2021年12月20日3,083 View

Qキシリトールガムを1粒だけパクリ!すぐに病院へ行くべき?【ブヒの健康Q&A】

「病院に行くまでもないかな…? でも気になる」といった症状について、獣医師の小泉しずかさんが解説する連載『かゆいところに手が届く!ブヒの健康Q&A』。今回は、うっかり起こる“誤飲”の中から、ガムについての疑問を解決します!

 

 

突然ですが皆さん、愛ブヒにあげてはいけない食べ物、いくつご存知ですか?

 

チョコレートや玉ねぎなど、様々なものがありますよね。実は、私達がよく口にするガムや歯磨き粉に含まれるキシリトールも、あげてはいけないものの1つなのです。

 

今回は、なぜキシリトールをあげてはいけないのか、誤って食べてしまったときの対応などについてお話していきたいと思います。

 

はじめに

血糖値

VI Studio/Shutterstock

 

キシリトールのお話をする前に、インスリンというホルモンについて簡単にお話します。

 

ご飯を食べたとき、血糖値と呼ばれる血液中のブドウ糖濃度が上昇します。

 

するとインスリンというホルモンが分泌され、上がった血糖値を下げます。

 

この働きにより、体の中の糖のバランスを保っています。

 

人と犬の違い

キシリトール

morisfoto/Shutterstock

 

キシリトールは、白樺や樫の木から採取される糖分から作られた天然甘味料のこと。

 

人間では摂取してもインスリンに関係なく代謝されます。甘いのに血糖値に関与しないため、糖尿病の患者さんでも摂取できると言われています。

 

しかし、犬はキシリトールを摂取すると、膵臓から大量のインスリンが分泌されてしまいます。その結果、血糖値が下げられ『低血糖』になってしまうのです。

 

また、低血糖以外に、肝臓に障害を与えるともいわれています。このメカニズムについては未だ解明されていません。

 

こんな症状が出る!

柴犬

Job Narinnate/Shutterstock

 

一般的に、犬がキシリトールを摂取すると、30分から1時間以内に以下のような症状が現れるといわれています。

 

・嘔吐

・下痢

・傾眠(意識が遠い、ぼんやりしている)

・運動失調(動きがぎこちないなど)

・虚脱(ぐったりしている)

・痙攣発作

など

 

また、肝臓の障害による症状として、キシリトール摂取9〜72時間後に紫斑(お腹などにあざができる)や黒色便、黄疸などがみられることもあります。

 

どれくらい食べると危険? 

キシリトール

AnSk/Shutterstock

 

ここまで、キシリトールの危険性についてお話してきましたが、一体どのくらい食べてしまったら危険なのでしょうか?

 

過去の報告によると、摂取量が0.1mg/kgを超えると低血糖が起こり、0.5mg/kgを超えると肝臓に障害を起こすといわれています。

 

一般的なキシリトールガムは1個あたり0.5gのキシリトールが含まれているため、体重5kgの子が1個食べてしまうと低血糖になる可能性があることになります。

 

しかし、反応には個体差があるため、量に関わらず、食べてしまったら中毒になる可能性があると心得ておくことが重要です。

 

対処法

フレンチブルドッグ

Hryshchyshen Serhii/Shutterstock

 

キシリトールを食べてしまったかも!?というときには、早急に動物病院を受診してください。

 

受診の際に、何をどのくらい食べてしまったかを把握しておきましょう。

 

キシリトールが吸収される前、食べてから30分以内であれば、病院で吐かせる処置を行うことが非常に有効です。

 

また、30分を過ぎてしまった場合にも、早めに処置を行うことで症状を緩和できる可能性があります。

 

低血糖のみであれば、病院での適切な治療を受けることで回復するとされています。

 

しかし、肝臓などの臓器に障害がある場合や症状が強く出た場合は、命に関わることもあります。

 

まとめ

フレンチブルドッグ

Elena Senchuk/Shutterstock

 

キシリトール中毒にならないようにするには、誤って食べてしまうのを防ぐことが何より重要です。

 

また、キシリトールはガムだけでなくアメなど様々なものに含まれていることがあります。

 

家にあるもので使われているものはないか、もしあれば日頃から愛ブヒの届かないところに置くように心がけることが大切です。

 

また、キシリトールと同じように、人間には無害でも動物にとっては危険な食べ物がたくさんあります。

 

他にどんなものが愛ブヒにとって危険なのか、あげてはいけないものは何なのかを、飼い主さんがしっかり把握しておきましょう。

 

獣医師:小泉しずか

獣医師:小泉しずか

2018年 日本獣医生命科学大学卒業。埼玉県内の動物病院にて勤務後、アイデックスラボラトリーズ株式会社にて臨床病理医として勤務。

 

 

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