2023年9月29日1,301 View

犬の性格はいつ決まるのか。パピー期に分かるって本当?【前編】

国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。今回は、子犬の性格の見分け方について。そもそも子犬のころから性格は決まっているの? 子犬選びのときのポイントは? 一緒に見ていきましょう!

フレンチブルドッグ,しつけ

子犬の性格は見分けられるの?

フレンチブルドッグ,リーダー特集

 

子犬を迎えるとき。誰もが「こんな子だったらいいなぁ」と夢を描きますよね。

 

しかし現実では、

・「おとなしい子」だと思って迎えたら、すごくやんちゃで手に負えない

・「穏やかな子」だと勧められて迎えたのに、神経質で困っている

なんて話もよく聞きます。

 

子犬の時期に性格を見分けることはできるのでしょうか?

また、パピーを選ぶときに目安になる行動やポイントはあるのでしょうか?

 

今回は子犬を迎えるときに知るべき「子犬の性格の見分け方や選び方」について紹介していきます。

 

将来どんな子になるかは、分からない

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MAXXSIPHOTO/Shutterstock

 

結論から言ってしまえば、生後数ヶ月の子犬の時点で「将来の性格」を見極めるのは非常に困難だと言われています。

 

「おいおい、なんのためのコラムだよ!」とツッコみたくなると思いますが、ちゃんと子犬選びに役立つ情報も紹介していきますので、しばしお付き合いください。

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Happy monkey/shutterstock

 

さて、子犬の性格を見極めることが難しい理由はいくつかあります。

 

犬は生後6ヶ月以降、徐々に性成熟期を迎えていきます。

これは人間で言う思春期のようなもの。子犬の頃には見られなかったような気質が、性成熟期以降に現れることも多々。

 

さらには不妊去勢手術によりホルモンが変化することで、気質にも変化が起きることがあります。

 

人間の場合も高校デビューでキラキラに変化する子がいたり、優等生だった子が急にグレたりするなど、ティーンエイジャーにはいろいろな変化がありますよね。

 

犬も人間と同じように、性格にも変化が起きるのです。

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KarinR/shutterstock

 

子犬の性格を見極めることが難しい理由の別の例として、盲導犬の育成と選抜について紹介します。

 

盲導犬を目指す子犬は、盲導犬に適正のある親犬から生まれます。

 

すでにエリートです。

犬種がラブラドールならなんでもOKというわけではありません。

 

幼少期は母犬ときょうだい犬と過ごします。

そのあとは、パピーウォーカーという盲導犬育成に協力的な家庭で暮らします。

心身ともに健全な犬を育てる万全の環境下で育つわけです。

 

そのうえで、子犬が1歳になるころに「将来盲導犬になれる適性があるのか」の試験を受けます。

 

全頭が盲導犬候補生になれるわけではないのです。

適正がある犬だけが、本格的な訓練に進みます。

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Firn/shutterstock

 

この話でも分かる通り、プロの目で見ても1歳そこそこにならないと、その子の気質を見極めることは難しいのです。

 

子犬の気質を知るための研究はさまざまあります。

しかし人間の子どもと同じように、育つ環境や健康状態、日々のオーナーさんの接し方などで大きく変化するため、子犬期から性格を見極めることは難しいというわけです。

 

どのように子犬を選んだら良いの?

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MR.SOMKIAT BOONSING/Shutterstock

 

子犬の性格を一発で見抜く秘訣はなかなかありません。

 

とはいえ、自分の家に合う可能性が高い子犬を選ぶ方法はたくさんあります。

 

例えば…

・子犬の血縁の病歴をブリーダーに確認する:子犬を迎えるときに大切なのは気質だけではありません。

遺伝性の疾患や、親族に多い健康上の傾向などを確認しておくことはとても大切です。

 

・親犬の気質や飼育環境をブリーダーに見せてもらう:親犬やきょうだい犬と育ってきた飼育環境を見て、親犬がどのような気質なのかも確認しておきましょう。

劣悪状況で妊娠や育児をさせられている母犬はストレスが大きく、子犬の心身の健全性にも影響します。

親犬やきょうだい犬が大切にされていて、みんな健やかに暮らしているブリーダーを選んでください。

 

・ほかのきょうだい犬と一緒にいる姿を長時間、何度も見せてもらう:他の個体と比べた体格の特徴や性格の違いなどが、多少は分かる可能性があります。

この時点で子犬が怯えて吠え続けていたり、不安で噛んだりなどを繰り返している場合は、注意が必要かもしれません。

※詳しく知りたい方は「ドッグズ・マインド(ブルース・フォーグル著)」が参考になります。

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G-Stock Studio/shutterstock

 

家族に合う犬種を選ぶ:どのような犬種を迎えるのかを見た目だけで選ぶのは、あまりに無謀です。

街中で少し乗るだけなのに「カッコいいから大型トラック買っちゃおう♪」なんてことと同じ。

お金さえ払えばどんな犬でも買うことは出来ますが、飼い続けることは大変な苦痛を伴うでしょう。

自分に合う犬の大きさや犬種の特性を調べ尽くしたうえで、その子犬それぞれの特徴を見ていく。これが正しい順序です。

 

子犬ではなく成犬から選ぶ:子犬のときは特性がわからない部分もあります。

例えば、保護犬を成犬から迎えるなら、保護団体の預かりさん(保護した犬を里親が見つかるまで家でケアする人)から、その子の日頃の様子を聞かせてもらえます。

また、譲渡を決定する前にトライアルで数週間一緒に暮らすことも可能です。

 

そもそも性格の問題ではなくトレーニングの問題:子犬はスポンジのようにどんどん行動を習得していきます。

オーナーさんの行動ひとつで良い行動も悪い行動も覚えていきます。

だからこそもし子犬に不満を感じるようであれば、「子犬の性格に問題がある」と考えるのではなく、ひとつひとつ望ましい行動をトレーニングすればいいのです。

 

吠え続けたり噛んでしまったりするのはその子の性格ではなく、問題行動が出るような状況に置かれているだけ。

子犬選びに失敗したわけではありません。

 

どんな犬も一緒に暮らすなかで性格が変化していきます。

だからこそ「こんな性格の子が欲しい」という願いを、子犬期に叶えるのは難しいです。

 

しかし、できる限り自分の家族に合う子を選ぶ手段はたくさんありそうですよね。

 

では、続きの内容は後半でご覧ください!

 

PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純

PERRO株式会社 代表取締役 
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

 

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。

 

 

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