2023年6月22日1,490 View

手術で『脾臓』をとったフレブルの話を聞いてほしい

以前当サイトのミドルシニアLIFEにチラリと書いたのですが、筆者の愛ブヒの脾臓に腫瘍ができ摘出手術をしました。無事手術を終え抜糸も済み、病理検査結果も良性とのことでホッとしている昨今です。ただ、今回の経験を経てひとつ気になることが…。それはフレンチブルドッグの脾臓腫瘍のリスクについて。フレブルが罹りやすい病気というのは複数あるけれど、もしかして脾臓の腫瘍もそのひとつなのではないか、ということです。

 

脾臓を摘出するブヒは決して稀ではない

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Tienuskin/shutterstock

 

普段から臓器のことをさほど意識しなくとも、たとえば愛ブヒの胃腸の調子が気になるというオーナーさんはそこそこいるはず。

 

胃や腸の調子は嘔吐や排便という形で目に見えるため、調子の良し悪しがわかりやすいかもしれません。

 

けれど脾臓ともなると、そもそも何の役割を担う臓器なのかも実は知らなかったりしませんか?

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Bokehboo Studios/shutterstock

 

お恥ずかしながら筆者は全く知らなかったです。

 

脾臓って名前は知っているけれど、具体的な役割はよくわからない。そんな状態でした。

 

ちなみに脾臓は主に感染に対する免疫を担う臓器で、老化した赤血球を処理したり造血や循環といった働きをおこなう体内で最大のリンパ器官なんだそう。

 

そして脾臓は他のリンパ器官と異なり血液循環に直接連絡しているため、もし脾臓に腫瘍ができると腫瘍部分のみを切除するのではなく、手術時のリスクを下げるため脾臓そのものを摘出するのが一般的。

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Unchalee Khun/Shutterstock

 

さて、今回愛ブヒはエコー検査によって脾臓の腫瘍が見つかり全摘したのですが、時を同じくしてSNSで仲良くしているフレブルちゃんも脾臓を摘出したとの連絡をもらいました。

 

さらには偶然にもその数週間前に取材させていただいたレジェンドブヒも昨年脾臓を摘出し、他にも「うちの子も脾臓を摘出しています」というメッセージが複数。

 

え、もしかして、脾臓の腫瘍ってフレブルにとっては身近な病気なのではないか、そう思い始めたのです。

 

先生に聞いたお話

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Tienuskin/Shutterstock

 

腫瘍の多くはエコー検査などで見つかり、それが良性か悪性かは病理検査によって判断されます。

 

つまり手術で摘出をし、腫瘍の見た目ではそれがどんなものかはわからないため、検査を経て悪性か良性かの判断がなされるという流れ。

 

幸いにも愛ブヒは血管腫という血豆のような病変で切除すれば治癒する良性腫瘍だったのだけれど、結果を聞く瞬間は本当に吐きそうなほど緊張しました。

 

それは、事前に調べた中で脾臓腫瘍と判断された犬の約50%が血管肉腫という病であることを知っていたから。

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Hryshchyshen Serhii/Shutterstock

 

この血管肉腫は犬に最も多い脾臓腫瘍であり、診断された時点では既に転移している可能性がとても大きいもの。

 

血管肉腫を患った場合の生存期間中央値は19日から86日とされ、つまり見つかった時点で余命はわずかだと診断される病です。

 

手術を執刀してくれた先生も血管肉腫でなかったことに胸を撫で下ろしていました。

 

安心したところで先生にフレブルと脾臓腫瘍の関係について聞いてみたのですが、まず脾臓腫瘍の好発犬と言われているのはラブラドールやゴールデンらレトリバーたち。

 

罹りやすい年齢は10歳前後の中高齢で、女の子より男の子の方がわずかに多いようです。

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technomolly/shutterstock

 

ただ、ここで聞き捨てならないひと言が。

 

それは「統計をとっているわけではないので体感ですが、短頭種にも多い印象です。

 

というのも、当院で脾臓腫瘍の手術をした子たちは全員鼻ぺちゃの子ばかりだったから」と。

 

そして原因についても特定できないのだそう。

 

それにしても、過去実施した脾臓腫瘍の手術対象が鼻ぺちゃばかりって、やっぱり気になるところですよね。

 

予防の手立てがないからこそ

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Job Narinnate/shutterstock

 

脾臓腫瘍は犬によく見られる腫瘍のひとつで、犬の血管肉腫は脾臓腫瘍の約80%を占めるのだそう。

 

なお脾臓腫瘍は薬での治療が困難なため手術で摘出をするのが一般的です。

 

そして残念なことに、現段階で予防の手立てはありません。

 

つまり早期発見、早期治療が何よりの対策となるのですが、実は脾臓腫瘍の早期発見はとても困難。

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Juri82/shutterstock

 

というのも、初期段階ではほとんど無症状で、腫瘍が大きくなってくると元気や食欲がなくなる、嘔吐するといった症状が出るもの。

 

発生する年齢が10歳前後ということもあり、「もうシニアだから老化現象のひとつなのかな」と見逃されがちで、腹腔内で脾臓腫瘍が破裂してから異変に気づき来院するケースが多々あるのだとか。

 

そのためシニアに差し掛かってからは健康診断でエコーやレントゲン検査をし、オーナーさんが早期発見に努める努力が不可欠。

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vijaifoon13/shutterstock

 

少なくとも筆者の愛ブヒをはじめ、周囲のフレブルで脾臓を摘出した子は珍しくありません。

 

ということは、やはり脾臓腫瘍のリスクも頭に入れながら今後愛ブヒの健康管理をしていくべきだと思うのです。

 

ところで脾臓って全部摘出しても大丈夫なものなのかと思うのですが、健康な犬の場合は肝臓や他の臓器が脾臓の役割を代わりに担ってくれるらしく、日常生活に支障はありません。

 

いやぁ、体の機能ってすごいですよね。

 

おわりに

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VDB Photos/shutterstock

 

今回は愛ブヒの経験を元に脾臓腫瘍についてまとめましたが、本当に厄介だと痛感したのは一見全く症状がわからないこと。

 

愛ブヒもたまたましたエコーで見つかるというラッキーな偶然がなければ、今も腫瘍の存在に気づかず過ごしていたと思います。

 

フレブルが特になりやすい病気ではないかもしれないけれど、実際に脾臓を摘出したブヒは少なくない。

 

だからどうか、半年に一度くらいはエコーやレントゲンで検査してあげてくださいね。

 

 

こちらの記事も合わせてチェックしてみてくださいね。

ボクらを放っておくなら迎えないで!フレブルたちの叫び。

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