2021年2月10日10,738 View

ケージは「愛ブヒの命を守る道具」です!置き場所は?広さは?いつまで必要?ケージのあらゆる疑問に答えます

国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒと固い信頼関係を築く方法を学ぶのがこの特集です。今回は“ケージ”について。「ケージなんてなくてもよくない?」と思っていたら、大間違い。たとえ成犬でもケージが必要な理由からその活用方法、最適な設置場所などについてレクチャーします。

フレンチブルドッグ,しつけ

そもそもケージって必要なの? 

フレンチブルドッグ

chaowalit jaiyen/shutterstock

 

ケージについては「必要なし! 自由にさせればいいじゃない」とか、「いたずらしないようにしっかり閉じ込めなきゃ」とか、いろいろな意見があるようです。

 

いったいケージを使う目的とはなんなのでしょうか? 

 

それはズバリ、“愛ブヒの安全を守るための部屋”です!

 

例えば、初めてブヒを家に迎えた家族が、いきなり家の中でブヒを放し飼いにしたら、どうなるでしょうか?

 

すでにブヒを育てたことがある方なら想像がつきますよね?

 

床に落ちているものをなんでも口に入れてしまうし、下手をすれば飲み込んでしまって大惨事。

 

トイレだってまだ分からないので、あちこちでジャーッ! と失敗するでしょう。

 

だってまだ家の中のレイアウトが、そのブヒに合わせた仕様になっていないのですから。

 

特に、初めて犬を迎えたオーナーさんの場合、どんなに頑張ってセッティングしたつもりでも、まだ“人間が過ごしやすい部屋”。

 

“犬にとって安全な部屋”にはなっていません。

 

いきなり家中でフリーにするのは、危険でいっぱいです。

 

ケージを活用して自宅を「愛ブヒ仕様」にアップデートしよう! 

フレンチブルドッグの仔犬

Tienuskin/shutterstock

 

では、家に迎えたブヒの安全を守るために、どのようにケージを活用すればいいでしょうか? 

 

(1)まずは愛ブヒ専用の安全なお部屋としてケージを用意。

 

(2)オーナーさんが目を離すとき、留守にするときは愛ブヒさんはケージにイン。

 

(3)オーナーさんが見守っていられるときには部屋で自由に動き回ってもらいましょう。

 

愛ブヒは、ケージから出て自由になると、部屋中を探検しながらイタズラをしてくれます。

 

そのイタズラから「危ないからここの置物は片付けよう!」とか「この棚は届いてしまうから移動しよう!」と、安全対策を教えてもらうのです。

 

(4)(1)〜(3)を繰り返し、何ヶ月もかけて愛ブヒが安全に過ごせる室内を作ってください。

 

試行錯誤しながらレイアウトを変えていった家は、1年も経つと“犬にとって安全な部屋”へと変貌を遂げていることでしょう!

 

ケージってずっと必要なの? 

フレンチブルドッグ

Irina Kozorog/shutterstock

 

安全な部屋を完成できたなら、ケージを取っ払って家中フリーにしてもOK。もちろん、そのままケージを活用してもOKです。

 

しかし、家族に高齢者や小さな子供がいて、愛ブヒが誤飲すると危険なものを床に置いたままにしてしまうようなら、ケージがあったほうが安全。

 

また、赤ちゃんや他の動物と暮らしている場合も、愛ブヒから目を離すときにはケージインを。

 

要するに

・愛ブヒにとって安全な家が出来上がるまでは、ケージが必要。

・愛ブヒから目を離すと危険な家庭環境では、ケージが必要。

ということです。

 

ケージは安全確保のために使う、命を守る道具です。

 

ぜひ愛ブヒのためにお役立てくださいね。

 

また、安全な部屋が完成するまでは、ケージの中にいる時間も出てきてしまうぶん、おもちゃで遊んだりたっぷりお散歩をしたり、積極的に一緒の時間を過ごすよう心がけてください。

 

ケージを置く場所ってどこがいいの?

フレンチブルドッグ

Bussakorn Ewesakul/shutterstock

 

では、ケージはどこに置くのがベストでしょうか。以下の3点を考慮して設置場所を選んでください。

 

(1)温度・湿度が快適な場所を選ぶ

家中を自由に動けるのであれば、暑い時や寒い時に愛ブヒ自身が居場所を変えられますが、ケージだと愛ブヒが自分で快適な環境を選べません。

 

温度や湿度はもちろんのこと、風の当たり方や日差しの入り方なども気をつけましょう。

 

特にブヒは暑さに要注意。ケージのそばに温度湿度計を設置するのもいいでしょう。

 

(2)動線を避ける

玄関や部屋の扉のそばなど、人間の動線となる場所は、犬が落ち着かないので避けてください。

 

音や目に入る刺激なども、少ないに越したことはありません。

 

とはいえ、極端に誰もいない、何も聞こえない場所だとあまりに孤独。

 

家の広さによっては、ケージは1つだけじゃなく、リビングと寝室それぞれにケージを置くのもいいでしょう。

 

(3)愛ブヒの様子を日々観察し、必要であれば場所を変更する

私達人間が、どんなに頭で考えても、ケージを置いた場所が愛ブヒにとって落ち着く場所とは限りません。

 

なぜなら、愛ブヒには、私達の耳では聞こえない音、分からない刺激も感じるから。

 

愛ブヒの様子をしっかり見て、ソワソワしていたり吠えたりなど、ゆったり過ごせていない場合には、ケージの置き場所を再検討してください。

 

オーナーさんもケージで1泊してみよう

フレンチブルドッグ

VDB Photos/shutterstock

 

愛ブヒに良い場所を提供するために、ケージを置こうと思っている場所にブランケットでも敷き1泊してみるのはいかがでしょう。 

 

1日そこにいると、太陽光がどう入ってくるとか、エアコンがどう当たるとか、どんな物音がするとか、新発見がありますよ。

 

愛ブヒをケージに招待する前に、まず自分の目で耳で体で、場所の下見をすること。

 

そうすればスマートなオーナーさんになれますね。

 

ケージの広さはどれくらい必要?

フレンチブルドッグ

Kachalkina Veronika/shutterstock

 

ケージは、ブヒにとって必要最低限のスペースがある家。例えるなら、一人暮らしのマンションです。

 

であれば、トイレ、ダイニング、寝室が必要。

 

ブヒの大きさにもよりますが、サークルの中に以下3つが確保できる大きさです。

 

(1)ワイドサイズのトイレトレー1つ。

(2)水の皿を置き、ご飯を食べたり知育玩具で遊んだりするダイニングスペース。

(3)クレートやドッグベッドを置く寝室。

 

「思ってたより少し大きいな」と思う方もいるかも知れません。

 

最近は超小型犬が多いからか、ペットショップなどでもトイレ程度にしかならない小さなケージが多く売られています。

 

しかし、これら3つのスペースが十分取れることが最低条件です。

 

「犬はケージの中だけで飼える」という馬鹿げた都市伝説

フレンチブルドッグ

photostocklight/shutterstock

 

このコラムを読んでくださるような意識の高い愛ブヒ家の皆さんには関係のない話かもしれませんが、最近「ケージの中だけでも犬は飼える」という話を耳にします。

 

こんな都市伝説はもちろん、全くのウソ。

 

人間だって、1日中狭い部屋に閉じ込められたままでは、体は生きているかもしれませんが心が死んでしまいますよね。

 

犬もケージの外で家族と過ごしたり、おもちゃで遊んだり、毎日散歩する時間が絶対に必要です。

 

お留守番が長いご家庭の場合、安全確保のためにケージに入れるのは間違いではありません。

 

しかし、ケージが便利になってしまって、ただの愛ブヒを閉じ込める部屋と化しては、ブヒの心が壊れてしまいます。

 

ブヒの安全のための道具が、人間の都合だけの道具になってしまうのは悲しすぎます。

 

日々の留守が8時間を超えるご家庭は、ケージに入れる対処だけでなく、ペットシッターやデイケア施設などの活用も検討してみましょう。

 

こんなときは専門科に相談

フレンチブルドッグ

kuban_girl/shutterstock

 

ケージの選び方や置き方は、家ごとに家族構成、愛ブヒの状態などによって100万通りの選択肢があります。

 

初めてブヒを迎える方、飼育経験はあっても不安がある方は、どんどんプロに相談しましょう。

 

例えばドッグトレーナーは、犬の問題行動だけを仕事にしているわけではありません。

 

愛犬を迎えるご家族様と一緒に、お迎えの準備やアドバイスもしています。

 

ドッグトレーナーに依頼をする場合も、複数人と面談するようにしましょう。

 

そして、そのトレーナーが、生活環境の設定に関しての知識と豊富な経験を持っているか、学術的、科学的知識をもって動物福祉と動物への倫理に基づいた指導を安全に行える人材かどうか、オーナーさんが確認をするようにしましょう。

 

PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純

PERRO株式会社 代表取締役 
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。

 

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