2022年4月4日2,255 View

Q.食糞が直らない!雑菌だらけのうんちを食べて病気になったりしないの?【ブヒの健康Q&A】

「病院に行くまでもないかな…? でも気になる」といった症状について、獣医師の小泉しずかさんが解説する連載『かゆいところに手が届く!ブヒの健康Q&A』。今回は“食糞”について。あれこれと手を尽くしているけど、うんちを食べるクセが直らない…と悩むオーナーさんも多いこの問題。その理由や健康への影響について解説します。

 

皆さんは「うちの子が自分のうんちを食べている!」と驚いたことはありませんか?

 

実はその行動、“食糞”と呼ばれるものなのです。

 

今回は、犬の食糞について、健康面への影響や食糞をしてしまう理由、対策などについてお話していきたいと思います。

 

食糞とは

フレンチブルドッグ

Boyan Dimitrov/shutterstock

 

字の通り、“糞”を“食べる”行動のことです。

自分のうんちだけでなく、同居動物のうんちを食べてしまうこともあります。

 

一般には、長くても2日以内の、排泄したばかりの新鮮なものを食べる傾向にあるといわれています。

 

人間にとっては驚きの行動ですが、実は動物界では広く行われている行動です。

 

なぜ食糞をするの?

フレンチブルドッグ

JOKE_PHATRAPONG/shutterstock

 

犬における食糞行動の理由に関して、実は明確にはわかっていません。一説にはオオカミのときの習性に基づいていると言われています。

 

集団行動をするオオカミにとって、病気を蔓延させないことはとても重要。そのため、本来は巣穴から遠いところに排泄するそう。

 

ですが、それができない場合は、腸内寄生虫を群れの中に広めないために、寄生虫が感染できるタイムリミットの2日以内に健康な個体が消費してしまう、というものです。

 

他には、最初に食糞をしたときにご家族のリアクションが良かったために、犬が「うんちを食べると喜んでもらえる!」と覚えてしまうケースや、フードの消化率が低く、うんちがいい匂いなために食べてしまうこともあるようです。

 

健康面への影響

フレンチブルドッグ

Goami/shutterstock

 

しかしオーナーさんにとっては「食糞をして健康的に問題は無いの?」と心配になりますよね。実際、健康な犬が自分のうんちを食べてしまうのは問題ありません。

 

ただし、以下の2つの場合は注意が必要です。

 

1つ目は、同居している他の動物や庭にくる野生動物など、寄生虫や細菌に感染している可能性がある動物のうんちを食べてしまう場合です。

 

イヌ科のうんちにまれにいる寄生虫や細菌の一部には、すぐに感染してしまうものもあるためです。

 

健康であれば症状なく消化されることもありますが、免疫力が低下している場合には重篤化することも。

 

2つ目は、病気治療中の同居動物のうんちを食べてしまう場合です。

 

薬の中には、うんちの中に成分が残るものもあるため、健康な犬が間接的に薬の成分を摂取してしまうことになり、体調が悪くなってしまいます。

 

食糞をやめさせるには

フレンチブルドッグ

Tienuskin/shutterstock

 

食糞は動物にとって正常な行動の一つであるため、やめさせようと思ってもかなり難しいもの。

 

海外では、食糞をやめさせることができた割合はほぼゼロに近く、上手くいっても5%未満の犬でしか改善できなかったという報告があります。

 

ただし、現時点で食糞の際に飼い主さんがオーバーリアクションをとってしまったり、かまってあげたりしてしまっているようであれば、そうした行動を控えることは有効かもしれません。

 

また、フードを消化の良いものに変更したら食糞行動が落ちついた、という報告も耳にします。

 

そのため、今の糞便のニオイがあまりにも良い場合は、フードを変えてみることも有効かもしれません。

 

また様々な食糞対策グッズが販売されていますが、適切に使わないと、さらに悪化したり長引いてしまったりすることもあります。

 

可能であれば一度、動物病院で使用法やその他の改善方法などをご相談されることをおすすめします。

 

まとめ

フレンチブルドッグ

Valdis Muiznieks/shutterstock

 

飼い主にとっては不快に感じてしまう食糞行動ですが、動物にとっては正常な行動のひとつです。

 

ただし、健康面に影響が出てしまう可能性もゼロではありません。

 

また、うんちは健康のバロメーター。適切な回数の排泄ができているか、糞便の色や形は問題ないかなどの健康チェックもできなくなってしまいます。

 

そのため、ご家族のリアクションや行動で「喜んでいる」と愛ブヒに勘違いさせていないかを確認し、その上でかかりつけの病院さんで一度ご相談されることをおすすめします。

 

獣医師:小泉しずか

獣医師:小泉しずか

2018年 日本獣医生命科学大学卒業。埼玉県内の動物病院にて勤務後、アイデックスラボラトリーズ株式会社にて臨床病理医として勤務。

 

 

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