【取材】もうすぐ14歳。耳が遠くなっても「2人だけのサイン」で心を通わす日々。#35リンメイ
10歳を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench Bulldog Life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。
今回お話を伺ったのは、13歳11ヶ月(取材時)になるリンメイちゃん。普段は穏やかでおっとり、でも食べ物を見ると豹変するという食いしん坊女子で、相棒である16歳のミックス犬・くまこちゃんとともにマイペースに暮らしているそう。年齢を重ねることで起きる様々な変化をママさんのアイデアで乗り越えていく彼女の日々に迫ります!
目次
リンメイちゃんのプロフィール
年齢&性別
13歳と10ヶ月女の子
体重
10kg(全盛期の体重は15kg)
大好きなこと
食べること、外出先でのランチ、カートやゴンドラ、リフトなどの乗り物に乗ること。
既往歴
・生後2ヶ月でアレルギーがあると判明。
・10歳の時に左前脚(人間でいうところの手の甲辺り)を骨折。テーピングで約1ヶ月安静に過ごす。
・2020年6月に突然倒れる。当初てんかんと診断されるも、それ以来度々呼吸が荒くなることがあったため再検査を受け、心臓肥大の兆候が判明。倒れたのはてんかんではなく心臓発作なのではないかと推察。
自分の分身のような存在との暮らしは「ママの密かな計画」から始まった!
愛ブヒに対して「我が子」という感覚を持つオーナーさんは多いけれど、リンメイちゃんとママさんの関係はそれとは少し異なります。
例えるなら、まるで双子の姉妹のような雰囲気。傍目にも“種族は違えど瓜二つ”に見えるリンメイちゃんとの出会いとは?
「20歳の時にCMで見た犬に魅了されて、それから犬種や性格などを調べてフレンチブルドッグだと知りました。
“絶対フレブルと暮らしたい”と決めたものの、家族に反対されたらどうしようと思い、お金を貯めてこっそり迎えることにしたんです(笑)。
そんな時、通りかかったペットショップで「お探しの犬種の子犬探します」という張り紙を見て、雑誌『BUHI』を片手に白黒のこんな子を探してくださいと。
そしたらパイドの女の子が生まれたと連絡が。
最初写真を見たときはすごく目が離れていて、“え、ちょっと待って、おブスすぎる!”と戸惑ったものの、実際対面すると可愛くて」
こっそりお迎え作戦を遂行するため、ペット用品は迎えにいく途中で買い込んだそう。
「家に連れ帰ったらみんな驚きましたが、リンメイをひと目見るなり可愛い〜とデレデレに。作戦成功です(笑)」
当時、まだ若かったママさんにとっては、迎えた女の子は子供というより自分の分身みたいに思えたそう。
そこで、職場でママさんのアダ名だった「リンメイ」と名付けることに。
このアダ名は、同僚である中国出身の方がつけてくれたもの。ママさんの名前を中国読みにすると「リンメイ」だそうです。
こうしてリンメイちゃんとの生活がスタートしました。
アレルギーを発症!避妊手術でまさかのトラブル
スクスク成長するリンメイちゃんですが、迎えてしばらくするとアレルギーがあることに気づいたそう。
「アレルギーは突如赤い発疹が出て気づきました。
その後受けた避妊手術で傷を縫合する糸にアレルギー反応を起こし、傷が塞がらず腹水が溜まってしまって。
結局アレルギーが出にくい糸で再縫合したら落ち着いたのですが、その時に“これは命に関わるぞ”と思って詳細なアレルギー検査を受けました」
以降はアレルゲンとなる食材や物質に気を使い、食事はキャベツ、サツマイモ、里芋、インゲンなどを煮込んだものをドライフードにかけ、ささみや馬肉をトッピングしているそうです。
「また、昔から肝臓が昔弱いため脂質を控えるように言われてるので、ドライフードも低脂質のもの、お肉もヘルシーな肉をチョイスしています。
肝臓が悪いと膵炎になりやすいらしく、本来なら肝臓サポート用のフードをあげたいけれど、そのフードにアレルギーがあるので色々考えて今の食事に落ち着きました」
それはまるで終わらない女子会。女同士の旅の記憶と記録
週末のお出かけのみならず、温泉へのふたり旅など、リンメイちゃんとたくさんお出かけを楽しんできたママさん。
「リンメイが小さな頃はあまり行ってなかったのですが、一緒に過ごすうちにやりたいことが増えてきました。
彼女が5歳の時に私が転職し、周囲に犬を飼っている同僚が増えたことがきっかけで一緒に犬連れで出かけるようになったんです。
一緒に出かけることが増えると、私ひとりでも行けると自信がつき、7〜8歳頃から“次の休みの日はどこに行こうか”と計画して頻繁にお出かけするようになりました」
過去には“10歳まで元気でいてくれてありがとう記念”で、リンメイちゃんとママさんふたりで鬼怒川温泉の旅館に泊まったこともあるそう。
「ですが、じつはリンメイは自宅大好きっ子。
お出かけを楽しむものの、泊りがけだと夜にソワソワし始めるので、お泊まりはあまりしなくなりました。
今は無理のない範囲で一緒に出かけられたらと思っています」
10歳頃から耳が遠くなり新たな「合図」を導入!
散歩があまり好きではないというリンメイちゃんですが、10歳を過ぎた頃から耳が遠くなるなど、さまざまな変化が起こってきたそう。
少しずつ訪れ始める老化の兆しにママさんがしたことは...。
「白内障から始まり、次に耳が遠くなりました。
耳は呼びかけたときの反応が悪いと感じて気づいたんです。
私は可愛いね、お利口だねなど、リンメイに声をかけるのが日課で。
リンメイもそれを喜んでくれていたのですが、私の声が届きにくくなったことで最初は戸惑いが。
彼女からすると、聞こえないのではなく“私が話しかけなくなった”と思ったようで、褒められるのが大好きな子なのに、寂しそうな姿が切なくて」
何とか今まで通り意思疎通したいと思ったママさんが考えたのが、言葉に身振り手振りをつけることでした。
呼ぶ時は背中をトントンと優しく2回叩く、行きたい方向は指差しで教えることに。
「するとリンメイの顔つきが明るくなって、私の言葉が聞こえずに途方にくれることがなくなったんです!
今はお互いこの合図に慣れてきて、リンメイも私がトントンすると、その仕草や身振りをしっかり見つめるまでになったんですよ」
自宅&ご近所で楽しめるよう作り出したアレコレ
互いの意思疎通を取り戻したママさんは、リンメイちゃんのために自宅の改造にも着手します。
「リンメイは、お散歩は嫌いだけどトイレは外派。
10歳の時に左前脚を骨折したこともあり、リンメイや同居犬・くまこの老化を感じ始めてからは、自分で自宅の庭をシニア仕様に改造しました。
芝生やスロープを取り入れて安全に日向ぼっこや外トイレができるようにし、野菜好きなリンメイのために家庭菜園を始めるなど、自宅で一緒に楽しめる空間に。
彼女も大きく育った野菜をサラダバーみたいにムシャムシャ食べていたり、ゴーヤを一緒に収穫したりと、自宅で自然を満喫できるのが嬉しいみたいです」
とはいえ、最近までは将来を考えて、できるだけ歩かせるように気をつけていました。
「今は後ろ足が弱くなってしまったので、お散歩は近所の無人販売所まではカートに乗せて。
帰り道は購入した野菜をカートに乗せて、リンメイを歩かせるのがお約束。
野菜を買ってもらえたのと家に帰れるのでルンルンで歩きます」
少しずつ始まる介護生活もアイデアで乗り越える
最近は転ぶことが増え、オムツデビューもしたそう。そんな介護生活にもママさんのアイデアが光ります。
「以前は私が起きるまで寝ていましたが、今は朝5時半くらいに起きて“ご飯くれ”と催促します(笑)。
早朝に起こされるのは眠いけれど、それ以上に今日も元気に目覚めてくれてありがとうって感じる方が大きいです。
食欲が旺盛なのもありがたいことなので、呼ばれたらご飯を食べさせ、再び寝る生活に。
ご飯は朝と夜の2回ですが、一気食い防止のため、1回のご飯をワンコそば式で3回程度に分けてあげています。
そして転んだ時に痛くないように家中の床にクッションマットを敷き、寝るときも今までは一緒にベッドで寝ていたのですが、最近は安全のため布団に変えて並んで寝るように」
排泄についても老化が出始め、“ウンチしたいよ〜”とママに訴えに来るけど間に合わず、そのまま床にポトリとしてしまうことも。
「そんなときはリンメイが気にしないよう笑顔で“いいんだよ〜”と声をかけます」
お座りやおまわりなども、ボケ防止のために毎日やっているそうです。
もしもの時の覚悟と最後の願い
13歳で発覚した心臓肥大。今は落ち着いているそうですが、今後何かあっても心臓病があるため手術は避けたいと考えているママさん。
年齢が年齢だけに今後のことについて考える事もあるそうで...。
「別れのことは考えたくないけれど、年齢を考えたら覚悟をしておかないとと思います。
実際に覚悟は結構できていて、リンメイをただ苦しくも痛くもない状態で送り出すことが願いです。
目標はリンメイの最期の瞳に私の笑顔がうつっていること。
だからその瞬間まで、しっかりお世話をしたい。
もちろんまだまだ一緒に過ごしたいので、7歳からは年に1度、10歳以降は半年に1度健康診断を受けています。
また、アレルギーのため毎月診察へ行っていますが、その都度ささいなことでも気になることがあると聞くようにしています。
できることはしてあげたいし、やった上で別れの日が来たら笑顔で送り出す。
これが私からリンメイへの約束なんです」
リモート取材の画面に映る、ママさんの隣で眠るリンメイちゃん。
「誰とお話ししてるの?」と起きた彼女は、なんだかママさんとそっくりで、本当に姉妹のように感じました。
「これからは穏やかにゆっくり、リンメイが大好きな家で一緒に過ごしたい」と語るママさん。
様々なアイデアでシニアライフを満喫する双子のような関係は、フレブルオーナーの新たな理想となりそうです。
取材・文/横田愛子
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