2019年10月21日5,971 View

【アメリカ在住ブヒ】本物の愛とは、こういうこと。たくさんの保護犬・猫と暮らしてきた11歳&13歳 #9ジェリー&ムサシ

10歳を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench BulldogLife。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。

今回は、アメリカに住むレジェンド、11歳のムサシくんと13歳のジェリーくんをご紹介! 病院システムやライフスタイルは日本とまったく異なる国に住む2頭ですが、その年齢に「わあ! すごい」と驚きの声が上がるのは、アメリカも日本と同じようです。

ママさん手作りのクッキーやアメリカならではのサプリなども必見ですよ。

Jerry(ジェリー)くんプロフィール

フレブル

年齢&性別

13歳の男の子

体重

13kg

大好きなこと

とにかく食べること! 食べ物の香りがすると寝ていても起きてくる!

既往歴

8歳の頃、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん。飲食物や唾液が気管に入ってしまい起こる肺炎)を発症。処方してもらった薬ですぐに回復。

 

9歳の頃、耳血種(じけっしゅ。耳が内出血して腫れる病気。外耳炎等で耳に痒みが出て、掻いたり頭を振ったりすることが原因で発症することが多い)に。

 

治療してもらったものの、現在も左耳が前に倒れ気味。周りからは「チャームポイントでかわいい!」との声も。

 

そして今年5月、二度目の肺炎。ずっと旺盛だった食欲が初めてなくなり、薬の副作用で夜中にトイレに行きたがるように。

 

心臓肥大もあって心臓の薬も服用したが、心臓は無事回復。食欲も戻ってきたが、年齢のせいもあり、肺炎の回復には時間がかかっている。

 

同じく9月に去勢と歯周病治療のため手術。年齢や麻酔の不安はあったものの、信頼しているドクターから「全身への悪影響があるため早期の手術を」と勧められ決断。

 

手術の翌日には驚くほど元気になり、決断して良かったと一安心。

 

Musashi(ムサシ)くんプロフィール

フレブル

年齢&性別

11歳の男の子

体重

10kg

大好きなこと

おもちゃで遊ぶこと。気に入ったら壊れるまで遊んじゃう!

 

既往歴

6歳頃、角膜潰瘍(外傷等による角膜組織の欠損。短頭種であるフレブルは目の外傷が多いため注意が必要)を発症し、眼科専門ドクターに治療を受ける。

 

現在でも目に曇りは残っているものの、視力は問題なし。目の下のシワに痒みが出て、擦るときに目を傷つけてしまったようで、それからはシワの間も清潔に保つよう気を付けているそう。

 

今年4月、元気がなくなり、水も飲まず、食欲もなくなって受診。

アジソン病(副腎から分泌されるホルモンが不足し、虚脱等の症状を起こす疾患)の疑いで血液検査したものの確定せず、加齢の影響という可能性もあるため治療は見送ることに。

 

同じく8月、前庭疾患(平衡感覚を司る前庭神経に異常をきたす疾患。原因不明の場合が多く予防法もないが、症状は自然に消えることが多い)の症状が出たため、去勢と歯周病の相談も併せて受診。

 

ステロイドを投薬したところ、3日程度で水を自分で飲めるようになり、食欲も回復。

 

去勢と歯周病の手術は9月に行なったが、その数日前から再び前庭疾患の症状が出て食欲が減退し、現在はスプーンで食べさせている。

 

2頭プラスワン! との出会い

フレブル

 

遠くアメリカで暮らす仲良しBUHI、ムサシ&ジェリー。11歳に13歳と揃って長生きですが、2頭ともいくつも病気を乗り越えてここまでやって来ました。

 

オーナーのMayumiさんは、2頭だけでなく、シェルターから迎え入れた犬や猫にも愛情を注ぎ、飼い主として動物たちと真摯に向き合って暮らしています。

 

そんなMayumiさんから、長生きの秘訣や、日米のペット環境の違い、そしてオーナーとしての願いなど、とても興味深いお話を伺いました。

フレブル

 

「ジェリーとの出会いは3歳の頃でした。この子は元々主人と一緒に暮らしていたのですが、いつかフレブルを家族に、と思っていた私には、運命の出会いでした。

 

ムサシが家族になったのはその少し後。主人がハンガリーのブリーダーから譲り受け、犬用パスポートを持って日本にやって来たんですよ。

 

合流初日はジェリーがムサシを女の子と勘違いしたこともあり、大興奮で大変でした(笑)。

 

この子たちはすぐに仲良しになり、その後に来たブリュッセルグリフォンのチューイともすぐに仲良くなってくれました」

 

日本で3頭のチームが結成された後、家族みんなでアメリカへ移住することになります。

 

BUHI in the USA!

ジェリーくんが5歳、ムサシくんは3歳の頃、ご主人の仕事でアメリカにお引っ越し。

 

チューイくんも含めみんな短頭種なので飛行機がとても不安だったそうですが(短頭種は高温多湿に弱く、呼吸困難や熱中症になるリスクがある)、無事みんな元気にアメリカの地へと降り立ちました。

 

「それ以上飛行機には乗せたくなかったので、3~4日掛けて車で移動しました。アメリカは多くのホテルがペットOKなので、みんな一緒にホテルで寝ることができ本当に助かりました」

フレブル

 

アメリカはホテル以外でもペットフレンドリーなお店が多いようで、ホームセンター等だけでなく、雑貨やアパレル、食品スーパーでもOKなところがあるそうです。

 

さらに、ファストフード店では犬用のビスケットやクッキー、クリーム等をくれるところも多いとか。

 

日本でも、アメリカのスタバには犬用の裏メニュー「Puppuccino(パプチーノ)」(ホイップクリームのみでコーヒーは入っていない)があるらしい、と話題になりましたよね(過去記事「フレブルにも人気!スタバの犬用裏メニュー「パプチーノ」はやみつきになる美味しさ」参照)。

フレブル

 

それからもう一つ、ペット大国としてはちょっと残念なことも。

 

アメリカでは無料のウンチバッグが設置されているところがあるそうですが、その周囲にはバッグを使わずそのまま放置されたウンチがちらほら…。

 

動物病院や一般の家の前庭にも放置されるらしく、Mayumiさん宅も被害に遭ってしまいました。

dogs

 

「ウンチをするのはいいとしても、そのまま放置されるのは悩みでした。苦労して芝を刈っているのは君たちのウンチ用じゃなく、うちのわんこのためなのにー! と憤慨してました(笑)。

 

そこで、『please clean up after your pet!(ペットの糞の後始末をしてください!)』というサインを数カ所に立てたところ、今では誰も放置しなくなりました」

 

アメリカでの動物病院選び

フレブル

術後なふたり。

 

「引っ越しをするとなったら、私たちはまずどこの動物病院が良いか調べ始めます。webのレビューを参考にして決めているのですが、今の病院はここに越してから2院目なんです。

 

当時飼っていた猫の“たま”の悪性腫瘍が4カ月おきくらいに再発する状態で、その手術ができるかどうかを重視して選びました。

 

最初の病院での2度目の手術後、ドクターが、ストレスでケージから出ようとしない“たま”をうまく扱えなかったことに怒り出し、何とその日の診療をすべてキャンセルして帰ってしまいました。

 

私のせいで他の患者さんたちにも迷惑が…と落ち込みましたが、よく考えたら動物病院のドクターなので、それくらい対応してほしいですよね。

 

後日、ドクターは謝ってくれましたが、抜糸が済んだら病院を替えました(笑)」

 

Oh, Doctor...日本の獣医さんは穏やかで落ち着いたイメージがありますが、どこの国でもこんなに気性の激しい方は獣医さんに向いてませんよね。

 

今のドクターは信頼できる方だそうで、転院して大正解だったと思います!

フレブル

 

ちなみに、医療費については病院によって違うとのこと。これは日本と同じですね。

 

また、地元のドクターが交替で診てくれる救急病院があるものの、診てもらうだけで今の州は125ドル、以前住んでいた州は85ドル必要だったそうで、その金額でも大丈夫か最初に聞かれるそうです。

 

日本でも病院や獣医師会等で夜間救急対応をしているところがありますが、診察と簡単な処置で数万円程度は掛かるようです。

 

もしもの備えとして、対応してくれる最寄りの病院と治療費は確認しておきたいですね。

 

こんなもの食べてきました

フード

 

レジェンド2頭の体を作ってきた食事は、いったいどんなものでしょうか。

 

「メインは『Merrick Grain Free』のドライフードとソフトフードでした。飽きが来ないように、ドライフードは毎月、ソフトフードは毎日変えていました。

 

ナチュラルなものを使っているお店の犬用お菓子なども試しましたが、何度か下痢をしたので止めました。

 

その代わりに、家で犬用クッキーを焼いたり、

犬用クッキー

犬用手作りクッキー

 

フレブルとクッキー

フレブルとクッキー

 

Electric Food Dehydrator(食品乾燥機)で野菜やチキンなどを乾燥させて、ジャーキーを作ってあげたりしていました。

手作りジャーキー

 

シニアになって、『Wellness Core Grain Free』のシニア用ドライフードに変えました。

 

最近は歯の手術をしたこともあり、ドライフードに水を加え柔らかくしてから、ミキサーにかけて細かくし、その上にソフトフードをトッピングしています。

ドライフード

 

手術をしてくれたドクターは、今までどおり何でも食べられると言ってくれたのですが、2頭とも何となく食べにくそうにしてたので。

 

特にムサシは元々少しずつ時間をかけて食べるタイプだったのですが、今は粒があるとペッと上手に出して残してしまいます。

 

それに水もあまり飲まないので、水分が取れるようにと考えました。

フード

ミキサーにかけて細かく柔らかく。

 

また、サプリメントとして『Pet Hemp Oil』(ヘンプオイル。麻の種や茎から採れる油)のピーナツバター味を与えています。栄養素と必須脂肪酸が豊富で、Omega-3、Omega-6が入っていて関節炎等にも効くそうです。

サプリ

 

それから老犬に良いという魚のオイルDHA&EPAが入ったサプリも混ぜています。認知症予防や免疫力を高めるなどの効果があるそうです」

 

こんなことに気を付けてます

フレブル

 

「ジェリーもムサシも、空腹時間が長くなると胃液を吐くことがありました。

 

ですので、できるだけ空腹時間が短くなるよう、朝食は4時(ジェリーさんが早起きなので!)、昼食は11時、夕食は16時、夜食を19時半頃に分けたところ、吐くことはなくなりました。

 

食事以外では、暑さ寒さ対策ですね。アメリカの夏はすごく暑いので、クーラーは必須です。

日中のお散歩も様子を見ながら、最近は前庭の芝生か裏庭でお散歩する程度です。

 

冬は、洋服を着せたりして寒くないようにしています。よく主人のお古のTシャツをリメイクして作ったりしてました」

フレブル服

ママさんの手作りお洋服コレクション。パパの服から3着は作れるんだそう!

 

フレブル

寒い日は着るに限る。ママのお洋服からコート2着が出来上がり!

 

食事やサプリに気を使い、4時起きと日に4度の食事の世話、そして手作り服まで。

忙しい日常では本当に大変だと思います。

 

ですが、Mayumiさんの頑張りや愛情は2頭だけに留まりません。

 

本当の家族たち

猫とフレブル

 

「アメリカに越して少ししてから、8歳の黒猫・KTを迎え入れました。KTは猫が苦手で犬が好きな猫ということもあり、みんなすぐに仲良くなりました(他界して現在はいません)。

 

それからドクターを怒らせた(笑)“たま”は、ボランティアグループからの受け入れです。

 

家族になってすぐ、ほぼ完治しない軟部組織肉腫(複数の腫瘍を指す総称。浸潤性が高く、再発することが多い)という悪性腫瘍を患い、他界するまで8回の手術を受けました(今年6月に他界)。

 

その後、シェルターからジーノという中~大型犬を迎え入れました。

 

ジーノは少し悲しい過去があり、他の犬猫とも人間とも慣れるまでちょっと時間がかかりましたが、慣れてからはみんな一緒に芝生の上を駆け回ったり、楽しい日々を送りました(他界して現在はいません)。

dogs

いちばん右がジーノ。

 

ジーノは歯が抜けてしまったくらいの年齢でウチに来たのですが、シェルターでも仔犬仔猫は貰い手が付きやすく、老犬老猫は貰い手が見つかりにくいようで、高齢だったジーノは貰い手がなく、処分リストに入っていたんです。

 

写真を見てすぐ連絡した私に、シェルターの方が“1頭を救うことが2頭を救うことになる”と言われました。

ジーノを引き取れば、その分シェルターに空きが出るので、新しい子を入れられるという意味でした。

 

最近は特に強く思うのですが、やっぱりかわいいからというだけで動物を飼っちゃいけないんです!

 

シェルターに足を運ぶと、本当に多くの犬、猫が家族を失い、新しい家族が見つかるのを待ち続けています。

自分の都合で大事な家族を手放す、こんな悲しいことはないと思います。

 

命が人間より短い分、一生懸命、楽しい時間を一緒に過ごしてほしいです」

 

Mayumiさんやご主人だけでなく、先住犬や猫たちも、新しい家族をいつも温かく迎え入れてくれました。

 

Mayumiさんはそのことに感謝しつつ、現在はまた日本から来た“チーム3頭”と、一生懸命で楽しい時間を過ごしています。

 

長寿、元気の秘訣は?

フレブル

 

「やっぱり、芝生での遊びや散歩! でしょうか。アメリカに来てから何度か引っ越しましたが、この子たちのために裏庭と芝生がある家は譲れません

 

夏前から秋まで週に一度の芝刈りは大変ですが、“この子たちのためだ!”とママはがんばっています(笑)。お天気のいい日は芝生がとても気持ちいいようで、ジェリーはよくゴロゴロしてますよ。

フレブル

 

それから、いつもできるだけ一緒にいてあげるようにしています。ペットホテルとかシッターさんに預けるのが何となく不安で、心配性と言いますか(笑)。

 

出掛けて帰りが遅くなると、大丈夫かな? 夕食時間に間に合わないから怒ってるかな? と夫婦で心配性に(笑)。いっぱい一緒の時間を過ごして、毎日幸せを感じさせてあげたいです。

 

近頃は、やっぱり年を取ったなと感じることもあり、どうサポートしてあげれば良いのか、身体に良いものは何かなど、よく考えたり探したりしています。

 

ジェリーが13歳になり、他のオーナーさんから“わあ! すごい!”と言われるようになりましたが(笑)、これからもその言葉を聞けるように元気に過ごしていきたいです」

フレブル

 

ムサシ&ジェリーだけでなく、たくさんの犬と猫を家族として迎え入れ、温かい幸せで包み、そして見送ってきたMayumiさんとご主人。

 

本当に大変なオーナーライフだったと思いますが、それを楽しい思い出として教えてくれたMayumiさんに驚かされました。

 

でも、「責任を持って動物と向き合う」「家族になる」という、よく耳にする言葉は、体現すればこうなるんですよね。

 

誰もがMayumiさんのようにはなれませんが、少なくとも「動物を不幸にする飼い主にだけはならない」と思う方が一人でも増えてくれたら、Mayumiさんも、天国のKT、たま、ジーノたちも、きっと喜んでくれると思います。

 

取材・文/橋本文平(メイドイン編集舎)

 

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