あなたの愛ブヒの“血液型”は?突然の事故や病気に備え、知っておきたい『血液型の話』
みなさんは、愛ブヒの血液型を知ってますか? 突然の事故や病気のため、輸血が必要になることも……。そんなとき、オーナーさんが愛ブヒの血液型を事前に知っていれば役立つことがあるかもしれません。
杉並区にある『ガイア動物病院』院長・松田先生が、フレブルの血液型と輸血について教えてくださいました。
目次
血液型は犬種によって偏りがある

ガイア動物病院院長・松田先生
皆さんはご自宅のワンちゃんの血液型を知っていますか?
また、どの血液型からなら輸血してもらえるのか知っていますか?
近頃は輸血を行う動物病院も多くなって、健康診断の際に血液型検査をお勧めされたという話をよく聞くようになってきました。
輸血をしないといけない状況は緊急の場合も多く、誰にでも起こり得る事です。
前もって愛ブヒの血液について知っておくことで、そんな緊急の状況でも落ち着いて判断できるかもしれません。
じつは犬種によって、血液型には偏りがあります。それならフレンチブルドッグさんは何型が多いのかも知りたいところですよね。
今回はちょっと難しい話になるかもしれませんが、実際の現場でのお話を交えつつ解説していこうと思います。
ワンちゃんの血液型は『DEA式』

Malikov Aleksandr/shutterstock
ヒトの血液型はABO式やRh式ですよね。
それと同じようにワンちゃんの場合はDEA式(Dog Erythrocyte Antigen:犬赤血球抗原)と呼ばれるもので分類されます。
細かいことを言うと、DEA1・DEA3・DEA4・DEA5・DEA7……とかなりの種類が存在します。
ただ、輸血を行う上で悪い反応の原因になりやすいのが「DEA1」というもの。
あまり重要でない血液型まで1つずつ調べるのはあまりに効率が悪いので、多くの場合、一番重要な「DEA1」を持っているかいないかだけ調べているのが現状です。
さらに簡略化して、
・「DEA1」を持っている場合を(+)
・「DEA1」を持っていない場合を(−)
と表現することがほとんどになります。
プラス(+)とマイナス(−)には相性がある

Amornpant Kookaki/shutterstock
ヒトの場合、A型はB型からの輸血はできないけどA型とO型からなら大丈夫…とか複雑なルールがあります。
ワンちゃんではそこまで複雑ではありませんが、混ぜるとよくない組み合わせが1つだけあります。
簡単に言ってしまうと、「(−)のコが、(+)の血液をもらう場合は注意が必要」ということ。
(正確に言えば、血液型は他にもあるので気をつけるべきところはこの限りではないのですが…)
逆に言えば、これ以外の組み合わせは問題のない場合がほとんどです。
図で表すと、このような組み合わせになります。
ここで△とした理由はまた後ほど説明いたします。
フレブルに多い血液型は?

shutterstock/shutterstock
日本人の血液型はA型が多いですよね。それと同じように、ワンちゃんの血液型でも偏りがあります。
ワンちゃん全体の大体3/4がプラス(+)、1/4がマイナス(−)だと言われていますが、
ミニチュアダックスフンド、チワワ、柴犬はプラス(+)が多い犬種。
ウェルシュコーギー、ボーダーコリーはマイナス(−)が多いと言われています。
では、フレンチブルドッグはどうでしょう?
実は、断然マイナス(−)が多いというデータがあります。(もちろん、中にはプラス(+)のフレンチブルドッグもいます!)
という事は、多くのフレンチブルドッグはマイナス(−)のワンちゃんからしか血液をもらうことができないの?
そんな事はありません。
理論上は、初回に限り悪い反応は起きないと言われています。
輸血が必要な状況というのは、かなり緊急の場合も多いですよね。
たまたま病院にプラス(+)の血液しかない場合や、知り合いの中にもプラス(+)の血液のコしかいないこともしょっちゅうあります。
検査をしている時間がもったいないくらいの状況だってあるでしょう。
1分1秒が命に関わる状況であるなら、たとえ血液型がプラス(+)であっても輸血しなければならない場面は多々あります。
そして、それで命が救われるコはたくさんいます。
とは言え、血液型は相性の良い型同士で行うべき

chaowalit jaiyen/shutterstock
しかし本来なら、マイナス(−)のコにはマイナス(−)の血液を入れてあげるべきです。
それは、もし今後同じように輸血が必要な場面になった場合、悪い反応が起こる可能性が高くなるから。
2回目以降、合わない血液を入れた場合は少なくとも15%の確率で重い副反応が出ると言われています。
中には何度も輸血を繰り返さないといけないような病気があることも忘れてはいけません。
これがさっきの表で△とした理由です。
マイナス(−)のコにプラス(+)の血液を輸血できないわけでは無いけれど、ちょっと問題があるということです。
マイナス(−)の血液は損?

Lesya Pogosskaya//shutterstock
損か得かで話すような内容では無いのですが、血液型がマイナス(−)だからといって損だとは言えません。
血液をあげる側になって考えてください。
マイナス(−)の血液の場合、相手の血液型がどちらであっても輸血に用いることができます。
誰かが困っているときにはすぐに駆けつけることができるのです。
血液型の調べ方

Kachalkina Veronika/shutterstock
血液型は、とっても簡単に調べる事ができます。
動物病院で「血液型を調べたい」と言えば大丈夫。
調べるには採血をする必要があるため、「わざわざそのためだけに針を刺されるのがイヤ!」という場合は、健康診断のついでにやるといいでしょう。
気になる費用は……病院によって大きく異なってくるのではっきりしたことは言えませんが、1万円以内でやれるところがほとんどかと思います。
もしも愛ブヒに輸血をするなら…フレブル以外の犬種からでも大丈夫

Alla_Che/shutterstock
以前「なるほど」と思った話があります。
あるワンちゃんに輸血が必要となり、いざやろうとしたときに、
「うちのコと同じ犬種の血液の準備があるんですか?」と聞かれたんです。
オーナーさんはきっと、「同じ犬種じゃないと適合しない」と思ったのでしょう。
確かにいくつかの犬種は、その血が輸血に使うには適さないと言われることはありますが、基本的に他の犬種からの輸血でも問題ありません。
日本人だからと言って日本人の血液しか入れられない……というわけではありませんよね。
最後に

135pixels/shutterstock
犬の血液型を調べられるようになったときは、とても画期的でした。
輸血を行う前の安全確認が、より詳しくできるようになったからです。
ただ、血液型が全てではありません。
生き物の体の中では血液型以外の複雑な条件が絡み合っています。それは、実際に輸血をやってみないとわからないことでもあります。
「実際に輸血を行ったときに何が起こるか」を体の外で調べる検査をクロスマッチ試験と言います。
これは、簡単に言えば、2つの血液を混ぜてどんな反応が起こるかを確認する検査。
血液型が同じでも、このクロスマッチ試験ではダメなことだってあるんです。
つまり、血液型だけに振り回されないことも大事なんですね。
多くのワンちゃんが救われるよう、祈っております。
【病院DATA】
ガイア動物病院
〒167-0022 東京都杉並区下井草1-23-2
電話番号:03-5311-1250
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