個性溢れる“鼻ぺちゃ犬”を家族に迎える前に必要な心構えとは?【イギリス獣医師会が提唱】
私たちが愛するフレブルをはじめ、鼻ぺちゃ仲間であるブルドッグやパグ。彼らはみんなぺちゃんこフェイスという愛すべき特徴を持っています。昨今のフレブルブームもあり鼻ぺちゃ犬をモチーフにしたグッズが続々登場してブヒオーナーには嬉しい限りですが、我らが鼻ぺちゃたちにとっては無視できないニュースが飛び込んできました。
2月のバレンタインデーにイギリス獣医師会(British Veterinary Association)が起こしたアクション、そしてその少し前の1月末にノルウェーで“ブルドッグの繁殖を禁止する判決が出た”というトピックスを紹介したいと思います。
イギリス獣医師会が鳴らした警鐘。
欧米では、バレンタインやクリスマスにカードを送るのが一般的だけれど、フレブルたち鼻ぺちゃ族をモチーフにしたデザインのカードは豊富にあります。
しかしイギリス獣医師会は、グリーティングカード協会やカードを発売するブランドに対してこんなことを訴えました。
それは「深刻な健康上の問題を抱える可能性がある短頭種動物をカード商品に使用しない」ように求めたことと、消費者に対しては「動物の健康と福祉を守るためそういったカードを選ばないように」ということです。
その理由として「これらの品種は深刻な病気や時には致死的にもなる健康上の問題を抱えることがあり、例えば鼻口部の短い犬や猫たちは息をしづらく、目の潰瘍や皮膚感染症、脊椎の異常といった問題に苦しむことがあるから」だとコメントしました。
さらに、近年はセレブやコマーシャルなどによって健康よりも見た目を重視して品種改良された極端な特徴を持つ動物たちがブームになっていることを指摘。
消費者が鼻ぺちゃたちを目にする機会が増えることで、病気に苦しむ動物の需要が増加することを懸念しているのだとか。
そう、確かにフレブルたちは改良を重ねて誕生した犬種。
それゆえ先天的な疾患が多いのは実際にフレンチブルドッグオーナーである私たちも知っています。
そして同様に、昨今の鼻ぺちゃブームに対する危惧を抱くオーナーさんも多いのではないでしょうか。
ノルウェーでは『E・ブル』の繁殖が禁止に!
フレンチブルドッグの先輩ともいうべきイングリッシュ・ブルドッグ。
イギリスの国犬らしい風格ある姿と愛嬌満点の表情に日本にもファンが多いけれど、このたびノルウェーで驚くべき判決が下されました。
それは今年の1月末、ノルウェー動物保護協会が愛犬団体のノルウェーケンネルクラブやブリーダー団体相手に起こした裁判で下った判決。
これは「E・ブルドッグとキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの2犬種の繁殖は動物福祉法に反する」というもので、事実上この2犬種は被告となった団体による繁殖が禁止となったのです(既に飼育されている犬に影響はなく、個人による繁殖は対象外)。
裁判の内容は、「人間が引き起こしたブルドッグの健康問題は以前から知られていたことであり、遺伝的疾患が判明しているにもかかわらず繁殖を行うことの倫理性」に焦点が当てられた模様。
この判決は世界中の動物愛護団体の間で論争を呼んでいるけれど、ブルドッグ愛好家にとってはかなり衝撃的なニュースだったのではないでしょうか。
しかしフレブル以上に遺伝的疾患が多いことで知られるE・ブル。
この判決をどう捉えるのかは人それぞれですが、ペット先進国でこのような判決が下ったことは今後世界のペット事情を大きく動かす可能性があります。
もしかしたらいつの日か、鼻ぺちゃ犬を迎えることは叶わなくなってしまうかもしれない。
そうならないよう、私たちにできることは何なのでしょう。
理解し、学び、覚悟して迎えるべき。
これはあくまで筆者の私見ですが、イギリス獣医師会がこのような声明を出し、ノルウェーでこんな訴えが起きた背景にあるのは、ブームに乗せられ安易に鼻ぺちゃ系動物を迎えるケースが増えているからではないでしょうか。
人気があるから高く売れる、需要があるから無理な繁殖を繰り返し、その結果としてより先天的に問題のある個体が生まれる。
この負のサイクルに対して警鐘を鳴らしているように思うのです。
実際にフレブルと暮らしていると、個体差はあるものの全体的に病気や皮膚トラブルが多い印象があります。
ただブヒオーナーの多くは迎える前に、もしくは迎えた後にフレブルについての知識を学ぶことで正しい飼育をし、その結果としてかつては短命だと言われた彼らの寿命はじわりじわりと伸びているようにも感じます。
つまるところ、彼らの健康と一生を左右するのはオーナーである私たちの側にある。
だからこそブームに乗せられず、少しでも不安のある繁殖業者からは迎えないという姿勢を徹底すること。
そしてもうひとつできることは、これから鼻ぺちゃ犬を迎えたいと考える未来の鼻ぺちゃオーナーさんに向け、包み隠さず彼らが抱えるリスクを説明し、そのリスクをカバーする準備と覚悟を持って家族にすることの大切さを伝えることなのではないでしょうか。
おわりに
遠い将来、短頭種を家庭犬として迎えることが難しい時代がやってくるかもしれません。
それは彼らの健康と幸せな一生のため。
けれどもこんなに愛らしく表情豊かで魅力に溢れた彼らが姿を消してしまうのはとても心苦しいし、これからまた家族を迎えるならやっぱりフレブルを選ぶでしょう。
だからこそ今私たちにできることは何か、一緒に考えてみませんか?
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