2020年6月8日41,370 View

【トイレ問題】外でしか用を足さないウチのフレブル。成犬でも家の中でトイレを覚えてもらうには?

愛ブヒを本当の意味で幸せにするには、オーナーが犬にとって頼れるリーダーになることが何より大切です。
そこで、国際的なドッグトレーナーのライセンスを取得している大久保羽純さんに、“愛ブヒから信頼されるリーダーになる方法”を学ぶ、この特集。

今回は、外でしかトイレをしない子に、家でのトイレを覚えてもらう方法についてレクチャーします。
 

フレンチブルドッグ,しつけ

あなたのブヒのトイレはお家? お外? 

フレンチブルドッグ

Kittibowornphatnon/shutterstock

あなたの愛ブヒは、どこでトイレをしますか? 

 

室内派、屋外派、どっちでも派、いろんなブヒがいることでしょう。

 

お家ではせずに、お外だけでトイレするブヒも多くいます。

 

しかし梅雨や台風が多い時期になると、普段はお外でのみトイレをさせているブヒオーナーさんも、「室内で排泄を出来るように練習しようかな」と思うこともあるでしょう。

 

そこで今回は、トイレを外から家に移行するために役に立つ情報をご紹介します。

 

トイレはどこでさせるべき? 

フレンチブルドッグ

Kittibowornphatnon/shutterstock

 

まずは、ブヒたちのトイレの場所について考えてみましょう。

 

多くのおうちでは、以下のような場所が、ブヒのトイレになっているかと思います。

 

・サークルの中のトイレトレー
・部屋においてあるトイレトレー

・ベランダ

・お風呂場

・お庭
・家の外ならどこでも
・散歩中にあるお気に入りの場所

 

いかがでしょうか? 一言にトイレと言っても、いろいろな場所がありますね。

 

私もニュージーランドで暮らしていたときは、トイレシーツを見ることも少なく、庭で排泄する犬を多く見ました。

 

ドッグフラップという、出入り自由の扉が窓につけてあり、トイレに行きたい犬は、自由に庭と家を出入りしてくれるので、楽ちんなんですよ。

 

では、どれが正解なのでしょうか? 

 

うーん、答えがありません。

 

庭のある家、無い家や、都会の真ん中と、のどかな山奥など、同じ日本でも状況は大きく異なります。

 

そのため、「トイレは、ここでするべき!」というよりも、あなたの家族と、ブヒの未来と、周辺環境を考えてトイレの場所を選ぶことが大切です。

 

あ、もちろん、他人の家の前など、人に迷惑がかかるところは絶対にNGですよ! 

 

お家トイレを練習する前の注意

フレンチブルドッグ

Vantage_DS/shutterstock

 

とはいえ、トイレの選択肢が少ないほど、不便な場面もあります。

 

長い目で見れば、指定した場所で排泄が出来ると、家族も楽に暮らせるでしょう。

 

「じゃあ、家でのトイレを教えたいわ」と思いますよね。

 

しかし、外でしかトイレをしないブヒに、お家トイレを教える前には、大切な事前確認があります!! 

 

(1)泌尿器系の病気がないか、事前に獣医さんに相談する。

理由:「オシッコをしてから散歩に行く」練習をするため、排泄の我慢をさせることになります。

 

病気がある子には、少しの我慢もダメ。まずは治療です。

 

(2)排泄場所の変更は、時間と根気が必要。怒るくらいなら、やらない! 

理由:人間もトイレ以外で、例えば「テーブルの上でオシッコをして」と言われても、すぐには無理ですよね。

 

長年お外排泄だった子ほど、気長にトレーニングを進める覚悟をしましょう。

 

なかなかうまくいかないとヒトはつい怒ってしまいますが、トレーニングにプンプンはご法度! 

 

愛ブヒが不安になって、オーナーさんの目の前で排泄できなくなる可能性もあります!

 

(3)室内排泄に甘えて、散歩を減らすのは愛ブヒとの契約違反! 

(もちろん、ヒトもブヒも、行きたくないって日はありますが)ブヒたちは散歩に行くことで、健康なココロとカラダを保っています。

 

室内トイレが出来るようになったからって、散歩が減ってしまうのは絶対NGです。

 

家の中で排泄をさせる方法

フレンチブルドッグ

Krisha_msk/shutterstock

 

上記の事前確認をクリアした家族は、室内トイレが出来るようになるためのステップを学んでいきましょう♪ 

 

<ステップ1> お外の排泄に近い状態を、家で再現する。

外に近い環境で、排泄を待ってみましょう。例えば、マンションのベランダや、戸建てなら玄関先などの場所。

 

このステップこそが、オーナーさんの頭の使い所! 

 

1ヶ所を試してダメなら、次回はこの場所ならどうかなと、愛ブヒが快適に排泄できそうな場所を模索していきます。

 

ベランダに芝を置いたり、電柱に似せて作った“トイレシーツを巻いたペットボトル”を置くなど、愛ブヒの排泄ゴコロをくすぐりましょう。

 

数分間では排泄しないことが多いので、数時間の長丁場の覚悟を! 

 

排泄ができたら、美味しいおやつを渡して、楽しい散歩に出掛けましょう。

 

排泄を待つタイミングは、寝起き、食後、遊んだ後など。

 

その機会を利用して、お散歩に出る前に排泄をさせてから外に出るようにします。

 

散歩でオシッコを出し切った後に排泄を待っても、10時間以上しないで保つブヒもザラにいますよ。

 

<ステップ2> お外に近い環境で出来たら、その場所にシーツを置く。

ステップ1で排泄を出来た場所に、トイレシーツを置きましょう。

 

はみ出ても良いように、広めに敷くこと。

 

トイレシーツに排泄をする習慣がないと、シーツの上で排泄を出来ない場合もあります。

 

その時は、ステップ1を繰り返して、その場所ですぐ排泄が出来るようになったら、そこにトイレシーツを置きましょう。

 

このステップで、“場所”と“シーツ”と“排泄”が、条件付けられてきます。

 

人間も、便座に座れば、つい排泄したい気持ちになりませんか? 

 

シーツに乗る→排泄する、を繰り返し練習しましょう。

トイレシート

Kira_Yan/shutterstock

 

<ステップ3> シーツの場所を、オーナーさんの望む場所に少しずつ移動する。

トイレシーツと排泄が条件付けられてきたので、今度は“場所“”をずらしていきます。

 

とはいえ、場所も条件付けに入っていますから、ベランダがいきなりサークル内になったら、愛ブヒに「ここ違うじゃん」と思われてしまうかも知れません。

 

将来的に置きたいトイレシーツの場所に、数cmずつシーツを移動していきましょう。

 

<ステップ4> 継続して練習しよう。

数回うまく言ったからって、またやらなければ忘れちゃいます。

 

お散歩前の習慣として、同じお家の場所でのトイレを、繰り返し練習していきましょう。

 

こんなときは専門科に相談を

フレンチブルドッグ

Jana Kollarova/shutterstock

 

「お家トイレなんてみんな出来ているし、練習も簡単そうじゃん♪」と思う人もいるでしょう。

 

しかし…、少なからずそれが難関のブヒがいます。

 

ステップ1をしようとしても、

 

「長年保ったプライドじゃ! 外の排泄以外は認めん! 絶対に我慢してやる!!」

 

というブヒの場合は、待てど暮らせど排泄してくれません。

 

そこで、しびれを切らしたオーナーさんが散歩に出てしまったら

 

「ほら、最初から散歩に行けば良いんじゃ! 中途半端な嫌がらせをして!」

 

なんて、外でのトイレがさらに強化されることすらあります。

 

他にも、

・我慢をさせている間に「早く散歩に出ようよ」とピーピーと鼻泣きされてしまう

・我慢に耐える姿にオーナーさんが同情してしまう

…など、障害は山積みです。

 

ブヒによっては、お家トイレのハードルは、とても高い場合があるのです。

 

簡単ではない練習です。失敗を繰り返してお互い苦しむよりも、早めに専門家に相談してアドバイスを貰いましょう。

 

ここで紹介したステップはあくまで一般論で、トレーニングプランは、ブヒとオーナーさんの組み合わせの数ほど多様にあるのです。

 

ドッグトレーナーに依頼をする場合は、そのトレーナーが行動修正の豊富な経験を持っているか、科学的知識をもって、動物福祉と動物への倫理に基づいた指導を安全に行える人かどうか、オーナーさんが見極めて依頼をするようにしましょう。

 

まとめ

フレンチブルドッグ

joerendell/shutterstock

 

もしかすると、室内トイレの練習を「簡単で、数回やったら出来ちゃうかも♪」と思うオーナーさんもいるかも知れません。

 

しかし、長年繰り返した習慣を、変えることが難しいブヒもたくさんいます。

 

どんなトレーニングも、頑張るのは、ブヒではなく“人間”です。

 

・ブヒが排泄したくなるような、室内トイレの環境をそろえるのも人間。

・どうしたら成功するか、知恵を絞るのも人間。

・困ったときに、専門家に相談できるのも人間。

・ブヒのためとは言え、結局のところ室内トイレを実現したいのは人間!! 

 

だからこそ、愛ブヒに気持ちよく排泄してもらえる環境づくりを、私達人間が根気よく取り組んでいきましょう♪ 

PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純

PERRO株式会社 代表取締役 
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。

 

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