大好きな愛犬とさよならした今、思うこと
目に入れても痛くないほど溺愛したまあるい存在を見送った人、少なくないでしょう。相棒、時には我が子として日々を共に過ごした愛ブヒとの別れは、言葉に尽くせないほどの衝撃をもって心をえぐり、その喪失に何度もぶちのめされます。筆者も少し前に愛ブヒを見送り、ふと思いました。いつの日かやって来る別れに対し、もしフレブルオーナーさんの心に一枚でも毛布をかけることができたなら。せめてその衝撃を少しでも和らげることができるなら、と。実際に喪失を体験し、感じたこと、したこと、していないこと。それらが少しでも心の備えになればと思います。
若いほど喪失感は大きい
生きた時間の長さより、どれだけ充実した時間を生きたか。
これは筆者がずっと思い続けていることで、仮に自分の人生に当てはめても同じことが言えます。
だから愛ブヒに対しても同じ思いで接していましたが、実際に失ってみると、やはり年齢というのは喪失感に大きく影響すると感じました。
筆者の愛ブヒは9歳で旅立ちましたが、やっぱり心のどこかで「まだ若いのになんで」という思いが燻っています。
13歳、15歳とフレブルが長寿化する現代では、9歳はやはり早すぎる。
もちろん何歳であろうと別れは悲しいけれど、例えばレジェンド年齢まで一緒に過ごすことができていたなら、大往生という言葉があるように、ここまでの衝撃は受けなかったのかもしれません。
また、長く闘病していた場合も闘病生活の中である程度覚悟せざるを得ないため、どこかで心の準備をしていたでしょう。
ただ、突然若くして別れが来た場合、全く心が追いつかない状態で喪失の前に立たされます。
けれども受け入れざるを得ない。
こんな時、支えになったのは今まで充実したフレブルライフを送っていたという事実でした。
たくさんの時間を一緒に過ごし、遊び、駆け回って楽しみを共有してきたという体験。
そして愛ブヒファーストで今までやってきたという自信。
このふたつがあったから、後悔なく見送れたのだと思います。
なので現在愛ブヒがそばにいる人は、今からでも彼らの一生をより充実させ、喜びで彩るために惜しみなく愛を注いであげてくださいね。
余白を埋める、という薬
愛ブヒが虹の橋の向こうに転居してからというもの、すっぽりと空白の時間ができました。
朝晩の散歩やフードを作る時間、ケアに費やす時間など、改めて1日の中で彼らに使っていた時間の多さに驚きます。
その空白が相棒の不在を際立たせ何度も涙にくれましたが、こんな時にありがたかったのは「やるべきこと」の存在でした。
筆者の場合は仕事で、一旦集中して仕事に取り掛かれば悲しみはその間忘れていられます。
これは仕事でなくても料理や掃除でもよくて、日常の延長線で何かしら集中して取り組むことが悲しみを(一瞬でも)遠ざける薬になりました。
鍵は日常の延長線であること。
仕事や家事という日々のタスクをこなすことで、それらがまた私たちを日常へと戻してくれるから。
別れの直後ってね、やっぱり非日常なんです。
何年も暮らしを共にしてきた存在がいなくなることに、すぐに慣れる人なんていません。
だから日々のタスクを集中して行うことで、少しずつフレブル不在の日常へと足を踏み出していくのです。
キャンバスいっぱいに描かれた絵があったとして、愛ブヒの不在はそのキャンバスに大きな余白を生み出すようなもの。
生活の中に生まれたその余白を埋めるには、何かに集中して取り組むのが一番の近道。
余白が悲しみや喪失感で埋められてしまう前に、仕事でも家事でも趣味でも、何かしら手と頭を動かしてみてください。
あえて片付ける必要もない
どれだけ納得のいく別れ方をしたとしても、そこに後悔が一片もなくたって、いまだに思い出して大泣きすることがあります。
別れから少し時間が経ってからの涙は、悲しみよりも寂しさから来るもの。
我が家には今も、愛ブヒのケージやお水、トイレシートがそのままあります。
毎朝水を取り換え、彼の定位置だったソファーに置いたお骨におはようと声をかける日々。
いずれお骨は別の場所に置き、お水やシートを片付ける日が来るのだと思います。
ただ、今のところあえて片付けようとは思っておらず、いつか自然と片付けようと思う日が来るまでこのままで過ごすつもりです。
人によっては、見ると辛いからとすぐに愛ブヒのものを片付ける人もいれば、筆者のようにそのままにしておく派もいるでしょう。
どちらが正解とかはなく、心の思うままにするのがベストではないでしょうか。
いつまでに片付ける、なんて決めてしまうと負担になるかもしれないので、見えてはいないけどその辺にいるというていで過ごすのも良いのではないかな。
愛ブヒとの過ごし方、楽しみ方、見送り方も人ぞれぞれなら、別れた後の向き合い方もそれぞれ。
そこに正解なんてないので、自分のしたいようにすること。それがつまるところ、自分にとってベストな別れとの向き合い方だと思うのです。
おわりに
互いに命に限りある生き物である以上、出会ったその瞬間から別れの日までのカウントダウンは始まるけれど、それは悲しいことじゃない。
別れた時は悲しいけれど、後に残る寂しさは時間と共に癒えていくもの。
だから無理に明るく振る舞う必要もなければ、涙を堪える必要もない。
ただ時間に任せて、思い出に変わるその日が来るのを待つこと。
別れの後にはきっと、また出会いが待っているのだから。
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