【常識は日々変化】これが最新!今ここで「お散歩マナー」をアップデートしよう
国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。今回は、お散歩マナーについて。新人飼い主さんはもちろん、ベテラン飼い主さんも、今一度自分の散歩スタイルを見直しましょう!
目次
改めて見直す散歩マナーの話
散歩マナーがテーマの話って、ちょっと面倒くさそうですかね? ちょっ…、みなさん待って。逃げないでくださーい!
今回のお話は、「こんなマナーは失格!」と、オーナーさんを断罪するものではありません。
今、改めて散歩マナーを確認しましょう、という提案です。なぜなら、「マナーも日々変化しているから」。
最新のものに散歩マナーを更新していかないと、トラブルに巻き込まれてしまいます。
例えば、何代もの犬と暮らし続けているオーナーのAさん。「以前はみんなやっていたし、文句言われなかったのに、最近怒られてしまった」と仰っていました。
その理由が“近所の河川敷で、リードを離して遊ばせていた”からです。
もちろんノーリードは条例違反。ドッグラン以外では、ご法度です。
しかし昔は、街の人もみんな顔見知りで、注意されなかったというのがAさんの言い分(もちろん、注意されなきゃOKというわけではないですよね)。
Aさんの例は少し極端ですが、時代が変わる中で、社会も、ルールも、マナーも変わります。昔は大丈夫だったから、今もOK…ではありません。
きっとこのコラムの内容だって、数年経ては更新が必要です。というわけで今回は、散歩マナーを最新バージョンにアップデートしていきましょう♪
散歩の鉄の掟とは
具体的な散歩マナーの前に、散歩の大前提を確認しておきましょう。
<散歩の鉄の掟2つ>
その1:みんなが安全であること。
その2:みんなに迷惑をかけないこと。
マナーで迷ったら、まずこの2つが守れているかを確認です。
お散歩は、愛ブヒを楽しませる時間でもありますが、マナーが不十分だと事故が起きるだけでなく、地域の方とトラブルも起きます。
すると、愛ブヒと散歩できる場所が制限されたり、必要以上に厳格なルールが設定されることに。愛犬家の首を絞めるのは、愛犬家の行動なのです。
もちろん、愛ブヒにはマナーがわかりません。オーナーさんが保護者ですから、お散歩マナーを守って、愛ブヒも周囲の人達も守っていきましょう。
散歩の鉄の掟その1:どうやってみんなの安全を守るの?
では早速、具体的な散歩マナーを紹介していきます。
まずは「鉄の掟その1:みんなが安全であること」から。さっそく例をあげていきます。
・不慮の咬傷(かみつき)事故を防ぐ
人がいる場所では、適切な長さでリードを持っておくことはもちろん、さらに、背後から急に愛ブヒに手を伸ばしてくる人や、触りたがって近づいてくる人にも注意を払いましょう。
楽しく触れ合いタイムが取れるなら、触ってもらっても良いのですが、ちょっとでも相手に不安を感じたり、愛ブヒが喜んでいなければ、愛ブヒを触らせる必要はありません。
そもそも知らない人に愛ブヒを触らせる義務もありません。トラブルの責任はオーナーさんに降りかかります。無理をせず、「ごめんなさい」と断ることもマナーです。
・交通事故、転倒事故を防ぐ
急に道路に飛び出したら、大規模な交通事故を引き起こすこともあります。急に自転車に駆け寄って、転ばせてしまうこともあります。好意的に近づいてきてくれた人に興奮して飛びつき、転倒させて怪我を負わせてしまった例もあります。
また、伸縮リードが伸びっぱなしで、それに気付かなかった自転車の人が、リードに引っかかって転倒した例も。まずは、リードの長さの管理と、周辺を見渡す注意力が大切です。
・地域住民との事故を防ぐ
人混みや、車の多い場所では、リードを短めに保って歩きましょう。ボールや他の犬に興奮して突撃するブヒは、そういった場所を避けてください。
子供に興奮し過ぎるなら、幼稚園や学校は散歩ルートから外してもいいでしょう。要は、事前に事故を想定して、予防することがマナーなのです。
また、実は犬が苦手な人って結構います。そういった人たちは、犬が近くを歩くだけでも、内心では恐怖を感じています。
他人と道ですれ違う時には、必ず愛ブヒを他人と反対側のオーナーさんの横につけて歩きましょう。「ヒールウォーク」や、「ついて歩く」が上手にできればいいですが、そんなトレーニング出来ないよ〜という方、ご安心を!
愛ブヒに指示をしてやってもらうのではなく、オーナーさんがリードを短く持って、他人と反対側に寄せれば良いだけです。子供の手を引っ張って、「こっち側にいてね」とお願いするのと同じです。
もしも、人とすれ違う時に、吠えたり、飛びついてしまいそうなブヒの場合は(ビックリ箱みたいで、すごくドキッとさせてしまうんですよね)、始めから道を変えてしまう方が、スマートです。
鉄の掟その2:どうやってみんな迷惑をかけないようにするの?
次は「鉄の掟その2:みんなに迷惑をかけないこと」に関係する、散歩マナーの例を紹介していきます。
・排泄物トラブルを防ぐ
うんちを拾わないのは問題外ですが、拾うにしても、排泄をする場所選びには注意が必要です。たとえ、オシッコ後に水を掛けるにしても、住宅の前での排泄は、居住者とトラブルになりやすく、避けるほうが懸命。
さらに、手ぶらでの散歩は(実はポケットにうんち袋が入っているにしても)、周辺住民の方から「あの人、排泄物の処理しない気なんじゃないの? この前の放置されたうんこ、あの犬なんじゃないの?」という疑惑を向けらることがあります。
散歩には、両手が自由になるバッグに、うんち袋、水、トイレシート(あらぬところでオシッコをしてしまった時に吸い取る用)、スプレーの消臭剤(排泄後にかける用)を入れておき、「私は皆さんの地域を汚す気はありません」と言う姿勢もアピールしましょう。
・騒音トラブルを防ぐ
吠え声は、住宅街には案外響き、犬が苦手な方には苦痛です。全く吠えさせないことは難しいにしても、もし愛ブヒが吠え始めたら、すぐに吠えている対象から離れて、落ち着く場所に行きましょう。吠えっぱなしにさせないような行動が大切です。
・住民の不快感やストレスを防ぐ
散歩をしているときは、地域住民を「嫌だな」という気持ちにさせない心がけが大切です。
例えば、ノーリードは子供連れの方などに恐怖を与えてしまいます。また、オーナーさんは自分の犬を信頼しているから気にならないのですが、リードを伸ばして歩いていることも、他人には怖いなと思わせてしまう可能性があります。
さらに、歩きスマホで散歩しているオーナーさんを見て、ちゃんと犬を管理できていなさそうで怖いし、不安だなと感じて、行政にクレームの連絡をする方もいます。
要するに、社会のみんなの「ちょっと嫌だな」を防ぐことが、オーナーさんの役目なのです。小さなことでも、積み重なっていくと、“犬禁止エリア”が増えてしまったり、犬連れに不便な厳しいルールが増えていきます。
犬との楽しい暮らしを守るのは、日頃から社会に迷惑をかけないで過ごすオーナーさんの心がけなのです。
散歩マナーは、愛犬家ではなく、社会のみんなが決めるもの
いかがでしたか? みなさんの思うお散歩マナーとだいたい同じようなものだったでしょうか。
もちろん、都市部の人口密集地と、山間部の緑に溢れた場所では、お散歩マナーの内容も変わってくるでしょう。犬種によっても、散歩での振る舞い方も変わってきます。
1つには絞りきれないのがマナーですが、マナー全てに共通することがあります。それは、社会のみんなが気持ちよく過ごせるように、気を配り続けること。
だからこそ、我々オーナーは、常に「犬と暮らしていない人」の気持ちを想像する必要があります。愛犬家が思うマナーではなく、愛犬家以外の人達が思うマナーを実施することで、まったく0にはならないまでも、極力トラブルを減らしていけるのです。
実は散歩マナーは、愛ブヒのトレーニングのレベルは関係なく、オーナーさんが気をつければ出来ることがほとんどです。これからも、オーナーさんが周辺に目を向け、注意をはらいつつ、愛ブヒが笑顔で楽しめる散歩を演出していきましょう♪
こんなときは、専門科に相談
お散歩でマナーを守るためにも、まずはオーナーさんが周辺に目を向けて散歩を出来るような余裕が必要です。終始愛ブヒに引きずり回されていたり、予測できない行動にあたふたしていたら、マナー以前に、安全が心配です。
楽しく安全にお散歩が出来るようになるには、練習が必要です。自主練だけでなく、プロの力が加わることで、よりスムーズに上達できます。
お散歩に不便や困難を感じたら、どうか一人で悩まずに、ドッグトレーナー、獣医師、トリマーなど、専門家に相談をしましょう。
ドッグトレーナーに依頼をする場合も、複数人と面談するようにしましょう。そして、そのトレーナーが、その犬種のお散歩に関して知識と豊富な経験を持っているか、学術的、科学的知識をもって動物福祉と動物への倫理に基づいた指導を安全に行える人材かどうか、オーナーさんが確認をするようにしましょう。
PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純
PERRO株式会社 代表取締役
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純
米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー
日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。
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