2019年6月21日15,025 View

【全オーナー必読!】犬に絶対やってはいけないことって?愛ブヒを幸せにするために今日からできる心構え

愛ブヒを幸せにできるのも、不幸にしてしまうのも、全部は飼い主の行動しだい。自分ではよかれと思ってやっていることも、間違った選択をしていることも。

そこで、国際的なドッグトレーナーのライセンス「CPDT-KA」の認定を取得しているドッグトレーナーの大久保羽純さんに、“愛ブヒを幸せにできるリーダーになる方法”をレクチャーしていただきました。

今回のテーマは“リーダーとしての心構え”。犬と人がもっと信頼し合える関係になれる、リーダーとしての心がけとは?

フレンチブルドッグ,しつけ

愛ブヒが幸せを感じるオーナーって? 

日々の暮らしの中で、大きな問題は無いけれど、愛ブヒは幸せなのかしら…。

 

愛ブヒが可愛いばかりについつい甘やかしてしまうけれど、オーナーとしてこれでいいのかしら…。

 

ふと、そんな疑問を感じて不安になってしまう。

 

今回はそんな皆さんへ向けて、素敵なフレブルオーナーになるための心構えをご紹介します。

 

ワンちゃんは人の3歳児。

Model:@trs0609(Instagram)

まずはオーナーさんと愛ブヒの関係を整理するために、愛ブヒたちのことを知りましょう。

 

ワンちゃんたちは人間の3歳児くらいの頭脳だと言われています。一生、純粋な子供だからこそ、私たちには天使のように可愛く思えるのかも知れません。

 

ワンちゃんの頭の中はとてもシンプル。“ウレシイ”か“イヤ”かの2択で出来ています。だからこそ、自分にとってウレシイ事であればすぐに覚えます。

 

オヤツの袋を開ける音なんて、自分にとってウレシイことでしかないので、教えていなくても、駆け寄ってくるはずです。オヤツ袋を持ったオーナーさんをじっと見つめれば、オヤツがもらえるとわかってしまえば、もらえるまでずっと見続けてくれるはずです。

 

ワンちゃんは思考がシンプルな分、人間にとって困ったこともすぐに覚えます。

 

じっと見つめてもオヤツがもらえないとき、試しに1回吠えてみます。その時にオーナーさんからオヤツがもらえてしまった日には、即刻「吠えればいいんだ♪ 」と、学習します。

 

その記憶のしつこさたるや、ここで語らずとも、多くの方がうなずかれることでしょう。

 

他のワンちゃんと出会ったときも、大好きなお友達ならウレシイ。苦手なお友達ならイヤ。

 

相手に合わせようとか、空気を読もうとか、そんな気の回し方は人間の3歳児ほどのワンちゃんの頭脳には難し過ぎます。

 

オーナーさんがどんなに「お友達なんだから仲良くしなさい。」と言ったところで、イヤなものはイヤなのです。

 

ワンちゃん友達の手前、「ちょっとは仲良いフリでもしてよ」と思っちゃうときもあるかもしれませんが、そんなことは一切いたしません。

 

人間関係の複雑さに疲れてしまっている現代人には、この単純さこそが愉快で、爽快にも思えるのではないでしょうか。

 

ここまでのお話で、いかに愛ブヒたちがシンプルな思考でハッピーに私たちと暮らしているかがわかるはずです。

 

では、そんな愛ブヒたちに対して、人間はどういう立ち位置でいれば良いのでしょうか。

 

人と犬の間に上下関係は存在しない

Natalie Shuttleworth/shutterstock

よく、オーナーさんは“ワンちゃんのリーダーになりましょう”と言われますよね。これって一体、どんな意味なのでしょうか? 

 

すでに海外では常識となっていますが、ワンちゃんと人の間に、上下関係は存在しないと言われています。

 

人間がボスだから、ワンちゃんが人の言う事を聞く…なんてことは一切ありません。

 

人間の3歳児を想像しましょう。保育園の先生が偉いから、言うことを聞くわけではありませんよね。

 

先述の通り、ウレシイとイヤだけで動くのがワンちゃんです。言う事を聞いたらウレシイことが起きると予想していれば、言う事を聞きます。

 

また、言う事を聞かないとイヤなことをされるとわかっていれば、言う事を聞くでしょう。

 

イヤなことをしてしまっては、言う事は聞いてくれても、愛ブヒに嫌われてしまいます。せっかくですから、ウレシイ気持ちにしてあげて、自然にお願いを聞いてもらえるようにしましょう。

 

愛ブヒを助ける人こそリーダー。パワハラはダメ!

Aneta Jungerova/shutterstock

ワンちゃんと人の上下関係説が根強い日本では、海外からの“リーダー”の意味も間違って伝わってしまいました。ワンちゃんに言う事を聞かせるのがリーダーではありません。

 

リーダーになるという本来の意味は、愛ブヒにとって安全な状況を選択する役割のことなのです。愛ブヒとオーナーさんのチームの、“チームリーダー”がオーナーさんなのです。

 

例えば、ドッグランに愛ブヒを入れるかどうかで考えてみましょう。

 

ドッグランの中にいるワンちゃんたちとの相性を見て、愛ブヒにとって安全でなければ、愛ブヒが入りたがっても、リーダーは入れてはいけません。

 

チームリーダーが責任をもって、愛ブヒに「ごめんね。オヤツをあげるから、ドッグランはまた今度にしよう」と決定をするのです。

 

危機管理をして、安全を守る。それがリーダーです。

 

愛ブヒがドッグランに入りたがってる気がするから(または、オーナーが入らせたいから)と言って無計画にドッグランに入り、ワンちゃん同士でケンカを起こさせておきながら、それを叱るのは、パワハラ上司のようなものです。

 

他にも、ハウスに入れない愛犬に「今後ハウストレーニングは必要になってくるから、トレーニング方法を一緒に学ぼう! 良いドッグトレーナーをキミの代わりに私が選ぶね」。

これも、チームリーダーの役割。チームで協力して、一緒に目標達成を目指すのです。

 

「私がボスなんだから、私が命令したらハウスに入れ!」では、恐怖の対象にしかなれません。

 

つまり、チームとして快適に過ごせるように、状況をコーディネートするのがオーナーさんの役目であり責任なのです。ですから、もし問題が起きてしまったら、チームリーダーが悪いのであって、リーダーに付いてきただけの愛ブヒは悪くないのです。

 

痛みや恐怖を与えることは教育ではありません。体罰は、子供にも、大人にも、もちろん愛ブヒにも、いかなる理由があっても、絶対にやってはいけないことなのは、言うまでもないでしょう。

 

愛ブヒに無理強いしない。環境を変えれば、行動は変わる!

Irina Kozorog/shutterstock

だからこそ、チームリーダーであるオーナーさんに必要なのは、愛ブヒを守るための知識と技術なのです。オーナーさんが状況を判断して、愛ブヒに良い経験をさせてあげることが、良いトレーニングなのです。

 

失敗しそうなことをやらせてしまって、愛ブヒが失敗してしまったなら、愛ブヒを叱るのではなく、自分自身の行動を改善してみましょう。

例えば、家の中でスリッパを噛みちぎって、口に入れてしまっている場面を想像してください。やることは2つです。

 

良い例と悪い例で見てみましょう。

 

[良い例]

Good1:20粒以上の小さく千切ったオヤツをばらまき、愛犬がスリッパを離したところで誤飲しないようにスリッパを回収する。

Good2:次回から愛犬の届くところにスリッパを置かないようにする。

 

[悪い例]

Bad1:大声で叱りながら、犬の口からスリッパを奪い取る。※パワハラですね! 

Bad2:また同じところにスリッパを置きっぱなしにする。※状況の改善がないですね! 

 

いかがでしょうか? 

 

ワンちゃんにおバカな子はいません。環境に合わせて、学習をしていくだけです。チームリーダーであるオーナーさんが適切な環境を作れば、愛ブヒの行動も変わります。

 

「うちは特に何もトレーニングをしていないけれど、快適に暮らせているわよ」というご家庭は、長年の飼育経験でトライ&エラーを繰り返しながら、自然とその環境づくりが出来ているからかも知れません。

 

チームリーダーの日々の環境づくり次第で、日頃の暮らしはみんなにとって笑顔で楽しいものとなるのです。

 

愛ブヒの事を考え、学び、自らで未来を選択する。その心構えこそ、素晴らしきオーナー

Model:@ulala_garm(Instagram)

素敵なオーナーさんになるための一番大切な心構え、それは、愛ブヒの笑顔を守るために、学び続けるという姿勢なのです。

 

医療も、トレーニングも、食事も、すべての情報は日進月歩。数年前に調べたことと現在で、大きく変化をしていることもあります。

 

さらに、インターネットで多くの情報が手に入るようになった分、いかがわしい内容も増えています。正しい知識と内容を自分で選択することが、オーナーさんにも必要な技術となってきました。

 

セカンドオピニオン、サードオピニオンを活用する人も増えました。10年以上前はペットに関しての情報が少なく、専門家1人の意見を頼りにすることもありました。

 

しかし、現代はペットの専門家も多く、困った時は3人以上の専門家の意見を聞いた上で、オーナーさんが選択をすることができます。オーナーさんが、オーナーさん自身で、愛ブヒの状況に合う判断をして良い時代なのです!

 

ペットの専門家たちは、オーナーさんが愛ブヒを幸せにするためのツールです。「○○先生が絶対正しい!」と信じ切ってしまっては、先生が間違ってしまったときに愛ブヒの幸せも壊れてしまいます。

 

先生だって神様ではなく、人間です。100%絶対正しいなんてことはありません。

 

だからこそ、オーナーさんには、「この先生の言っている、この部分は愛ブヒにぴったりだからやってみよう」くらいの、専門家をうまく活用する、客観的な姿勢が必要なのです。

 

チームリーダーは常に選択をせまられる

Valeriya Anufriyeva/shutterstock

例えば日常の中で、迷う場面はたくさんあります。

 

・ワンちゃん同士で挨拶させるべきかどうか。

・もう1頭ワンちゃんを迎えるべきかどうか。

・手術をするべきかどうか。

・このご飯を食べさせるべきかどうか。

・このカフェに何分滞在すべきかどうか。

・このドッグランに入れるべきかどうか。

・この暑さで何時間外にいてもいいかどうか。

・このプロに愛ブヒを任せていいかどうか。

 

まずはそれぞれにどのような選択肢とメリットとデメリットがあるのかを考えましょう。

 

もし選択肢がない場合には、すぐにはやらずに、時間をかけて調べてからにするという選択もあります。愛ブヒも、そして周囲の人も守る義務が、オーナーさんにはあるのです。

 

人の言う事に流されないで、愛ブヒを守って

Patterstock/shutterstock

みんながしているからと言って、自分もしないといけない訳ではありません。

 

「○○先生がこう言ったから」とか、「ブログで××さんが言っていたから」と、誰かが言ったからって、人のせいにしても、失敗してしまったら愛ブヒの笑顔は戻ってきません。

 

こんな悲しいお話があります。

 

警戒吠えがひどいワンちゃんのオーナーさんが、犬に詳しいという仲間のアドバイスで、大きな音のする空き缶をワンちゃんの近くに投げつけ、犬を黙らせることをやってみたそうです。

 

ワンちゃんは吠えやみました。しかし、その代償として、オーナーさんを見るとおびえて、部屋の隅で震えるようになってしまったそうです。

 

オーナーさんは、ひどく後悔しました。

 

目の前でオーナーさんを避けながら、逃げ場を失って怯えるワンちゃんの姿を見て、何年にもわたって積み上げてきた信頼関係が、ガラガラと崩れたことがわかりました。とんでもないことをしてしまったと、泣いたそうです。

 

それからは、長い時間をかけて、愛犬の心のトラウマと向き合っているそうですが、そのワンちゃんは今でも散歩中に転がる空き缶の音で、震えてしまうそうです。

 

暴力や痛みを与えて、どんな副作用があるのか予想もしていなかったそうです。ほめて、楽しく吠えをやめさせるトレーニング方法もあることを、後で知ったそうです。

 

「もっと、私が慎重に調べてから、愛犬に向き合うべきだったのに」と、謝罪の気持ちとともに、2度と我が子を傷つけまいと心に決めたそうです。

 

選択肢がこれしかないと思ってしまうと、「やらなきゃいけない!」と思ってしまいます。しかし、どうしても急を要するものでなければ、まずは「やらない」で、「時間をかけて調べて、納得してからにする」という選択もできるのです。

 

 

まとめ

Model:@hokus_theo(Instagram)

一生、人間の3歳児である愛ブヒたち。人間の社会で生きていくには、オーナーさんを頼るしかありません。

 

愛ブヒの幸せはすべて、オーナーさんにかかっているのです。

 

安易に愛ブヒのしたいようにさせるのではなく、チームリーダーであるオーナーさんが、責任をもって愛ブヒを守ってあげましょう。

 

そして、生活のあらゆる場面で愛ブヒに「あなたの幸せを願って、学び、調べ、一生懸命選択したよ」と言えるくらいまでになってから、愛ブヒにその選択結果を提供しましょう。

 

とはいえ、未来予知が出来る人間はいません。全ての選択がうまくいかなくて当然です。

 

素晴らしいオーナーさんこそ、いつも「この選択でよかっただろうか。次はもっとこうしたら、愛ブヒを笑顔に出来るだろうか」と悩みながら経験と情報を積み重ねて、前進していくことになるでしょう。

 

学びを止めない、進化し続ける素晴らしいオーナーさんたちで、日本中のフレブルを笑顔にしていきましょう。

 

PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の生活を楽しいものにする活動を行っている。

 

 

 

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