15歳でわが子になったフレブル。元気の秘密は若い犬の刺激#75リンダ
10才を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench Bulldog life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。今回お話を伺ったのは、北海道で暮らす16歳のリンダ。現在リンダと暮らす後藤さんはご自宅でペットホテルを営んでいて、1年ほど前、リンダは終生預かりの子として後藤さんの元にやってきました。そして今、後藤さんの愛ブヒであるともに5歳の先住犬の鱈(たら)と鰡(ぼら)と一緒に、たっぷりの愛情を受けて過ごしているのです。
リンダちゃんプロフィール
年齢&性別
16歳の女の子(2007年11月30日)
体重
8.6kg(ここ最近7.5kgに)
大好きなこと
わんこ用ケーキを食べること
既往歴
・12歳前後の時に緑内障になり義眼を入れる手術をしたそうだが、それ以外の既往歴は不明
・最近の健康診断で膵炎の疑いがあり、ステロイド治療と現在も継続している食事療法で回復
・年齢のわりに血液検査の数値も良好。
15歳にして転居した3度目のお家が終の住処に
リンダは9歳まで札幌で家庭犬として過ごしたものの、当時の家族の子供がアレルギーを発症したことで里親募集に出された。
それを後藤さんの友人が知り、周囲のブヒ友たちと里親を探すも、シニアに差し掛かっている年齢に加え、気が強い性格で先住犬のいる家では先住犬との相性が難しいという問題があり、なかなか里親は見つからなかった。
「何度かのトライアルでも先住犬との相性が悪く、断念する人が多くて里親探しが難航していました。
そんななか函館に住む私の友人がトライアルすることに。
その時にリンダの血統書を確認したら、なんとリンダは友人の愛ブヒ3頭のうちの1頭の実の娘だったことが判明しました。
これはもう運命、そう感じた友人が引き取ることになったんです。
リンダは1年くらいかけてその家に馴染み、落ち着いて暮らしていたんですが、3年前にその友人が脳卒中で倒れてしまい…。
1年間ICUに入っていたそうで、その間は私も全く連絡が取れない状況でした。
その後ようやく連絡が取れた時、友人はリハビリの真っ最中。
当時15歳になっていたリンダは認知症のような症状も出始めていたようで、ご主人も奥様の介護とリンダの介護の両立で疲弊しておられました。
そこで、リンダにかかる医療費のみ友人家族が負担するという提案をし、私がうちの子として柊生預かることになったんです。
だからリンダにとってうちは3つ目のお家。そして、終の住処となる場所です」(後藤さん=以下「」内同)。
3度目となる引っ越しで、リンダは再び札幌へと戻ってきた。
しかしその時15歳。目はすでに見えておらず、同じ場所をぐるぐると回る症状も出ていたそう。
そのため当初は安全も考慮し、子供用の折り畳みプールを室内に設置してそこを居場所にしたのだとか。
「目が見えないのでご飯も口元まで運び、昼夜逆転生活で最初は介護が必要な状態でした。
けれどしばらくするとプールから出してとアピールするようになり、思い切ってフリーにしてみたんです。
そうしたらトイレも自分でシートまで行ってするし、水の場所を覚えたら自分で水も飲む。
病院でその様子を話すと、痴呆ではなく慣れない環境で戸惑って興奮していただけかも、と指摘されました。
うちに来て3ヶ月目くらいでぐるぐると回る行動は収まり、自由に好きな場所で過ごすようになりましたね。
あと、驚いたのは足腰が丈夫で、今もスタスタ歩くんです。
迎えてすぐに受けた血液検査でも先生が驚くほどの良い数値だったし、実際に手がかかるのはご飯の時くらい。
今は自由気ままに過ごしています」
先住犬もレジェンドパワーにタジタジ
強気で先住犬と相性が悪いと言われていたリンダも年齢と共に丸くなったのか、他の犬たちとトラブルを起こす心配は杞憂に終わった。
後藤さんの元には保護犬だった鱈、繁殖犬だった鯔がいるほか、ペットホテルという仕事柄自宅にはいつも犬種が異なる複数の犬たちがいる。
「リンダのレジェンドオーラのせいか、ほかの子たちが遠慮してリンダが好む場所を譲っている印象があります(笑)。
強気な部分は健在で鱈や鯔に喧嘩を売るのはリンダの方だけれど、なんだかんだうまくやっていますね。
我が家では一番偉そうにしているけれど、最初に来た時より確実に若返っていると感じるんですよ。
迎えた時は本当におばあちゃんって感じだったのが、年下の子たちや他の犬種に囲まれ、それが刺激になっているのかどんどん若返っている気がします」
後藤さん自身、フレブルを迎えるのはリンダが5頭目。
一番最初に迎えた鰤(ぶり)は14歳8ヶ月、保護犬から迎えた鯵(あじ)は推定年齢で16歳と、先代たちもレジェンド揃い。
それにはいくつかの理由があるが、まず挙げられるのは犬についての知識の深さだろう。
「前職は犬のハイドロセラピストをやっていて、現在はペットホテル。
いずれも犬と関わる仕事であるため、犬種問わず情報が入ってきます。
私にとって初めて迎えたフレブルの鰤が8歳で脳炎を発症したことも大きかったですね。
QOLをどう保つか、そもそも病気になりにくいようにするにはと色々と調べました。
また、リンダは現在整体に通っているのですが、これも先代の子たちが実際に受けて効果を感じたから継続しているもの。
鱈や鯔もまだ若い今のうちから整体を通わせようと思っているけれど、まずは年齢的にリンダが優先。
フードは市販のものですが、その子それぞれの体質を見て、全員同じではなくその子に合うフードを探すようにしています。
あと、仕事柄連休などが取りにくいため、愛ブヒたちと旅行にはなかなか行けません。
その代わりといってはなんですが、イベントの日には犬用ケーキをあげるなど、日常の中で彼らが喜んだり楽しめることを必ずするようにしているんです。
旅行に行けない分を食事やケアに回すのがうちのやり方ですね」
繁忙期にはリンダをホームステイに
兄弟ブヒたちと接するだけでなく、ペットホテル利用の犬たちに囲まれ良い刺激を受けているリンダ。
けれども大型連休などの繁忙期は20頭近くの犬を預かることもあり、そんな場合はリンダにストレスがかからないようにある工夫をしている。
「寝ていることが多いリンダにとって、あまりに賑やかでゆっくりと眠れないのはしんどいはず。
そういう時は近所のブヒ友さんが預かってくれるので、そちらに一時避難してもらってます(笑)。
リンダはイライラすると他の犬に当たることもあるので、様子を見ながらストレスを感じているなと思ったら避難開始。
食事もそうですが、その時々の状況を見ながら臨機応変に対応するようにしています。
あと、年齢を考えて散歩は毎日行かないけれど、家を出るとすぐに100m程度の坂道があるんです。
この坂を毎日上り下りして、筋力トレーニングは欠かしません。
スタスタ歩く姿を見ていると若い頃はきっと筋肉隆々だったはずなので、その頃に培った筋肉をなるべく維持するようにしています」
ストレスの回避に筋トレ。
それに加え、リンダには大きなお楽しみがある。
それは以前のオーナーさんが会いにきてくれること。
「思わぬ病気で手放さざるを得なかったリンダの本来のオーナーさんは、やはりリンダにとって特別な存在です。
友人は現在もリハビリ中ですが、ご主人とお嬢さんが時々会いにきてくれるんです。
リンダはちゃんとわかっているのかすごく喜んで、うちでは見せない表情で抱っこされていますよ。
本当はお嬢さんが引き取りたがっていたけれど仕事の性質上難しくて。
けれどこうして再会できるのは、リンダの励みにもなっているはずです。
どういう事情でうちに来ることになったのか、言葉は話さないけれどリンダは理解していると思うんです」
日常のケアと適切な治療
年齢の割には驚くほど健康なリンダだが、取材の数日前に体調を崩し、膵炎の疑いを指摘された。
2週間の投薬治療で体調は落ち着き、現在は食事療法を継続して様子を見ているが、この変化に気づけたのも日頃のケアの賜物だ。
「迎えてすぐの健診以降、半年に1度の健康診断をしています。
今回体調の変化にすぐ気づけたのも、様子がおかしいと思って血液検査をしたら数値に変化があったから。
いくら元気といえども高齢なので、小さな変化も見逃さないように定期的な健診は必須です。
あと、乾燥する時期は皮膚トラブルが出やすいので、月に1度は近所のサロンの炭酸泉でケアをし、夏でも皮膚保護のために服を着せています。
札幌は昼間は暑くても朝晩は気温が下がるので、シニアだと夏でも1枚着せている方が体温調節がしやすいみたい。
そういえば北海道はここ数年でドッグランがかなり増えました。
土地柄広さも広大ですが、北海道民にとってドッグランの利用は冬が中心なんですよ。
というのも、市街地や住宅街は雪が踏み固められて道が凍っていたり融雪剤が撒かれていたりするので、ドッグランだと安心して遊ばせられるから。
リンダは湿度に弱いのでお出かけも気温と湿度を見ながらですが、この夏は涼しい日を選んでバーベキューを一緒にしたいと思っているんです」
同じオーナーさんの元で一生を過ごす。
これが犬にとっての幸福かもしれないけれど、日々の楽しみや若い犬たちから受ける刺激、何よりリンダを気にかけ愛してくれる人たち。
こんな幸福を今、そのまあるい体いっぱいに享受しているリンダは、とびきり幸福に違いない。
取材・文/横田愛子
★【取材させて!】10歳以上の「レジェンドブヒ」を大募集!
フレンチブルドッグライフでは、取材にご協力頂けるレジェンドブヒを探しております。
10歳を超えたブヒたちは、エピソードを添えて、アンケートからご応募ください。
記入いただいたメールアドレスに、編集部からご連絡させていただきます!
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