2022年3月21日4,123 View

転倒事故などトラブルの原因に!ブヒの「飛びつき」をやめさせる効果的な対策2つ

国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。今回は、人への飛びつきを防ぐ“管理”方法と、飛びつかないブヒへ育てるトレーニング方法の2つの観点からお伝えします。飛びつきによる事故は意外と多いので、ぜひご一読を!

フレンチブルドッグ,しつけ

飛びつきはどうしてトラブルになるの? 

フレンチブルドッグ

Tsomka/shutterstock

 

皆さんの愛ブヒで、人に飛びついちゃう子はいませんか? 

 

自宅で帰宅したオーナーさんに飛びつく。散歩中、すれ違いざまに他人に飛びつく。他人のコンビニ袋を狙って飛びつく。顔見知りのオーナーさんに会うと飛びつく…。

 

家族の中だけの話であれば、まだ「ピョンピョンしちゃって〜! 可愛いんだから」で済みますが、他人が関わるとなるとそうはいかない場面も出てきます。

 

実は、飛びつきが原因のトラブルは色々なところでたくさん起きています。飛びつきがイヤがられる理由としては

 

・服が汚れる。破れる。

・飛びついたあと噛まれそう。

・犬が苦手で近寄って欲しくない。

・愛犬(または愛犬と同犬種)以外は苦手で、近寄って欲しくない。

・子供、高齢者だと体のバランスを崩して転ぶリスクが高い。

・妊婦さんは転ぶだけでなく、大事なお腹に近寄られたくない。

・犬の興奮している様子がちょっと恐い。

など。

 

世の中には、犬に飛びつかれたくない人がとても多いことを知っておいてください。

 

愛犬家は「人間社会に迷惑をかけないように努力する」が行動指針。

 

なぜなら、犬と暮らしていない人に「愛犬家は迷惑だ!」と感じられてしまったら、どんどんルールは厳しくなり、愛犬と暮らし辛くなりますよね? 

 

自分と愛ブヒのために、他人に迷惑をかけないことが大事なのです。

 

なんで飛びついちゃうの? 

フレンチブルドッグ

KhunO/shutterstock

 

そもそもなぜ、愛ブヒは飛びつくのでしょうか?  道行くブヒのブッチ丸くんとツバキちゃんにインタビューしました。

 

ブッチ丸:「ぼく、人と会った時に、どうしたら良いかわかんなかったんだよね〜。それで、だんだん興奮してきちゃってさ。

 

たまたま飛びついてみたら相手のリアクションが良くって! 喜んでもらえるのって良いよね! それからは、人を見たら飛びつくようにしてるよ」。

 

ツバキちゃん:「ワタシ、噛んで引っ張るのが大好き! 人に会ったら、裾とか手とか、スーパーの袋とかを狙って、飛びついて引っ張るの。

 

時々『痛い』とか『破れちゃう』とか言われるけど、楽しいし♪ え? どんな人に飛びつくかって? そんなの気分だから、ワタシもわかんなーい!」。

 

いかがでしょうか? どちらのブヒも、悪意なんてありませんよね。

 

飛びつく理由は、興奮、注目されたい、挨拶したい、引っ張りたいなど様々です。

 

オーナーさんが望ましい行動を教えなかったら、ブヒの思い付いた行動(飛びつき)をしてしまうのです。

 

管理とトレーニングでトラブルを防ごう! 

フレンチブルドッグ

Kaponia Aliaksei/shutterstock

 

では、どのように飛びつきを予防したら良いのでしょうか? ポイントは、「管理」と「トレーニング」です。

 

愛ブヒが飛びつかないトレーニングが出来ていないときは、まずは「管理」を徹底して飛びつきを防ぎます。

 

そうしながらも、裏ではコツコツ「トレーニング」を重ねて、飛びつきを減らしていくのです。では、それぞれを詳しくみていきましょう。

 

管理1:とにかく距離を取っておく! 

フレンチブルドッグ

evgeniykleymenov/shutterstock

 

管理の方法その1は、他人との距離をとっておくこと。

 

飛びつくことができない距離まで、すれ違う人とあらかじめ距離をとり、もし道幅が狭ければ愛ブヒを他人の反対側に歩かせます。

 

向こうから人が来たら、さっさと道を変えてしまっても良いでしょう。

 

人に近づけば、それだけ飛びつきのリスクは上がります。飛びつきが成功すれば、その行動はますます強化されます。

 

飛びつきそうになってからワーワー言っても後の祭り。すべては事前の距離の“管理”にかかっているのです。

 

いつ飛びつくか傾向がつかめないオーナーさんの場合も同様です。「たぶん飛びつくだろう」と覚悟した上で、人が愛ブヒの射程圏内に入らない距離を保ちましょう。

 

私も飛びつく大型犬を連れて歩くときは、常に人との距離に気を配ります。

 

触りたくて近づいてきてくれる人も避け、丁重に(かつ、きっぱりと)お断りをしています。

 

そのため見通しの良い広い場所に行くまでは、緊張感のある散歩が続きます。だって、事故が起きたときの責任は、犬を連れている人が負うことになりますから。

 

みんなの安全を守るために、愛ブヒに「飛びつかないでよ!」と釘を刺すのでなく、オーナーさんが人との距離を管理しましょう。

 

管理2:リードは短くキープ

フレンチブルドッグ

Irina Kozorog/shutterstock

 

他人と距離を取ろうとしていても、急に人が曲がり角で現れたり、油断している時に来られたら困りますよね。そんなときのためにリードは短く持ちましょう。

 

もちろん、散歩中ずっとリードを短くしろという話ではありません。

 

人通りのある場所や道幅の狭い場所など、愛ブヒと他人の距離が近くなりがちな場所は短く持ちましょう。

 

すれ違いざまに急に飛びついてしまったら、相手を驚かせて転ばせてしまうおそれも。

 

見通しの良い広い場所に出てからリードを緩め、メリハリをつけながら安全に散歩を楽しみましょう。

 

また、近年、使用者の多い伸縮リードは便利ですがトラブルが多いのも実情です。

 

本来の伸縮リードの使い方は、道では短く、広い公園や土手で伸ばして使います。

 

しかし、つい気の緩みで伸び伸びのまま歩き続けてしまうと、いざというとき制御が出来ません。

 

トレーナーの私ですら伸び切ったリードの先で、犬が人に飛びつこうとしている状況を止める術はありませんから。

 

要するに“リード伸び伸び状態”はノーリードと同じく無制御状態です。

 

リードの長さの管理はオーナーの責務。愛ブヒとみなさんの安全を守っていきましょう。

 

トレーニング:オスワリしてオヤツ

フレンチブルドッグ

Koy_Hipster/shutterstock

 

日頃は上記のようにリードの管理で飛びつきを予防します。それと同時にこつこつトレーニングを進めていきましょう。

 

練習するのは“人と対面したらオスワリ&オヤツをもらう”こと。

 

(1)愛ブヒにリードを付け、飛びつけない長さでオーナーが保持しておきます。

 

(2)家族や知り合いに愛ブヒの前で静止してもらいます。

 

(3)愛ブヒがオスワリをするまで待ちます。

※このとき、オスワリの合図を1度だけ出して成功するようなら声がけしても良いですが、そうでなければ愛ブヒがオスワリするまで静かに待ち続けましょう。

 

(4)愛ブヒがオスワリをしたら、すかさずオーナーがオヤツをあげます。

興奮させないように、褒めたりなでたりせず、淡々とオヤツを与えるだけでOK。

 

(1)〜(4)を繰り返します。静止した人が目の前にいたらすぐにオスワリができるまで、何回も何日も練習しましょう。

 

ただし1回の練習は数分間程度に。小分けにコツコツが大切です。

 

静止した人にオスワリが出来るようになったら動きを加えていきましょう。対面する人が手をふる、足をバタバタさせる、声をかけるなど、少しずつ刺激を加えます。

 

それでもオスワリができるようになるまで(1)〜(4)と同様に練習を繰り返し、“人と対面したらオスワリ&オヤツをもらう”というルールをしっかりと覚えさせます。

 

トレーニングが水の泡になる行動

フレンチブルドッグ

robertos0621/shutterstock

 

上記を教えても飛びつきが悪化することもあります。それは、こんなとき。

 

・愛ブヒがちゃんと行動したのに、ご褒美を与えなかったとき。

 

仕事に対して、無報酬はダメですよね〜。オーナーさんは必ずご褒美を用意し、すぐに出せるようにしておきましょう。

 

・人間側が「ほらほら、飛びついていいぞー!」とか、「飛びついたからオヤツをあげよう」と望ましくない行動を誘発するとき。

 

ルールの逆をやってくれちゃう人、困りますよね〜。そんな人からはさっさと逃げましょう。

 

トレーニングしてきた膨大な時間と労力が、泡と消えていきます。

 

愛ブヒは頭がいいです。人間側のルール違反は見逃しません。そして自分が一番得をする行動をするプロフェッショナルです。

 

愛ブヒは“飛びつきたくなくなった”のではなく、“飛びつくよりオスワリをしたほうが得だ”と思っているだけ。

 

またトレーニングをしていても、刺激の強い相手がいる場合など、どうしても飛びつきたい衝動を抑えきれないときもあります。

 

そんなときはトレーニングに頼り切りにならず“管理”方法に戻ってください。

 

目的は、トレーニングされた完璧なブヒを作ることではなく、他人に迷惑をかけないよう暮らすことなのですから。

 

こんなときは専門科に相談

フレンチブルドッグ

Firn/shutterstock

 

飛びつくだけでなく、歯を当ててきたり、噛み付いて離さない場合もあります。止めようとすると興奮が高まって、オーナーさんに牙を剥く場合もあります。

 

すでに飛びつきによって散歩中に事故を起こしてしまった方もいるでしょう。

 

そのような場合は、どうか一人で悩まずに、早く獣医さんやプロのドッグトレーナーなどに相談を。

 

皆さんを支える仲間は、身近にたくさんいます。

 

ドッグトレーナーに依頼をする場合も、そのトレーナーが家庭犬の行動修正の豊富な経験を持っているか、学術的、科学的知識をもって動物福祉と動物への倫理に基づいた指導を安全に行える人材かどうか、オーナーさんが面談をしてから、依頼をするようにしましょう。

 

PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純

PERRO株式会社 代表取締役

SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。

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