2023年1月30日2,451 View

【愛犬をわがままにするオーナーのNG行動 Part.1】おやつをもらえないと吠え続ける!その原因と対策は

国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。今回から数回にわたってお届けするテーマが、“愛犬をわがままにしてしまうオーナーさんのNG行動”です。第1回目となる今回は、おやつクレクレ攻撃で騒いでしまう子に育つ原因とその対処方法についてお送りします!

フレンチブルドッグ,しつけ

 

「わがまま」は犬側の問題? 

フレンチブルドッグ

ewelina thepphaboot/Shutterstock

 

可愛くて大切な愛犬。しかし、ときには「わがまま言わないで、こっちの都合も考えて!」なんて思ってしまうこともありませんか? 

 

例えば、指示を出しても聞いてくれない時。忙しいのに延々と遊べとせがんだり、散歩から帰りたくないと立ち止まったり。おやつをくれと、ずっと吠えたり…。

 

「うちの子、わがままな性格だから、もうどうしようもないのかな…」と思っている方、大丈夫です。人間から見たら、愛ブヒがわがままを言っているように見えるかも知れませんが、そうではありません。

 

“わがままに見える行動が出ざるをえない環境の中”に、その子が置かれているだけで、けっして“わがままなわけではない”からです。

 

要は、犬がその環境に置かれたら、わがままに見える行動が出てしまっても当然だよね!という話なのです。

 

うーん、ちょっと話がややこしくなってきましたかね!? 

 

安心してください。分かりやすいように、今回から何回かに分け、よくある“わがままに見える行動”と、その理由について、1つずつ例をあげてご紹介していきます。

 

ケース(1)おやつがもらえないと、ずっと吠え続ける

フレンチブルドッグ

Patryk Kosmider/Shutterstock

 

「わがまま」に見える行動、1つ目は、「おやつが欲しい!」と騒ぎ続けるパターンです。

 

とあるオーナーさんのエピソードを紹介します。

 

***

Aさん:私が何かつまみ食いをしようと冷蔵庫を開けると、足元に飛んできて「僕にもオヤツ頂戴」とアピールします。

 

冷蔵庫にしまってあるオヤツを、ご褒美でもなんでもないタイミングでつい何度か与えてしまったら、冷蔵庫を開けるたびに飛んでくるように(涙)

***

いかがですか? 「うちも〜!」と思ったオーナーさんも多いのではないでしょうか? しかしこれは愛犬が“わがまま”なのでしょうか? みんなで考えてみましょう。

 

犬にとって、食べ物は最高の宝物。私達で言うところの“お金”のように、犬たちは“美味しいもの”を得るためなら、執念深くがんばります。

 

一度でも食べ物をもらえたら、その成功体験をもとに、またもらえるように頑張ってしまうのです。

 

愛犬が、常時冷蔵庫を開ける人を見張り続け、いざ開けようものなら「食べ物、くれるでしょ?」と可愛い顔で請求する行動が身につくまでに、たいした時間はかかりません。

 

そして、ここからがすごい! オーナーが冷蔵庫を開けたのに食べ物がもらえない場合、愛犬は考えます。

 

「冷蔵庫が開いたら、食べ物をもらえた経験があるぞ。でも、今回はもらえない…。

 

オーナーの目を見つめるだけじゃダメなのかな? よし、吠えてみよう! ジャンプしてみよう! おすわりしてみよう!」

 

こんな風に、自分の持っている行動のレパートリーを最大限に発揮します。そりゃもう熱心に。

 

そして(その場をおさめようと)、オーナーさんはまた食べ物を与えます。するとその結果、冷蔵庫を開けると、見つめる犬、吠える犬、ジャンプする、おすわりする犬が出来上がるのです。

 

おやつを求めて吠え続ける行動の理由とは? 

フレンチブルドッグ

TonieDesign/Shutterstock

 

これは犬がわがままなのでしょうか? いいえ、犬は食べ物をもらうために、どう行動すれば良いのかを必死に学習しているだけですよね(もしこれがわがままなのであれば、給料をくれと請求する働く人々も全員、わがままになってしまいます)。

 

可愛いからと、つい望ましくないタイミングで食べ物を与えてしまったせいで、望ましくない行動が身についてしまったのです。

 

これは我々人間の行動が引き起こした問題で、犬のせいではありません。

 

大切なのは、オーナーさんが「その行動を学習して欲しくないタイミングで報酬を与えない」こと。

 

つい与えてしまったのなら、しつこくその行動が現れることを覚悟しましょう。

 

人間の気分次第で、宝物(美味しい物)がもらえたり、もらえなかったりしたら、犬側もストレスです。

 

どう対処したら良いの? 

知育玩具で遊ぶフレンチブルドッグ

Pau Novell Aran/Shutterstock

 

改善策の一例として、この冷蔵庫のワンちゃんの場合なら

 

・事前に知育玩具(食べ物を中に入れて、犬が取り出しながら遊ぶ脳トレ玩具)を準備しておく。

・オーナーが冷蔵庫を開けようとしたところで、愛犬が冷蔵庫めがけてやってきたら、「ハウス」と指示を出す。

・愛犬がハウスに入ったら、知育玩具をハウス内に置いて、与える。

 

こうすると、愛犬は「冷蔵庫を開けたら食べ物をもらえる」→「ハウスに入ると食べ物がもらえる」という認識に変わっていきます。

 

冷蔵庫を見張る子ではなく、ハウスに入って「くれるでしょ?」の顔をして待つ子になります(ハウスに入って良い子にしているときに、なにも報酬が出なかったら…。また冷蔵庫前で大暴れする子になっても文句は言えませんが)。

 

これ以外にも、改善策は星の数ほどありますが…。

 

なんであれ、犬たちの食べ物をもらえた経験と記憶を他のことに切り替えることは結構大変です。

 

だからこそ、そもそも望ましくないタイミングでご褒美を与えないことが家族みんなの認識として大切です。

 

逆に、良いことをしているときのご褒美は、遠慮なくどんどんあげていきましょう! 

 

続きはPart.2へ! 

フレンチブルドッグ

Romvy/Shutterstock

 

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます! まず今回は、わがままに見える行動1つ目として、おやつを欲しがって吠え続ける犬のケースを紹介しました。

 

引き続き、他のわがままに見える行動の理由も解説していますので、Part.2も是非ご覧ください。

 

Part.2では、『指示を聞かない、無視する「わがまま」に見える行動』について紹介していきます。

 

PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純

PERRO株式会社 代表取締役 
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。

 

 

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