2020年3月24日4,289 View

【カフェでワンワン!】お出かけを楽しむために…「要求吠え」の予防と対策【愛ブヒの本音を知ろう】

愛ブヒを本当の意味で幸せにするには、オーナーが犬にとって頼れるリーダーになることが何より大切です。
そこで、国際的なドッグトレーナーのライセンスを取得している大久保羽純さんに、“愛ブヒから信頼されるリーダーになる方法”を学ぶこの特集。

今回は、カフェなど外出先での“要求吠え”について。

なぜ吠えるのか、どうすれば吠えないでいられるか。ブヒの心に寄り添い、その予防と対策を学びます。

フレンチブルドッグ,しつけ

あなたの愛ブヒは、要求吠えをしますか? 

フレブル

DuxX/shutterstock

 

あなたの愛ブヒは、カフェや出先で「要求吠え」をしますか? 

 

例えば、レストランでブヒ友たちとお食事をしているときに、ワンワン言い始める。

 

カフェにいるときに、抱っこをせがんだり、食べ物を欲しがったりしてキュンキュン鳴く…。

 

可愛い愛ブヒとは言え、こんな風に大声で吠えたり鳴いたりしてしまうと、周囲の人の迷惑になってしまいます。

 

しかし、要求吠えに応じてしまうと、「吠えたら要求を聞いてもらえる」と学習し、際限なく吠えてしまうことに。

 

けれど、応じないと吠え続けてしまう… 。

 

この負のループ、どうしたらいいのか迷いますよね。

 

今回のコラムでは、ブヒたちが“要求吠え”をするときにどんなキモチなのか、そして、要求吠えの悪循環を断ち切るヒントを手に入れましょう。

 

要求吠えを、人間に当てはめて考えてみよう

フレブル

Innaponomareva21/shutterstock

 

要求吠えについて考えるときに、ブヒではなく、人間の3歳児で想像してみましょう。

 

あなたは今、カフェにいます。隣のテーブルには親子とママ友たちが集まっています。

 

あら、始めの30分間は落ち着いていた3歳児がぐずり始めました。

 

「ねえママ~。飽きた! なんか食べたい! 遊んでー!」と袖を引っ張っています。

 

でも親は、ママ友とのお話に夢中。3歳児は無視され続けています。

 

3歳児は親に気付いてもらえないので、ついに大声で泣き始めました! 

 

親はここで初めて我が子の欲求に気付き、周囲の目を気にしながら、子供をあやしました。

 

どうですか? 3歳児は、最初は泣かずに、親に欲求を伝えていましたよね。

 

しかし、伝わりませんでした。

 

その結果、3歳児は「大声で泣けば意思が伝わること」を学習しました

 

翌月、その親は、前回の反省を活かした“予防”も“対策”をせずに、カフェに行きました。

 

その結果、この3歳児はまたカフェで大泣きすることになりました…。

 

いかがでしたか? 人間の3歳児がカフェで要求騒ぎをする流れと、ブヒが要求吠えにいたる流れは、とても似ていますね。

 

ワンちゃんは人間の3歳児くらいだと言われています。

 

自分の要求を通したい気持ちは、子供もワンちゃんも大人にもあります。

 

すべての生き物は、自分の要求を通すために効果的な手段を探し続けているのです。

 

要求吠えは、いろいろな“要求の表現”の中のひとつ

フレブル

Maksimilian/shutterstock

 

全ての生き物は、自分の要求を通すために、効果的な手段を使うと説明しましたね。

 

では、愛ブヒの“要求○○”を考えてみましょう。

 

吠える以外にも、“要求○○”をいろいろやってくれていませんか?

 

例えば、

・要求見つめる:物欲しげに、可愛い目でじ~っと見つめてアピール。

・要求オスワリ:「ほら、良い子でお座りしているよ!」とアピール。

・要求つんつん:鼻先でオーナーさんの手や足をツンツンしてアピール

 

ここに書ききれないほど、あなたの愛ブヒも“要求○○”のテクニックを駆使して、あなたを魅了しているはずです。

 

食べ物が欲しい、遊んで欲しい、抱っこして欲しい。

 

いろいろな欲求を叶えるために、ブヒ側も必死で“要求○○”を考えているのです。

 

愛ブヒに、「要求吠え」が一番効果的だと思わせてしまった(泣)

フレブル

Peetimus/shutterstock

 

上記3つのような“要求○○”であれば、他人の迷惑になりづらいでしょう。

 

例えば、もし愛ブヒが“要求見つめる”をやっているときに、あなたが素早く要求見つめるに応じていたら、カフェでは吠えずに、“カフェで要求見つめる連発ブヒ”になっていたかもしれません。

 

しかしカフェで、特に、他のお友達と一緒にいるとき、いつもなら気付ける愛ブヒの「要求見つめる」を無視してしまったらどうでしょう? 

 

愛ブヒは考えます。

 

「気づいてもらうために、どうしたらいいかな? 試しに吠えてみよう!」と。

 

で、吠えてみたらオーナーさんの注意が引けたので、それを繰り返すようになるのです。

 

「要求吠え」は周囲の迷惑になるから、私たちはこれを厄介だと感じます。

 

そして、やめて欲しいからこそ私たちは要求吠えに対して、つい行動してしまうのです。

 

人間は、ブヒの手の平の上で転がされていますね。

 

問題は、愛ブヒに“オーナーさんを動かすのに要求吠えが一番効果的だ”と思わせてしまうことなのです。

 

要求自体は仕方がなくても、その表現方法を“吠え”以外にしてもらうために、要求吠えへの“予防”と“対策”を考えていきましょう。

 

ブヒをカフェに招待する前に。やっておきたい「予防策」編

フレブル

Valeriya Anufriyeva/shutterstock

 

要求吠えをさせないで済むように、事前に済ませられる要求は済ませてから、愛ブヒをカフェに招待しましょう。

 

要求吠えの予防策の例を紹介します。

 

<とにかく元気! まったりできない「ハッスルブヒ」タイプ> 

若さだけでなく体力があるタイプの子ならば、カフェでも動きたくなって当然です。

 

他の子より愛ブヒが元気ならば、通常の2、3倍の散歩をしてからカフェに行きましょう。

 

疲れ切っていれば、カフェでの要求も「遊びたい」ではなく、「寝たい」になるでしょう。

 

<みんなトモダチ!「遊びたくて大興奮ブヒ」タイプ> 

他ワンちゃんや人と出会うと、嬉しくて大騒ぎをしたくなるブヒが、いきなりカフェに入って静かにするのは難しいでしょう。

 

予防策は、お友達たちと外で集合して、お散歩や、遊んでから、カフェに入ると良いでしょう。大騒ぎはお外で済まそうね作戦です。

 

<食べ物大好き。「ちょうだい要求吠えブヒ」タイプ>

フレンチブルドッグ

ewelina thepphaboot/shutterstock

 

カフェで「吠えても食べ物をもらえない」と教えたくても、すでに「吠えたら食べ物が出て来る」と覚えてしまったブヒも多いでしょう。

 

こういった子たちは、家での自主練が必要です。

 

まずやることは、家でバギーやクレートの中に入る練習をして、その中で知育オモチャ(食べ物を中に入れるオモチャ)を食べる練習をします。

 

1つではなく、同時に3個以上の知育オモチャを与えます。

 

終わりそうになってきたら、知育オモチャを回収せずに、新たな知育オモチャを与えていきます。

 

テーブルの上の物をもらうのではなく、“愛ブヒのスペースで、愛ブヒの食べ物を、愛ブヒ自身で獲得する経験”を繰り返します。

 

人に吠えて食べ物をもらうのではなく、自分で知育オモチャから取り出せばいいのです。

 

ちなみに知育オモチャは6~9個くらいは無いと、すぐに終わってしまいます。

 

しかし、その知育オモチャが難し過ぎたら吠えてしまいますから、オーナーさんが愛ブヒに合ったレベルで知育オモチャを提供することと、繰り返しの練習が大切です。

 

家で出来るようになったら、たくさんの知育オモチャを持ってカフェに行きましょう。 

 

ただし、食べ物を守って攻撃をするブヒの場合は、知育オモチャを与えるときや回収時に注意が必要です。

 

必ず専門家に相談をしてから練習をしましょう。

 

いかがでしたか? 愛ブヒの要求自体を、少しでも減られるように、事前に出来る予防策をお家ごとに考えてみてくださいね。

 

ブヒをカフェに招待した後に。吠えたときの「対策」編

フレブル

DuxX/shutterstock

 

予防したとはいえ、その時々で愛ブヒの要求は生まれて来ることでしょう。

 

その時々での対策も考えておきましょう。

 

<ぼく飽きちゃう。「リフレッシュ希望ブヒ」タイプ> 

そもそも、犬の生きる速度は、人の5~7倍くらいと言われています。

 

人間にとって、1時間のカフェが犬には5時間以上に感じるかもしれません。暇になって当然。

 

私が生徒さんたちとカフェに行くときにも、ビギナーブヒはカフェ滞在時間15分程度毎ベテランなら1時間強毎に、カフェを出てお散歩をします

 

お散歩といっても、その時間は5~15分程度で、散歩をしたらまたカフェに戻ります。

 

ずっと同じ場所にいたら、暇になるブヒの気分転換です。

 

愛ブヒがぐずり始める前に、こまめに散歩に出て、愛ブヒの欲求が溜まらないようにしましょう。

 

<まったりなんてイヤ!「まだ長時間は無理ブヒ」タイプ> 

例えば、シニアブヒや、あまり体力がないブヒであれば、まったりカフェで過ごしてくれるかもしれません。

 

(私たちは事情を知らずに、そういう子を見て、「うちの子もそうなったらいいのに~」と願ってしまうわけですが)、愛ブヒがまだカフェで30分以内しか持たないようであれば、その時間だけ楽しんで帰るようにしましょう。

 

“カフェ=暴れるところ”ではなく、“カフェ=落ち着く所”と言う経験が重なっていけば、少しずつ時間は伸びてくるはずです。

 

嫌な思いをさせる前に、短時間からコツコツと練習していきましょう。

フレブル

DEALORY/shutterstock

 

<期待しちゃう!「カフェっていつご飯がもらえるかわからないブヒ」タイプ> 

私が海外にいたとき、海外ではワンちゃんはカフェで食べ物をもらっていませんでした。

 

ワンちゃんは椅子ではなく、オーナーさんの足元でゆったりくつろいでいるわけです。

 

日本のカフェでは、ドッグメニューが出てきたり、ちょこちょこオヤツを与えられたり、テーブルのすぐそばのソファに座っていて、帰国してからとても驚きました。

 

この環境では、ワンちゃんたちにとっていつ食べ物をもらえるのか予測できず、ずっと期待させてしまうことで要求吠えが起こりやすいからです。

 

その文化が悪いと言いたいのではなく、ワンちゃんに対して難しいことをやろうとしているなあと言うのが正直な気持ちです。

 

食べ物への欲求が強くないワンちゃんであれば、大人しく出来るかもしれません。

 

しかし、食べ物が大好きなワンちゃんの場合、ずっと「食べ物くれ! 食べ物くれ! いつくれるんだ!?」と人間に対して食べ物を期待させてしまう可能性もあります。

 

それだと気の毒ですから、そういうブヒの場合は、予防策で紹介した「ちょうだい要求吠えブヒ」を参考にしてみて下さい。

 

<この席落ち着かないよ。「座席重要ブヒ」タイプ>

他のワンちゃんとの距離や、店員さんの動線の関係で、その子が座っている席だと落ち着けないブヒもいます。

 

人間でも、店の奥の方が好きとか、好みがありますよね。

 

愛ブヒの居心地がいいように、席をアレンジすることもオーナーさんのおもてなしテクニックですよ。

 

あくまでこれらは対策の一例ですから、あなたと、愛ブヒの個性に合わせて、いろいろな作戦を練ってみてくださいね。

 

それでも要求吠えしちゃったら? 

フレブル

Zalene/shutterstock

 

予防もした、対策もした。それでも、要求吠えが出てしまった…。

 

そんなこともあるはずです。なぜなら、愛ブヒもあなたも、100%同じ環境で暮らしているわけではありませんから、毎回同じ対策で大丈夫なことばかりではありません。

 

ブヒとの生活は、トライアル&エラー! 

 

やってみて、失敗と成功を繰り返しながら進んでいくものです。

 

諦めずに情報を集めて、経験を重ねて、研究を続けていけば、光は見えてくるはずです。

 

その過程で、愛ブヒのキモチがどんどんわかるようになってきますから、大変ですが、楽しいものです。

 

また、困った時には気軽にドッグトレーナーにも相談してみてくださいね。

 

そのために専門家はいるのです。

 

私もドッグトレーナーですが、自分でわからないことがあれば、信頼できる他のドッグトレーナーに相談していますよ。

 

こんなときは専門科に相談

フレブル

StopperOhana/shutterstock

 

要求吠えと一言で言っても、その要求の内容については愛ブヒ自身しかわかりません。

 

「オヤツちょうだい!」の要求吠えだと思って聞き流していたら、お腹に寄生虫がいて、食べても食べてもお腹がすく状況だったブヒもいます。

 

抱っこをせがむ要求吠えのブヒが、関節に大きな炎症を起こしていたこともあります。

 

オーナーさんが、常に、愛ブヒのココロとカラダに耳を傾けなければ、世界中のほかの誰も愛ブヒのキモチを拾い上げることは出来ません。

 

たかが要求吠えと聞き流さずに、異変を感じたらすぐに動物病院やドッグトレーナーに相談しましょう。

 

もし要求吠えで困っていて、ドッグトレーナーに依頼をする場合、そのトレーナーが行動修正の豊富な経験を持っているか、科学的知識をもって、動物福祉と動物への倫理に基づいた指導を安全に行える人かどうか、オーナーさんが見極めて依頼をするようにしましょう。

 

まとめ

フレブル

Heitor Delpupo/shutterstock

 

たくさんの要求を持ったブヒたちが、その気持ちを私たちに伝える方法のひとつとして、要求吠えがあります。

 

とはいえ、公共の場所での要求吠えは、社会の迷惑。続けさせるわけにはいきません。

 

一方的に要求吠えを無視したり、叱ったりする前に、その要求の満たし方や、満たせない場合は違う作戦を考えて、家族全員がハッピーでいられる方法を考えていきましょう。

 

愛ブヒをもっと理解したい、心を通じ合わせたいと願う、愛情にあふれたオーナーの皆さんを、心から応援しています。

 

PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純

PERRO株式会社 代表取締役 
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。

 

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