2019年8月16日2,580 View

【執着行動…どうしたらいいの?】無理やり取り上げるのは絶対NG!「口に物を入れて離さない愛ブヒ」その心理と対策は

愛ブヒを幸せにできるのも、不幸にしてしまうのも、全部は飼い主の行動しだい。そこで、愛ブヒを本当の意味で幸せにできるオーナーになれる心構えやトレーニング方法を、国際的なドッグトレーナーのライセンス「CPDT-KA」の認定を取得しているドッグトレーナーの大久保羽純さんに学ぶ、この特集。

今回のテーマは、オモチャを口に入れたまま離さない子、オモチャへの執着が強い子に起こりがちなトラブルを防ぐための心構えを教えていただきました。

フレンチブルドッグ,しつけ

愛ブヒが口の中に物を入れてしまうこと、ありませんか?

皆さんのおうちの子は、オモチャをくわえたまま離さなかったり、お散歩で葉っぱやタバコの吸い殻を口に入れてしまって、取り出すことが出来ないことはありませんか? 

 

また、お外でボール遊びをしている他の犬がいると、どうしてもそれが欲しくなって、他のワンちゃんが遊んでいるのにボールを奪い取ってしまう子を見たことはありませんか? 

 

今回は、物を口にくわえるときの愛ブヒの気持ちと、愛ブヒが口に危険な物を入れたときに取り出せるようにするトレーニングについて知っていきましょう。

 

 

「口に入れること=悪い事」ではない。

Kwiatek7/shutterstock

そもそも、ワンちゃんが口に物を入れること自体、良くないことだからやめさせた方がいいんじゃないかしらと思っている方もいます。皆さんはどう思いますか? 物を口に入れるときの犬の気持ちはどんなものでしょうか?

 

そもそも、「ワンちゃんの口」は、「人間の手」と似ています。

 

気になった物があれば、人間は手にとって、その物をよく見ますよね。ワンちゃんはその物を、口にくわえて楽しみます。

 

ワンちゃんにとって、お気に入りの物と認定したなら、そのまま口にくわえて持ち運んだり、噛んだりして、幸せそうに楽しむことでしょう。

 

お散歩の間中、大好きなオモチャを口にくわえたまま、嬉しそうに歩いている子もいます。お気に入りのお人形を、大事そうに抱えて歩く人間の子供のようで可愛いですよね。

 

ですから、口に何か物を入れること自体は決して悪いことではなく、むしろとても犬らしい行動なのです。

 

しかし、ここからが問題です。

 

ワンちゃんたちは、人間の3歳児と同じですから、危険なものかどうかは判断できずに、なんでも口に入れてしまいます。愛ブヒが物を口に入れることは悪くありません。でももしもその物が危険だったときに、オーナーさんが口から離させられるかどうかが問題なのです。

 

口に入った物を取り出せないと、危険がいっぱい

Tienuskin/shutterstock

もし口に入れた物が危険なものだったら… ワンちゃんの命が危険にさらされてしまいます。どんな事故につながるか、知っておきましょう。

 

・誤飲:口に入る大きさなら、飲み込んでしまう可能性が十分あります。年間多くの子が、誤飲によって開腹手術を受けたり、亡くなっています。

 

・中毒:玉ねぎやキシリトール、チョコレートなど、食べたものや量によって中毒が起こることがあります。急いで病院で治療を受ける必要があります。

 

・窒息:物がのどに詰まってしまうことで、命の危険です。

 

・噛みつき:オーナーさんが犬の口に手を入れたり、物を取り返そうと近付くことで、噛まれてしまうことがあります。

 

もしも何かを飲んでしまったり、物をくわえた後に様子がおかしければ、必ず動物病院に連絡をして、指示をもらいましょう。

 

口から物を取られてしまうとき…愛ブヒはどんな気持ち? 

Lee waranyu/shutterstock

すでにお伝えした通り、好きなものを口にくわえたいのがワンちゃん。お気に入りのものならなおさら、ずっと口に入れておきたいことでしょう。

 

しかしワンちゃんは、口に入れていい物か危険な物かなんてわかりません。

オーナーさんは愛ブヒの命を守るために、口の中の物を離させようとしている訳ですが、愛ブヒにはわかりません。

 

愛ブヒからしたらオーナーさんが、大切な宝物を奪い取りに来たようにしか見えません。

 

はじめ数回は、オーナーさんが急に自分の口に手を入れてくることにびっくりして、愛ブヒは口の中のものを離すかもしれません。

 

しかし、だんだんと不信感は募り、「口に手が近づくこと」と「宝物を奪われること」がセットになっていきます。

 

こうして、奪われるくらいなら「飲み込んじゃえ!」「噛んじゃえ!」「絶対口から離さないぞ!」という愛ブヒが増えていくのです。

 

私たちには、大したものに見えなくても(ペットボトルや紙くずなど)、宝物をタダで取り上げてしまうのは、人と犬がフェアではありませんよね。

安全のヒント(1) 口の中に物を入れさせない環境づくり

MPH Photos/shutterstock

口に入れた物を離させるより前に重要なのは、危険なものを口に入れさせない予防! 環境づくりのヒントを知っておきましょう。

 

1.人間の子供さんへの予防と同じで、愛ブヒと暮らす家の中も、愛ブヒの届く所に物を置かないようにしましょう。口に入る物の全てが、誤飲の危険です。

 

2.散歩中、なるべくゴミがあるところを通らないようにしたり、オーナーさんが先にゴミに気付くようにしましょう。

 

お花見の季節など、公園のベンチそばには骨付き肉や焼き鳥の串が落ちていてとても危険。ワンちゃんより先にゴミを見つけて、避けるようにしましょう。

 

3.オモチャ遊び中に、口からオモチャを離すことが苦手な子も多くいます。オモチャの中でも、ボールなどの口の中に納まってしまう大きさの物は、使わないようにしましょう。

 

長めのロープ(例えば、は約1mの長さがあるぬいぐるみ素材の引っ張りっこ遊びオモチャ「エナジーローププラスL」など)を使ったりして、口の中にオモチャが丸々納まらないようにします。さらに、オモチャは出しっぱなしにするのではなく、必ず片付けて誤飲を防ぎましょう。

 

4.他の犬や人が使っているオモチャに興奮してしまう子は、そういうシチュエーションに近付かないようにしましょう。

 

オモチャや食べ物への執着が強い子は、ドッグランなどでも、他の犬との事故になる可能性があります。状況判断を犬任せにしたら、事故が起こって当然です。人間が状況を見て、安全管理をしましょう。

 

いかがでしたか? 人間側が予防をすることで、口の中の物を離させるストレスを避けることが出来ますね。

安全のヒント② もし口に入れちゃったら?! 口から物を出させるその場しのぎの対処法

Irina Kozorog/shutterstock

予防していても、もし口に納まるものをくわえてしまったらどうしましょう。宝物を口の中から出させるわけですから、こちらもそれ相応のご褒美を渡す必要があるでしょう。

 

例えば、ドッグフードを30粒ほど床にばらまいてください。口にくわえているものを出して、フードに向かっていってくれるようなら、取引成立です。

 

この時のポイントは、始めから沢山美味しいものをばらまくこと。オヤツを数ミリサイズに小さく千切ったものを30粒以上だったら、さらにGOOD。

 

一度、ご褒美をケチって数粒で取引しようとして、ダメだからと後からご褒美を増やしても、愛ブヒの物への執着とオーナーさんへの不信感は高まってしまいます。一度目でたくさんの良いものと交換するのがポイントです。

 

ここで何人かの方から、「口から物を離させるためにご褒美なんてあげたら、また今度も口に入れちゃうじゃない」という心配の声も聞こえてきそうです。皆さん、大丈夫です。

 

なぜなら、一度くわえて危なかったものは、人間が学習をして、安全のために片付けてしまえばいいので、次回同じことが起きることはありません。

 

片付けられないもの(外の葉っぱなど)の場合は、なるべく避けるか、その都度ご褒美と交換して下さい。

 

飲み込んでしまう危険に比べたら、口にくわえた葉っぱをご褒美と交換こすることを散歩中の遊びとして楽しむ方が快適です。

 

もしどうしても離さずに、緊急事態の場合は、噛まれてしまうリスクを承知で手を入れて取り上げるしかありませんが、奪い取られた経験によって愛ブヒは将来的に、もっと口から物を出さなくなることは覚えておきましょう

 

それを防ぐために、日頃から練習をしておく必要があるのです。

 

安全のヒント③ 日頃が大事。口から物を出させる練習方法。

Ezzolo/shutterstock

日頃から、口の中の物を出させるために「ちょうだい」の練習をしましょう。

 

愛ブヒがオモチャをくわえたときに、「ちょうだい」と言ってから、愛ブヒの目の前に30粒以上のフードをばらまきます。これを何度か繰り返します。

 

たくさんのフードを使いますから、朝ごはんや夜ごはんを練習に使うと良いでしょう。

 

「ちょうだい」と言われたら、口の中にある物よりも、もっと良い物がもらえるとわかってくると、物への執着よりも、「ちょうだい」の後のご褒美に期待して、くわえていたものをパッと離してくれるようになります。

 

どのトレーニングにも言えることですが、日頃から練習しておくからこそ、本番で使えるものです。

 

日頃、「まあまあ好きな物」でたくさん練習をしてうまくいっているからこそ、散歩などで「結構好きなもの」を口に入れた時にも応用できるのです。

 

ここで1つ皆さんと愛ブヒでお約束です。「ちょうだい」が上手になったからと言って、ご褒美をあげないなんてことは絶対にNGです。

 

私たちも仕事をしたのに給料が払われなかったら、悲しかったり、もう仕事をしなくなりますよね。「ちょうだい」に対しては、必ず報酬を渡しましょう。

 

愛ブヒを裏切ったり、だましたりしてはいけません。

安全のヒント④ もし噛みつく行動があるなら、必ず専門家に相談。

愛ブヒが物に執着して守ろうとする行動が強くなっている場合、オーナーさんを唸ったり、歯を当てることもあるかもしれません。

 

そういった場合はもちろんの事、もし皮膚を傷つけるほどの強さで噛む場合は、必ずドッグトレーナーや獣医さんに相談しましょう。今までの学習の中で、こじれてしまった部分や、変えるべき生活環境があるかもしれません。

 

無理に叱ったり、罰を与えてると、恐怖で一瞬は言う事を聞くかもしれませんが、その代償として、愛ブヒはオーナーさんに不信感を募らせることでしょう。

 

愛ブヒ側に伝えたいのは、人間に宝物を奪い取られるのではなく、人間は自分に得のある取引をしてくれるという安心感

 

自分だけでなんとかしようとせずに、専門家たちの話を聞きながら、安全に気持ちいい生活を作っていきましょう。

 

まとめ

MR.SOMKIAT BOONSING/shutterstock

愛ブヒの宝物を奪いとる権利は、世界中の誰にも、オーナーさんにもありません。奪うのではなく与える、「ご褒美と交換こ」をして、お互いの信頼関係を守りましょう。

 

誤飲して欲しくない、健康で長生きしてほしい、という気持ちは人間側の都合であり、愛ブヒがその親心を理解するのはいささか難しいことでしょう。

 

だからこそ、私たち人間が、予防と対処を知り、日頃から「ちょうだい」の練習をして、私たちの親心を行動として愛ブヒに届けるのです。

 

皆さんと愛ブヒが、これからも気持ち良く快適に過ごせる日々を心から願っています。

 

PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純

SUNNY Dog Training Partner 代表ドッグトレーナー

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の生活を楽しいものにする活動を行っている。

 

 

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