【取材】極度の偏食家でも14歳まで大病なし!健康を支えるのは愛情マシマシな手作りごはん #13 類
10歳を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench Bulldog Life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。
今回は、シニア期に入ってからも片道1時間かけて隣町の浅草まで散歩するという元気な『類(るい)くん』。14歳とは思えないほど毛艶がよく、歯もピカピカの美魔男です。
類くんプロフィール
年齢&性別
14歳の男の子
体重
12.4kg
大好きなこと
おやつをもらうこと、なでてもらうこと、お散歩
既往歴
1歳で軽いアレルギーと診断されるも食事を見直すことで改善。
10歳の健康診断で白内障が始まっていると言われ、12歳の健康診断で軽い胆泥症と判明。
さらに13歳の健康診断で膀胱に小さな結石が見つかる。
いずれも重症ではないため、サプリメントと定期的なエコー検査で経過観察中。
清水家の箱入り息子
東京の下町で暮らす清水さんご夫妻の“ひとり息子”類くんは、たっぷりの愛情をうけてすくすくと育ちました。
むかしから犬好きだったという奥様の千香子さんですが、実は、人生で初めて飼った犬が類くんなんだそう。
「ずっと一緒に暮らしていた父が自宅で商売をしていたため、毛が抜ける動物は絶対に飼うことができなくて、諦めるほかなかったんです。
父が亡くなってからしばらくして、家を建て直すタイミングで犬を家族として迎えることにしました」(千香子さん※以下「」同)
念願の犬を飼うと決めてから、ご夫婦で方々へ出かけてたくさんの犬を見て回ったそう。
なかなか「この子だ!」と思える犬に出会えず時間は過ぎるばかりでしたが、ひょんなことから運命の出会いを果たします。
「近所にあるペットショップのホームページに子犬の動画がアップされていて、なんとなく見てみたら、やる気のなさそうな子犬が寝ていたんですよね。そのふざけた姿に一目惚れしてすぐに迎えに行きました」
類くんを家族として迎え入れてから千香子さんは、しつけ本を読んだりご近所の先輩フレブルオーナーさんに相談したりして、猛勉強したそう。
「しばらくは『育犬ノイローゼ』のような状態でしたね。他の子はみんな食べるのに、なんで類は食べないの! と……」
そう、類くんはとても偏食だったのです。
空腹でも食べたくないものは食べない
類くんは、一緒に横を歩いてくれるお友達とは仲良くできるけど、ちょっかいを出されるのは苦手という超マイペースさん。
食にもあまり興味がなく、好きではないものを目の前に置かれるとおなかが空いていても逃げ出してしまうんだとか。
そのせいでパピーの頃は大変苦労したそう。
「うちに来る前に食べていたものと同じものを与えてもちゃんと食べてくれず、私が手で無理やり食べさせていました。
その後、いろいろなフードを試してみるもどれもダメ……。
ご近所のフレブルオーナーさんからのアドバイスで、フードの上にお肉をトッピングしてみたら、トッピングだけ食べて他は残したんですよ(笑)」
こうして類くんのごはんは100%手作り食に。
お料理上手な千香子さんの作る類くんのごはんは、人間用といっても遜色ないほどどれも美味しそうです。
「1歳までは朝ごはんも与えていたのですが、すぐに食べなくなりました。
当時、日中は私の母と類でお留守番することが多かったんですけど、どうも15時くらいになると2人でおやつを食べていたようで…。
それが楽しみで朝ごはんを食べなかったのかもしれません(笑)」
そんなこともあり、2歳前から夜ごはんだけにして、一食の量を若干増やしているそう。
その代わり、おやつは市販のものから、手作りジャーキーやヨーグルトを使った手作りチーズケーキなど、類くんの好きなものを準備しているといいます。
この日も、取材中に千香子さんから大好きなイワシのおやつをもらい、バリバリといい音を立てながら食べていた類くんですが、魚の頭は嫌いなようで、尾頭つきだと器用に頭だけ吐き出してしまうのだとか。
「気づくと、部屋中のいたるところにイワシの頭が落ちているんですよ(笑)」
手作り食で健康を管理
若い頃の食事は、体重が落ちないようにすることが最優先だったため、類くんの大好物であるお肉中心のメニューでしたが、シニア期に入ってその内容に少し変化が出てきたそう。
「食べ物によって若干おなかがゆくなることがあるので、ひき肉に食物繊維が豊富なおからをまぜて、ハンバーグのようにして与えることがあります。
あとは骨密度なども心配なので、ヨーグルトや魚でカルシウムを意識して摂らせるようにしていますね」
実は手作り食を続けたことで、アレルギーや膀胱結石が見つかったときも利点があったそう。
アレルギー検査を経験したことのある方ならわかると思いますが、わずかでも陽性と診断された食品は避けたくなるもの。
特に類くんは、食べたくないものには見向きもしない超グルメさんなので、食べられない物が増えすぎると困ってしまう可能性があります。
「病院の先生から、手作り食ならアレルギー検査をせず、品目を抜いていくことで何に反応しているか調べてみてはどうかと提案され、一品目ずつ順番に試すことにしました」
結果、類くんは鶏とレバーを排除することで食品アレルギーの症状を抑えられることが判明。
現在もその他の食品のアレルギーは出ていないそうです。
「小さな膀胱結石が見つかったときも、手作りしているなら療養食にせず、サプリメントだけで様子を見ようということになりました」
そんなわけで、経過観察中の今もさまざまな物が食べられるそうなのです。
誕生日やクリスマスなどイベント時にはスペシャルディナーを楽しむなど、おいしいものを食べながら健康も管理してもらえるなんて、類くんが羨ましいです。
類くんのおかげでパパもママもハッピー
今回、ご自宅に伺ってすぐに、類くんに配慮した住環境であることがわかりました。
例えば、足腰を労りながら大好きなフローリングも楽しめるように配置されたラグや、リビングのどこにいてもすぐに辿り着けるよう、部屋の真ん中に置かれたトイレや水飲み場など。
自宅は類くんにとって、どこにいても居心地がいい場所であることは間違いなさそうです。
また、ご自宅には、類くんの写真やパイドのフレブルグッズがたくさん並んでおり、清水さんご夫妻にとって類くんがひとり息子のような存在だということがひしひしと伝わってきました。
「何をするにしてもどこへ行くにしても類中心で、夫婦の会話はほぼ類のことです。類という共通のものを可愛がることで、夫婦の結びつきが強くなりました」
そうおっしゃるように、千香子さんもご主人も類くんの世話をとても楽しんでいます。
やれることはすべて自分でやりたいと感じた千香子さんは、類くんの服を作るために、ロックミシンを購入してニットソーイングの教室にも通ったそう。
「伸び縮みする服を作りたかったんです。他にも、可愛い布を見つけたら類の服にしたり、私の服を作った余り生地でお揃いの服を作ったり……」
類くんの分だけで戸棚が全て埋まってしまうほどたくさんの服を作成したそうで、取材日も双子コーデを披露してくれました。
また、類くんのInstagramアカウント(@chikarui.rui05)を開設したり、布地に類くんの写真をプリントしてバッグを作ったり、“木彫りすとサトウツトム”さん(Instagramアカウント @kiborist)の教室で類くんの木彫り人形を作ったり。
千香子さんの愛は留まることを知りません!
「言い方は変だけど、この子が来たことでやりたいことが増え、生活が充実しました。主人も『類のためなら仕方がない』と全面的にバックアップしてくれるのでとても助かっています」
取材中、類くんを抱きながら千香子さんの話を聞いて静かに頷いていたご主人ですが、毎日仕事へ向かう時には「ママと類のご飯代を稼ぎに行ってくるよ」と嬉しそうに出かけて行くそう。
明るく社交的なママとちょっとシャイで優しいパパから愛されることで、類くんものびのびと暮らせているのかもしれません。
毎日のスキンシップが大切
これまで類くんは、麻酔を必要とするような大きな手術や検査を一度も受けたことがありません。
それは、類くんが健康トラブルの少ない子であったことに加え、毎日のスキンシップや観察のおかげかもしれないと千香子さんは語ります。
「日常的に触れ合っていると、歩き方がいつもと違うとかイボのようなものができているとか、ちょっとした変化にも気づきやすい。
おかしいと感じたらすぐに獣医さんなどに相談するようにしています」
何事も早期発見・早期治療が大切。
以前はやや遠い動物病院にお世話になっていたそうですが、ご主人しか車を運転できないため、何かあったときに千香子さん1人でもすぐに連れて行けるよう、徒歩圏内の病院に変えたそう。
どんなに元気な子でも、歳を重ねればそれなりに衰えは出てくるもの。
自ら不調を訴えられない愛犬の代わりに、飼い主が体の変化を見逃さないようにすることが大切です。
ストレスのない暮らし
「最近は、インターホンが鳴っても知らん顔したりして『あれ? こんなことにも気づかないの?』と思うこともあるんですけど、どこか遠くで鳴っている珍しい音には反応するんですよ」
電子レンジで何かを温めているとクンクンし出したり、白内障でほとんど見えないはずなのに、パパやママが手を出すと“お手”をしたり。
目や耳が悪くなっても、自分にとって都合の良いものはちゃんと気づくというから、なんとも類くんらしいですよね。
「見たいものを見る、聞きたいものを聞く、食べたいものを食べる。98歳になるうちの母と同じで、自分のしたいことをして楽しく暮らすことが長生きの秘訣かなと思います」
体力や性格によって個体差はあるかもしれませんが、犬だって歳を重ねたら穏やかに過ごしたいもの。
清水さんご夫妻のように、愛犬をストレスの少ない環境でのびのびと生活させてあげるよう、飼い主として努めなければならないと、いちフレブルオーナーである筆者も強く感じました。
取材・文/栗原羽衣子
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