【取材】沢山の病気と闘いながら15歳半!長寿のカギは「爪切り」と「筋肉貯金」 #19 ベルガ
10歳を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench Bulldog Life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。
今回は、15歳6カ月のベルガちゃん。じつは4歳のころから数々の病気と闘ってきた、不屈の女の子なんです!
目次
ベルガちゃんのプロフィール
年齢&性別
15歳の女の子
体重
7.5kg
大好きなこと
お気に入りのカフェに行くこと。
既往歴
4歳で若年性白内障を発症。ぶどう膜炎、結膜炎、角膜を傷つけるなど目のトラブルが続き、5歳のときに左目だけ白内障の手術。
8歳のときに、結節性筋膜炎で後ろ足の腫瘤を摘出。
緑内障により10歳で両目とも失明。
同じく10歳で膀胱にポリープを発見。
13歳11カ月で、片耳の耳道にできたポリープの手術。
14歳で前庭疾患。
4歳から目のトラブルが連続
ベルガちゃんは、2004年10月30日生まれの15歳6カ月の女の子。
多くのブヒオーナーさんたちがあこがれる、まさにレジェンドの中のレジェンドです。
そんなベルガちゃんは、これまでに数々の病気と闘ってきました。
4歳のある日、少し暗いところでママさんがベルガちゃんの目を見つめていると、瞳の奥のほうがかすかに白っぽく感じました。病院の診断は、若年性白内障。
「先生から、よく気付きましたね! と言われました」とママさん。
ただ、かなり初期の段階だったので、しばらく様子を見ることに。
その後も、ぶどう膜炎や結膜炎などで眼科通いが続きます。
そしてついに、5歳のとき左目の白内障の手術。
右目は網膜剥離で手術ができない状態でした。
手術後は7種類の目薬を、1日に各4回ずつという超ハードスケジュール!
「ひとつめの目薬をさしたら、10~15分空けて次の目薬をさすように言われたので、表を作って印を付け、タイマーを使って忘れないようにしていました。
ほぼ丸1日目薬をしているような状態でしたね(笑)」
8歳で後ろ足にできた結節性筋膜炎の腫瘤を摘出
8歳のときには、皮膚の下にしこりができる結節性筋膜炎に。
左後ろ足にできた腫瘤を摘出しました。
「ある日突然プクッと小さなふくらみを見つけたんです。翌日になったら、10円玉くらいに急に大きくなっていてびっくりしました」
すぐに近所にある腫瘍科の先生に診てもらうと、結果は「グレーな感じ」。
ママさんは、「たった1日で巨大化したので、迷っているうちにどんどん大きくなってしまうかも。手術するなら、小さいうちのほうがいい」と判断し、2日後に手術。
術後、生検組織診断(顕微鏡で詳しく調べる検査)で悪性ではないとわかり、ひと安心したそうです。
10歳のときに緑内障で両目を失明
さらに病魔が襲います。
白内障の手術から5年後、今度は緑内障に。
徐々に進行して10歳のときには両目とも失明しました。
「獣医さんから、白内障の手術後には緑内障になることもあると聞かされていたので、やっぱり…という感じでした。
ただ、手術から5年も持ってくれたので、そこはよかったなと思うんです」。
失明してからは、大好きだったお散歩にもあまり行かなくなり、おもちゃで遊ぶこともなくなったそう。
「10年間暮らしてきた我が家でも、方向感覚を失って変なところに入ったまま出られなくなってしまったり…」
家では完全フリーだったベルガちゃんですが、失明後しばらくは、お気に入りの椅子の上で過ごすようになりました。
「そこだと安心できるのか、落ち着いて寝ていましたね」
10歳で膀胱にポリープ
同じく10歳のある日、血尿が。検査の結果、5ミリ程度のポリープを発見。
主治医の先生からも、セカンドオピニオンの腫瘍科の先生からも「手術は勧めない」と言われ、手術はしないという選択をします。
というのも、膀胱の移行性上皮癌は悪性度が高いらしく、予後も良くない。
そのため、手術をしても再発率が高い。
もしも膀胱癌だと、手術をしたところで、持って半年くらいのことが多いそう。
「先生は、余命は長くないと思っていたみたいです」。
ママさんもこの病気について独自に調べました。
「膀胱にできた腫瘍は、良性の確率は極めて低いと書かれた記事を見つけたんです。
普通の先生なら、ほぼ悪性だと思いますよね。
でもベルさんの場合、あれから5年も経ってる。ということは、きっと良性だったんですね」
しかし手放しで喜べる状態ではなく…。
「常にひどい頻尿です。膀胱の内側が肥厚し、おしっこがない状態でも、隙間が4ミリくらいしかないのが原因。
膀胱に違和感があるようで、おしっこが出ないのに踏ん張って、ポタポタ…と出る感じ。その状態を30~40分を続けて、疲れて寝て…の繰り返しです」
いまは半年に1回ほどの診察ですが、現在も炎症をおさえる薬を飲み続けています。
14歳で前庭疾患。その後、漢方薬や鍼灸で治療
13歳11カ月のとき、今度は片耳の耳道にポリープが見つかりました。
掻いていたので病院に行くと、「鼓膜の手前にポリープがあるかも」との診断。
そこでママさんは、ビデオオトスコープという内視鏡で手術をしてくれる病院を探します。
なぜなら、その方法じゃないと「耳自体を切ることになるかも」と獣医さんに言われたため。
その後、無事にビデオオトスコープ手術でポリープを摘出しました。
さらに14歳のときには、前庭疾患を発症
ベルガちゃんの試練は、まだまだ終わりません。
ここ2年くらい、ママさんはリビングにいるベルガちゃんの近くで寝ているそうですが、その日はとても疲れていたので、寝室の自分のベッドで眠っていました。
すると夜中に物音が。慌ててリビングに行くと、ベルガちゃんがその場でぐるぐると回り続け、立てないほどフラフラだったのです。
原因は前庭疾患。平衡感覚を司る前庭神経に異常が発生したために起きる病気です。
ベルガちゃんは低気圧が近づくと体調を崩しがちでしたが、このときも低気圧が来ていました。
点滴と投薬で症状は1週間ほどで落ち着いたものの、頭の傾きは今も多少残っています。
そこで新たに取り入れたのが、漢方薬。
「中医学の先生がいる病院で、イライラやのぼせに効く漢方薬を処方してもらい、今も飲んでいます。
その漢方を飲み始めてから、イライラしたときにやっていた“おしりをこするクセ”がぴったり止まりました」
さらに2週間に1回、鍼とお灸をしています。
「丸いシートを貼って、その上に小さく丸めたもぐさに火をつける“もぐさ灸”をやってもらっています。
やった後は脈がしっかりしているんですよ。
治療というより、体調を整えるという感じです」
家では、手軽にできるシール状のお灸も使用。
「低温やけどをしないよう服の上から貼るんですが、じんわりと温かいみたいですね」
手作りのお魚食を食べて、いい状態のうんちに
ベルガちゃんはパピーのころから軟便の傾向があり、薬を飲んでもフードを変えても、おなかを壊しがち。
3歳のころにアレルギー検査をしましたが、30種類以上にアレルギー反応が出て、直接の原因は結局わからずじまい。
なので、食べ物に関しては、気にしすぎないようにしていたそうです。
4歳のころから、食事を手作りごはんに。
最初は鶏の胸肉や馬肉などのお肉を中心に。おなかの調子は少し良くなったものの、やはり体調によっては下痢をすることも。
そこで10歳ごろから、メインをお魚に変更。
これが合っていたようで、「10歳にして、いちばん状態のいいうんちが出ました(笑)」。
カジキマグロやタイ、サワラなど、スーパーで買える白身魚をあげていますが、ベルガちゃんが好きなのはタラ。
ゆでたものに市販の栄養補助ペーストと、粉末のサプリメントを混ぜています。
しかし好き嫌いが激しくて、2日続くと飽きちゃうことも。
そのため、今は手作りのお魚食、ヒルズの『消化ケアi/d』、ドクターズチョイスの『ストマックケア』、ヒルズの『腎臓ケアk/d』の4種類の中から、ベルガちゃんの気分に合わせてあげているそうです。
長生きのために「爪切り」は重要
ベルガちゃんがまだパピーのころ、ママさんはフレブルのブリーダーさんに飼育指導を受け、ブヒがかかりやすい病気や、爪切りの重要性を学んだそうです。
「爪はかなり短く切るよう指導されました。足が地面にしっかりと着地できるためだそうです。
そのブリーダーさんは、“正しい姿勢で階段の上り下りや運動をすれば、いい筋肉が付くからヘルニアになりにくい。保護するのではなく筋肉で補う”という理論でした。
爪が伸びてくると、ベルさんは少し内股になり踏ん張れなくなるんです。今でも最低限の爪切りをして、しっかりと立てるようにしています」
カフェで鹿肉が至福の時間
ベルガちゃんが今楽しみにしているのは、大好きなカフェに行くこと。
「普段はヨボヨボしているのが、カフェに行くと気持ちがアガるみたい(笑)。
いつものお散歩だと3歩歩くとおしっこ…というペースですが、カフェに行くときはスタスタ歩くし、今年の1月くらいまでは小走りしてたんですよ」
行きつけのカフェで、北海道産の鹿肉のローストなど、お家とは違うスペシャルなメニューに舌づつみを打つのが、ベルガちゃんの至福の時間。
「カフェにいる間は頑張ってますね。食べ終わると、すぐにおしっこって言うんですけど(笑)」
ごはんは雰囲気重視(!?)のベルガちゃんにとっては、カフェに通うのも気持ちのハリになっているようです。
若い頃の運動が貯金に
ママさんが考える長寿の秘訣は、「ストレスを感じさせないことと運動」だそう。
若いころは好奇心旺盛で、お散歩が大好きでおてんばだったベルガちゃんは、毎日のように公園やドッグランを走り回っていました。
「長いと10キロ、平均でも6~7キロ歩いた後、ドッグランで2時間くらい走り回ってから帰ってました。
足腰は丈夫で、腰を痛めたこともありません。
もともとそういう疾患がない子だったのかもしれないですけど、若いころに蓄えた“筋肉貯金”が効いているのかも」
ママさんいわく、若いころからツンデレで、媚びない猫のような性格というベルガちゃん。
「年を取ってさらにわがままで頑固になったし、人間と一緒だなぁって思います。
今はとにかくのんびり、好きなように暮らしてほしいですね。
人間が行きたいところはつまらないでしょうから、我が家は常にベルさんファーストです(笑)」
15歳でもしっかりとした足取りのベルガちゃん。爪切りなど日々の細かいケアが、正しい姿勢と将来の足腰に大きな影響を与えるのだと実感しました。
元気にレジェンドブヒ世代を迎えられるように、若いうちからしっかり筋肉を付けておくことや、気持ちがアガる楽しみを見つけることも大切ですね。
取材・文/都丸優子
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