2021年7月2日1,885 View

え…社会化したのにイイコにならない!? よくある「社会化の勘違い」とは 【社会化を学ぶ Vol.1】

国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。実はかなり多くのオーナーさんが勘違いしている、分かっているつもりで間違いを犯しやすいのが“社会化”なんです。そこで正しい知識を学ぶべく、今回から数回にわたりシリーズでお伝えしていきます。

フレンチブルドッグ,しつけ

社会化したのにイイコにならない!? それ、社会化を勘違いしていない? 

フレンチブルドッグ

WildlifeWorld/shutterstock

 

10年ほど前に比べると、“犬の社会化”という言葉はずいぶん認知度が高まりました。

 

それに比例するように、社会化に積極的に取り組むオーナーさんも増え、パピークラスに通ったり、ワクチン終了前でも子犬を抱っこで散歩することが当たり前に。

 

しかし同時に「子犬の時期に、たまに抱っこ散歩していたのに、うちの子はなぜビビリのままなの?」とか、「数回パピークラスに通ったのに、なぜ他の犬と仲良く出来ないの?」などと首をかしげる人も少なくないようです。

 

そこで今回は、勘違いされがちな“社会化”について、今一度正しく学んでいきましょう。

 

犬の社会化ってなに?

フレンチブルドッグ

Marina Kadyrova/shutterstock

 

まずは社会化とはなんなのか、改めてその意味を確認しておきましょう。

ある本によると

 

<社会化とは、犬たちが生きていく中で出会う人、犬、場所、音などの刺激に、犬自身が自信をもって恐れることなく接することができるように、オーナーさんが手助けをするプロセスのこと> 

 

…うーん、これだけだと教科書的でわかりづらい。

 

そこで、“掃除機”を例にして考えてみましょう。

 

掃除機が苦手なブヒは多いもの。

なぜなら本来、ブヒの世界に掃除機なんてありませんから。

 

苦手なのも無理はないのです。

 

しかし苦手なままだと、犬生でブヒがストレスを感じる場面が出てきます。それだと辛いですよね。

 

ブヒは様々な経験をするうちに“苦手なもの”が出てきます。

 

しかし、子犬の頃はまだこの世界のものをよく知りませんし経験もありません。

 

ですから掃除機のことも“好き”“嫌い”ではなく、“よくわからないもの”に分類しています。

 

だからこそ子犬のうちに掃除機とのいい経験をして「掃除機は、ぼくに危害を加えるものではないみたい。怖がらなくても大丈夫そう♪」と自信を持ってもらうことが大切なのです。

 

これが社会化。

 

子犬を迎えたら少しでも早く、走り回る子どもや、男性の低い声、工事現場や電車の音、ドライヤーやブラシ、オーナーさんの声やなでる手、抱っこなど、ありとあらゆるものに社会化をしていく必要があります。

 

つまり、社会化をする対象は、“愛ブヒが人生で出会うものすべて”だと思ってもらえばOKです。

 

社会化期にたくさんの経験を

フレンチブルドッグ

oriental/shutterstock

 

子犬には、社会化されやすい“社会化期”と呼ばれる成長段階(文献によって前後しますが、おおよそ生後1〜4ヶ月頃)があると言われています。

 

現代ではこの時期を考慮して「子犬の頃に少しでも早く、たくさんの社会化の機会を持ちましょう」という話になっているのです。

 

言わずもがなですが、社会化期を過ぎたら一切社会化が出来ない…というわけではありません。

 

愛ブヒが未知のものに相対した時に、前向きに捉えられるようにサポートをしていくのは、生涯に渡ってオーナーさんの役割ですよ。

 

どうやって社会化をするの? ポイントは愛ブヒのペース

フレンチブルドッグ

Angyalosi Beata/shutterstock

 

社会化をすすめる時にオーナーさんが持っておくべきイメージがあります。

 

それが「無垢な愛ブヒ、これから私達がこの素敵な世界を案内するね。あなたの周りには素晴らしいもので溢れているよ。さあ、見て、嗅いで、体験してごらん。私達はいつだってあなたを守るからね」というもの。

 

世界で出会うものは、良いものだらけだという経験をさせてください。

 

そのために、徹底して“環境設定“をすることがオーナーさんの任務です。

 

例えば、他の犬への社会化訓練の際、愛ブヒを追いかけ回したりマウンティングをしてくるような犬ばかりだったらどうでしょう?  

 

それでは社会化どころか、犬を嫌いになる練習になってしまいます。

 

それだけでなく、「他の犬って怖いな。もしまた出会ったら、今度はぼくが先に吠えかからなきゃ!」と学習してしまうリスクも。

 

世の中には優しい犬もたくさんいます。よりによって、子犬が恐怖を感じる相手と出会わせなくても良いですよね。

 

つまり、出会ったものに対して嫌な印象を持つのか良い印象を持つのかは、オーナーさんの環境設定にかかっています。

 

子犬のペースを考えずに無理やり抱っこしたり、なでてくる人だって、社会化の相手としては不適切。

 

それを放置してしまったら、パワハラ、セクハラを見過ごすのと同じで、人間への印象が悪くなる上、オーナーさんの信頼もガクッと下がります。

 

オーナーさんは、我が子が世界に好印象を持つよう、相手選び、状況選びを正しく行ない、環境設定に全神経を集中させてください。

 

こんなときは専門科に相談

フレンチブルドッグ

Eve Photography/shutterstock

 

社会化の話に関わらず、子犬を迎えたら色々な壁にぶつかることがあります。

 

そんなときには、どうか一人で悩まないでください。愛ブヒの笑顔を守るため、専門家に相談しましょう。

 

「社会化で失敗したから、成犬ではもうどうにもならないの?」と聞かれることがありますが、諦めてしまっては愛ブヒの人生が救われません。

 

愛ブヒと皆さんを支えるプロは、日本中にいます。

 

ドッグトレーナーに依頼をする場合も、そのトレーナーが家庭犬の社会化に関しての知識を持っているか、家庭犬に関する行動修正の豊富な経験を持っているか、恐怖や苦痛を与えずに、学術的、科学的知識をもって動物福祉と動物への倫理に基づいた指導を安全に行える人材かどうか、オーナーさんが確認をするようにしましょう。

 

以上、今回は正しい社会化を学ぶための大前提となる“社会化って何?”についてお伝えしました。

 

次回からは、社会化の具体的なやり方についてお話させていただきますのでお楽しみに!

 

PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純

PERRO株式会社 代表取締役 
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。

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