2025年5月11日4,177 View

【取材】初めてのフレブル、子育てとの両立。だけど笑いが絶えない「ふみ」との6年間

今回取材したのはフレンチブルドッグの「ふみ」と暮らす、森さんファミリー。

夫婦そろって初めての犬、初めてのフレンチブルドッグ。不安やトラブルに加え、子育ても重なり、ふみとの距離に悩んだことも。

 

てんやわんやな毎日だけど「この子がいてくれて、本当によかった」。

そう笑顔で話すご家族の姿は、幸せに満ちあふれていた。

 

会話の端々からにじみ出る家族のかたちを、そっとお届けです。

これぞフレブル! 天真爛漫な「ふみ」登場

森さんファミリー

取材当日。森家の玄関を開けると、フレンチブルドッグの「ふみ」が一目散に駆け寄ってきた。

 

広々としたリビングを猛ダッシュして、気づけばコロンと転がりおなかを見せる。

 

無防備なその姿に、これぞフレブルだ! と取材班は一瞬でノックアウト。

 

ふみは6歳の女の子で、森さんご夫婦と4歳の”弟”とともに暮らす、クリームのフレンチブルドッグ。

 

森家にとっては、家族そのものだ。

 

運命の出会いから始まった

ふみ(6歳 女の子)

取材班が元気いっぱいなふみに頬をゆるませていると、ご主人がふみを見つめながらニコニコと話し始めた。

 

「実はね、ペットショップで初めてこの子に会ったとき、僕とまったく同じ誕生日だったんですよ。これはもう運命ですよね!」

 

ご主人の力強い声色から、今でも当時の驚きがうかがえる。

 

もともと犬を飼うことには慎重だったというご主人。けれどなぜか、フレンチブルドッグだけには惹かれていたという。

 

「もともと動物はあまり得意じゃなかったんです。でも、フレブルってなんか…不器用で、それがすごく愛おしくて」

 

隣で奥様がうなずいた。

 

「私も、最初は不安だったんです。初めての犬だったし、フレンチブルドッグは病気が多いって聞いていたから。でもね、この子を初めて抱っこしたとき、胸のなかで“ぐうぅ”って寝息を立てたんです。その瞬間、もうこの子だって決めましたね」

 

小さなカラダ、たくさんの不安

ふみが家族になってすぐの頃。森家には、たびたび緊急事態が起きていた。

 

「ある日、口から真っ黒な水を吐いたんです。もう、本当に焦って。呪われたんじゃないかって思うくらい」

 

そう語るのは奥様。何が原因かも分からず、ただただ不安と闘う日々だったという。

 

ご主人も当時を振り返る。

 

「何かあるたびに病院に駆け込んでましたね。顔がパンパンに腫れたときもあって、先生にアレルギーかもって言われたけど、原因ははっきりしなくて。フレンチブルドッグはそういうことが多い犬種ですけど、怖くて仕方なかったですよ」

 

ふみが安全に過ごせるよう、室内はできるだけシンプルに。

 

それを聞いた奥様が、少し笑いながら口を開いた。

 

「もう主人が心配性で(笑)。たしかにフレンチブルドッグは繊細ですけど、ほんの少し何かある度に、病院行ってくる! って。なんかここ変ちゃう? 様子おかしいんちゃう? とか(笑)。女の子だから余計に心配だったのかもしれませんね」

 

それを聞いたご主人は、少し照れくさそうに語り始めた。

 

「ふみはお転婆なので、小さい頃はイタズラやトラブルも多かったんですよ。そのたびに叱ったり病院へ行ったり、それでも笑顔にしてくれる回数の方が圧倒的に多くて。最初は、“犬を飼っている”っていう感覚でしたけど、そんな日々を重ねるうちに、気づけば“うちの子”になっていたんですよね」

 

と、ご主人は静かに笑うのだった。

 

息子の誕生。ふみと家族の距離感

ふみが家族になって2年が経ったころ。森家に新たな命が誕生した。

 

これは家族にとって嬉しい出来事であったと同時に、ふみにとっては、自分の居場所が少しずつ変わっていく時間でもあったという。

 

奥様はふみを優しくなでながら、話し始める。

 

「赤ちゃん(息子)が生まれてから、ふみが震えるようになったんです…。今思えば、赤ちゃん返りだったのかもしれません。それまで私の膝の上はふみの定位置だったのに、そこに赤ちゃんがくるようになって」

 

天気がいい日は、庭でボール遊び。

 

ふみを不安に思ったご夫婦は、かかりつけ医に相談したという。

 

「先生に当時の状況を細かくお伝えしたら、“犬も精神的に揺れることはあります”と言われてハッとしました。それから、ふみと息子の距離を少しずつ調整するようにしたんです」

 

そう話す奥様に、ご主人が思い出したように口を開く。

 

「ちょうど息子が動き始めたころですかね。急に動き出したものだから、ふみがビックリしたみたいで。思わず息子の手を噛んでしまったことがありました。幸い大事には至らなかったので今となっては笑い話ですけど、あのときは本当に焦りましたよ」

 

ふみが教えてくれた、心の余裕

森さんご夫婦いわく、ふみは生粋のいたずらっ子だという。

 

「毛布を破って綿を全部出したり、帰ってきたらセロハンテープの芯が跡形もなく消えていたり…あれ!? 食べた!? って」

 

と、奥様が少し呆れたように笑う。

 

「でも、最初の一年で鍛えられましたから。今はもう、あわてません」

 

肩をすくめる奥様の表情は、どこか誇らしげだ。

 

「昔だったらすぐに病院に電話していたと思うんです。でも今は、たぶん大丈夫って、一度立ち止まれるようになりました。ふみが私たちを親にしてくれた、そんな気がします」

 

 

すると、ご主人が「僕の担当は、お風呂と朝の散歩」と唐突に口を挟む。

 

突然な上、やや得意げな口ぶりに、奥様がすかさず笑って言葉を返した。

 

「でもさ、ふみってあなたのときだけ、すごく素直に湯船に入るんだよね? 私のときは毎回、なぜか逃げ腰(笑)」

 

「いや、あれは信頼関係の差やで」

 

「なにそれー!」と言いながら、思わず爆笑する奥様。

 

 

そしてご主人は、ニコニコと笑いながら続ける。

 

「ふみが来る前は夜型だったので、最初は犬の散歩ってこんなに朝早いの!? って思いました。でも、早朝の静かな道をふみと歩いていると、不思議と気持ちが整うというか…。今では毎朝ちゃんと起きて散歩して、ごはんを食べて。人間て変われるもんですよ」

 

奥様もそれに応えるように言葉を継ぐ。

 

「私も最初は寝坊してばかりだったけど、ふみが枕元で“くぅん…”って鳴いてくると、もう起きるしかない(笑)。今は、早起きがちょっと楽しみです」

 

ふみが変えたのは、家族のスケジュールだけではない。

 

生活のリズムといっしょに、”心のリズム”も整えてくれていた。

 

そして、次の夢はブヒキャンプ

さいごに、これからふみとやりたい事を聞いてみた。

 

すると「そういえば、もうすぐ新しい車が届くんですよ」とご主人。

 

「それで、ふみと息子を連れてキャンプに行くのが夢で。実はもう、フレブル仲間とキャンプ場を貸し切ってるんです」

 

それを聞いた奥様が、笑いながら口を挟む。

 

「でもさ、あなた絶対テント立てる途中で“もういいや”って言うでしょ(笑)」

 

「バレてる(笑)。そのときはもう、こたつ持っていこかな。電源もあるって聞いたし」

 

「手抜き…(笑)」

 

「こたつの方が、ふみも温かいやろ」

 

「そうだけど…! でも寝袋は“ふみサイズ”で用意しなきゃね!」

 

 

気づけばすっかり、プライベートトークに花を咲かせていたご夫婦。

 

そんなふたりのやりとりを聞いていたかのように、ふみがソファで大きく伸びをした。

 

そして一瞬だけこちらを向き、スンッと鼻を鳴らしてまた、丸くなったのだった。

 

きっと今ごろ夢の中で、家族そろって、焚き火のそばにいるのだろう。

 

家族みんなの笑い声に包まれながらーー。

 

 

photo:Hiroaki Otake

text:Chika(editor-in-chief)

 

 

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