2023年3月30日1,582 View

Q.吠えた後にケホッと咳き込む…。これって何かの病気?【ブヒの健康Q&A】

「病院に行くまでもないかな…? でも気になる」といった症状やささいな疑問について、獣医師の小泉しずかさんが解説する連載『かゆいところに手が届く!ブヒの健康Q&A』。今回のテーマは、咳。たまにする小さな咳に、病気が潜んでいるのかについてご紹介します。

ブヒの健康Q&A

 

吠えるとき、ワンワン!のあとにケホケホッ。ごはん食べたあとにケホッ。

 

咳き込むような様子が見られたら、病気かも?と心配になりますよね。そこで今回は、吠えるときの咳について、その原因や注意すべきポイントなどについてお話していきます。

 

そもそも「咳」とは?

フレンチブルドッグ

 

まず、咳とはどういうものかについて説明します。

 

咳は体の防御反応の一つ。外界からホコリやウイルス、細菌などが体内に入るのを防御する働きがあります。

 

また、気道に溜まった痰を排出する役割もあります。

 

吠えるときに出る咳

Lee waranyu/Shutterstock

 

咳には様々な原因がありますが、特に吠えるときの咳は、以下のような原因が考えられます。

・興奮
・吠えたことによる乾燥
・異物(ホコリなど)の刺激

 

基本的には、1回のみで、かつケホッとした後はケロッとして元気であれば生理的なものと考えてよいでしょう。

 

ただし、以下のような場合は注意が必要です。

 

■注意すべき咳

・咳が続く
・苦しそうにしている
・いつもより食欲がない
・散歩に行きたがらない
・舌の色や口の粘膜が紫色になっている
・夜間に多い
・中高齢である

上記のような場合は病気が潜んでいる可能性が高いので、すぐに病院で検査を受けましょう。

 

咳から考えられる代表的な病気

フレンチブルドッグ

vijaifoon13/Shutterstock

 

注意するポイントに当てはまってしまった場合、疑われるのは以下のような病気です。

・犬伝染性気管支炎

ケンネルコフとも呼ばれる、免疫力がまだ不十分な子犬や若い犬がよくかかる病気です。

原因となる病原体が多いため、混合ワクチンを打っていれば安全、というわけではありません。

・気管虚脱

空気の通り道である気管が軟骨の弱体化によって潰れてしまう病気です。小型の高齢犬で比較的発生が多いです。ガーガーと激しい咳が出ることが有名ですが、初期は軽い咳で始まるといわれています。

・フィラリア症

蚊によって媒介される寄生虫による病気です。心臓や肺動脈に寄生して呼吸器症状を引き起こし、急死してしまうことも。予防薬でほぼ100%予防できる病気なので、蚊が活動的になる前に必ず動物病院で予防薬を処方してもらいましょう。

・肺炎

肺に炎症が出てしまう病気です。細菌やウイルスによる感染や異物の誤嚥などで起こることが多いです。咳のほかにも、ゼーゼーとした呼吸音が出ていたら、肺炎を疑いましょう。

・腫瘍の肺転移

気づいていなかった悪性腫瘍が肺に転移していて、咳という症状として発覚することがあります。

・僧帽弁閉鎖不全症

心臓の弁がうまく閉じなくなってしまう心臓病です。心臓病の中で最も発生が多く、加齢によって引き起こされます。

 

疲れやすくなってくることが多いので、散歩の時間が短くなった、あまり遊ばなくなったといった変化で気付くオーナーさんもいらっしゃいます。

 

これらの病気の中には予防できたり、早期発見ができたりするものもあります。しっかりと予防薬を飲むことはもちろん、年に1回(中高齢では年に2回)の定期健診が重要であるといえるでしょう。

 

実は「咳ではない」場合も

フレンチブルドッグ

Lebedko Inna/Shutterstock

 

ケホっと咳き込む行動は、実は吐き戻す仕草に似ています。咳だと思ったら実は吐き気だった、口の中に草が挟まっていたのが気になっていたなど、咳ではないこともあります。

 

“何かを吐き出さなければ咳”と考えがちですが、必ずしもそうではありません。

 

吐いたものがない場合は、“えずき”といい、繰り返す場合には胃拡張胃捻転症候群のような緊急対応が必要な病態の可能性もありますので注意しましょう。

 

まとめ

フレンチブルドッグ

Viorel Sima/Shutterstock

 

咳の原因は生理的なものから病的なものなど様々です。よく観察して、少しでも心配な要素があれば、早めに動物病院を受診してください。

 

その際は、そもそも咳なのか、どのような種類の咳なのかを獣医師が判断しやすいよう、携帯電話などで動画をとっておくとよいでしょう。

 

また、花粉やタバコなどが刺激になって咳き込んでいることも。毎回同じ場所やタイミングで咳き込むかどうかも観察しておくと、診察の一助となるでしょう。

 

獣医師:小泉しずか

獣医師:小泉しずか

2018年 日本獣医生命科学大学卒業。埼玉県内の動物病院にて勤務後、アイデックスラボラトリーズ株式会社にて臨床病理医として勤務。

 

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