【取材】ベビーフェイスな16歳。長生きの秘訣は毎晩のルーティーンにあり#28 ゴン太
10歳を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench Bulldog life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。
今回は、16歳にしてまるでパピーのようなゴン太くんの登場です。長生きの秘訣は、「これをしないと1日が終わらない」と、ゴン太くん本人も思っている節のある、あのケアでした。
目次
ゴン太くんプロフィール
年齢&性別
16歳の男の子
体重
9.5kg(Maxは11kg)
大好きなこと
食べること、寝ること
既往歴
・パピー期からアレルギー体質で、皮膚のかゆみ、湿疹、フケに悩まされるが、専用シャンプーで改善。
・8歳で頸部の椎間板ヘルニアに。四肢に麻痺が出て手術し、退院後は歩けるように。
・13歳で目がグルグル回る症状に襲われ、前庭疾患と診断。投薬により2日ほどで症状は改善するも、それ以降、足に力が入りづらい状態に。耳が聞こえなくなったのも13歳頃から。
・昨年(15歳)は原因不明の下痢が4〜5か月続き、体重が減少。
家族全員がひと目ボレ
今年7月に16歳の誕生日を迎えたゴン太くん。ちょっとシャイだけれど、年々甘えん坊になってきている男の子です。
オーナーの長谷川さん一家(パパさん、ママさん、三姉妹)との出会いは、パパのちょっと笑えるひとことからでした。
次女の芽衣さんは、こう振り返ります。
「じつは、私たちは最初チワワとか、見るからにかわいい犬を飼いたかったんですよ。
でもパパは背が高いから“小さい犬は踏んじゃいそうだからイヤだ”って、体が強そうなブルドッグやパグにしか興味がなくて(笑)。
間をとったわけではないですけれど、“じゃあ…”ってことで、フレブルを探す旅を始めたんです」
いろんなペットショップをめぐる中、たまたま買い物に出向いたホームセンターのペットコーナーで出会ったのがゴン太くん。
決め手は、鼻のところにあった白い模様と、ちょこっと曲がったしっぽ。
「そういうところもかわいくて」(ママさん)と、家族全員がひと目ボレれして、その場で家族に迎え入れることになったのだそう。芽衣さんが小学5年生の時のことです。
それから16年。チャームポイントだった白い模様は、加齢による白毛と混ざり判別できなくなりましたが、愛らしいベビーフェイスは出会ったあの頃のまま。
とはいえ、16歳といえばレジェンド中のレジェンドです。
これまでたくさんの病気との戦いもありました。
食欲旺盛! 病気は食事でコントロール
“既往症”として記載したもののほかにも、こんなことが。
「ずっと定期的な健康診断は受けていなかったのですが、8歳の時に頸部椎間板ヘルニアを経験してからは、ちゃんと受けるようになって。
そしたら、肝臓の数値が悪く、病院の先生が“腫瘍があるかもしれない”と言うので、お腹を切って調べてもらったんです。
それが、確か10歳の頃。結局それは悪性の腫瘍ではなかったのでよかったんですが、この歳で麻酔をかけて開腹するのはかわいそうだったな、って」(ママさん)
もともとアレルギー体質(症状が出るのは、主に皮膚)だったことから、それまではアレルギー対策用のドライフードを食べていたゴン太くん。
この一件でドライフードを肝臓サポート用のものに変えました。
長いこと悩んだ下痢が、ミネラルウォーターでぴたり!
ところが、昨年は原因不明の下痢に4〜5ヶ月間悩まされるという事態に。
「この時は、飲み水を水道水からミネラルウォーターに変えた途端に、ウソみたいに下痢が治まってビックリ。こんなこともあるんだ! って。
そして、このタイミングでドライフードを“低脂肪プロテイン”というものに変えて、今もそれを食べています。
それまで食べていた肝臓サポート用のドライフードは、おやつになりました(笑)」(ママさん)
ミネラルの過剰摂取は、犬がかかりやすい病気のひとつである“尿石症”の原因になることもあるので、愛犬にミネラルウォーターを与える場合は硬度に気をつけるなどの注意が必要。
ですが、ゴンちゃんの食事コントロールは、すべて病院の先生の指示のもとでおこなわれているので安心です。
基本的には、その時の症状にあったドライフードをカリカリの食感が残る程度に少量のお湯でふやかして与えるのみで、肉や魚、野菜などのトッピングをすることはないのだとか。
「朝夕のごはんのほかには、2回のおやつタイムがあります。
あとは、私たちが食事をしていると来るので、その時にイチゴやリンゴ、スイカ、ブロッコリー、ジャガイモ、焼きイモくらいはちょこっとあげちゃいますね」(ママさん)
ゴン太くんは、食べることが大好き。
3年ほど前からは耳が完全に聞こえなくなり、白内障による視力低下や、加齢からくる嗅覚の低下も顕著にあらわれています。
しかし、「食べ物…とくにイチゴとか、好きなものには反応するんですよね」(芽衣さん)と笑います。
そして、こんな習慣も。
「夜、パパがごはんを食べている時に、ゴンちゃんは自分のおもちゃをパパのところへ運ぶ“運び屋さん”をやるんです。
そうすると、パパからフードを1粒もらえるので。
若い頃は、それを2時間くらいずっと続けていたんですが、最近は疲れるのか、途中で“やーめた!”ってなる。
それでも気が向くとやってるし、それは“1粒でも食べたい!”っていう食欲の表れかな、と思います」(芽衣さん)
食欲は“生きる力”に直結する、大切なこと。
16歳になっても食欲がまったく落ちていない、というのがゴン太くんの長寿の秘訣であることは間違いなさそうです。
インスタで注目されている歯みがき習慣
ゴン太くんが16歳になっても好きなものを食べられるのには、ある理由が。
パピー期から毎日欠かさずにおこなってきた“歯みがき”によって丈夫な歯があるのです。
「歯みがきは健康維持に大切だと、パピーのときに病院の先生に言われました。
そこから夜だけですが、毎日磨いてあげてますね」(ママさん)
「ゴンちゃんと同じくらいのシニア犬だと“歯がポロポロ抜けちゃう”って話をよく聞くんですけど、うちは毎日磨いてるからか抜けないですね。
友達の犬は歯周病や口内炎など、口内環境がよくないことで、そこから病気になったりも。
やっぱり歯みがきは大事なんだな、って実感してます」(芽衣さん)
毎晩の歯みがきは、昔からママが担当。
芽衣さんたちが「歯みがきしよう」と歯ブラシを見せてもゴン太くんは来るのですが、「私たちじゃ、うまく口が開けられなくて、“磨いたふう”になっちゃうんですよ」と、芽衣さんは苦笑いです。
そこで、ママに歯みがきのコツを聞いてみると…。
「歯の外側を中心にバーっと磨いてあげてるだけなんですよ。
ストレスにならないくらいのスピードでバーっと。
口を大きく開けてくれるわけではないので、内側はうまく磨けないし、病院の先生も“どちらかというと外側をしっかり磨くように”と言っていたので、それでいいんだと思います(笑)」。
ちなみに、愛用しているのは人間用の歯ブラシ。“ストレスを与えないようにスピーディーにおこなうことで、ゴン太くんもすっかり日課として歯みがきを受け入れています。
「年々、ゴンちゃんの寝たい時間が早まってて、最近では21時くらいから“歯みがきまだ?”って感じで、ママの後ろをずーっとくっついて回ってますね。
ゴンちゃんにとって、歯みがきは日課。
終わらないと寝られないことをわかってるんです」(芽衣さん)
ゴン太くんの歯みがきの様子は、今年6月に芽衣さんが開設した、ゴン太くんの日常をアップしたInstagramで見ることができます。ぜひ参考にしてみてください!
“いつでも一緒”でストレスフリーな生活
もうひとつ、ママや芽衣さんがゴン太くんの長寿の秘訣だと考えていることがあります。
それは、家族みんなで見守る環境。
「うちはゴンちゃん中心の生活で、常に家に誰かしらいるようにしてるんです。
とくにママは過保護なので、家族で食事に行くとなっても、“私は後から行くから、先に行って注文しておいて!”って、ゴンちゃんが1人でいる時間が極力ないようにしてて。
その“誰かしらが家にいる”っていう環境は、ゴンちゃんの体調の変化とかにも気づきやすくなってると思います」(芽衣さん)
じつは、長谷川家の三姉妹は全員ご結婚されています。
なので、ゴンちゃんは実家でパパ&ママと3人暮らし。
ママは日中農作業をされていますが、家の目の前に畑があるため、「ゴンちゃんがいつも家の中から見ててくれてるんです(笑)」とのこと。
そして、すぐ近くに住む芽衣さんとスケジュールを共有し合って、どちらかはかならずゴン太くんのそばにいるようにしているそうです。
いつでも視線の先に家族がいる環境は、ゴン太くんにとってストレスフリー。
心身の健康に大きく影響しているのでしょう。
まるで新婦の父!?
ママと芽衣さんに、ちょっと難しい質問をしてみました。この16年で一番の思い出はなんですか?
「私としては、娘たちの結婚式にゴンちゃんが出られたことですね」(ママさん)
「小学生の頃から一緒にいて、まさかウェディングドレスでゴンちゃんと写真が撮れるとは思ってなかったので、それはすごくうれしかったです」(芽衣さん)
次女・芽衣さんの結婚式には、ネットで購入した犬用タキシードを着て、ゴン太くんも参列。
そしてなんと、結婚証明書に肉球でサインもしたそう!
三女・沙耶さんの挙式は今年5月に予定されていたのですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、11月に延期。
「歳も歳で疲れてしまうので、11月の結婚式にゴンちゃんは連れて行かない予定ですが、妹も前撮りで一緒に写真は撮れたんです。
3姉妹全員の結婚をしっかり見届けてくれました」(芽衣さん)
もはや、新婦の父のような貫禄を見せるゴン太くんも、きっと感慨深かったでしょうね。
ゴンちゃんが家族の結びつきを強くしてくれた
じつは、生後7か月の時に去勢手術を受けてから性格が変わったというゴン太くん。
芽衣さんによると「人間は大好きなんですけど、ほかのワンちゃんと仲良くできなくなっちゃった」とのこと。
「多頭飼いをうらやましく思ったり、ブヒ会に行ってみたかったなぁ…と思うこともありましたけど、無理してゴンちゃんにストレスを与えるようなことはしたくありません。
ゴンちゃんにとっては私たち家族がいればいいし、私たちにはゴンちゃんがいればいい。
結婚した姉や妹もお休みの日にゴンちゃんの顔を見に来たりするので、ゴンちゃんのおかげで家族の結びつきも強くなったと感じています」
今年7月のゴン太くんの誕生日には、芽衣さんの娘さん(希衣ちゃん)がデザインしたゴン太くんのキャラクターをあしらったケーキでもお祝いしました。
お散歩嫌いのゴン太くんも1日に1回、希衣ちゃんが小学校に登校する際に、バギーに乗ってお見送りをしています。
その帰り道にちょこっと歩くのが、ゴン太くんの日課です。
新しい家族も増えて、ますますにぎやかになっていく長谷川さん一家。
ゴン太くんはいつもその中心にいて、大きな愛に包まれながら穏やかな生活を送っています。
この楽しい日々がもっともっと続きますように。まだまだ長生きしてね、ゴン太くん!
取材・文/永野ゆかり
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