“食の好き嫌いが変わる”など意外な変化も!ずっと健康でいてほしいから…早く気づいてあげたい「愛犬の初期老化サイン」8選
国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。今回は、人間よりも何倍ものスピードで年を取っていくブヒたちが発する“老化サイン”についてお伝えします。いち早く気づいて適切なサポートをしてあげることが、愛ブヒの健康や長生きにつながるはず!サインをきっちりキャッチできるように、ここでしっかり学びましょう。
いつまでも若く見える愛ブヒだけど…
犬の時間は人間の約5〜7倍、平均寿命は14歳前後などと言われています。数十年前までは様々な予防薬が無かったため6〜7歳で亡くなる犬も多くいました。
近年は、医療の発達や十分な栄養のおかげで、犬の寿命は年々伸びているようです。嬉しいですよね。
寿命が伸びたとはいえ、死ぬまで若い身体のままとは行きません。もちろん老化の進み方には個体差・犬種差がありますが、どうしても5〜6歳を過ぎた頃から少しずつ老化のサインが出てきます。
しかし人間と同じように、努力によって少しでも長く、健康で元気なブヒでいることができるのです!
そこで今回は、愛ブヒがいつまでも若々しくいられるよう、忍び寄る老化にいち早く気づくためのサイン8選を紹介していきます。
まだまだ若いブヒと暮らすオーナーさんも、最近愛ブヒの老いを感じてきているオーナーさんも、ぜひ最後までお付き合いください。
老化のサイン8選
<その1:毛の色が変わる>
濃い茶色だった毛が、薄茶になったり、黒が白っぽくなったり、人間が白髪になるように、犬も毛の色が薄くなります。とはいえこれだけなら、誰も困らないかもしれませんね。
実は毛の色が変わるだけでなく、肌が乾燥しやすくなったり、爪や肉球が割れやすくなるなど、皮膚自体も年齢とともに少しずつ弱くなっていくんです。
皮膚が弱くなる→皮膚の隙間にバイキンが入りやすくなる→皮膚トラブルが出る…というサイクルに繋がりますから、若い頃以上に保湿や肌ケアに気をつけていきましょう。
<その2:耳が聞こえづらくなる>
名前を呼んでも、気づかないことが増えます。名前を呼ばれた後に、愛ブヒが一瞬違う方向を見てから、こちらを見ることもあります。
これは音の出どころがわかりづらくなるため、音が反響した方向を見てしまうのが理由。
また、いつもギャン吠えしていたチャイムやバイクの音にも反応が薄くなってきます。しかし聴力の低下は、初期にはなかなか気付きづらい老化のサインの1つです。
<その3:目が見えづらくなる>
聴力同様、オーナーさんが初期老化に気付きづらいのが視力。教科書などには、「犬は目が見えづらくなると、家の中で家具にぶつかったりします」などと書かれていますが、実際、自宅でそんなにゴンゴンぶつかることはありません。
なぜって? それは家の中の物の配置を犬がだいたい把握しているから。人間だって、電気を消した部屋でも、なんとなく歩けますよね。
視力の低下に気づきやすいサインとしては、散歩中、段差や曲がり角で進むのを躊躇したり、人や物にぶつかったり、目の見えない分スンスンタイムが増えたりします。
<その4:寝る時間が増える>
加齢に伴い、愛ブヒが寝ている時間が増えていきます。また、若い頃のように、ちょっと寝たらフル充電! 元気いっぱいで遊ぶぞーー! という回復力でもありません(みなさんも、もう徹夜で遊ぶとかきつくないですか? 私はアラフォーなので、キツイです)
蓄積している疲労や気候による不調を、ちょこちょこ寝ることで解消していきます。そうは言っても、1日中そっと寝かしてあげるのが優しさでもありません。
毎日の適度な運動、適度な脳への刺激は、大切な若返りの栄養です。愛ブヒの体調に合わせつつ、将来バギーが必要になっても、日々の散歩は欠かさないようにしましょう。
<その5:筋力が落ちてくる>
今まで平気だった段差に足を取られたり、ジャンプで乗れていたソファにうまく乗れないことが出てきます。フローリングなどの滑りやすい床で、足をすべらすことも増えます。
「犬なんだから、ちょっと足がすべったくらいでケガなんてしないでしょ〜」なんて思っていたら大間違い。ケガをしちゃうんです!
若い頃は、筋力で滑らないようにカバーできていたり、多少足を捻っても、若い回復力でなんとかなってたものが、 だんだんとそうはいかなくなってきます。
ブヒ自身が、「もう僕も年をとって筋力が落ちたから、加減して行動しないとなぁ」なんて自制してくれればいいですが、彼らの頭の中はいつでも子供。100%の力で遊んじゃいます。
オーナーさんがケガをしないように、状況を整えてあげましょう。
<その6:温度変化に弱くなる>
暑い時期に、バテるまでの時間が早くなったり、すぐハァハァするようになります。若いときと同じように炎天下で遊んでしまうと、熱中症の危険が特段アップ!
寒さも同様で、足やお腹が冷えやすくなり、下がった体温が戻りづらくなってきます。腹巻きをしたり、床に温かいマットを敷いたり、寒さ対策が必要になるでしょう。
<その7:環境変化に弱くなる>
引っ越しや、来客、ドッグイベントへの参加、旅行など、日常と違う環境変化があったときに、疲れが強く出たり、お腹を少し壊したりするようになる子もいます。
若いときは無限の体力だったため、どんな場所に行っても対応できていたのが、歳を重ねると良いストレスであれ悪いストレスであれ、ストレスがかかると体調への影響が出やすくなります。
だからといって新しいことにチャレンジしないのは、もったいない! 若いときに比べて、休憩を多くとったり、旅の行程をゆっくりにするなどペースを調整して、家族で楽しい思い出を増やしていきましょう。
<その8:好き嫌いの変化>
今まで好きだった食べ物が苦手になったり、苦手だった人や物が好きになったり、好みが変化することもあります。
老化によってブヒ自身の感覚器官も変化しますし、年令を重ねた学習や経験によって変化することもあります。
他にも、いつも玄関まで見送りに来ていたのに、ベッドで寝ながら行ってらっしゃいをするようになるブヒや、好きなナデナデポイントが変化したブヒなど、オーナーへの態度も変化していきます。
愛ブヒの好きなこと、苦手なことリストは、若い頃のデータのままだと思い込まず、いつもアップデートが必要です。
老化と向き合うオーナーさんの素晴らしさ
さあ、ここまでに8個の老化のサインを紹介してきました。読んでくださったオーナーさん、素晴らしいです! なぜ素晴らしいのか、少しお話させてください。
オーナーさんたちは愛ブヒのことを、“我が家の天使”とか、“私達の宝物”とか、“世界一のパートナー”だとか、いろいろな言葉で至高の愛を表現してくださいます。
どんな言葉で表現しても足りないほど愛しい我が子の老化を感じるのは、けっこう胸が苦しくなるもの。「うちはまだ若い! 大丈夫!」と、現実から目を背けてたくなってもおかしくはありません。
しかしそれだと、愛ブヒが老化に伴い困っていることがあっても、助けてあげられません。
だからこそ、“老化のサインを学ぶ姿勢があり、今の愛ブヒの現実と向き合おうとするオーナーさん”は素晴らしい!とお伝えしたいのです!
自分の苦しさよりも、愛ブヒへの献身を優先する、素晴らしいオーナーさんのもとにいるブヒたちも、さぞ幸せなことでしょう。
老化を感じても明るく元気よく!
さあ、今日からできることは、客観的に老化のサインを見ることです。
とはいえ、いざ愛ブヒの老化サインを発見すると「当てはまることが増えたなぁ…。あとどれくらい一緒にいられるのかな…」なんてセンチメンタルな気持ちになってしまいます。
しかーーし、ここでしょんぼりしても、1円の得にもなりません。当の本犬は、自分が老化したかなんて、これっぽっちも考えてもいません。
もし考えているとしても「え、なんかオーナーがしょんぼりしてんだけど! 悲しくなっちゃうよー。笑顔でいて欲しいよー。あ、そういえば、オヤツ食べたい♪」くらいのことでしょう。
オーナーさんが愛ブヒの老化サインに気づくことができたら、しょんぼりするのではなく(しょんぼりしても良いのですが)、紙に書き出して、家族で共有しましょう。
そして、愛ブヒが日常で感じている、苦痛や困難の壁を撤去してあげましょう!
へこんでいる暇はありません。散歩内容をアレンジしたり、室内環境を見直したり、シニアに合う遊び方を探してみたり。やれることはたくさんあります。
“老化=死へのカウントダウン”ではありません。オーナーさんと愛ブヒが積み重ねてきた歴史とデータは、愛ブヒのサポートに大いに役立ちます。老化対策こそ、オーナーさんの腕の見せ所です。
もっともっと老化が進めば、まるでパピーの頃に戻っていくように、人の手が必要な面も増えていくかもしれません。愛ブヒ自身、自由にできることが減ってくるかもしれません。
しかし、安心してください。犬たちは自分の未来を憂いて生きるようなことはしません。今を一生懸命に楽しんで生きています。
だからこそ、オーナーさんも愛ブヒの老化を感じても、明るく前向きに、今できることを模索していきましょう!
老犬との暮らしは、老犬になるまで生きてくれた愛犬を持つオーナーさんだけの、素晴らしい特権なのですから。
こんなときは専門科に相談
老化のサインが実は病気のサインであることもあります。また、困った問題行動が実は老化の影響である場合もあります。
老化だから仕方がない…と決めてしまうと、その先の選択肢が減ってしまいます。困るようなことがあったら、どうか一人で悩まずに、獣医師や、トリマー、ドッグトレーナーなど、専門家に相談をしましょう。
ドッグトレーナーに依頼をする場合も、複数人と面談するようにしましょう。そして、そのトレーナーが、生活環境の設定に関しての知識と豊富な経験を持っているか、学術的、科学的知識をもって動物福祉と動物への倫理に基づいた指導を安全に行える人材かどうか、オーナーさんが確認をするようにしましょう。
PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純
PERRO株式会社 代表取締役
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純
米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー
日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。
「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。
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