引っ越しは愛ブヒに大きなストレス!犬の負担を減らすためにできること完全ガイド
国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。今回は春の引っ越しシーズンに向け、愛ブヒに環境の変化によるストレスを与えないためのヒントについてご紹介します。
目次
引っ越しによるストレスを減らしたい!
転勤などで引っ越しをしないといけないブヒオーナーさんもいるかと思います。
しかし環境の変化が人間にとって大きなストレスになるように、犬たちにも大きなストレス。体調を崩したり、何日もご飯を食べられなくなる子もいます。
そこで今回は、愛ブヒの引っ越しのストレスを軽減するために出来ることを紹介していきます。
引越し前にできること
■できるだけいつもと同じリズムで暮らす
引越し前はバタバタするもの。とはいえ愛ブヒのいつもの毎日が崩れてしまってはストレスです。
いつものお散歩、いつものお遊び、愛ブヒの大事な“いつもの”を出来るだけ守って過ごしましょう。
人間の子供連れの引っ越しは、大人だけの引っ越しの2倍以上の時間の余裕を持ちましょうと言われます。
愛ブヒ連れも同様に、時間にかなり余裕を持ってスケジュールを組むことが大切です。
■移動を練習しておく
車、電車、飛行機など、使用する移動手段の予行練習をしておきましょう。
公共交通機関ならクレートに入れる必要があるので(もちろんマイカーでも基本はクレート推奨です)、クレートトレーニングも必須。
乗り物酔いのある子は、獣医さんで酔い止めをもらっておくのも手です。酔い止めを使う場合、本番前に一度は試しておきましょう。
■引越し先の動物病院を探す
慣れていない動物病院に行くことがストレスになるブヒもいます。
せめてオーナーさんは落ち着いていられるように、動物病院のホームページを見て獣医の雰囲気を把握したり、一度電話をして、今後お世話になる旨を話しておいてもいいでしょう。
また、今までのかかりつけ獣医から愛ブヒの病歴や情報ももらっておきましょう。
■荷造りは愛ブヒのいない場所で
荷造りの時間のすべてとは言えませんが、大物家具を運び出したり、愛ブヒエリアの近くの物を動かすときは、愛ブヒは別室や散歩に出てもらいましょう。引越し業者が出入りする場合も同様です。
プライベートスペースが変化することでストレスを感じる場合があります。
■愛ブヒ用品の荷詰めは最後に
愛ブヒが好きなもの、愛ブヒのお世話に必要なものなどは、最後に荷詰めするようにしましょう。
全部郵送にしてしまうと、次の日からのお世話に支障が出ます。またフードボウルやリードなど日常で使用するものは、手荷物で運ぶようにしましょう。
■ストレスが大きければ落ち着くまで預かってもらう。
愛ブヒによっては、引っ越しして家が落ち着くまで、オーナーさんと行動を共にするよりも、友人や親族宅、ホテルなどに滞在して、落ち着いた頃に迎えに来てもらったほうがストレスが少ない場合もあります。
引っ越し中にできること
■通常よりも長めの移動時間を想定しておく
引越し当日までに、愛ブヒがどれくらいのストレスを受けているかわかりません。普段より体力を消耗した状態かも知れません。
ですので、いつもの旅行などよりもさらに愛ブヒに無理をさせない旅路を心がけましょう。
また、暑い時期の日中の移動は体への負担大。さらに、子犬やシニアは、体調が万全でないときに予定を変更できるよう、余裕を持って日程を組んでおきましょう。
■脱走に備える
知らない土地で愛ブヒが脱走してしまったら…。考えただけでも青ざめます。
移動中は、基本的にはクレートに入ってもらいましょう。「いつもは車の中で大人しく待っているのよ」と言うオーナーさんの愛ブヒがサービスエリアで脱走した話もあります。
家の扉の締め忘れで脱走することだってあります。愛ブヒも、いつもと違う雰囲気ゆえ、いつもと違う行動を取るのです。
もしもに備えて、首輪に迷子札を付けておくのも良いでしょう。事前に動物病院でマイクロチップもちゃんと反応するか、マイクロチップ番号に自分の情報が紐付けられているか、確認しておきましょう。
■愛用品は洗わずにそのままで
前の家で使っていた愛ブヒのお気に入り品は、洗わずにそのまま持っていきましょう。移動中にも、匂いのついたブランケットや、お気に入りのおやつを使うなど、なるべく愛ブヒの日常の安心と幸せを守りましょう。
引越し後にできること
■サークルを活用
引っ越ししたての家は、脱走できる場所があったり、誤飲につながるインテリアがあったりと危険がいっぱい。
引っ越したては、オーナーさんもバタバタで、愛ブヒから目を離す時間も増えます。
作業で愛ブヒを見ていられないときは、サークルで安全に過ごしてもらいましょう。
もちろん24時間入れっぱなしではなく、お散歩をしたり、オーナーさんの見守る中で室内探検を。サークルには愛用中のベッドやブランケットを入れ、少しでも安心してもらえるように心がけて。
■行動変化は当たり前だと心得る
新しい家でトイレを失敗したり、家具を噛んだり、今までやらなかった行動が出てくるかも知れません。慣れない環境のせいで行動が変化するのは当然です。
トイレはまた覚え直せばいい。家具以外の噛むオモチャを与えたり、その家具を一旦片付けたって良いでしょう。
愛ブヒは決してオーナーさんを困らせたくて、問題行動をするわけではありません。新しい環境で不安やストレスを抱えているだけなのです。
■1ヶ月程度は、愛ブヒ中心のゆったりライフを
引越し後はやることが山のようにあります。一緒に引っ越しに付き合ってくれた愛ブヒと自分の体をいたわるために、少なくとも1ヶ月はゆったりとしたスケジュールで過ごしましょう。
無理をせず、ペットシッターや家事代行業者など、人手を借りるのも良いですね。
こんなときは専門科に相談
乗り物が苦手だったりクレートに入ることが大変な場合は、事前に専門家に相談しましょう。
引っ越しが決まってからでは時間に限りがあります。
転勤族など引っ越す可能性がある家族は、できるだけ事前に旅行やお出掛けなどを通して、引っ越しで問題となりそうな部分を探しておいてください。
何が問題になるのか想像ができない、どうしようという方も、一人で悩まないでください。あなたを支えるプロが身近にいるはずです。
もしドッグトレーナーに依頼をする場合も、複数人と面談するようにしましょう。
そして、そのトレーナーが、愛ブヒとの引っ越しに関しての知識と豊富な経験を持っているか、学術的、科学的知識をもって動物福祉と動物への倫理に基づいた指導を安全に行える人材かどうか、オーナーさんが確認をするようにしましょう。
いっぱいいっぱいにならないように
引っ越しでオーナーさんの心に余裕がなくなると、愛ブヒへの気配りが足りなくなります。
さらに、オーナーさんのピリピリとした空気は愛ブヒに伝わります(だって、誰よりもオーナーさんの笑顔が大好きですから)。
もし問題が起きたら、笑いながら「大丈夫、なんとかなる♪」と自分と愛ブヒに言い、
どんなに不安でも愛ブヒの前ではカッコつけてください。
それでもどうしても家族でモメるときは、愛ブヒの見えない、聞こえないところでやりきって、愛ブヒの前には笑顔で戻ってきましょう。
人は心に余裕があってこそ、ポジティブな気持ちになれるもの。
そのためにも、時間的、金銭的、体力的に余裕を持てるスケジュールで行動をしてください。
引っ越しは「ちょっと大きめなお出掛けイベント」だと思い、家族で楽しい思い出を作っちゃいましょう!
PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純
PERRO株式会社 代表取締役
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純
米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー
日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。
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