2023年4月17日2,812 View

【無駄吠え】ただ怒る、やめさせるのはNG!なぜ吠えるのか「愛犬の要求」を理解してこそ解決策が見つかります

国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。今回は“無駄吠え”についてレクチャー。吠えた時、ただ叱るだけでは根本的な解決にならない上、愛ブヒからの愛や信頼も失う可能性があるんだそう。どうすれば無駄吠えが改善するのか、その正しい解決策を教えます!

フレンチブルドッグ,しつけ

無駄吠えって、なんでするの? やめてほしいー! 

フレンチブルドッグ

Ira Shpiller/Shutterstock

 

みなさんの愛犬はどんなときに吠えますか? チャイムが鳴ったら吠える子もいれば、他の犬に吠える子もいます。オヤツや遊びを要求して、吠える子もいるでしょう。

 

オーナーさんにとって気にならない程度に吠える子もいれば、オーナーさんの我慢の限界を超えそうなほど吠え続ける子もいますよね。

 

ワンちゃんのしつけの本などでは、よく見る“無駄吠え”という言葉ですが、犬たちは果たして本当に無駄に吠えているのでしょうか? 

 

無駄なのだから、さっさと叱って黙らせたほうが良いのでしょうか?

 

今回は、愛犬に寄り添える見方を通して、無駄吠えについてみんなで考えていきましょう。

 

結論。「無駄な吠え」なんてない

フレンチブルドッグ

Lee waranyu/Shutterstock

 

まず始めに、無駄吠えが本当に“無駄”なのかを考えてみましょう。

 

ベテラン愛犬家の皆さんなら無駄な吠えなんてないことは、うすうすわかっておられるのではないでしょうか?

 

というのも、「うるさいー!」とか、「近所迷惑になるからやめてー!」とは思うものの、愛犬側が何を要求して吠えているのか、うすうすわかっているはずだからです。

 

しかし人間というのは身勝手なもので、自分に都合の悪い吠えには“無駄吠え”と名前をつけたがってしまいます。

 

よく昔のドラマなどで昭和のお父さんたちが奥さんたちの井戸端会議を見て「永遠と無駄話ばっかりしやがって」なんて吐き捨てるシーンが有りましたが、奥さんたちからすれば大事な情報交換の時間。無駄なんかじゃありませんよね。

 

犬の無駄吠えも同じようなもの。当事者(犬)たちにとっては、大切なコミュニケーションです。吠えることで、相手に何かを伝えようとしているのです。

 

怒って叱って黙らせて…それで解決? 

フレンチブルドッグ

Loida Sanchez Real/Shutterstock

 

オーナーさんへのコミュニケーションの中でも、

・触って〜と体を擦り付けてくる

・かわいい目でアイコンタクトしてくる

・オモチャやリードを持ってきて遊ぼうと誘ってくる

などなら、オーナーさんもデレデレしながら対応しちゃいますよね。

 

しかし、吠えることも、スリスリやアイコンタクトなどと同じ、愛犬からのコミュニケーションです。

 

なのに、こと吠えることについては「そんなに吠えたってしょうがないじゃないの!」と憤りを感じたり、「周辺の人に苦情を言われたくない」と不安で焦ったり。

 

犬の仕事を専門にしている私ですら、延々吠えられたら頭もガンガンしてくるし、正直嫌です。

 

でも、怒って、叱って、黙らせたって、解決にはなりません。

 

昔のしつけの本にあったような、“無駄吠え=叱って黙らせる”では、あまりにオールドファッションです。

 

例えば、「なでて欲しいな」と体を擦り付けてくる愛犬に、「スリスリしてくるんじゃない!」と叱ったとしたらどうでしょうか? 

 

愛犬側は、なでて欲しい気持ちを満たしてもらえぬまま、一方的に我慢だけをさせられてしまいます。他になでてもらえる人はいないのに…。そんなの悲しすぎますよね。

 

吠えについても同じで、愛犬が吠える理由を理解し、要求に対応できるのはオーナーさんだけ。ただただ無視したり叱ったりするのではなく、根本から解決できないか考えてみましょう! 

 

吠えるのにはどんな理由があるの? 

吠えるフレブル

Romvy/Shutterstock

 

そこで、愛犬側の要求を理解するために、吠える理由でよくあるものをいくつか紹介していきましょう。

 

・欲しい物や事への要求吠え

オヤツやゴハンが欲しい、遊んで欲しい、なでてほしい、こっちの道に行こうなど、愛犬側に何かしらの要望があるときに、それを伝えるために吠えます。

 

・警戒での吠え

宅急便や、お客さん、苦手な人や犬と道ですれ違うときなど、愛犬にとって不安や不快な対象があれば「こっちに来ないで!」「家族のみんな、警戒態勢だよー!」と吠えて教えてくれます。

 

・人や物を守るための吠え

ソファの上やハウスの中から「僕の場所に近づかないで」と自分の場所を守ろうとしたり、食べているオヤツに手を出そうとしたら「コレは私の! 取らないで」と吠えたり、他の犬がオーナーさんに近づこうとすると「ぼくのオーナーさんに手を出さないで! 近づいたら怒るよ!」など、自分の資源を守るために吠えます。

 

・興奮での吠え 

他の犬や人と遊ぶ中で、興奮が高まってくると吠えて発散しながら遊び続ける子もいます。留守番などでストレスが溜まってくると、神経質になってしまい、小さな物音にも過敏になり、すぐ興奮して吠えるようになってしまうこともあります。

 

・遠吠え

救急車の音や、学校のチャイム、他の犬達の遠吠えを聞いたときなど、遠吠えしたくなる波長の音に触発されて、吠えることがあります。

 

他にも、状況次第で、吠える理由は無限にあります。これらは、あくまでいくつかの例に過ぎません。

 

1つ注意なのは、吠える理由は、あくまで“愛犬側がそう感じたから吠える”でしかありません。私達人間からしたら、「宅急便やさんは敵じゃないよ」とか、「道ですれ違うあの大型犬は優しいよ」とか、「もうたくさんオヤツは食べたんだから、もうあげられないよ」など、吠える必要がないことでも、その言い分は伝わりません。

 

愛犬がそう思えば、思ったとおりに行動してしまうのです。

 

吠えの理由ごとに解決できないかを探ってみよう!

フレンチブルドッグ

Firn/Shutterstock

 

愛犬がなんで吠えているのか、なんとなくわかってきたら、次はその原因を改善できないかを考えていきましょう。すると、吠える回数が減っていきます。

 

例えば、散歩ですれ違う他の犬に警戒して吠えるなら、他の犬が来た時にさっさと違う道にそれてしまえばいいのです。

 

他にも、道の端によけて、たくさんの小さく千切ったオヤツを与えながら、相手の犬が立ち去るまで過ごしてみるのも良いでしょう。

 

<他の犬を見たら怖いから吠える>を、<他の犬を見たらオヤツがもらえて嬉しいな>に変えていくわけです。

 

ダメな対策としては、「大丈夫だよ」と声をかけるだけで何もしないとか、「怖くないんだから吠えない!」と叱ったりすること。イヤかどうかは、犬自身にしか決められません。

 

私はゴキ○リが大の苦手です。見つけたら「うわぁっ!」と声が出ます。かつて、ゴ○キブリが全然気にならない人から、「ゴキ○リ程度で大袈裟だよ。うるさいなぁ(イラッ)」と言われて放置されたときには、若干その人が嫌いになりました。

 

別の人で、「びっくりしたよね、退治しておくよ。あっち向いててね」と言ってくれた人には、「惚れてまうやろ!」と思いました。

 

愛犬側だって同じようなもの。自分の気持ちを理解せず、ただ叱るだけのオーナーさんと、解決して助けてくれる人なら、後者を信頼するようになっていくのは当然のことですよね。

 

他にも、要求吠えや、来客吠え、チャイム吠えに関しても、解決策はたくさんあります。

 

いろいろな方法を探し、試しながら、根本的に愛犬の要望を解決し、愛犬の吠えを他の行動に切り替えていきましょう。

 

吠えはあなたへのメッセージ

フレンチブルドッグ

namaki/Shutterstock

 

愛犬側は、吠えることで一生懸命何かを伝えようとしています。日本語が話せないながらも、健気に表現してくれています。

 

それを「うるさい」と黙らせてしまうだけでは、愛犬の最高のパートナーであるオーナーさんの名が廃れるってもんですよね。

 

解決策を探すのは、根気が必要な作業ですが、愛犬にはオーナーさんしか頼る人がいません。

 

どんな吠えにも対処法はあります。愛犬側の要望を汲み取りつつ、愛犬に寄り添った吠えへの理解を深めていきましょう。

 

こんなときは専門科に相談

フレンチブルドッグ

dar44/Shutterstock

 

吠えに対して、ただ叱ったり、黙らせるのではダメだとはわかっていても、愛犬が吠え続けてしまい、どうしたらいいのかわからないこともあると思います。

 

吠えている原因が検討もつかない場合だってあるでしょう。

 

また、近隣住民から苦情が入ってしまい、そこに住み続けられなくなってしまうような切羽詰まった状況であれば、愛犬側の意思をゆっくり汲んでいる場合ではありません。

 

そんなときは、どうか一人で悩まずに、ドッグトレーナー、獣医師など、身近にいる専門家に相談をしてみましょう。

 

すぐにできる対処、中長期的に根本的に解決するプランを提案してもらい、愛犬もオーナーさんも笑顔で過ごせる暮らしを取り戻していきましょう。

 

ドッグトレーナーに依頼をする場合も、複数人と面談するようにしてください。

 

そして、そのトレーナーが、生活環境の設定に関しての知識と豊富な経験を持っているか、学術的、科学的知識をもって動物福祉と動物への倫理に基づいた指導を安全に行える人材かどうか、オーナーさんがしっかりと確認をするようにしましょう。

 

PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純

PERRO株式会社 代表取締役 
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。

 

 

 

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