2018年8月17日8,354 View

16歳をこえて生きた先輩たち[フレンチブルドッグ・ぷっち]

ぷっちは、『BUHI』2017年冬号「15歳まで生きる方法」でもお伝えしたとおり、多くの病気を患っていた。肥満細胞腫の再発や、膀胱ガン……年齢的に手術やカラダに負担のかかる薬は使えず、副作用の少ない投薬で治療を行っていた。

ガンをやっつけるのではなく、どのように共存していくか。この思いを胸に、信頼のできる獣医師とご家族の入念なケアによって、ぷっちは17歳半まで生きのびた。最後まで楽しく、穏やかな気持ちのままー。

病気と共存する

「ぷっちは2014年に肥満細胞腫の再発、2016年に膀胱ガンを患いました。年齢を考えると、手術や強い薬といったガンをやっつける治療はできません。どのように悪い細胞と向き合っていくかが大切な考え方でしたね。病気と闘うというよりも、共存していくという思い。幸いにもカラダに悪さをすることなく、最後まで楽しく穏やかに過ごすことができたと思います。かかりつけの先生も本当によく見てくださいましたし、立派に17歳半まで生きてくれて私たちは幸せです」

 

歩く大切さ

フレンチブルドッグシニア

「ぷっちは病気を患いながらも食べることが大好きで、オヤツの時間は震えながら待っていました(笑)お散歩も大好きだったので、体調を見ながらできる限り毎日歩くようにしていたんです。17歳を越えたあたりから少しずつ足が弱まっていき、歩くスピードも遅くなっていました。免疫力の低下によって前足の皮膚が炎症し、痛みもあったようなので、なるべく負担をかけないように靴を履いて公園の土の上を歩くようにしていましたね。歳を重ねるといろんなところが弱っていきますけど、それは当然のこと。そこで悲観せず、できることを精いっぱい楽しむのが大切だと思います。自信を持っていえるのは、自分の足で歩くこと! お散歩は本当に大切。このような毎日の積み重ねは、高齢になるとハッキリ出るはずです。もちろん体調を見極めながらですが、ぷっちも大好きなお散歩を休むことはほとんどありませんでした」

 

いつもどおりに暮らすこと

フレンチブルドッグシニア

「毎日のお散歩もそうですけど、ゆっくり眠ってしっかりごはんを食べる。あまり特別なことはせず、体調を見ながら、なるべくいつもどおりにリズムよく過ごすことを心がけていました。ぷっちが安心して穏やかに過ごすためにも、いつもと変わらないライフスタイルは大切だと思っていて、特に年齢を重ねるにつれてその重要性は増していくように思います。それにぷっちも、このいつもどおりの暮らしがお気に入りのようでした。愛ブヒが好きなことをしてあげること、そのためには何が好きなのかを常に理解してあげること。考え方もふくめて大切なことですよね。我が家は自営業なので、幸いにも毎日ぷっちといっしょにいられました。2階が自宅で1階が作業場。今までは私も仕事を手伝っていましたけど、ぷっちが14歳で病気になってからは、2階の自宅スペースでぷっちと過ごしていました。当時はごはんを食べても吐き出してしまい、ノドに詰まらせることがあったので、目を離したくないという思いからです。このライフスタイルは14歳から最後までつづきましたね」

 

後悔はない

フレンチブルドッグシニア

「ぷっちといっしょにいる間は、ただ時間を共にするだけでなく、私たちがぷっちにしてあげられることの全てができていたと思っています。常にぷっちのことを考えて接してきたつもりですから、後悔はありません。ぷっちは病気を持っていましたけど、幸いにもそれが悪化することなく生き切ってくれました。立派に17歳半まで生きてくれて、私たち飼い主は心から幸せです。尽くすということは、考え方次第では自己満足になってしまう場合もあると思うんです。それはシニア期だけに限らず、なにげない毎日でも。自分のためだけになっていないか、それは本当に我が子が嬉しいことなのか、常に心に留めておくことも大切ですよね」

 

覚悟する大切さ

「私は、過去にも動物たちとの別れを経験していましたので、ぷっちに対してもその時のことはいつも考えていました。別れは必ずやってくる……その覚悟は常に持っていましたね。何があってもきちんと看取ること。愛ブヒが元気なときからそれを頭の片隅に置いた方がいいと思います。でも考えすぎてはいけません。来るんですから、その時は」

 

ぷっちへ

「ぷっちゃん元気ですか? こちらはみんな元気だからね。大丈夫。ぷっちゃん、自由でいてね。こちらの思いが強すぎると、きっと自由でいられない気がしています。縛ってはいけない、そんな気持ちで元気に楽しく暮らしていますよ」

 

17歳半まで全うし、後悔のないお別れができたぷっち家。病気や年齢にとらわれすぎず、愛ブヒの幸せを理解して全力でサポートしたからこそなのだ。

 

愛とは時に、一方通行になりがちである。愛ブヒが病気でもシニアでも元気なときでも「今、何が幸せなのか」を常に考えて尽くしてあげること。そして、それに対し愛ブヒが幸せな姿を見せてくれて、初めて、本当に尽くしたと言えるのではないだろうか。尽くすことのゴールは、してあげたことに対して、その子の感情までを読み取ること。

 

そう、愛するのではなく愛し合うのだ。それを意識して生活することで、できるかぎり後悔のない、納得のいくお別れができるのかもしれない。

 

 

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16歳をこえて生きた先輩たち[フレンチブルドッグ優作]

 

※この記事は「BUHI vol.47」からの転載です。一部加筆・修正をし、公開しています。

  • BUHI 2018年夏号 Vol.47

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