フレンチブルドッグの注意事項「腫瘍(がん)」
生まれつきカラダが弱いフレンチブルドッグは、病気になりやすいと言われています。重要なのは早期発見・早期治療。そのためには、事前に腫瘍(がん)の知識を身につけ、愛ブヒと小まめにスキンシップをとることが大切です。
「うちの子は大丈夫」と思わず、しっかりと腫瘍(がん)について学んでおきましょう。
がんは犬の死因「第一位」
犬の世界でも、人間の世界と同じように獣医学の進歩に伴って平均寿命が延長し、高齢化が進んでいます。
大切な愛犬と長く過ごせることは飼い主さんにとってうれしいことなのですが、一方で人間と同じように高齢化によって、犬においても悪性腫瘍の罹患率が増加しているといわれています。
犬の悪性腫瘍は8歳以上から発症する確率が上昇し、10歳では6頭に1頭が罹患するとされています。
そして、なんと10歳以上の犬では、半数の犬ががんで死亡すると報告されており、死因の第一位を占めています。
さて、その腫瘍ですが、いったいどのような病気なのでしょうか。
腫瘍はどんな病気?
腫瘍は細胞が異常に増えてかたまりになったもののことで、良性のものと悪性のものがあります。
このうち悪性の腫瘍をがんといいます。
悪性腫瘍が見つかったら、大きくなってまわりに広がったり、違う臓器に移ったりして命に危険が及ぶ可能性があるため、早急に治療をする必要があります。
犬種別ではフレンチブルドッグのような短頭種に多く見られるといわれるがんには「肥満細胞腫」「リンパ腫」が挙げられます。
肥満細胞腫は表皮がドーム型に脱毛してイボのようなものが出来て、その中心が赤やピンク色になることが特徴です。
リンパ腫は、さまざまな器官や組織に出来ます。犬を撫でていて首の下や脇などに腫れを見つけて気づくこともありますが、内視鏡検査などの検査を行わないと分からないことも。
また性別では、女の子に多いがんとしては「乳がん」、男の子に多いがんには「肛門周囲腺腫」が挙げられます。乳がんでは胸にしこりが、肛門周囲腺腫ではかゆみを伴うので、お尻を舐めたり、床にこすりつけるような行動が見られます。
がんの症状は、発症した場所によりさまざまですが、体重減少、食欲減退、ぐったりして元気がない、以前からあった体の腫瘤がだんだん大きくなっている、貧血によるふらつきといった症状は比較的よく見られる症状といえます。
がんは、細胞の増殖に伴い、徐々に進行するという特性をもつことから、一気に症状が悪くなるというより少しずつ悪化していきます。
そして、飼い主さんにできることは、がんにかかるリスクが高い7歳以上のシニアになったら、少なくても半年に一度の定期検診を受けさせてあげることです。
1年に2回も検診が必要なのかと思うかもしれませんが、犬の1年は人間の1年とは流れ方が異なりとても早く過ぎ去ってしまいます。
もしがんがあった場合、1年気づかないまま放っておくと手遅れになる可能性が高くなります。
ですから、早期発見・早期治療のためには少なくとも半年に一度は専門家である獣医さんに検診をしてもらうことが必要なのです。
ここがポイント!
飼い主さんががんを早期発見するために家で出来ることは、1日1回、10分でもいいので犬とじっくり向き合い、最低でも月に1回は犬の体をやさしく撫でながら、体に異常がないか調べることです。
たとえば乳がんは、おなかを撫でるついでに乳房をやさしくつまむようにして、しこりの有無を確認します。
体の表面に出来るがんは、体を撫でて確認します。
もし「しこり」や「腫れ」のようなものに触れたら、そこから出血したり、蚊に刺された跡みたいに皮膚が赤く腫れていないかを確認します。
また、内臓に腫瘍がある場合には、嘔吐や下痢、食欲不振が続いたりすることもあります。
高齢の犬の場合は「年だから」で済ませがちですが、本当に年のせいだけなのか、しっかり向き合ってみることが早期発見につながります。
そして、異常を見つけたらすぐに獣医師に相談しましょう。
がんになる原因については未だ明らかになっていないことが多いですが、遺伝的な要因、老化、紫外線、ホルモンなどはがん発生の一因になっている可能性が高いといわれています。
犬という動物はとても我慢強く、具合が悪くてもよほどのことがない限りそういった素振りをまったくみせませんから、結局はかなり進行してからようやく気づく、というケースも多いのです。
したがって、がんの治療で大切なのは人間と同じで、早期発見・早期治療です。
こちらの記事も合わせてチェックしてみてくださいね!
【肥満細胞腫】発生率の高い皮膚腫瘍 「できもの」を見つけたら、すぐに病院で検査を
※この記事は「BUHI vol.46」からの転載です。一部加筆・修正をし、公開しています。
BUHI vol.46「今こそバック・トゥ・ベーシック。」紹介されたアイテム
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