Q.留守中に家の中の植物を食いちぎっていた…食べても大丈夫?【ブヒの健康Q&A】
「病院に行くまでもないかな…? でも気になる」といった症状について、獣医師の小泉しずかさんが解説する連載『かゆいところに手が届く!ブヒの健康Q&A』。今回は、家の中や庭などによくあるものの、犬が食べると危険な植物について。特にパピー期にはちょっと目を離したスキに観葉植物を食いちぎって食べることも多いので、しっかりと確認しましょう!
家の中には危険がいっぱい
愛ブヒと一緒に暮らしている皆さん、またはこれからブヒと一緒に暮らそうと考えている皆さん、犬が食べてはいけないものとして、ネギなどの野菜は有名ですが、観葉植物にも有害なものが多いことをご存知でしたか?
実はここでは書ききれないほど数多くの観葉植物が愛ブヒにとって有害なのです。
今回は、特にどんなものが有害なのか、有害でないものはどれか、有害なものを食べてしまったときの対処法などについてお話していきたいと思います。
犬にとって有害な植物は400種以上!
あなたの愛ブヒにとって有害な植物は、なんと400種類以上もあるといわれています。ここでは、その中でも特に報告の多いものや遭遇しやすいものをご紹介します。
・スズラン
・ラベンダー
・スイセン
・チューリップ
・ソテツ
・ポインセチア
・アジサイ
・ツツジ
・キョウチクトウ
・アサガオ
・トマト
・リンゴ
・モモ
・チェリー
・アプリコット
・ポトス
・アロエ
・ナンテン
・アイビー
・ベンジャミン
・クローバー
・カーネーション
・エレファントイヤー
など
※トマト、リンゴ、モモ、チェリー、アプリコットは果実部分ではなく枝や葉が有害です。またチェリーの種は有害ですので、犬に与えるときは“実以外”は避けてください。
聞き覚えのある植物や、家にある!という方も多いのではないでしょうか。
お正月飾りで使われるナンテンや、母の日に贈られるカーネーション、観葉植物として大人気のポトスやアイビーなど、一度は見たことのある植物ばかりですよね。
これらの植物が引き起こす症状は様々です。
一時的な皮膚のかぶれもあれば、嘔吐や下痢などの消化器症状を起こすもの、また、神経症状や循環障害で死に至るものもあります。
例えば、スズランは、
・嘔吐
・低血圧
・方向感覚の喪失
・昏睡
・発作
などを引き起こします。
さらに、スズランの場合は花瓶の水も有害であるため、花瓶を倒した際にこぼれた水などを飲んだ場合であっても極めて危険です。
また、花や葉だけでなく、根、茎や種、花の蜜や樹液などが問題になることもあるため、その植物のどこを食べてしまったのかが重要です。
有害でない、家にあっても安心な植物
・パキラ
・コリアンダー
・カスミソウ
・ジャスミン
・コケ
・レモンバーム
・ハエトリグサ
・ヒポエステス
など
上記のものは無害とされていますが、たとえ植物に毒性がなくても、大量摂取により消化不良などを起こす場合があります。
愛ブヒをよく観察し、具合が悪そうであれば病院を受診してくださいね。
対処法
どのくらいなら食べても問題ない、という基準はありません。
そのため、少しでも有害な植物を食べてしまったかも…というときには、早急に動物病院を受診してください。
受診の際に、“何をどのくらい食べてしまったか”を把握しておきましょう。
もし植物の名前がわからない場合は、植物自体を持参するか、写真を撮っていくのも有効です。
症状が軽度で、早急に病院での適切な治療を受けることができれば回復する場合もあるとされています。
しかし、時間が経過してしまっている場合や、重篤な症状を起こす植物の場合は、命に関わることもあります。
予防
植物による中毒にならないようにするには、誤って食べてしまうのを防ぐことが何より重要です。
有害な植物自体を置かないようにするか、もし置くのであれば愛ブヒが誤って食べないよう、絶対に届かない場所に置きましょう。
意外と身近な植物がたくさんでてきて、驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし今回ご紹介した植物はごく一部です。ここに載っていないから安心、ということではありません。
ASPCAというアメリカの団体が写真付きで、有害な植物と有害でない植物をリストアップしています。
リストを参考にご自宅や散歩ルートを確認し、愛ブヒにとって有害なものがないかを把握して、誤食の発生を未然に防ぎましょう。
身近にある植物にも注意を払い、これからも愛ブヒと安心して過ごしていってくださいね。
獣医師:小泉しずか
2018年 日本獣医生命科学大学卒業。埼玉県内の動物病院にて勤務後、アイデックスラボラトリーズ株式会社にて臨床病理医として勤務。
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