Q なんだか鼻水が垂れているような…。犬も風邪をひくの?【ブヒの健康Q&A】
愛ブヒの健康こそ一番の願い。だから他人に「心配しすぎ」と笑われても、ちょっとした体調の変化にも心がザワザワ…。そんなオーナーさんも多いのでは? そこで今回より、「病院に行くまでもないかな…? でも気になる」といった症状について、獣医師の小泉しずかさんが解説する新連載『かゆいところに手が届く!ブヒの健康Q&A』がスタートします。あなたの“もうひとつのかかりつけ医”として、不安やモヤモヤを解消するお手伝いになりますように。
Q なんだか鼻水を垂れているような…。犬も風邪をひくの?
犬の鼻は通常、少し濡れていますが、鼻水が垂れているとなると心配になってしまいますよね。
「放っておいてもいいの?」それとも「病気の可能性もある?」と疑問が出てくるかと思います。
本記事では鼻水が垂れているときにチェックすべきポイントと、鼻水を起こす病気について解説していきます。
「鼻水が出ているから病気!」とは限らない

Vikafoto33/Shutterstock
犬の場合、鼻水は健康なときでも鼻の粘膜から分泌されています。人間のように「鼻水が出たから病気!」というわけではありません。
しかし、心配になるほどたくさん垂れているときは注意深く観察する必要が。愛ブヒが鼻水タラタラの場合、以下の3つに注目して観察してください。
(1)色や粘性がある?
透明でさらっとしている鼻水は、緊急性が低い場合が多いです。
逆に、血が混ざっていて赤い、ドロッとしていて黄色いなどは炎症を起こしている可能性が高いので、早めに動物病院へ行きましょう。
(2)長期間続いている?
散歩後すぐに治る場合や、1日だけなど短期間であれば少し様子をみてOK。
しかし元気がない、食欲がないなど他の症状も一緒に出ているなら要注意。他の症状の程度にもよりますが、3日以上続く場合や日々悪化傾向にある場合は、早めの受診をおすすめします。
(3)片側か両側か
一般的に片側だけの場合、腫瘍などの鼻腔内の病変が原因となっている可能性が高いです。
また両側でも鼻出血がある場合には、鼻以外の問題による病気も考えられるので、より注意が必要。
つまり、“透明でさらさらの鼻水が短期間であれば様子を見てOK”、しかし“食欲の低下など他の症状がある場合は早めに動物病院へ”と覚えておいてください。
なぜ鼻水が出るの? こんな病気の可能性も!

Patryk Kosmider/Shutterstock
では、鼻水が出る原因にはどんなものがあるのでしょうか。可能性は大きく分けて4つあります。
1.異物が入った
お散歩のときに植物を吸引してしまったり、嘔吐や食事の際、興奮で食べ物の破片が逆流し鼻腔に異物が詰まってしまうと鼻水が出ます。
犬が違和感を感じている場合、頭を振ったり、くしゃみをしたりすることも。
2.ウイルスなどに感染した
ウイルスなどに感染している場合、体の炎症反応の結果、黄色く粘りけの高い鼻水が出ることが多くみられます。
炎症が長く続くと粘膜が傷つき、鼻からの出血があることも。
鼻水が出る感染症には、以下のようなものが例として挙げられます。
ウイルスによるもの
・犬ジステンパー
・犬伝染性肝炎
・犬伝染性喉頭気管炎
・犬パラインフルエンザウイルス感染症
・犬ヘルペスウイルス感染症
・ボルデテラ症
リケッチア(微生物)によるもの
・サケ中毒(サケの生食で犬に感染します)
真菌によるもの
・アスペルギルス症
・クリプトコックス症
・リノスポリジウム症
寄生虫によるもの
・イヌハイダニ症
“鼻水が出る感染症”と聞くと、「ヒトの風邪みたいなもの?」と思うかもしれませんね。
しかし人間の風邪は、主に上部気道(鼻腔、咽頭、喉頭)に起こる感染症全般を指しますが、獣医療ではこれに該当するものが定義されていません。
その代わりに、犬伝染性気管気管支炎、通称『ケンネルコフ(犬の風邪)』と呼ばれるものがあります。
ケンネルコフは、上記の犬パラインフルエンザウイルスや犬アデノウイルス、犬パラインフルエンザウイルスなどの複数の病原体が関与している病気です。
また、口腔内に細菌が感染する歯周病が悪化し、歯根膿瘍という病気になって膿が鼻水として出てくる場合もあります。
3.腫瘍ができている
腫瘍が原因で鼻水が出ることもあります。鼻腔にできる腫瘍には、例として以下のようなものがあります。
・腺癌
・軟骨肉腫
・骨肉腫
・扁平上皮癌
・移行上皮癌
・線維肉腫
・未分化癌
・リンパ腫
など
4.その他
様々なアレルゲン物質、刺激物などで鼻水が出ることも。人間の花粉症や鼻炎などと同じですね。
はっきりとした原因を特定することは困難ですが、季節や発症のタイミング(大掃除をした、タバコを吸う部屋でのみ起こるなど)から推測できることがあります。
「そういえば鼻水が出る時は、きまって掃除のあとかも」など、環境と関連がないかを確認してみてくださいね。

Patryk Kosmider/Shutterstock
このように、鼻水の原因にはじつに様々。
しかし、腫瘍なのか炎症なのか、見た目だけではわかりません。また、腫瘍に伴い炎症も起こっていたり、異物に伴い炎症が起こっていることもあります。
そのため、血液検査、画像検査(レントゲン検査、CT検査、MRI検査、内視鏡検査)、細菌や細胞の検査などを総合して診断します。
愛ブヒとともに暮らす皆さんが、日々のコミュニケーションを大切にし、ちょっとした異変にいち早く気づいてあげることが病気の早期発見に繋がります。
少しでも気になることがあれば、早めにお近くの動物病院でご相談してみてくださいね。
獣医師:小泉しずか
2018年 日本獣医生命科学大学卒業。埼玉県内の動物病院にて勤務後、アイデックスラボラトリーズ株式会社にて臨床病理医として勤務。
こちらの記事も合わせてチェックしてみてくださいね。
おすすめ記事
-
【インタビュー】ロッチ中岡〜そのフレブル愛、ガチ中のガチ。隠れブヒラバーが語る、細かすぎる魅力とは〜【前編】
みなさんが愛犬家ならぬ“愛ブヒ家”として思い浮かぶ芸能人といえば、草彅剛さん、レディー・ガガさんなど、フレブルを飼っている方が多いと思います。が、ロッチ中岡さんも、じつは大のフレブルラバーだというのをご存知ですか? フレブルを飼っていないのにもかかわらず、中岡さんのインスタグラムを覗くと、たくさんのフレブルアカウントがフォローされていて、わが『FRENCH BULLDOG LIFE』モデルのnicoやトーラスも、その中の一頭。
そんな中岡さんに、フレブルの魅力を語っていただきました。そのブヒ愛っぷりは、思ってた以上! ガチ中のガチでした!?
取材 -
【取材】9歳で脳腫瘍を発症し「4年7ヶ月間」生存。フレンチブルドッグ・桃太郎の奇跡と軌跡
愛犬が「脳腫瘍」と診断されたとき、言葉にできない絶望感を味わうことと思います。筆者も脳腫瘍で愛犬が旅立ったひとり。だからこそ、どれほど厄介で困難な病気かを理解をしているつもりです。「発症から1年生存すれば素晴らしい」とされるこの病気。
ところが、フレンチブルドッグの桃太郎は9歳で脳腫瘍を発症し、なんと4年7ヶ月間も生き抜いたのです。旅立ったときの年齢は13歳と11ヶ月、レジェンド級のレジェンドでした。さらには、治療後3年間は一度も発作が起きなかったといいます。
この事実はフレンチブルドッグだけでなく、脳腫瘍と闘う多くの犬たちに勇気と希望を与えるに違いありません。桃太郎のオーナーである佐藤さんご夫婦に、治療の選択やケアについて詳しくお話しをうかがいました。
取材 -
【愛ブヒの旅立ちを語る】BUHI編集長小西・FBL編集長チカ・代表ケンタ【鼎談(ていだん)】前編
愛ブヒの旅立ちはとても悲しいけれど、かならず迎えることになる現実です。けれども、その死はたくさんのことを教えてくれます。
わたしたちがそれを受け入れるのならば、あの子の存在はもっと強くなる。
愛ブヒを亡くした三人(BUHI編集長小西秀司・FBL編集長チカ・代表ケンタ)が、その思いを赤裸々に語りました。
虹の橋 -
【取材】スタイリスト・山本マナさんのフレブルライフ〜愛ブヒはスノウ7歳〜
フレブルオーナーといえば「どんなお仕事をしているんだろう」と思われがち。流行にとらわれないファッションや個性的なヘアスタイルが、その理由のひとつかもしれません。
今回取材したのは、ファッション業界の最前線で活躍中のスタイリスト、山本マナさん。愛ブヒはクリームのスノウ、7歳。
出会いのエピソードや休日の過ごし方、スタイリスト目線で伝授する“抜け毛が目立ちにくい色の服”とはー。
取材 -
【取材】上沼恵美子さん「もう一回だけ抱きしめたい」愛犬ベベとの12年間
運命の子はぼくらのもとにやってきて、流れ星のように去ってしまった。
その悲しみを語ることはなかなかむずかしい。
けれども、ぼくらはそのことについて考えたいし、泣き出しそうな飼い主さんを目の前にして、ほんのすこしでも寄り添いたいと思う。
その悲しみをいますぐ解消することはできないが、話をきいて、泣いたり笑ったりするのもいいだろう。
こんな子だった、こんなにいい子だった、ほんとうに愛していたと。
ぼくらは上沼恵美子さんのご自宅へ伺って、お話をきこうと思った。
取材 -
【販売スタート!】みんな大好き「PEGION」の新作は、COOKIEBOYとコラボだ!
未だに大好評いただいている、PEGIONとフレブルライフのコラボシリーズ。POOPING(ウンチ中)やチンスリを取り入れるなど、まさにPEGIONとしか実現できないデザインです。
そんなPEGIONが、今度はCOOKIEBOY(クッキーボーイ)とコラボした模様!
全国のフレブルラバーたち、これは買うしかありません…!
ストア情報 -
【編集Yの太鼓判はコレ!】留守番中も爆睡!究極の癒しベッドー編集部厳選!本当に使えるドッグギア #44
全員フレブルオーナーである『FRENCH BULLDOG LIFE』の編集部員たちが、自分たちで愛用している「本当に買ってよかった!」ものだけを紹介するこの連載。
今回は編集Yが、すべてのフレブルが大好きだと確信する極上のドッグベッドをご紹介! 留守番中もぐっすり、埋もれる姿は激カワ、さらに高確率で「へそ天」が見られます!
特集 -
【販売開始!】フレブルオーバーオール「UNIVERSAL OVERALL × W-OKI KENTA × フレブルライフ」
アパレルブランド「UNIVERSAL OVERALL(ユニバーサルオーバーオール)」と、沖縄在住のフレブルオーナーで人気タトゥーアーティスト「W-OKI TATTOOのKENTA」。そしてフレブルライフのトリプルコラボで完成した、フレブルオーバーオール。
ストア情報
フロントプリント、バックプリントの2展開で、それぞれフレンチブルドッグのイラストも違います!
イベント「フレブルLIVE」で先行販売しましたが、ついにフレブルライフストアで販売スタートです! -
【イベントレポ】約2,500頭のフレブルと4,000人のオーナーが集結!初開催「フレブルLIVE」の全貌
2022/11/12(土)に開催された、第一回『French Bulldog LIVE 2022 -秋-(フレブルLIVE)』。
なんと、約2,500頭のフレンチブルドッグと4,000人のオーナーさんが山中湖に集結!
北は北海道、南は宮崎県まで、まさに全国のフレンチブルドッグが一堂に会する瞬間となりました。
ご参加いただいた方も、今回は難しかった方も、写真たっぷりのレポートを時系列でお楽しみください! 「フレブルLIVE2023」の情報もありますので、最後までお見逃しなく!
イベントレポート
特集
-
フレンチブルドッグの性格/基本情報
からだの特徴や性格、歴史など基本的なフレブル情報をご紹介!
-
子犬/はじめてのフレンチブルドッグ
フレブルビギナーの不安を解消!迎える前の心得、揃えておきたいアイテム、自宅環境、接し方などをご紹介
-
フレブル病気辞典
獣医師監修のFrenchBulldogLifeオリジナル病気辞典。愛ブヒを守るための情報満載
-
フレブルライフ ストア
本当にいいものだけを、厳選紹介。FBLの公式オンラインストアです
-
【特集】レジェンドブヒの肖像ー10歳を超えて
10歳オーバーの元気なブヒを取材し、長寿の秘訣を探る。
-
【特集】5歳からのミドルシニアLIFE
ご長寿ブヒをめざすヒントがここに!
-
【特集】短命拒否権ーフレンチブルドッグは、もっと生きる
この特集は、『短命』のレッテルを返上するための、有益なフレブル生活記録簿です。
-
【特集】新・家術〜進化型家電と、新しい愛情物語
愛犬たちとのかけがえのない生活をもっと楽しく快適に暮らすために。
-
【特集】編集部厳選!本当に使えるドッグギア
フレブルと暮らす編集部が、自信をもって紹介したいアイテムとは!?
-
【特集】わたしは、愛ブヒのリーダーになるのダ。
プロドッグトレーナーが、リーダーになるための秘訣を解説!
-
【特集】もしものときの名医名鑑
ヘルニアやガンなど、その道の名医たちを独占取材!
-
虹の橋
愛ブヒが虹の橋へ向かう準備をするための場所
-
フレブルペット保険ガイド
あなたと、あなたの隣にいるフレンチブルドッグがより安心して暮らしていけるように
-
フレブル里親/保護犬情報
French Bulldog Lifeでは、保護犬を一頭でも多く救うための活動支援をしています。
-
迷子犬情報
French Bulldog Lifeは、迷子犬を家族の元へかえすための活動をしています。
-
French Bulldog LIVE⚡️2023 (フレブルLIVE)
French Bulldog LIVE 2023にまつわる情報をお届け。