【大福の旅立ち】フレンチブルドッグといのちの時間のこと
とても個人的なことで恐縮ですが、筆者が持てる愛のほとんど全てを注いだ存在、相棒の大福が先日虹の橋へと転居しました。それはもう突然で、まさに寝耳に水というのはこういうことを言うのだと、ぼんやりと思ったことを覚えています。少しお腹を壊したので病院へ行くとそこでまさかの余命宣告を受け、いのちの時間を目の当たりにすることになりました。今回は少し、そのお話をさせてくださいね。
(執筆:横田愛子)
余命宣告との向き合い方。

カートには必ず箱乗
少し戸惑った顔をして、「長くてあと2ヶ月です」と苦しそうに宣告した先生。
びっくりしました。
ほんの5ヶ月ちょっと前まで、愛ブヒは健康そのものでした。
半年に1度健康診断を受け、今年6月に撮影したエコーに映る心臓にはなんの問題もなく、それはもうトクトクとリズミカルに命を刻んでいたのです。
けれどその日撮影したエコーに映ったのは、心臓の右心房の上にできた大きな腫瘍。
血管肉腫というもので、その致死率の高さと怖さは十分に知っていました。
先生もまさかと思ったのか、何度も6月の画像と見比べ唸っていました。
この数ヶ月で発生し、9歳という若さゆえにここまで短期間で進行したのだと。
その時に診察室にいた私たち全員が、ただ唸ることしかできなかった。
少しお腹を壊したから念のため診察に来ただけで、まさか余命宣告を受けるなんて小指の先ほども考えていませんでした。
その日の帰り道の記憶はあまりなく、帰宅した瞬間に家中の、部屋中の鍵をかけ、何もかもからこの愛すべきまあるい存在を隠して守りたかった。
不安で怖くて、悲しくて苦しくて、なんでなんでなんでという言葉ばかりが頭の中をぐるぐると回っていました。
大福はその腫瘍の影響で心臓と心膜の間に血液が溜まる心タポナーデという症状を発症していましたが、溜まった血液を抜くと普段通りに戻ります。
その日病院でその処置を受けた大福はいつもと変わらず、元気にご飯を要求し、散歩に行こうとキラキラしていました。
そしてそれを見て、思ったのです。
その家らしさ、を何より大事に。

大好きな父ちゃんと
普段と何も変わらずキラキラと日常を過ごす気満々の大福を見て、ふと思い出しました。
私たちはたくさんの楽しみを、喜びを、笑いを、そして人生で享受するであろう全ての感情を共有し、それを一緒に味わい尽くすために君を迎えたことを。
いのちの時間はもう、さほど残されていない。
きっかり2ヶ月かもしれないし、もっと頑張ってくれるかもしれないし、明日かもしれなければ、一瞬先のことかもしれない。
そう思うと小さな部屋に閉じこもってはいられず、私たちらしい日々を最期の最後まで送ろうとどこかで腹を括りました。
そこからは大福の体調を見ながら、思い出の場所、会いたい人、お気に入りの風景、そしてまだ見ぬ新しい景色を追いかけ、いのちの時間に追いつかれないように懸命に走りました。
愛車は1週間の間とは思えないほどの走行距離を記録し、大福以外の全部をそのまま置き去りにして駆け抜けました。
文字通り、走りに走りました。
だって、足を止めたらもう二度と走り出せない気がしたから。
そして9回目のうちの子記念日を初めての場所で祝い帰宅したその翌朝、大福はふーっと数回大きな息をし、遊び疲れて熟睡するみたいな顔で虹の橋へと旅立ちました。
揺すれば今にも起き出しそうなその顔はまさに遊び尽くした表情で、悲しいのになんだか安心して、次の瞬間涙に暮れました。
とてもとても、私たちらしかったと思います。
愛ブヒたちは長く一緒に過ごすうちにどんどん「うちの子」になってくるもので、オーナーさんによく似た性格になってきます。
だから10頭いれば10頭それぞれの「らしさ」があり、いのちの時間との向き合い方もそれぞれのスタイルがあるのでしょう。
そういう意味で、とても我が家らしい向き合い方でした。
だからどうか、いつか遠い未来にあなたの愛ブヒにその時が来たら、「らしい」方法で日々を過ごし、送り出してあげてください。
それがきっと、虹の橋に携える何よりの思い出となるはずです。
旅立ってもなお。
今思えば、私たちははたから見れば少し常軌を逸していたかもしれません。
旅立った大福の亡骸を連れ、最期の旅に出たのだから。
行き先は、彼の生まれ故郷。
まだ大福のお母さんブヒが健在なので、最期のお別れをしに高知まで車を走らせました。
SAで車を止めては、声を上げて泣きました。
けれどまだまだ、もっとずっと遠くまで、今まで通り手と手と肉球をぎゅうっと握りしめながら一緒に行きたかったんです。
最期の旅を終えて帰宅した時、感じたのはもうやり残したことはないという安堵でした。
できることは多分全部した。
持てる愛を余すことなく注ぎ、今ここで満足そうに眠る彼を見て心の底からありがとうと思いました。
この気持ちもいつの日か思い出になることを、私は過去に相棒たちを見送った経験から知っています。
そして同時に、たくさんの優しい言葉と心遣いに救われました。
大福があののほほんとした顔で駆け巡った日々はいつしか強固な糸となり、近くの人、遠くの人、たくさんの人を結びつけて幾重にも結び目を作っていたのです。
そうした人たちから届く言葉に感謝し、癒され、今はまた前を見つめながら、少しヨタヨタとした足取りながらも歩き進めています。
結局のところ、彼らはあの決して大きくはない体で、その体積をはるかに超える以上のものを私たちに残し、本当に風のように飛び立っていくのです。
思い出すたびに思わず吹き出しそうになる、ユニークなエピソードばかりを残して。
ありがとう。

定位置のソファーで
歳月を一緒に積み重ね、同じように歳をとっていく相棒との別れはとても辛いです。
体の半分がごっそり持っていかれるような感覚でしたが、それでもなお、また前を向ける。
それはきっと愛ブヒが私たちに似るように、私たちもフレブルに似てくるから。
前しか見ない彼らは振り返ることなんてせず、ただ好奇心の赴くままに歩を進め、面白い何かを見つけます。
だから大丈夫。
私たちフレブルオーナーもまた、その歩みの先に楽しみを探し、もし縁があれば再び、まあるい相棒と手と肉球を繋ぐ可能性があるのだから。
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