのか、私の職業がドッグトレーナーだとわかった途端、“恐そうな人、厳しそうな人”に見られてしまうことがよくあります。悲しい…)。
もちろん、現代でもそういった目的でトレーニングをしている人もいるでしょう。
しかし、トレーニングの目的は、“人間都合で犬を思い通りに従わせること”ではありません!
本来の目的は、犬が人間社会で快適に暮らすお手伝いなのです!
人間側の利益を優先するのではなく、ワンちゃんたちが幸せになるための教育こそがトレーニングなのです。
トレーニングしてないの!? うわ〜、もったいない!

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では、トレーニングをしていないと、どんなときにワンちゃんが損をするのか、その例を見てみましょう。
引っ張って散歩をする
→首や呼吸に負担がかかる。全身のバランスが崩れる。交通事故に合う確率が上がる。
ちょうだい(口に咥えたものを離せない)が出来ない
→危ないものを口に入れてしまったときに、出せずに誤飲する可能性がある。
人に飛びつく
→人に怪我をさせてしまう。せっかく人が好きな犬でも、人から嫌われてしまう。
足裏を触られるのが苦手
→足拭きや爪切りが出来ない。出来たとしてもストレス大。
口周りを触られるのが苦手
→歯磨きができない。口の周りを拭けない。出来たとしてもストレス大。
クレートに入れない
→車での移動が危険。電車、飛行機に乗れない。災害時に避難所に入れなかったり、安全に滞在することが困難。
オーナーさん以外の人がダメ
→ペットシッター、獣医さん、トリマーさんなどのケアが受けづらい。受けたとしてもストレス大。
家中でトイレを失敗する
→室内が不衛生になる。サークルに入れられている時間が長くなってしまう。
いかがでしょうか? 例を挙げだしたらきりがありませんが、どれもこれも、ワンちゃんの幸せのためには上手になっておいたほうが良いことばかりですよね。
犬には私達人間の都合で、人間の社会で暮らしてもらっています。
だからこそ、人間の社会で犬たちが不便を感じないで済むように、トレーニングを通して、犬たちの暮らしを守っていく必要があるのです。
トレーニングは厳しいもの? いいえ、楽しいもの!
繰り返しますが、トレーニングとは、犬を人間の思い通りに従わせることではありません。
美味しそうなご飯を目の前に置いて、長く“マテ”をさせることが良いトレーニングなのではありません。
犬がどんな嫌なことをされても人間に従うかを見定めるような行為は、トレーニングではなく、ただのパワハラです。
「そうはいっても…トレーニングのような犬に厳しいことは、したくない」ですって? それは私も同感です!
“犬を無視したり、罰を使うこと”がトレーニングだと思っているなら、それは大きな誤解。
トレーニングは、たくさんのご褒美や成功体験を通して、犬の笑顔と望ましい行動を増やす時間です。
みなさんにとっての遊びや趣味の時間のようなものだと考えてください。
決して厳しく教える必要なんてありません。
もし厳しくしか教えられないというプロがいるなら、残念ながらその人は勉強不足。トレーニングが悪いのではなく、先生の技術が悪いのです。
みなさんも、学生時代に好きな授業、嫌いな授業がありましたよね?
それは先生の教え方が楽しいかで決まっていた場合もあるでしょう。
だって、楽しくて、よく理解できて、いつも褒められて、テストで高得点が取れる授業だったら嫌いにはなりませんよね。
褒めても罰しても勉強は出来るようになります。しかし、罰する方の授業の科目は、いずれ嫌いになっていくのです。
犬にも教育を受ける権利を!

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トレーニングは犬が人間社会で快適に暮らすためのお手伝いです。
人間には義務教育があります。人間の赤ちゃんは、ちゃんと社会で生きていける大人になれるように、基本的な教育が受けられます。
犬のトレーニングも同じ。保護者であるオーナーさんには、教育を受けさせる義務が、そして、犬には教育を受ける権利があるのではないでしょうか。
トレーニングをしなかったことで、犬もオーナーさんも得られるはずの機会が得られず、損をします。そんなのもったいない。
ちょっとしたトレーニングで、ワンちゃんとオーナーさんの心のつながりは深まります。
ちょっとした知識で、ワンちゃんとオーナーさんの心のすれ違いはなくなります。
日本語が話せないワンちゃんが、人間社会で困ったときに頼れるのはオーナーさんだけです。
ワンちゃんがずっと笑顔で幸せにいられるように、困ることがないように、食べ物や医療を与えるのと同じように、“教育”という愛情を与えていきましょう!!
こんなときは専門科に相談

Ogovorka/Shutterstock
早速トレーニングをしてみたいと思っても、何をしたら良いかわからないというときには、気軽にプロのドッグトレーナーなどに相談しましょう。
オーナーさんがたくさんのご褒美を用意して、一芸の練習をすることだって立派なトレーニングです。本来トレーニングは、遊びのようなものなのです。
問題行動が起きたからトレーニングをするのではありません。
問題が起きないように、そして、ワンちゃんが問題を起こすまで追い込まれないように、トレーニングをしておくのです。
ドッグトレーナーに相談をする場合も、大切なのはトレーナー選び。
犬の不安、恐怖を使って指導するような先生だったら、トレーニングは楽しいものになりません。
そのトレーナーが家庭犬の基本的なトレーニングに関しての知識を持っているか、家庭犬に関する行動修正の豊富な経験を持っているか、学術的、科学的知識をもって動物福祉と動物への倫理に基づいた指導を安全に行える人材かどうか、オーナーさんが確認をするようにしましょう。
そのために、トレーナーには初回カウンセリングの時間などが用意されていますから、安心して話を聞いてみましょう。
PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純
PERRO株式会社 代表取締役
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純
米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー
日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。
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