【取材】若いころはマッチョ自慢!15歳の今もしっかりした足どりで散歩を楽しむ。#22大福
10歳を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench Bulldog Life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。
今回は、15歳の女の子、大福ちゃんが登場。3歳でヘルニアの手術をするも、15歳直前のいまもなお、しっかりした足取りで歩いてる美魔女さんです!
大福ちゃんのプロフィール
年齢&性別
14歳の女の子(2020年6月27日で15歳)
体重
8.8kg
好きなこと
河川敷のお散歩、寝ること、食べること
既往歴
3歳で、重度のヘルニアになり手術。
14歳のときに、脳炎か脳腫瘍の疑いがあるものの、手術はせず。
現在はてんかんの発作をおさえるための薬を投薬中。
3歳で重度のヘルニアで手術
左右対称の美しいパイド柄がトレードマークの大福ちゃん(愛称・福ちゃん)。6月27日で15歳を迎えます。
オーナーのKさん(大福ちゃんママ)のお住まいは川の近く。
朝と晩の2回、河川敷を歩くのがパピーのころからの日課です。
若いころは毎日夕方2時間のお散歩に、ジャンプや階段の昇り降り、ボール遊びは疲れるまでエンドレス……と超アクティブな女の子だったそう。
「ほかのオーナーさんからも“よく走るね!”と驚かれるくらいで、無理をさせてるという意識はなかったんですよね」とママさん。
ところが、3歳のある日のお散歩中のこと。
お友達から「福ちゃんが固まってる!」と言われて見ると、大福ちゃんが同じ体勢のまま動けなくなっていました。
すぐに病院でレントゲンを撮ると、重度のヘルニアと診断。二次診療の病院で手術をすることに。
「そのとき獣医師からは、“ひょっとしたら下半身が動かなくなるかもしれない”と……」
大福ちゃんは、生まれつき背骨の骨がひとつ欠けています。
骨の奇形によって神経根が圧迫される馬尾(ばび)症候群があり、「下半身の血の巡りが悪くなるような骨らしいんです」。
幸い術後の経過も良く、大福ちゃんは退院から1週間後には元気に走り回るまでに。ママさんは、その回復力の速さにびっくりしたそう。
しかし手術以来、階段に気を付けたり、あまりジャンプをさせないようにしてきたそうです。
14歳でてんかんの発作
その後、毎日元気に歩き回っていた大福ちゃん。
筋肉モリモリの引き締まったブヒらしい美ボディに、通りすがりの人が思わず「すげぇ…」と目を見張ることもあったとか。
10歳を迎えるころに受けた健康診断でも、特に異常はなし。
ところが14歳の2019年12月、突然てんかんの発作が起きました。
「手足が突っ張った状態で硬直して、おしっこも出ちゃっていました。
すぐにおさまる場合もあるようですが、最初は初めてのことでびっくりしました」
こわばったままの大福ちゃんを抱え、ママさんは慌てて病院に駆け込みます。
獣医の診断は「おそらく脳炎か脳腫瘍」。
しかし、病気の確定をするためのMRI検査をしていないので、確かな病名はわかりません。
確定診断のためのMRIには、麻酔のリスクが伴います。
先生から「脳腫瘍だった場合、麻酔リスクが上がり、目が覚めないかもしれない」と言われ、「そんな話を聞かされたら無理で…」と、その日はそのまま帰宅。
病名が確定したところで、命を失っては意味がありません。
それに手術が必要な病気だった場合、再び麻酔のリスクが伴います。
「福が痛くて鳴くなんて、10年前のヘルニア以来でした。これ以上苦しませたくなかったんですよね」
と、14歳という高齢を考え「薬だけで、長生きできるところまで一緒に頑張れれば」と、検査も治療もしないことを選んだそうです。
今はかかりつけのお医者さんから、てんかんの発作や脳圧を下げる薬を処方してもらい、投薬を続けています。
病気で食欲が落ち、一気に2㎏減…
ごはんは、若いころは『サイエンス・ダイエット』の年齢に合ったドライフードを基本に、ゆでたキャベツなどをトッピング。
「ときどき、ゆでたササミをあげると、喜んで食べていました。プレーンヨーグルトや牛乳もあげてましたね」
高齢になり噛む力が弱くなってきてからは、キャベツと鶏肉や魚をスープで煮たものをフードにかけて、柔らかくしてあげていたそう。
「昨年12月に病気でしばらく食べられなかったときには、体重が一気に2㎏くらい減り、8kg台にまで落ちました。筋肉が落ちたのもありますけど、このままやせ細ってしまったら…」と、ママさんは心配したそうです。
そこで、「今は私たちが食事の時間には、福にも一緒にゆでた鶏胸肉やお魚のアラをあげたりします。
それ以外は、好きなときにいつでも食べられるようにドライフードを置いておき、セルフで食べてもらってます」
この方法が功を奏し、今はいちばん痩せていたときより500~600gは戻りました。
投薬の必殺技はスライスチーズ!
数種類の薬を飲んでいる大福ちゃん。
薬が嫌いで、脳圧を下げる液体の飲み薬を冷蔵庫から出すと、ボトルを見ただけで逃げてしまうんだとか。
「その逃げていく様子もかわいいんですけど」とほほえむママさんですが、元気でいてもらうために投薬は欠かせません。
パパさんが在宅しているときはパパさんが抱え、ママさんがシリンジで飲ませるというふたりがかり。大人ひとりでは大変なほど嫌がります。
錠剤を飲ませるのにも、ひと苦労。
大福ちゃんに気付かれないように、薬をちくわの穴に詰めたりと、いろんな方法を試してみました。
「“何か入ってるな”って気づいてからは、ちくわごと食べなくなってしまいました」とママさんも苦笑い。
そこで、冷蔵庫にあったとろけるタイプのスライスチーズを細長く切ったものに薬を包んでみたところ、すんなりパクッ。
同じスライスチーズでも、とけないタイプだと包んだときに破れてしまうそうですが、とろけるタイプは手の熱で少しやわらかくなるので、ぴったり包めるそうです。
「人間の食べ物は犬にとっては塩分が多すぎるのでお勧めはできませんが、福の場合は、薬を飲ませることが最優先なので」とママさん。
ご長寿ブヒだから使える“奥の手”かもしれませんが、投薬に苦労しているオーナーさんは参考にできる技かもしれませんね。
若いころの筋肉貯金が長寿の秘訣
お散歩が大好きな大福ちゃんは、若いころは雨の日でも台風の日でも、毎日1~2時間は歩いていました。
娘さんが生まれる前は、ママさんは仕事が終わるとお散歩のために急いで帰宅していたそう。
「隣駅まで歩き続けて、バッタリ会った知人に驚かれたり(笑)。
今の家に引っ越してから福を迎えたので、この子と一緒に街を知った感じです」
そのおかげで筋肉モリモリの細マッチョになれたんですね。
しかし昨年12月に体調が悪かったころは、口に押し込んだごはんを弱々しく食べるような状態で、とてもじゃないがお散歩どころではありませんでした。
当時は、「来年の桜は、一緒に見られるかなぁ」と心配していたそうですが、すでに桜の葉は青々と茂り、紫陽花の季節に。
「あのころは、このままお別れなんだ……と覚悟もしましたが、今、こうして元気でいてくれてうれしいです」
最近は雨だったり気分が乗らないと、“今日は、もういいわ”と外に出てすぐに引き返すこともありますが、基本的に毎日お散歩には行くそうです。
「昔はチャキチャキと30~40分くらいで歩いていた距離を、今はのろのろと1時間くらいかかって歩いていますね」
ママさんが考える長寿の秘訣は、「やっぱり散歩なんだろうなって思ってます。いろんなオーナーさんやワンちゃんたちにも会って、刺激にもなりますし」
暑くなる季節は、リビングのサーキュレーター前が大福ちゃんの定位置。
ときおり、いびきをかきながらお昼寝したり、気持ち良さそうに過ごしています。
小学校低学年の娘さんは、生まれたときからふくちゃんと一緒なので、まるで“姉妹”のよう。
娘さんが赤ちゃんのころは、寄り添うふたりが同じポーズで寝ていることもあったそうです。
「レジェンドブヒに17歳の子がいるのが励みになります。
福も15歳と言わず、16歳、17歳まで一緒に散歩したいですね! 長生きして、娘にも福のことをずっと覚えていてほしいです」
もうすぐ15歳とは思えないほど、しっかりした足取りの大福ちゃん。今年のお誕生日は、家族みんなでチーズフォンデュでお祝いする予定だそうです。
「特別なことはしていないので、ここまで元気でいられるのは本人のポテンシャルです(笑)」とママさんは謙遜されていましたが、若いころから長時間の散歩で培った筋肉が元気の秘訣! というのは納得です。
取材・文/都丸優子
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