【新型コロナウイルス】ペット先進国アメリカの先を見据えた取り組みと、保護犬が減った一筋の光
アメリカ在住ライター・Ayaがおくる、ペット先進国アメリカならではのペット事情。今回は、アメリカでのペットと新型コロナウイルスをめぐる現状をお伝えします。ペット先進国がとった“ペットのための”新型コロナウイルス対策とは?
目次
動物のコロナウイルス感染状況…犬への感染は?

Patryk Kosmider/shutterstock
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は、アメリカ国内において少数ではあるものの、犬や猫を含むペットが新型コロナウイルス(COVID-19)に感染していることがわかっていると報告しました。
こうしたニュースを受けて、ペットの感染を心配しているオーナーさんは多いでしょう。しかし、犬に関していえば、過剰に不安になる必要はないといわれています。
アメリカ国内で新型コロナウイルスに最初に感染したのが発覚したのは、ニューヨーク市内にある動物園のトラでした。

Suratn Sridama/shutterstock
その後、ニューヨーク州で飼い猫2匹の感染が認められました。その猫たちは軽度の呼吸器症状を示したため、検査を受けたところ陽性であることが判明。
猫のオーナーもまた感染が確認されており、おそらく人から猫へ感染したものとみられています。
現段階では、犬よりも猫のほうが新型コロナウイルスに感染しやすいとの見解が示されているようです。
『ペットの感染』は一体どこから?

Little Hand Creations/shutterstock
WHOが言及しているように、ペットから人間への感染を示すエビデンスは未だ出てきていません。
2020年5月14日に発表された研究では、『人から犬への感染はありうるが、犬から犬への感染は考えにくい』という見解が示されました。
アメリカ国内では、オーナーがペット自身の感染を心配するあまり、ペットにマスクやフェイスカバーを付けて屋外を散歩させている様子が時々みられます。

damato/shutterstock
しかし、こうした状況に獣医師らは警告を発しています。
現段階で、ペットからペットへの感染は起こらないと考えられている一方で、マスクやフェイスカバーをして散歩することは、ペット自身の呼吸や体温調節を妨げることにつながり、そちらのほうがペットの体調に影響を及ぼすと懸念されているからです。
ペットの感染を防ぐために、オーナーができること

Page Light Studios/shutterstock
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は、ペットが感染するリスクがゼロではないことから、人間と同様にペットもソーシャル・ディスタンスをとることが推奨されると説明しています。
CDCは、過剰に心配する必要はないとした上で、ペットオーナーに対して次のような生活上の注意点を紹介しています。
・家族以外の人間や動物との接触をできるだけ避けること。
・犬の外出時にはリードを用い、家族以外の人間や動物との距離を2メートル程度保つこと。
・ドッグランや混み合う場所を避けること。
・もし飼い主の体調がすぐれない時には、ペットとの密接な接触を避けること。しかし、その人がペットの世話をしなければならない状況ならば、マスクなど顔を覆うものを着用し、ペットとの接触の前後に手を洗うこと。
ペットがいる家庭で、家族の感染を防ぐために

Manz_Project/shutterstock
もし家族の誰かがコロナウイルス感染している場合、ペットへの接触を通じて他の家族が感染する可能性があることが指摘されています。
つまり、ペット自身は大丈夫でも、家族間のウイルス感染を動物の毛が媒介する場合があるのです。
素材によるものの、ウイルスは物の表面で、数時間から最大で7日間もの間、感染力を保つことができると明らかになっています。

Nailia Schwarz/shutterstock
理論上、ペットの毛に付着したウイルスも感染力を維持することが考えられるため、ペットに触れた後は手を洗うことが推奨されています。
しかし、過剰にペットを洗うことは勧められていませんので、あくまでも人間側がペットに触った後に手洗いを行うことで感染を防ぎましょう。
先を見据えたペット先進国の取り組み

Joanna Plisko/shutterstock
ペット先進国アメリカでは、コロナウイルスの影響で懸念されるペット関連の問題にも早い段階から対策が練られています。
連邦政府、大学、民間とが、それぞれペットオーナーに対する情報発信をし、正しい情報を速やかに届けることでオーナーへの不安を払拭しようと努めています。
動物に関連する新型コロナウイルスの最新情報、感染対策、動物の感染に関する学術研究の紹介から家での過ごし方まで、発信内容はさまざまです。

Alexander Penyushkin/shutterstock
情報をより広く伝えられるように、情報の発信方法も工夫されています。
例えばイリノイ州立大学の獣医学部では、ポッドキャストを利用して、オーナーが心配しそうな問題に対して、専門家から情報を伝える番組を配信しています。
コロナ禍で予想される、ペットの社会問題とは?

Trin Wi/shutterstock
アメリカで予想されているペット関連の社会問題は多岐にわたっています。
例えば以下のような問題が挙げられています。
・ペットがウイルスを媒介するかもしれないと恐れるあまりペットの飼育を放棄するオーナーが現れる。
・ペットを飼育する人が感染して入院した場合に世話をする人がいなくなる。
・物流の遅れや工場閉鎖の影響を受けて、ペットの餌の供給に影響が及ぶ。
・これまでにペットを飼ったことがない人も、自粛が長引いてペットを飼い始める。

Teerawut Bunsom/shutterstock
こうした問題に対応するため、コロナ禍でも動物を対象としたサービス業界が適切にペットとそのオーナーにサービスを提供できるように取り決めがされ、オーナーが世話できない状況にあるペットを一時的に保護したり、相談を受け付けてサポートしたりする体制を整えています。
アメリカの対策がもたらした保護犬の里親増加

Patryk Kosmider/shutterstock
アメリカ国内では、長期化する外出自粛によってペットを新たに飼い始める人が増えています。
日本以上に自粛生活が長引いているアメリカでは、動物が与える癒しや生活の変化に期待する人が多いようです。
また、健康維持のための散歩が推奨されていることから、犬を飼うことで運動不足を解消しようとする人もいるのでしょう。

hedgehog94/shutterstock
アメリカでは、ペットを飼おうと思ったらペットショップで購入するのではなく、ブリーダーから直接購入したりシェルターで保護されている動物を譲り受けたりする方法をとることが一般的です。
そのため、アメリカの徹底した外出禁止令により家にこもることを余儀なくされた人たちがペットを飼い始めた結果、シェルターにいる保護犬や保護猫の数が減少してきています。
例えば、カリフォルニア州北部のベイエリアでは、保護シェルターの犬や猫のほとんどが里親のもとへ引き取られたと報告されています。

Irina Kozorog/shutterstock
コロナ禍の苦境に一筋の光がさすような、こうした喜ばしいニュースの裏には、アメリカ社会がペットを人間同様に大切な存在として扱い、災害や社会的混乱が起こった際には、いち早くペットとそのオーナーをサポートするための努力を行ってきた背景があります。
今回も、ペットとコロナウイルスに関する正しい情報を迅速に発信し、動物の感染に対する人々の懸念を早期に払拭したことが、保護犬や保護猫の大幅な減少につながったと考えられます。
文/Aya
こちらの記事も合わせてチェックしてみてくださいね。
おすすめ記事
-
【乗ってみた】クルマ界のフレンチブルドッグ「ルノー カングー」を愛ブヒと1年間、乗り回し中です!
「クルマ界のフレンチブルドッグ」とも称されるルノーカングー。その愛らしいスタイルと抜群の実用性は、フレブルオーナーたちに超話題です。愛ブヒを乗せるのにもジャストフィットする広々としたスペースと、日常使いにうれしい最高の積載力。そして、何よりもその可愛いデザインが、多くの人の心を引きつけます。
今回はそんなカングーの「1年間無料貸出しキャンペーン」に当選したオーナーさんにお話を聞いてみました。ますますカングーが欲しくなる…!
(PR ルノー・ジャポン株式会社)
PR -
【取材】ロッチ中岡〜そのフレブル愛、ガチ中のガチ。隠れブヒラバーが語る、細かすぎる魅力とは〜【前編】
みなさんが愛犬家ならぬ“愛ブヒ家”として思い浮かぶ芸能人といえば、草彅剛さん、レディー・ガガさんなど、フレブルを飼っている方が多いと思います。が、ロッチ中岡さんも、じつは大のフレブルラバーだというのをご存知ですか? フレブルを飼っていないのにもかかわらず、中岡さんのインスタグラムを覗くと、たくさんのフレブルアカウントがフォローされていて、わが『FRENCH BULLDOG LIFE』モデルのnicoやトーラスも、その中の一頭。
そんな中岡さんに、フレブルの魅力を語っていただきました。そのブヒ愛っぷりは、思ってた以上! ガチ中のガチでした!?
取材 -
【取材】9歳で脳腫瘍を発症し「4年7ヶ月間」生存。フレンチブルドッグ・桃太郎の奇跡と軌跡
愛犬が「脳腫瘍」と診断されたとき、言葉にできない絶望感を味わうことと思います。筆者も脳腫瘍で愛犬が旅立ったひとり。だからこそ、どれほど厄介で困難な病気かを理解をしているつもりです。「発症から1年生存すれば素晴らしい」とされるこの病気。
ところが、フレンチブルドッグの桃太郎は9歳で脳腫瘍を発症し、なんと4年7ヶ月間も生き抜いたのです。旅立ったときの年齢は13歳と11ヶ月、レジェンド級のレジェンドでした。さらには、治療後3年間は一度も発作が起きなかったといいます。
この事実はフレンチブルドッグだけでなく、脳腫瘍と闘う多くの犬たちに勇気と希望を与えるに違いありません。桃太郎のオーナーである佐藤さんご夫婦に、治療の選択やケアについて詳しくお話しをうかがいました。
取材 -
【取材】上沼恵美子さん「もう一回だけ抱きしめたい」愛犬ベベとの12年間
運命の子はぼくらのもとにやってきて、流れ星のように去ってしまった。
その悲しみを語ることはなかなかむずかしい。
けれども、ぼくらはそのことについて考えたいし、泣き出しそうな飼い主さんを目の前にして、ほんのすこしでも寄り添いたいと思う。
その悲しみをいますぐ解消することはできないが、話をきいて、泣いたり笑ったりするのもいいだろう。
こんな子だった、こんなにいい子だった、ほんとうに愛していたと。
ぼくらは上沼恵美子さんのご自宅へ伺って、お話をきこうと思った。
取材 -
【販売開始!】フレブルオーバーオール「UNIVERSAL OVERALL × W-OKI KENTA × フレブルライフ」
アパレルブランド「UNIVERSAL OVERALL(ユニバーサルオーバーオール)」と、沖縄在住のフレブルオーナーで人気タトゥーアーティスト「W-OKI TATTOOのKENTA」。そしてフレブルライフのトリプルコラボで完成した、フレブルオーバーオール。
ストア情報
フロントプリント、バックプリントの2展開で、それぞれフレンチブルドッグのイラストも違います!
イベント「フレブルLIVE」で先行販売しましたが、ついにフレブルライフストアで販売スタートです! -
【中川大志インタビュー】エマは犬ではなく、大切な娘です。国宝級イケメンが愛犬のフレンチブルドッグと一緒に登場
『FRENCH BULLDOG LIFE』に国宝級イケメン登場! 俳優の中川大志さんが、愛犬であるフレンチブルドッグのエマちゃん(2歳の女の子)にメロメロとの情報を聞きつけ、中川さんを直撃。そのフレブル愛をたっぷり語っていただきました。他のフレブルオーナーさん同様、濃すぎる親バカエピソードが次から次へと飛び出しました。
取材 -
【取材】脳腫瘍治療のスペシャリスト・長谷川大輔教授が進める脳腫瘍の最新治療とは
フレンチブルドッグは脳腫瘍になりやすい犬種だといわれています。事実として、てんかん発作の症状が出てMRI検査を受けたフレンチブルドッグのうち、「約70%が脳腫瘍」と診断されたというデータも。犬の脳腫瘍は残念ながらあまり良い予後は期待できず、根本的治療も身体に負担がかかることから、私たちオーナーは希望を失いがちになります。
そんな脳腫瘍治療に、新たな風が吹こうとしているのです! このプロジェクトの先陣を切る、日本獣医生命科学大学・長谷川大輔教授にお話しをうかがいました。
取材 -
【取材】川口春奈とアムのやさしい世界。ー大人気女優は生粋のフレブルラバー
いまをときめく人気女優が、フレンチブルドッグラバーであるという事実。
そうです、その人は川口春奈さん。
アムちゃんというパイドの女の子と暮らしています。
話を聞けば聞くほど、そして春奈さんとアムちゃんのやりとりを目の当たりにするほどに、そのフレンチブルドッグ愛がわたしたちのそれとまったく同じであることに、なんだかうれしくなってしまったのでした。
春奈さんとアムちゃんのすてきな暮らしを、BUHI編集長の小西がいつくしみながら、切り取らせていただきます。
-
【PUFFY出演決定!】フレブルLIVE 出演アーティスト発表【第一弾!】
今年の『French Bulldog LIVE 2024(フレブルLIVE)』は、11/9(土)-10(日)の2days!
「フレブルLIVE」の特徴は、二日間でコンテンツが異なること。
一日目は愛ブヒとオーナーさんが主役の参加型コンテンツ。そして二日目は、アーティストによる音楽フェスが中心です!
今回は、音楽フェス(二日目)の出演アーティスト発表第一弾!
なんと、オーナーにも「世代」が多いPUFFYの出演が決定しました!
フレブルLIVE -
【肉球の香りがするビール、誕生】イラストは千原ジュニアさん【フレブルLIVEで先行販売!】
『French Bulldog LIVE 2024(フレブルLIVE)』は、11/9(土)-10(日)の2days!
今年は例年以上に反響があり、二日間ともに駐車場付きチケットがSold outとなりました!
年々パワーアップしている「フレブルLIVE」ですが、今年はオリジナルのクラフトビールを制作。
世界初・肉球の香りがするビールで、その名も「Paw Pad Ale」。
パッケージのイラストは、なんと千原ジュニアさんが手がけてくださいました。
フレブルLIVEにて、先行販売いたします!
フレブルLIVE -
【ドッグフードの闇を暴く】フレンチブルドッグに本当におすすめの食事とは?
私たちが「フレブルライフ」をスタートして8年。雑誌「BUHI」も含めると、約20年フレンチブルドッグに関する情報だけをお届けしてきました。
そしてフレンチブルドッグを知れば知るほど、犬種によってかかりやすい病気や性格、運動量が異なることを痛感しています。
犬によってカラダもライフスタイルも大きく違う! なのに…日本のドッグフードは「全犬種同じ」ものが売られているのです。
しかも日本はペット「後進国」。フードにおいては、闇深い点がたくさんあります。
今回はフレブルライフ読者の皆さまだけに、ドッグフードの闇や矛盾を伝えさせてください。
もちろん最後には解決策もお伝えしていますので、どうかご安心を!
-
【イベントレポ】5,000頭のフレンチブルドッグと7,000人が集まった「フレブルLIVE2024」の全貌!
11/9(土)-10(日)の二日間にわたって開催された『French Bulldog LIVE 2024(フレブルLIVE)』。
今年はのべ5,000頭のフレンチブルドッグと7,000人のフレブルオーナーが集まりました!
day1の司会はフレブルラバーのロッチさん。day2の音楽フェスには世代ど真ん中のPUFFYが出演するなど、例年以上に豪華なラインナップ。
北は北海道、南は鹿児島県から。全国のフレンチブルドッグが一堂に会した「フレブルLIVE2024」の模様を、詳しくお届けです!
最後には2025年の情報もありますので、要チェックでございます!
フレブルLIVE
特集
-
フレンチブルドッグの性格/基本情報
からだの特徴や性格、歴史など基本的なフレブル情報をご紹介!
-
子犬/はじめてのフレンチブルドッグ
フレブルビギナーの不安を解消!迎える前の心得、揃えておきたいアイテム、自宅環境、接し方などをご紹介
-
フレブル病気辞典
獣医師監修のFrenchBulldogLifeオリジナル病気辞典。愛ブヒを守るための情報満載
-
フレブルライフ ストア
本当にいいものだけを、厳選紹介。FBLの公式オンラインストアです
-
French Bulldog LIVE⚡️2024 (フレブルLIVE)
-
【特集】レジェンドブヒの肖像ー10歳を超えて
10歳オーバーの元気なブヒを取材し、長寿の秘訣を探る。
-
【特集】5歳からのミドルシニアLIFE
ご長寿ブヒをめざすヒントがここに!
-
【特集】FBL編集部の「アバウトな幸福論」
-
【特集】編集部厳選!本当に使えるドッグギア
フレブルと暮らす編集部が、自信をもって紹介したいアイテムとは!?
-
【特集】もしものときの名医名鑑
ヘルニアやガンなど、その道の名医たちを独占取材!
-
【特集】わたしは、愛ブヒのリーダーになるのダ。
プロドッグトレーナーが、リーダーになるための秘訣を解説!
-
【特集】短命拒否権ーフレンチブルドッグは、もっと生きる
この特集は、『短命』のレッテルを返上するための、有益なフレブル生活記録簿です。
-
虹の橋
愛ブヒが虹の橋へ向かう準備をするための場所
-
フレブル里親/保護犬情報
French Bulldog Lifeでは、保護犬を一頭でも多く救うための活動支援をしています。