2023年12月10日1,789 View

フレンチブルドッグの「クレート」の必要性を改めて考えてみた

国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。今回は、クレートの必要性について。どうして必要なのか、どんなときに使うべきか。一緒に考えてみましょう!

フレンチブルドッグ,しつけ

フレブルにクレートは必要?

フレンチブルドッグ,リーダー

FotoKina/shutterstock

 

みなさんのおうちには、クレート(ハウス)はありますか?

 

クレートとは、愛犬を中に入れて持ち運びできる箱のこと。

1頭につき1つ以上は必要だと考えられています。

 

そうは言っても「うちの子はクレート苦手で…」「自由に過ごさせる方針なので必要ないです」なんて声もよく聞きます。

フレンチブルドッグ,リーダー

Tienuskin/shutterstock

 

でも、でもですよ。

行政や獣医師、ドッグトレーナーからも、口を揃えて口酸っぱくクレートの必要性を語るのは、それなりの理由があるからなのです。

 

「クレート」と聞くと、ちょっと面倒くさいなあと耳を塞ぎたくなるオーナーさん。

まずはこのコラムを読んでいただいてから、検討してもらえませんか? 

 

というわけで今回はクレートの必要性について、生活場面ごとに分けて紹介していきます。

 

①災害時

フレンチブルドッグ,リーダー

ewelina thepphaboot/shutterstock

 

クレートが災害時に役立つと、良く耳にしませんか? クレートが必要な場面の代表格ともいえる、災害。

 

たとえば、大地震がきたときをイメージしてみてください。

 

地震が来たら、すぐに人間は机の下に入って頭を守り、愛ブヒには「ハウスー!」の合図でクレートに入ってもらえれば、安全確保ができます。

 

地震の揺れが強い場合、オーナーさんは両手でテーブルの脚を抑えて、飛ばされないように耐えることになります。

 

愛ブヒを抱っこした上で、机の下に隠れるのはかなり難しいのです。

フレンチブルドッグ,リーダー

kuban_girl/shutterstock

 

地震がおさまった後に家中に散乱したものを片付けるときも、愛犬にはそのままクレートにいてもらえれば安心です。誤飲や怪我も防げるでしょう。

 

もし自宅待機が困難で、避難場所に移動する際にも、愛ブヒをクレートに入れたまま運べば、地面に散らばるガラスや、パニックになった人々にもみくちゃにされたり、あやまって離ればなれになることもありません。

幸いフレブルは、クレートに入れても、大人一人で運べる重さです。

 

また、パニックになった人々にもみくちゃにされたり、迷子になったりする心配もありません。

フレンチブルドッグ,リーダー

kuban_girl/shutterstock

 

避難所によっては「クレートに入っている犬なら室内に入れてもいい」などのルールがある場所もあります。

 

避難場所など、自宅以外の場所にいるとき、オーナーさんがその場を離れなければならないとき、せめてクレートの中に入っていれば、愛ブヒがむきだしで置かれているよりは安全です。

 

まず災害関連だけでも、こんなに役立つシーンがあります。

 

学校では子どもたちが定期的に避難訓練をしていますよね。

愛ブヒの避難訓練の1つは、クレートに入ること。クレートへの避難訓練をする先生役は、もちろんオーナーさんです。

 

②移動時

フレンチブルドッグ,リーダー

Mr.microphone/shutterstock

 

クレートは移動時にも役立ちます。

 

たとえば、自家用車の中。

 

愛ブヒをフリーにしていたら、運転に支障が出たり、もし事故に巻き込まれたら…愛ブヒにも大きな被害が生じます。

クレートの中にいれば、愛ブヒの安全を確保しつつ、ドライブすることができます。

そもそも大人のシートベルトは義務ですが、現代では子供のチャイルドシートも義務化されました。それだけ事故があったということです。

 

でも犬にはまだ法律がありません。しかし、犬だけが大丈夫なわけがありませんよね。

交通事故のニュースには、人間の数しか出ていないため、意識しづらいかもしれませんが…。

「車の中では愛ブヒをクレートに入れる」を新常識として、安全を守っていきませんか? 

フレンチブルドッグ,リーダー

Carrastock/shutterstock

 

公共交通機関に乗るときにも、クレートが使われます(各交通機関によりルールは異なります)。

 

海外のように、ワンちゃんがリードを付けたまま、歩いて乗れる電車があるわけではない日本では、各交通機関指定のサイズのキャリーケースなどに入れる必要が出てきます。

クレートに入れることで、移動手段の幅も増えます。

 

※補足

飛行機での短頭種のルールは各航空会社で異なります。

夏季など一部期間の預かりが不可な会社もあれば、そもそも全期間短頭種の預かりが不可な会社も。利用の際には事前の確認が必要です。

 

③日常

フレンチブルドッグ,リーダー

chaowalit jaiyen/shutterstock

 

日常的にも、たくさんの場面でクレートが役立ちます。

 

たとえば、動物病院の待合室。

他の犬や猫がいると興奮しすぎる愛ブヒや、怖がられてしまう場合など、クレートに入れて布を被せて目隠ししておくと、待ち時間中のストレスも少なく、愛ブヒのプライベートが守れます。

フレンチブルドッグ,リーダー

Vantage_DS/shutterstock

 

また、他人が苦手だったり、来客とトラブルになってしまう愛ブヒ(郵便屋さんにかかって行ってしまう、エアコン清掃業者に吠えまくる、など)は、他人が滞在している間、クレートにいてもらったり、クレートごと別の部屋で待機してもらう使い方もできます。

 

愛ブヒが食べると危険なものが、家でばらまかれてしまったとき(夕食の玉ねぎ入り野菜炒めを床にこぼしたなど)、一時的にクレートにいてもらい、急いで掃除するときにも使えます。

 

日常の中で、愛ブヒの安全を守りたいと思う、ふとした瞬間に活用できるのがクレートなのです。

 

クレートは閉じ込め部屋ではなく、宝物入れ

フレンチブルドッグ,リーダー

Bussakorn Ewesakul/shutterstock

 

ここでは紹介しきれませんが、クレートの活用場面は、これ以外にもたくさんあります。要するに、愛ブヒの安全を守れる便利な道具がクレートなのです。

 

さながら、クレートは「宝物入れ」。

大切な家族である愛ブヒという「宝物」が、傷つかないように守ってくれるのがクレートという「箱」です。

 

しかし一見するとクレートは、人間でいうカプセルホテルのような、狭く窮屈な空間を彷彿とさせます。

 

また、悪いことをしたときに「ハウス!」なんて言ってクレートに閉じ込めるような、誤った使用法をイメージする方もいるかも知れません。

そう考えると「ぜひうちの子をクレートに入れたいわ♪」という気持ちにはなりづらいですよね。

 

しかし、これはあくまで人間側の勝手なイメージです。

 

クレートに慣れているブヒたちは、安心できる自分だけの秘密基地感覚でクレートに入っています。

安心してすやすや寝る子がたくさんいるのがその証拠。

フレンチブルドッグ,リーダー

Peerapon Yaemma/shutterstock

 

人間でも「押入れ」をお仕置き部屋として使われた人は、狭くて暗い押し入れの空間が苦手になるでしょう。

 

そうではなく、押し入れを自分だけのお城のように楽しむ子ども時代を過ごした人は、狭くて暗い場所も快適な空間になります。

 

同じ物でも使い方によってその後の好き嫌いに影響が出ます。

クレートも同じで、使い方によって愛犬の好きな場所になるのか、もしくは苦手な場所になるのか分かれるのです。

 

人間の都合だけで、愛ブヒの心身を無視して、クレートに閉じ込めるのはもちろん駄目! 

 

しかし、クレートに入る練習を重ねておき、愛ブヒが快適に中にいられるようになっておくことは、愛ブヒが生き残るための手段を増やすことにつながります。

 

クレートの扉を開けると、嬉しそうにスッと中に入って、お昼寝をしちゃうブヒが少なくないのも、良い思い出を積み重ねたトレーニングの結果です。

 

クレートトレーニングは、愛ブヒへの教育という名の愛情なのです。

フレンチブルドッグ,リーダー

Happy Moments/shutterstock

 

次回、愛ブヒのクレートの選び方とトレーニング方法に続く!

ここまでご覧いただけた方なら、クレートの重要性を感じていただけたのではないでしょうか。

とはいえ、かつてクレート練習をしたもののうまく出来なかった、そもそもどんなクレートを買えばいいの? など、疑問に思われる方も多いはず。

 

そこで次回以降は、その子にぴったりのクレートの選び方や、クレートに入っていられるようになるトレーニングの方法などをお伝えしていきます。お楽しみに!  

 

自己紹介

PERRO株式会社 代表取締役 
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

 

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。

 

 

 

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