2020年10月20日2,967 View

【さよならへの心構え】今からペットロスが不安な人へ。数百もの別れを見てきたドッグトレーナーが伝えたいこと。

国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒと固い信頼関係を築く方法を学ぶこの特集。

今回は、いつかはやってくる愛ブヒとの別れについて。想像するだけでも心が張り裂けそうになり、ペットロスになることへの不安を感じているオーナーさんも多いと思います。

しかし、愛ブヒが「幸せな犬生だった」と思いながら虹の橋へと駆け上っていけるよう、目を背けずに覚えていてほしいことをお話しします。

フレンチブルドッグ,しつけ


虹の橋へ渡る日は必ずやってくるから、覚えていて

虹

PongMoji/shutterstock

 

近年、ペットロスの話題がとても注目されています。

 

言うまでもなく、愛ブヒは何ものにも代えがたい大切な家族。オーナーさんが一緒に暮らす愛ブヒを失ったときには、身を引き裂かれるような苦痛を伴うことでしょう。

 

人間ほど長く生きられない愛ブヒたちですから、オーナーさんの多くが、愛ブヒを見送る立場になることは避けられません。

 

しかし、最愛の彼らを見送るその前に、私たちには出来ることがたくさんあります。


 

ペットロスでは、オーナーさんの心のケアの話題ばかりになりがち。

 

もちろん、愛ブヒを失った後のことも大切です。

 

しかし、何より大切なのは“愛ブヒが生きている間に何ができるか?”ではないしょうか。

 


一片の後悔も無い、なんてことは難しいかも知れません。

 

しかし、少しでも後悔を減らし、生きている間の愛ブヒの笑顔を増やすために、私たちは以下のことが出来るのではないでしょうか?

 

愛ブヒの1日は、人間の5日ぶん

フレンチブルドッグ

tsik/shutterstock

 


愛ブヒの寿命は我々の数分の1の長さ。愛ブヒの1日は、人間の約5日と言われています。

 

その短い犬生にかかわらず、愛ブヒたちは毎日楽しい遊びを探し、美味しくご飯を食べ、四季を感じながら、1日1日を大切に生きています。

 

それに比べ、私たち人間はどうでしょう? 

 

愛ブヒとの1日を、大切に過ごせているでしょうか? 


 

私たち人間は、いろいろなことに慣れてしまう生き物。

 

楽しかったはずのお散歩がマンネリになったり、忙しいときに「遊ぼう!」とせがむ愛ブヒを、わずらわしく感じてしまう時だってあるかも知れません。

 

オーナーさんが楽しいときには一緒に笑い、オーナーさんが涙するときには、そっと横に寄り添ってくれる……。

 

そんな愛ブヒの存在を、当たり前に思ってしまうことも。

 

しかし、数十年先には、愛ブヒはあなたの横にいません。もっと早く、お別れの日が来ることだってあり得ます。

 

ふと過ぎてしまった今日という1日に、後悔はありませんか? 

 

もし明日、突然愛ブヒを失うことになっても「最期の日も、素敵な過ごし方が出来た」と思える自信はありますか? 

 

愛ブヒと充分に遊び、充分に触れ合い、充分に一緒の時を過ごし、充分に心身のケアを出来たでしょうか? 

 

「もっと遊ぼう♪ もっと一緒に過ごそう」とオーナーさんに訴えかける彼らの心と、正面から向き合えたでしょうか? 

 

後悔しても、
愛ブヒを喪ってからでは手遅れです。

 

だから、愛ブヒとの1日1日を大切に生きましょう。最愛のパートナーを喪う恐怖に怯えるよりも、今日を笑顔で満たしていきましょう。

 

「まだ生きているよ!」を忘れないで 

フレンチブルドッグ

Larissa Chilanti/shutterstock

 

ペットロスとは、愛犬を亡くした後になるだけではありません。

 

愛ブヒが重い病気にかかったり、高齢になってきたり、介護が続くことで、近い将来に愛ブヒを喪いそうな恐怖やストレスでペットロスになる人もいます。

 

その気持ちは、とても良くわかります。最愛の家族が消えてしまうことを想像しただけでも、平常心を保つのは難しいですよね。

 

しかし、そんなときにオーナーさんに覚えていてほしい心構えがあります。

 

それは、「僕は(私は)、まだ生きているよ!」と言うこと。

 

ブヒたちがどのように未来のことを考えているかはわかりません。

 

しかし、彼らは“今”を一生懸命に生きています。

 

“未来”に訪れる死の恐怖で、今の時間を無駄にしません。

フレンチブルドッグ

Job Narinnate/shutterstock

 

ここで
ある愛ブヒオーナーさんの話を紹介します。

 

そのオーナーさんは、愛ブヒの病気が重いと告知されてから、毎日泣き続けたそうです。

 

介護をしながらも「もう死んじゃうの…?」と思うと、涙が溢れてしまいます。

 

そんなとき、身体を起こすのも辛いはずの愛ブヒが、きまってオーナーさんの手を優しく舐めてくれたそうです。

 

震える身体で一生懸命、自分を舐め続ける我が子の姿に、オーナーさんはハッと気づきます。

 

「私がこの子を悲しませちゃダメだ。今も生きてくれているこの子に、少しでも幸せになって欲しい!」と。

 

それからというもの、オーナーさんは愛ブヒが亡くなるまで、その子の前では絶対に泣かなかったそうです。


 

人間は未来を考えて、不安にとらわれてしまうことがあります。

 

しかし、愛ブヒは未来のことがわからないので、悲しそうで辛そうな今のオーナーさんの表情だけが伝わってしまいます。

 

「なんでオーナーさんは、僕を見て悲しい顔をするの?」と、愛ブヒを悲しませてしまったら、それはもっと辛いことですよね。

 

愛ブヒは、いつも大好きなあなたのことを見ています。

 

悲しいときには泣いたって良い。辛いときには、愚痴を言ったって良い。

 

ただ、“今”はまだ生きてくれている愛ブヒには、オーナーさんの悲しい顔よりも、少しでも多くの笑顔を見せられたら良いですよね。

 


愛ブヒを残して自分が先に逝く備え……出来ている?

フレンチブルドッグ

Aleksandra Baranoff/shutterstock

 

愛ブヒを喪う時のことを考えることも大切ですが、“愛ブヒがオーナーさんを喪う時のこと”も考えておく必要があります。

 

現在、飼育放棄の一つの原因となっているのが、オーナーさんとの死別。

 

年齢に関わらず、どんな人間にも突然、死は訪れる可能性があります。

 


昔の日本のように大家族で犬を飼っているならば、急に家族の1人が亡くなっても、残された家族で愛犬を支え続けられたかもしれません。

 

しかし、現代では核家族や単身者も多く、オーナーさんが亡くなった時の愛ブヒへの影響は、非常に大きいと言われています。

 

オーナーさんに、もしものことがあったら…愛ブヒにはどうすることも出来ません。

 

オーナーさん側も、自分のせいで愛ブヒを助けられない状況に陥ったら…どんなに悔やんでも悔やみきれませんよね。

 

ですので緊急時に備えて、愛ブヒをお願いできる後見人を探しておきましょう

 

親族でもご友人でも構いません。愛ブヒを守るには、仲間が必要なのです。

 

そして後見人とはまめに連絡を取り合い、家族ぐるみで付き合い、日頃から愛ブヒに慣れておいてもらいましょう。




 

多頭飼いの場合は? 残った同居犬になにをしてあげられるか

フレンチブルドッグ

Rachata Teyparsit/shutterstock

 

多頭飼育のご家族で、そのうちの1頭が亡くなった時、残された同居犬たちにはどうしてあげたら良いのでしょうか?

 

同居犬の死を体験したブヒにも、いろいろな反応があります。

 

例えば、亡くなった犬のそばから離れないブヒもいますし、あっけらかんとオヤツをもりもり食べるブヒもいます。

 

オーナーさんを独り占めできて、前よりも活き活きするブヒだっています。ブヒのリアクションは、その子によってそれぞれです。


 

ブヒたちが同居犬の死をどのように理解しているのかは、誰にもわかりません。

 

ブヒたちに、人間のような“ペットロス”があるのかも定かではありません。

 

しかし、少なくとも、いつもいたはずの犬が居なくなった分、日常に変化は起こり、残ったブヒにも何かしらの影響は出るでしょう。

 

その影響がなるべく大きくならないように、オーナーさんが“生きているブヒの生活の質を守ること”が大切です。

 

家族を亡くすことは、尋常でない苦痛を伴います。今までと、まったく同じ日常を維持することは、至難の業。

 

しかし、お話したとおり、今生きているブヒには、充実した1日1日を送ってもらう必要があります。

 

オーナーさんは出来る限り、今までと変わらぬ日常生活のリズムを守ってあげてください。

 

こんなときは専門科に相談

フレンチブルドッグ

aslysun/shutterstock

 

どんなに心構えをしても、家族を喪ったとき、その悲しみを0にすることは出来ません。

 

そして、悲しみの感じ方や悲しみとの付き合い方も、人それぞれです。

 

一言にペットロスと言っても、時間とともに回復していく人もいれば、日常生活が送れないほどに心身が追い詰められてしまう人も。

 

「たかがペットロス」とか、「立ち直らなきゃいけない」といったふうに、自分を追い詰める必要はありません。

 

もし日常生活が困難になったり、体調不良になるようであれば、すぐにメンタルヘルスの専門家に相談しましょう。

 

一緒に生きよう。一緒に笑おう
。

フレンチブルドッグ

Galina Kovalenko/shutterstock

 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

 

愛ブヒを喪う話をすると、どうしても悲しくなってしまうので、読んでいて辛くなってしまった方もいるかと思います。ごめんなさい。

 

とはいえ、
私がドッグトレーナーとして、数百ものご家族様と過ごす中で感じたことがあります。

 

それは、“オーナーさんが愛ブヒを見送れたのなら、良かった”と言うこと。

 


考えても見てください、あなたが先に逝ってしまって、愛ブヒが残される立場だったら…。

 


かつて病床で「先に逝っちまうことになってゴメンな」と泣くオーナーさんの言葉を聞きました。

 

オーナーさんにとって、どれだけ悔しかったか。悲しかったか。

 


愛ブヒにオーナーさんを見送らせるのではなく、あなたが愛ブヒを見送ってあげられたのなら、それは素晴らしいことではないでしょうか。


 

もしものことは誰にもわかりませんから、前述のように、愛ブヒを守るために備えをすることは大切です。

 

しかし、なるべく最期まで、笑顔で愛ブヒと暮らすためにも、どうかオーナーさん自身がお元気でいてください。

 

そして1日でも、愛ブヒより長く生きましょう! 

 

PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純

PERRO株式会社 代表取締役 
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。

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