2022年3月31日9,773 View

【噛みグセがひどい】家具がボロボロ!なんでもかじる「怪獣パピー」に効果的な対策5つ

国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。今回はパピー期にどのオーナーさんも悩むであろう“なんでもかじってしまう問題”について。家中の家具がボロボロになり頭を抱えている…という人への対策をお伝えします。

フレンチブルドッグ,しつけ

パピーにかじられて家具がボロボロ!

フレンチブルドッグ

Irina Kozorog/shutterstock

 

可愛いパピーを家に迎え、夢に描いた楽しい日々がスタート…の予定が、お気に入りの家具をかじられまくり、ガッカリした人も少なくないのではないでしょうか。

 

海外でもよく言われるのが「パピーを迎えて数年は、新しい家具なんて買うもんじゃないわ! すぐゴミにされちゃうもの」という類のジョーク。

 

日本より大型犬も多い分、ボロボロ具合もきっと日本の比ではありません。

 

人間なら、この家具はかじっちゃダメ、これは犬のオモチャだからかじってOKと区別できますが、パピーには分かりません。

 

またパピーは歯が生え変わる時期のため、口の中がムズムズと不快。何か噛みたい衝動が高くなるのです。

 

家の噛みやすそうな物をかじるのは、パピーとして当然の行動。

 

とはいえ、家中がボロボロになっては困りますよね。そこで今回は、家具をかじるパピーへの対策をご紹介します。

 

対策1:とにかく届かない所に片付ける! 

フレンチブルドッグ

New Africa/shutterstock

 

一番シンプルで即効性のある対策法がこちら。

 

それは、かじって欲しくない物を、パピーの届かない所に片付けること。かじらせない努力より、片付ける努力です。

 

移動できない物もあるでしょうが、できる物はさっさと移動させてしまいましょう。

 

対策2:移動できない家具はガード

フレンチブルドッグ

Amornpant Kookaki/shutterstock

 

パピーがかじれない場所まで移動できない家具の場合は、家具にアクセスできないようにチャイルドゲートをつけるなど、物理的に接触できないようにしてみましょう。

 

人間の赤ちゃんのいる家で、テレビ台の前やキッチンに柵をつけるのと同じような環境設定のイメージです。

 

あるオーナーさんの家では、テーブルの脚にバスタオルが巻き付けられて随分太くなっていました。オーナーさんいわく、「見栄えは悪いけど、かじられるよりはマシ」とのこと。

 

犬にとってはかじることで削れたり壊れていく経過が楽しいため、もっと齧りたくなります(その証拠に、電柱はかじられません)。

 

かじれない、かじっても面白くない環境を作ってみましょう。

 

対策3:ガードできない家具は、かじるのを邪魔してからかじっていいものを与える

フレンチブルドッグ

Yakovenko Maksim/shutterstock

 

対策1、2が難しい場合は、オーナーさんが動いてください。パピーが家具をかじり始めたら、家具とパピーの間に入ってかじることを中断させます。

 

このとき、叱ったり罰を与える必要はありません。そこまでやってしまうと、オーナーさんが嫌われるだけです。

 

パピーとしては、楽しくカミカミしていたのを中断させられただけでも、十分な罰ですから。

 

かじることを中断させただけで終わると、また繰り返します。

 

だからこそ、やってはいけないことを止めたあとには、必ず“やってもいいことの提供”が必要です。

 

パピー:「あたち、口がムズムズちて噛みたいんだもん! 邪魔ちないでよ!」

オーナー「じゃあ、このオモチャをカミカミしようね♪」

パピー「わーい! そっちカミカミするー!」

 

といったように、“家具を噛むと邪魔されてつまらない”けれど“オモチャを噛むと楽しい”と覚えてもらうわけです。

 

補足ですが、この取り引きを覚えた優秀なパピーちゃんが、椅子の脚を鼻でツンツンしながら「ほらほら、家具かじっちゃうよ? オモチャ遊びしないの? 早く遊ぼうよ 」とオーナーさんに要求するようになることも。

 

家具をかじるそぶりを“遊びに誘うサイン”として覚えたわけです。

 

こういう話をすると「オモチャを与えたせいで、家具を噛むことを強化しちゃったんじゃないの?」と思う方もいるかも知れません。しかしそうではないのです。

 

パピーが元々持っている“かじりたい欲求”の矛先が、家具からオーナーさんとのオモチャ遊びに向いただけなのです。

 

“かじりたい欲求”は、勝手には消えません。だから発散せねばなりません。その発散方法が、家具の破壊でなくなったことに幸せを感じる場面なのです。

 

対策4:日頃からかじっていい物を与える

フレンチブルドッグ

Aleksandra Baranoff/shutterstock

 

家具をかじり始めたときだけでなく、日頃からの噛む欲求を満たすために「かじってもいい物を与えること」が大切です。

 

例えば、引っ張りっこの布やロープ。30cm以上の長さがある物だと、オーナーさんと一緒に引っ張りっ子が出来ていいですね。

 

置いておいたままだとつまらないので、一緒に遊ばないときには片付けておきましょう。

 

他にも、口を使わせるためにコングなどの知育玩具を与えるのもいいでしょう。ペーストなどの食べ物を入れて、ペロペロ、カジカジさせるのです。

 

夏場は、コングにペーストを入れて凍らせる簡単アレンジもオススメです。知育玩具は1つだと飽きます。少なくとも5個は常に用意しておいてください。

 

お店に売られているかじるオモチャにも色々な種類があります。

 

ヒヅメなどの硬いオモチャは、長持ちしますが歯が折れるリスクがあるためおすすめしません。

 

また硬くて長持ちするものより、かじって壊れたり変化がある物の方が、ブヒにとっては面白いものです。

 

かじるの大好きパピーは、実は遊ぶの大好きパピー。たくさん一緒に遊んで、口を使いたい欲求を発散させてあげましょう! 

 

また、パピーの頃は遊び方を覚える大切な時期とも言われています。オモチャの出費は惜しみなく、様々な物を用意して愛ブヒの趣味趣向を知っていきましょう。

 

対策5:無限の気力体力を発散させる

フレンチブルドッグ

OlgaOvcharenko/shutterstock

 

パピーは、とにかく元気です。1日中“寝る→食べる→排泄する→遊ぶ”の繰り返し。

 

やっと寝たかなと安心した矢先、またすぐ起きて遊ぼう要求です。健康なパピーを迎えたら、当分はゆったり過ごせません。

 

パピーの遊ぼう要求を無視しようものなら、家の中に何かしらのトラブルが発生! 

 

オーナーさんが欲求のはけ口を作ってあげないと、パピー自身が欲求のはけ口を考えてしまいます。それが、家具をかじることだったりするのです。

 

欲求不満で家具をボロボロにされないように、散歩をしたり、遊んだり、脳トレやトレーニングをして気力と体力を消耗させ、グッスリ寝てもらいましょう。疲れきったパピーは、家具を破壊しませんから。

 

パピーでなく、普段は家具をかじらない成犬でも、ストレスが溜まってくれば何かを噛みたい欲求がふつふつと湧き上がります。

 

欲求不満が爆発したら、噛んで良いものとダメなものの見境など無くなります。どの年齢の犬でも、普段からストレス発散には気を配ってください。

 

こんなときは専門科に相談

フレンチブルドッグ

Grisha Bruev/shutterstock

 

家具をかじっている理由が、不安や恐怖からきている場合もあります。また、かじるのを中断させようとすると、オーナーさんに牙を剥く場合もあります。

 

すると、たとえ家具をかじらなくなっても、犬が自身の手足を舐め壊してしまうなど“自傷”につながる子も。

 

このようなケースでは、犬が不安や恐怖を感じている原因を除去する必要があるため、オーナーさんだけでの改善は難しいかも知れません。

 

どうか一人で悩まずに、少しでも早く獣医さんやプロのドッグトレーナーなどに相談を。皆さんを支える仲間は、身近にたくさんいます。

 

ドッグトレーナーに依頼をする場合も、そのトレーナーが家庭犬の行動修正の豊富な経験を持っているか、学術的、科学的知識をもって動物福祉と動物への倫理に基づいた指導を安全に行える人材かどうか、オーナーさんが面談をしてから、依頼をするようにしましょう。

 

PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純

PERRO株式会社 代表取締役

SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。

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