2022年9月18日1,990 View

【取材】数々の大病を乗り越え16歳に!不死鳥「アロ」の長寿の秘訣はシンプルにして真理。 #60アロ

10歳を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench Bulldog life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。今回登場してくれたのは16歳の男の子、アロくん。数々の大病や交通事故などを乗り越えた、まさに不死身のレジェンドです。

アロくんプロフィール

フレンチブルドッグ

年齢&性別

16歳の男の子

体重

9kg(若い頃は11kg、妹犬を亡くした時は8kg)

大好きなこと

マッサージ、耳掃除、抱っこ

既往歴

・5歳で脳梗塞を発症。

・8歳で自動車事故に遭う。

・9歳で脳炎に。左目の視力を失う。

・10歳の時、右目の角膜を傷付け、右目もほとんど見えなくなる。

・14歳の時、精神的ショックから1週間食事が摂れなくなってしまう。

・15歳の時、抗生物質が合わなくなり、食事も水分も摂れず衰弱。

 

アロくん闘病記(その1)

フレンチブルドッグ

今回取材したのは、川崎市に在住の佐藤さんご夫妻と、ご主人の抱っこで登場してくれた、甘えん坊のアロくんです。

 

16歳になってもパピーのように愛くるしいアロくんですが、既往歴には病気やケガがズラリ。

 

同じ病気と戦うブヒ、そしてこれからそうなるかもしれないブヒのためにも、ひとつずつ詳しく教えていただきました。

 

「まず5歳の時に脳梗塞になりました。異変に気付いたのは散歩中で、右側に傾くように歩き、目が見えてないような感じでした。

 

かかりつけの病院で診てもらうと、首も傾いているので、目ではなく頭の異常ではないかと、すぐに高度医療センターを紹介していただきました。

 

そこでMRI検査を受けると、脳幹の近くに白い影があり、脳炎か脳腫瘍が疑われるとのことでした。

 

脳腫瘍だったらどうしようと落ち込みましたが、ともかく投薬してみて、効果があるか様子を見ることになりました。

 

使った薬は、ステロイド、イソバイド、抗てんかん薬です」(ママさん=以下「」内同)。

※脳圧を下げる薬

 

不安を抱えつつ、ご夫妻は再検査の結果を待ちました。

 

アロくん闘病記(その2)

フレンチブルドッグ

最初の脳梗塞になった頃。

 

2回目のMRI検査を受けたアロくん。結果は…。

 

「白い影が小さくなっていて、これで脳腫瘍の可能性はないと言われました。治療と検査は続きますが、まずはホッとしました。

 

その後、投薬を続けながらMRIで経過を観察したところ、お医者さんが驚くくらい薬が効いてくれて、半年程で影はなくなりました。

 

最終的な診断は脳梗塞で、ずっと薬を飲み続ける必要はあるものの、治療は一旦終わりました」。

 

犬の脳梗塞も、亡くなったり後遺症が残ることがある怖い病気。目や首、歩き方などがおかしいかも? と思ったら、すぐに病院に連れて行きましょう。

 

そして、次にアロくんが負ったのは“心の傷”でした。

 

「8歳の時、主人の運転する車に一緒に乗っていたら、脇見運転の車に衝突されたんです。かなりの勢いで、主人の車は大破してしまいました。

 

アロは無傷で、主人も軽症だったので、本当に不幸中の幸いだったんですけど、その事故がアロのトラウマになってしまって。

 

それまではドライブが大好きだったのに、車に乗せただけで歯がガチガチいうくらい震えるようになったんです。

 

前部座席にはとても乗れず、後部座席には何とか乗れるのですが、8年経った今も怖がって震えています」。

 

避けようのない事故でしたが、「膝の上ではなく、ケージに入れて固定しておけば、少しは衝撃を減らせたかもしれない」とも仰っていました。

 

アロくん闘病記(その3)

フレンチブルドッグ

 

奇跡的に事故から生還したアロくんに、再び脳の病気が。

 

「今度は体の左側がおかしくなりました。9歳の時です。左半身が脱力した感じで、歩けない状態でした。

 

脳梗塞のときと同じように、高度医療センターの脳神経科でMRI検査を受けたら、大脳の側頭葉というところに影があって。

 

今回も脳炎か脳腫瘍の疑いでした。対応も前回と同じで、薬がすごく効いたため症状は回復しましたが、左目が見えなくなってしまいました」。

 

最終的な診断は脳炎で、治療薬は前回から飲み続けているステロイド、イソバイドと抗てんかん薬。同じ薬なので、量を増やして投与したそうです。

 

そうしてやっと脳炎が落ち着いたと思ったら、今度はケガに見舞われます。

 

フレンチブルドッグ

 

「10歳の時、一緒に暮らしていた妹分のフレブル、モモとじゃれていて、右目をケガしてしまったんです。

 

病院でまぶたを縫った後、エリザベスカラーを着けて保護していたんですが、またモモが同じところを…。

 

もちろんモモを近づけないよう気を付けていましたが、自分が傷つけたと分かっていて、心配でどうしても寄ってきてしまうんです。

 

それでさらに傷が深くなり、最終的に傷は治りましたが、視力は戻りませんでした」。

 

仲良しゆえの事故で、アロくんは残念ながら両眼の視力を失ってしまいました。

 

アロくん闘病記(その4)

フレンチブルドッグ

 

視力を失っても、モモちゃんと元気に暮らしていたアロくんでしたが…。

 

「アロが14歳の時、モモが脳腫瘍で亡くなってしまいました。13歳5カ月でした。するとアロは落ち込んで、ご飯を食べなくなってしまったんです。

 

ずっと食べてくれず1.5kgくらい痩せてしまい、どうしようかと途方に暮れていたある日、突然アロが食べたのが、モモにお供えしていたご飯でした。

 

モモが亡くなってからも、お供えとして生前と同じように用意していたのですが、それを突然ガツガツと食べ出して。

 

どうやっても食べなかったのに本当に不思議でしたが、それ以来また食べるようになり、体重も元に戻りました」。

 

体重は戻ったものの、モモちゃんを失ったことはアロくんの犬生にとって最大の損失でした。

 

控えめで優しいアロくんと、元気で積極的なモモちゃん。普段の遊びなどはモモちゃんがリードするけど、いざというときはアロくんの方が強い。

 

正反対の性格を持った2頭が、仲良く毛づくろいしたり、一緒に寝たりする姿は、いつもご夫妻を幸せな気持ちにしてくれました。

 

そんな良き妹、良き相棒を失ってしまったアロくん。モモちゃんのご飯を食べて復活したのは、“独りでも生きていくよ”という、妹へのメッセージだったのかもしれません。

 

アロくん闘病記(その5)

フレンチブルドッグと家族

抗生物質が合わず、点滴で命をつないでいた頃。ママさんの両親がお見舞いに。

 

いよいよ最後の試練、お別れも覚悟した15歳の時のお話です。

 

「今もそうなんですが、時々口に腫れやできものができるので、よく抗生物質を飲んでいたんです。

 

その時も飲み慣れた薬を飲んでいたのですが、なぜか嘔吐を繰り返して、食事も、水すら摂れなくなってしまいました。

 

それで、その抗生物質を含め飲んでいた薬をすべて止め、点滴で命を繋ぐような状態になって。1週間から10日はその状態が続いたと思います。

 

歳も歳ですし、もしかしたらと覚悟して、実家の両親にも会いに来てもらいました」。

 

その間、水以外にも薄めたポカリスエットなど、何か口に入れてくれないか試し続けたものの、すべてダメだったそう。

 

そんな状況を打破してくれたのが、水に砂糖と塩を混ぜただけの“手作り経口補水液”でした。

 

ある日の深夜にネットで見つけて作ってみたところ、アロくんがゴクゴクと飲み始めたのです。

 

この補水液と液状の療養食で、アロくんは3週間くらいかけてゆっくりと回復していきました。

 

フードジプシー

フレンチブルドッグ

 

長い闘病の日々を勝ち抜いたアロくん。その病気にもケガにも負けない体をつくった、食事について伺いました。

 

「小さい頃は下痢しやすく、食べムラもあって、合うフードが見つけられない“フードジプシー”でした。

 

各種ドライフードも手作り食も合わず、食い付きが良かった生の馬肉は、2頭に食べさせ続けるとコストが…。

 

どうしようと思っていた時に、知り合いが作っていた鯵ベースのドライフードを試してみたら、これが当たりでした。

 

元々2頭とも魚が好きだったのと、鯵は色々アレルギーがあったモモが食べられる食材でもありました。

 

そこにササミなどをトッピングし、食後にはヨーグルトというのが定番になりました」。

 

よく食べるようになった後は、食べ過ぎ防止の為、グラム単位で量を管理されていたそうです。

 

そして馬肉へ

ドッグフード

 

シニアまで続いた“鯵ドライ”ですが、あることがきっかけで見直すことに。

 

「シニアになってから、鯵ドライを細かく砕き、シリコンの柔らかいスプーンで口まで運んであげるようになりました。

 

咀嚼する力が弱ってきたのと、舌ですくったり飲み込んだりも大変そうだったので。

 

それでしばらくは良かったのですが、去年くらいから何度か喉を詰まらせることがあって。

 

食後、水を飲んだ後くらいに苦しみ出し、窒息しそう!と思って背中を叩くと、食べた分が全部固まって出てくるんです。

 

これは危ないということで、フードを見直すことにしました。そして偶然もあって辿り着いたのが、馬肉ミンチでした」。

 

近所にできた馬肉屋さんで、たまたま売っていたペット用の生ミンチ。試してみると仔犬期以来のすごい食い付きで、喉の詰まりもなし。シニア食はこれに落ち着きました。

 

シニアになって

フレンチブルドッグと家族

 

食事以外にも、シニアになると様々な変化が訪れます。大変だと感じるのはどんなときでしょう。

 

「一番感じるのは、自分たちも歳を取るということです(笑)。

 

というのも、シニアの子をケアするには、愛情もですが、体力と根気が本当に大事だと思うからです。

 

夜中のオムツ交換や徘徊などで睡眠不足になったり、空調をアロに合わせると自分たちが冷えてしまったり。

 

それで自分たちに元気がなくなると、それを感じてアロも元気じゃなくなると思うんです」。

 

小さい頃から感じやすい性格で、側にいないと不安なくらいお二人のことが大好きなアロくん。元気かどうかなんて、一瞬で見抜いてしまうに違いありません。

 

そしてもう一つ、佐藤さんが体力と根気が大事だと思う理由は、“気付く力”です。

 

シニアになると、突然吠えたり徘徊したりすることが増えていきます。

 

そんなときも佐藤さんは、「きっとアロなりの理由があるので、そのサインに気付きたい」と考えるそう。

 

毎回そんなサインを探すには、確かにかなりの体力と根気が必要です。

 

しかしこの“サイン探し”は、認知能力が衰え、不安と共に生きるシニア犬が、切実に求めている愛情だと思います。

 

長寿のヒント

フレンチブルドッグ

 

闘病に別れ、そして幸せもいっぱいの16年を、改めて振り返っていただきました。

 

「よくここまで頑張ってくれたと思います、本当に…。病気やケガも、お医者さんやお友だちにも助けてもらいながら乗り越えて」。

 

病気の多いアロくんを支えてくれた一人が、よく行き来するご主人の実家・長野のお医者さん。フレブルオーナーでもあり、友人のようなお付き合いをされています。

 

脳梗塞のときの素早い判断や、モモちゃんの終末ケアなど、信頼できるお医者さんにお願いできたことは、本当に心強くありがたかったそう。

 

SNSのお友だちにも、シリコンスプーンや足元の滑り止めなど、シニア暮らしの工夫を教わりました。

 

フレンチブルドッグ

 

「それから長寿のヒントになるかは分かりませんが、特に大切にしてきたのがスキンシップです。

 

小さい頃からたくさん触って慣れさせて、耳掃除やマッサージ、抱っこも大好きになってくれました。

 

おかげで耳を清潔に保てたり、体中を触って異常がないかもチェックできます。皮膚や口腔の疾患も早く見つけられました。

 

口腔と言えば、歯磨きはもっとこまめにやっておけば良かったと思います。疾患に気付くのも大事ですが、やっぱり予防できた方がいいですから」。

 

発見よりも予防! アロくんと数々の病気を乗り越えてきた佐藤さんの、実感がこもった金言でした。

 

最高の16年!

フレンチブルドッグと家族

 

それから、今のアロくんの愛おしさについて、こんなことも仰いました。

 

「ちょっとアレですけど(笑)、換えたオムツを触ると、手にじんわりと温かさを感じるんですよね。その温かさすら愛おしいというか。

 

他のことも全部そうです。どんなお世話をしていても、とにかく可愛くてしょうがないんですよ」。

 

うんうんと頷きながら伺っていると、ここまでずっと奥さまのお話に耳を傾け、ときに優しく補足してくださったご主人が一言。

 

「フレブルは最高です!」

 

実は、フレブルを迎えると決めたのはご主人だったそう。それも突然のことで、驚く奥さまを、ネットで写真を見せたりして説得しました。

 

アロくんとの出会いもご主人の一目惚れ。何頭もの候補と会いましたが、“痩せた黒い子”だったアロくんを抱いた瞬間、メロメロになりました。

 

アロくん、妹分のモモちゃん、そして佐藤さんご家族の幸せは、その瞬間に始まり、今日この日まで続いてきたのです。

 

ご主人が笑顔と共に放った一言には、そんな16年の感慨が込められていました。

 

※取材後、口のしこりがリンパ腫と診断され、また新たな闘病生活が始まりました。佐藤さんはショックを受けられたものの、全力でアロくんを支える決意です。負けるな!アロくん!!

 

取材・文/橋本文平(メイドイン編集舎)

 

★「#レジェンドブヒ」で投稿お待ちしています!

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