2022年6月7日2,035 View

Qワクチンは毎年打たなくてもいいって本当?ワクチンの種類から打つメリット、デメリットまで徹底解説【ブヒの健康Q&A】

「病院に行くまでもないかな…? でも気になる」といった症状やささいな疑問について、獣医師の小泉しずかさんが解説する連載『かゆいところに手が届く!ブヒの健康Q&A』。今回は、愛犬家の義務であるワクチンについて。必ず毎年打つのが当然だと思っていたら、犬友さんに「うちは今年打ってない」なんて聞いて驚いたことがあるという人もいるかもしれません。そんなことをして大丈夫なのか、そしてメリットやデメリットは?など、ワクチン接種について徹底解説します。

獣医師,フレンチブルドッグ

 

皆さん、今年度の狂犬病のワクチン接種はもうお済みですか?

 

毎年狂犬病は動物病院からの案内ハガキなどでお知らせしてくれると思いますが、混合ワクチンはどうでしょうか?

 

混合ワクチンは種類がいくつかあり、「どれがいいのかわからない」という声もしばしば。

 

そこで今回はワクチンの接種について、その種類や接種期間、メリットとデメリットなどについてお話していきます。

 

ワクチンの種類

Africa Studio/Shutterstock

 

ワクチンの種類は大きく2つに分けられます。

・狂犬病ワクチン

・混合ワクチン

 

混合ワクチンには、1~11種までがあります。

 

この『種』というのは、予防できるウイルスや菌の種類のこと。そのため、数多ければ多いほど、より多くの病気を予防できるワクチンであるということになります。

 

しかし、種が多くなるほど、当然ワクチン代は高額に。

 

ただし、生活環境によっては必要ない種もあるので、飼い主さんが獣医師と相談して、何種類を打つかを決めたほうがよいでしょう。

 

ワクチンの選び方

フレンチブルドッグ

Oksana Kuznetsova Dnepr/Shutterstock

 

では、ワクチンを何種類打つか、どうやって決めたらいいでしょうか。一般的には、住んでいる場所やよく行動している場所を参考にします。

 

なぜなら、犬が過ごす環境によって感染リスクが高くなる病気が違ってくるため。

 

例えば、普段は基本室内飼いなので5種で例年打っていた場合でも、山奥の川で遊ぶ予定がある場合には7種に変更するほうが安心。

 

なぜなら、自然の多い場所では、かかりやすくなる病気が増えるためです。

 

そのため引っ越しをした場合などは一度近くの動物病院へ行き、接種ワクチンの種類を再度相談するのが安心でしょう。

 

接種期間

フレンチブルドッグ,ワクチン

Hryshchyshen Serhii/Shutterstock

 

狂犬病ワクチンは必ず、1年に1回の接種が義務付けられています。

 

一方、混合ワクチンは、近年の世界的基準によって、3年に1度接種するものと、毎年接種するものに分けられました。

 

そのため、接種しているワクチンの種類によっては“3年に1度で良い”場合もあります

 

ただし、動物病院によって取り扱いのあるワクチンの種類や接種スケジュールが多少異なります。

 

また、ドッグランやペットホテル、宿泊施設によっては『◯種以上のワクチンを1年以内に接種している証明書が必要』ということも。

 

ペットホテルに預けたかったのに、ワクチンを打っていなかったために預けられない…なんてこともあるので、接種前によく利用している施設に問い合わせしておくといいでしょう。

 

例えば、『5種しか打ってないのに、宿泊施設で7種が必要と言われた!』などという場合でも追加で接種することは可能ですので、動物病院に相談してみてください。

 

1つ注意が必要なのは、狂犬病のワクチン接種と混合ワクチンの接種の順番です。

 

どちらが先でも良いのですが、2つのワクチン接種の間に空ける期間が異なります。

 

狂犬病ワクチンを先に接種した場合は1週間後には混合ワクチンを接種できますが、逆に混合ワクチンを先に接種した場合は、1か月後以降に狂犬病ワクチンを接種します。

 

そのため、早く両方とも接種を終わらせたい、という場合には、狂犬病ワクチンを先に接種することをおすすめします。

 

メリット・デメリット

フレンチブルドッグ

Andy Gin/Shutterstock

 

ワクチンを打つことの最大のメリットは、言うまでもなく病気を予防することができること。かかってしまうと命を落とす病気でも未然に防ぐことができます。

 

また、周囲のワンちゃんたちに病気を広めないためにも非常に重要でしょう。

 

デメリットは、まれにアレルギー反応などの副反応が出る可能性があること。

 

軽度なものは顔の腫れや接種箇所のかゆみ。重症なものではアナフィラキシーショックを引き起こす場合があります。

 

今まで毎年打っていても問題がなかったのに、突然症状が出ることもあるので、普段と様子が違ったらすぐに病院に相談してください。

 

注意点

フレンチブルドッグ

Larissa Chilanti/Shutterstock

 

ワクチン接種後に副反応が出ても、すぐに病院へ行けるよう、午前中の接種が望ましいです。

 

もしやむを得ず午後に接種をする場合は、夜間でも対応してくれる病院などを予め調べておくとよいでしょう。

 

また、接種日は、病院に行く前に体調に異変がないかをよく観察し、少しでも病気を疑う症状があればその日の接種は見送り、後日元気な時に接種しましょう。

 

過去にアレルギーが出たことがある場合は必ず事前に伝えてください。

 

病院側で必要な事前処置を施したり、アレルギーが出てもすぐに処置したりできるよう、ワクチンを打ったあとに半日ほど経過観察のための入院をしてくれることもあります。

 

接種後当日は可能な限り安静にすることが大切。激しい運動だけでなく、数日間はシャンプーなども控えましょう。

 

若く、健康であったとしても、体を休めることが重要です。

 

「抗体価検査」をすればワクチンを打たなくていい場合も

フレンチブルドッグ

Andy Gin/Shutterstock

 

過去にアレルギーが起こってしまった、あるいは病気の治療中で飲んでいる薬があるという場合は、血液検査で体内にある抗体価(感染症に対する抗体の量)を測り、抗体価が十分であれば接種を見送ることも可能です。

 

この場合のメリットは、ワクチンの接種回数を必要最低限に減らすことができる点。

 

デメリットは、抗体価がどう下がっていくかがわからないため、どのタイミングで次のワクチンが必要なのかが不明瞭であるという点が挙げられます。

 

つまり、今回の抗体価は問題なかったとしても、その抗体価が数か月後も十分なのかは不明です。

 

メリット、デメリットを理解し、病院でご相談の上、ワクチンを打つか、抗体価を検査するかを決定してください。

 

以上をふまえ、病院でしっかりと相談しながら、自分が済んでいる地域や愛犬とのライフスタイルに合わせてた適切なワクチンを接種しましょう。

 

獣医師:小泉しずか

獣医師:小泉しずか

2018年 日本獣医生命科学大学卒業。埼玉県内の動物病院にて勤務後、アイデックスラボラトリーズ株式会社にて臨床病理医として勤務。

 

 

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