2017年12月15日144,040 View

犬同士の相性〜ケンカと遊びの境目、相性の見分け方、フレブルは他の犬種にどう思われている?〜

ドッグランでケンカをはじめてしまった、多頭飼いをしているけれど仲良くしてくれない。犬たちは、どんなときにケンカをして、どういう子と仲良くなれるのでしょうか。また、フレンチブルドッグは他の犬種にとってどんな存在なのでしょうか。

プロドッグトレーナーの大久保羽純さんにお話をうかがいました。

[協力・執筆:大久保羽純]

目次

  • そもそも犬に相性はあるのか
  • 犬は、どんなときにケンカをするのか
  • 相性がいい犬とは
  • 相性を悪いものにしないように、私たちができること
  • 犬たちは、自らその環境にいるわけではない
  • 私たちに置きかえて考えてみましょう
  • 犬たちにも、好き嫌いがある
  • 犬たちも、年齢や性別はバラバラ
  • 日頃出会う犬との、相性の良し悪しの見分け方
  • 遊んでいるか、嫌がっているかを見分ける方法
  • フレンチブルドッグは好かれる犬種?
  • フレンチブルドッグが遊ぶときに気をつけたいこと
  • 最後に…
  • 大久保羽純
フレンチブルドッグ相性

Runa Kazakova/shutterstock

SUNNY Dog Training Partner(プロドッグトレーナー)の大久保羽純です。今回は、犬同士の相性についてお話をします。

 

人間の相性というと、相手の人とお話ししてみたり、一緒に時間を過ごす中で、この人好きだなとか、ちょっと苦手だなとか、判断したりしますよね。

 

初対面でその瞬間に好き嫌いが分かれることだってあります。人間同士でも、いろいろですよね。

 

では、犬たちの相性は、どうなのでしょうか?犬たちは日本語で「あの子、好きだな」「この子は、いやだな~」などとは言ってくれません。

 

しかし、知って学んでよく観察すれば、わかることがたくさんあるのです。

 

 

そもそも犬に相性はあるのか

フレンチブルドッグ相性

Aneta Jungerova_shutterstock

私たち人間だけでなく、犬たちも、群れで生きる動物です。

 

犬が集団生活をできるというイメージを持たれている方は、多いのではないでしょうか。

 

仲の良い犬友達と遊んでいる姿は、本当に楽しそうで、ほほえましいものですよね。

 

犬はオオカミと違い、野生の動物ではありません。

 

1万5千年前から人間と暮らしながら、家畜化されてきた動物です。

 

人との暮らしに適応できるように家畜化されてきた歴史から、基本的には、群れという社会を作って暮らす、平和主義の動物であると言われています。

 

「平和主義であるならば、ケンカなんてしないのでは?」と思われるかもしれません。

 

そうなのです。基本的に、理由がなければ、ケンカはしないはずなのです。

 

犬は、どんなときにケンカをするのか

フレンチブルドッグ相性

anetapics/shutterstock

では犬はどんな時にケンカをするのでしょうか。

 

大きくは、以下の2点だといわれています。

 

・不快なことをされる

・不快なことから逃げられない

 

例えば、食べ物を取られてしまったり、おもちゃを取り合ったり、寝場所を取られそうになったり。自分の権利が脅かされそうなときに、不快なことをされたことでケンカになります。

 

また、遊びたくないと言っているのにドッグランで執拗に追いかけられている犬や、リードでつながれていて逃げられないのに嫌々お尻を嗅がれ続けている犬など、ケンカをしますよね。

 

これが、不快なことから逃げられないため、ケンカに発展するケースです。

 

不快なことをしてくる相手のことは嫌いになりますよね。

 

これは犬同士の相性だけではなく、犬と人、如いては人と人でも同じことです。嫌なことをする子とは相性が悪いわけです。

 

 

相性がいい犬とは

フレンチブルドッグ相性

anetapics/shutterstock

では、相性がいい犬とは、どういう子でしょうか。

 

それは、その子が嫌だと思うことをあまりしない子か、良いことをしてくれる子です。

 

それは犬の性格的なものに任せるだけでなく、嫌だと思う場面に遭遇させないように、実は飼い主さんが犬同士の接触に配慮をしている場合もあります。

 

ここからは、そのあたりを詳しくお話していきます。

 

 

相性を悪いものにしないように、私たちができること

フレンチブルドッグ相性

hurricanehank /shutterstock

犬同士でたまたま気が合って、仲良くしてくれればそれは楽ですが、そういうことばかりではありませんよね。

 

じつは、相性を悪いものにしないように、飼い主さんが出来ることがたくさんあるのです!

 

例えば、ドッグランを想像してください。

 

ドッグランの中には、追いかけっこをしたくて興奮している子もいれば、飼い主さんとゆったり過ごしたい子もいます。

 

ゆったり過ごしたい子がしつこく遊びに誘われ続けて困っているとき、そのままにしていれば、ゆったりしたい子はそのしつこい子を嫌いになってしまいます。

 

その時はドッグランを出るなど、適切な距離を取ってあげられれば、ゆったりしたい子はしつこい子を嫌いにならずに済むのです。

 

その上、また今度別の機会で会ったとき、たまたまお互いが遊びたい気持ちが一致すれば、大好きなお友達になれるチャンスもあるわけです。

 

 

多頭飼いの方へ。ごはんを食べるスピードが違ったら

フレンチブルドッグ相性

Plyushkin/shutterstock

他にも、2頭以上と同じ家で暮らしている場合、片方の犬の食事を食べるスピードが早く、もう片方が遅い時はどうでしょう。

 

早く食べ終わった子は、遅い子のご飯を取りに行くかもしれません。

 

しかし、ご飯を横取りされることは絶対に阻止しなければいけません。

 

横取りされたら、その相手のことを嫌いになってしまいます。

 

食べるときは別の場所にするなど、犬同士で決着を付けさせないよう、飼い主さんが介入してあげたら、嫌いにならずにすみますよね。

 

家の中が弱肉強食の世界になってしまっては、どちらかのワンコが肩身の狭い思いをすることになります。

 

犬たちは、自らその環境にいるわけではない

フレンチブルドッグ相性

PolinaBright/shutterstock

犬たちは、自分から望んでドッグランに入ったわけでもありませんし、自分から望んで2頭以上で同じ家にいるわけでもありません。

 

私たちの勝手でこちらが選んだワンコたちをその場所にいさせているわけですから、初めから仲良くなることを期待してはいけません。

 

どの子も嫌な思いをしないで快適に過ごせるように、常に環境を整えてあげれば、仲良くなれるチャンスはあるわけです。

 

平和主義な犬たちが争うようなことがあるならば、それは犬たちのせいではなく、私たちの環境設定の問題です。

 

 

私たちに置きかえて考えてみましょう

フレンチブルドッグ相性

msgrafixx/shutterstock

犬と暮らしている人に絶対に知っておいて欲しいことは、「犬なんだから、どんな人とも、どんな犬とも、すぐに仲良くなれて当たり前!」……“ではない”ということです。

 

どんな犬にも自分から駆け寄っていくような、犬が大好きな子もいます。

 

犬が近くを通り過ぎるだけでも怖くて吠えてしまう子もいます。

 

過去の経験によって、好き嫌いに違いがあることを理解し、その子のすべてを受け入れることも愛情です。

 

ドッグランで遊びまわる子もいれば、ずっとドッグランの端っこにいる子もいます。

 

ではドッグランの端っこにいる子が臆病なのかというと、一概にそうとは言えません。

 

なぜなら、自分の仲の良いワンちゃんがドッグランに入ってきたとたん、端っこから出てきて、楽しそうに遊びだしたりするからです。

 

 

犬たちにも、好き嫌いがある

フレンチブルドッグ相性

Tienuskin/shutterstock

私たち人間と同じで、犬たちにも好き嫌いがあるのです。

 

どんな犬とでも、いつでもOKというわけではないのです。

 

人間でも、多くの人数でワイワイするのが好きな人もいれば、少人数で集まるのが好きな人もいますよね。

 

また、初対面でも誰とでも話せる人もいれば、緊張してしまう人もいます。

 

じゃあ緊張してしまう子は誰とも仲良くなれないかというと、そんなわけではありません。

 

ペースの合う子と出会えれば、友達になれるかもしれません。

 

また、あまり得意でなかった犬のことが、だんだん好きになっていくこともあります。

 

ですから、決まりきってしまって一生変わらない相性というよりは、その時点での好き嫌いだとイメージしてください。

 

 

犬たちも、年齢や性別はバラバラ

フレンチブルドッグ相性

Tienuskin/shutterstock

そもそも、人からしたら犬はみんな可愛いわけですが、その子その子で年齢も性別も大きさもバラバラです。

 

体重差が10倍くらいある子だっているわけです。

 

10歳の女の子と60歳の男性が初対面でいきなり意気投合して遊びまわるかというと、そんなことばかりではないはずです。

 

日頃出会う犬との、相性の良し悪しの見分け方

フレンチブルドッグ相性

Teerawut Bunsom/shutterstock

まず、犬同士のあいさつのときに気にすべきことは、「どちらかが一方的になっていないか」です。

 

一方の犬は逃げ腰なのに、もう一方の犬はグイグイ積極的に近づいていたりすれば、それはもうご挨拶をするにしても気持ちの良い形ではありません。

 

逃げ腰の方の犬は、すでに嫌がってしまっているからです。

 

例えばこんな感じです。

 

犬A「こんにちは。お尻をかいでもいいですか?」

犬B「ごめんなさい。今は嫌です。あっちに行ってください。」

犬A「まあまあ、いいではないですか。ぼくは犬が大好きなんですよ。」

犬B「さっきから嫌だと言っているでしょう。喧嘩はしたくないのですよ。」

犬A「まあまあ、そんなこと言わずに。グイグイ(お尻を嗅ぐ)」

犬B「だから…嫌だと言っているでしょう!!ガオ―――!!(吠!)」

 

…街角でもよく見かける風景かも知れません。

 

ペットである犬たちは、リードでつながれています。

 

それゆえ、嫌だなと思って距離を取りたくても、リードが張ってしまったらそれ以上には行けません。

 

だからこそ、飼い主さんたちが犬の表情を見て、自分の犬や相手の犬が喜んでいるかどうかを冷静に判断し、どちらかが嫌がっていたらすぐに介入して、あいさつを中断して距離を取ってあげる必要があります。

 

遊んでいるか、嫌がっているかを見分ける方法

フレンチブルドッグ相性

Tassanun Thanprasertkul_shutterstock

他にも、遊んでいるときに、これは“遊び”なのか、ちょっと行き過ぎて“嫌がられている状態”になってしまっているのかを見分ける方法があります。

 

遊んでいる犬のうち、積極的に追いかけている方の犬を、人が介入して動きを止めてみるとわかります。

 

追いかけられていた方がもう一度戻ってきたら、「もっと追いかけてよ♪」という意味で、遊びとして楽しかったのかも知れません。

 

しかし、追いかけられていた方の犬がそのままどこかに行ってしまったり、どこかに隠れたりしたら、「あ~、しつこかった!止めてもらって助かったな~」と思っているかもしれません。

 

普段は相性の良い子でも、何か虫の居所が悪かったりすれば、「今日はしつこくしないで!」ということがあるかもしれません。

 

犬の遊びも犬のご挨拶と同様に、一方的ではいけません。気持ちも力も、“互角”であれば遊びとして成立するわけです。

 

犬同士で遊んでいるときに、一方的なものにならないように、目を離さず見ていてあげてくださいね。

 

必要な時にはすぐに、遊びを止めて落ち着かせてあげるなどの介入もお忘れなく。

 

 

 

フレンチブルドッグは好かれる犬種?

フレンチブルドッグ相性

shutterstock

これは何とも言えないところです。その犬それぞれで、フレンチブルドッグへの印象が違うからです。

 

ただ、一般的に言えることは、ペチャ系ワンコたちは匂いを嗅ぐときに鼻が短い分、顔をすごく近づけます。

 

また、呼吸の音も独特な子が多いです。その特徴に慣れていないワンコは、フレンチブルドッグとのご挨拶に緊張してしまう子もいます。

 

初対面の人が、キスするぐらい近いところで世間話を始めたら、人間でも緊張しますよね。

 

せっかく挨拶するわけですから、今後もフレンチブルドッグを苦手と思われないように、相手の犬が緊張してしまう時には一度距離を取って落ち着かせ、大丈夫そうであればまた挨拶をするなど、ブレイクを入れながらの挨拶をおすすめします。

 

フレンチブルドッグが遊ぶときに気をつけたいこと

フレンチブルドッグ相性

Teerawut Bunsom/shutterstock

また、遊ぶときにも気を付けたいことがあります。

 

フレンチブルドッグは興奮しやすい上、大きさの割には体重と筋力があります。

 

つい楽しくなって追いかけっこをしていたら、力加減を忘れて体当たりで相手をふっ飛ばしてしまうこともあります。

 

そうなると、相手の子からは恐いと思われてしまいますから、遊んでいるときに興奮しすぎないように飼い主さんはよく見て、必要であれば遊びをストップして冷静にさせてあげてくださいね。

 

最後に…

フレンチブルドッグ相性

Patryk Kosmider_shutterstock

ワンコたちが仲良くなれるかなれないかは、私たちの環境設定や、犬同士のコミュニケーションにどう介入するかにかかっていると言っても過言ではありません。

 

そのためにも、犬が喜んでいるのか、嫌がっているのかを見る目を養い、わが子の気持ちならなんでもわかるスーパー愛犬マニアになってあげてくださいね。

 

***

 

今回は大久保さんから、犬同士の相性についてお話をうかがいました。ドッグランで遊ぶときやお散歩で他の犬とすれ違うとき、そして多頭飼いをしている方は、いまいちどフレンチブルドッグの性格や行動を見て、相性を見極めてみてくださいね。それが、豊かなフレブルライフをおくるための大きな一歩になることと思います。

 

 

愛ブヒのストレスについて知りたい方は、こちらの記事もご覧になってみてくださいね。 その行動、ストレスかも。フレブルのストレスサイン[5選]

 

大久保羽純

フレンチブルドッグストレス

PERRO株式会社 代表取締役

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、犬と人の心をつなぐレッスンを広めている。しつけ方教室を始め、イベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の生活を楽しいものにする活動を行っている。

 

 

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