フレブルの気持ち〜ボディランゲージを学んで気持ちを知る
フレンチブルドッグは、一般的な犬のようには意思表示が見抜きにくい犬種です。「しっぽをフリフリしたら喜んでいる」と言われても、しっぽは短かすぎますよね。「マズルに力を込めていたら威嚇」とはいうものの、そもそもフレンチブルドッグはしわくちゃの顔。マズルのシワに変化があっても気付きにくいのです。
わたしたちブヒオーナーは、表情、筋肉のこわばり、息づかいなど、彼らの身体全体を見て会話しなければなりません。どこか一か所の状態で判断するのではなく、ぜひボディランゲージを総合して気持ちを読んでみましょう。
また、時折見せる一見空気を読まないパフォーマンスにも、実はブヒたちからのメッセージがあるのです。
代表的なボディランゲージ
◉上半身が伏せの状態でお尻が上がり、しっぽがピクピク振れている
「遊ぼうよ」のサインです。待ちきれないワクワクした表情をしていませんか?
◉しっぽはピクピク、でも耳がピンと緊張している
何かに警戒していて、威嚇しようとしているかもしれません。
◉お尻が上がっているが、全体的に低い姿勢をキープ、耳も後ろに垂れている
恐怖や不安があるのかも。すぐに対応できる状態を作っています。
◉アクビをしたり、首元をかいたりする
不安な気持ちを落ち着かせようとしています。
◉飼い主の喧嘩中、仲裁のように割って入ってくる、オシッコをする
集団生活で生きる犬の習性です。群れの秩序を保とうとしています。飼い主さんがケンカすると、ブヒは心配でしょうがないのです。
しっぽ、耳、態勢を特に注意して見てあげましょう。また、犬が不安なときに行う仕草は「カーミングシグナル」と呼ばれ、犬本人が落ち着きたいときはもちろん、飼い主さんに「落ち着いて!」と呼びかけている場合もあります。
それほど他の犬には興味がない
犬は人間の期待通りに行動してくれるとは限りません。例えばカフェやお散歩のシーンで、他の犬を無視する、逃げてしまうなどコミュニケーションがとれなかった場合でも落胆する必要はありません。他の犬とも仲良くしてくれたらうれしいですが、そもそも犬同士は遊ばないのが自然な状態です。
ただ、「他の犬がいても気にせず過ごせる」状態であればOK。他の犬に上手に挨拶しないからといって、不機嫌なわけではありません。初対面で仲良くできなくても、フレンチブルドッグたちはちっとも困りません。マイペースに自分の世界に没頭しているだけです。
“怯えなくてもよい”と教える
また、「突然噛みつく」というコもいます。しかしちゃんと犬を観察してみると、噛む予兆ランゲージがあったことに気づくことがあります。耳を立ててじっと音を聞いている、何かを凝視する、身体を動かさずに待っている……などのサインはありませんか? それは苦手なものに対し距離を測っている可能性があります。その後、“どうしよう、やっぱり怖い!”となったらウウウーと唸るという行動に出るわけです。「唸る」は「噛む」の前段階とも言えます。
病院の診察室の上でおとなしくしていたら「この子は大丈夫なんだ」と飼い主さんは考えるかもしれません。しかし、犬は緊張が高まっているときにもおとなしくなります。からだがなんとなく硬い、目がキョロキョロしている、耳が下がっている……など、全体を見てあげることが大切です。獣医師さんよりも、毎日見ている飼い主さんにしかわからない「うちのブヒ語」がかならずあるはずです。
「唸る」を飛び越えて突然噛むコは、唸ったときに嫌な思いをしていなかったしょうか。例えば、飼い主さんが「唸る」=「悪いこと」と、しつけとして叱っていた場合など。まず、可能であれば犬を不安要素に近づかせないことが大切です。その次に、慣らせるトレーニングです。普段からご褒美などをうまく活用し、悪いイメージを良いイメージに変えてあげましょう。
犬が“怖いよ、これ以上は嫌だよ”とサインを出しているときこそ、叱って制止するのではなく「唸らなくても大丈夫だよ」と怖くないことを教えてあげるのです。犬が喜んで自発的にできることを増やしてあげましょう。
おわりに
フレンチブルドッグたちは、日々雄弁に飼い主さんに語りかけています。ボディランゲージが理解できてくると、病気やトラブルを未然に防げるだけでなく、愛ブヒとの距離もぐっと縮まります。もっとブヒに近づきたい人も、基本的なしつけに悩んでいる人も、まずは愛ブヒを観察することから。そして、飼い主さんがいちばんの理解者になってあげてください。
※この記事は「BUHI vol.46」からの転載です。一部加筆・修正をし、公開しています。
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