2023年7月3日1,119 View

Q.犬に洋服は必要ないって本当?【ブヒの健康Q&A】

「病院に行くまでもないかな…? でも気になる」といった症状やささいな疑問について、獣医師の小泉しずかさんが解説する連載『かゆいところに手が届く!ブヒの健康Q&A』。今回のテーマは、犬の洋服の必要性について。フレブルはどの犬種よりもファッショニスタが多いイメージですが、果たして犬にとって洋服は必要なのでしょうか? また健康に寄与することがあるのかも併せてご紹介します。

 

2023年も半分を過ぎ、本格的な夏はもうすぐそこ。暑さ、寒さが強まると相談されることが多いのが、洋服の問題。

 

特に多いのは、『そもそも犬には洋服は必要なのか?』というご質問です。今回は、洋服を着せることのメリットやデメリットなどを踏まえてお話していきたいと思います。

 

犬に洋服は必要か?

フレンチブルドッグ

mala_koza/Shutterstock

 

まず、洋服が必要かどうかに関しての答えは『場合による』になります。

 

その子その子によって洋服があったほうが良い場合、ない方が良い場合がありますし、同じ子でも時と場合によって必要性は変わってきます。

 

どんな場合があるかをお話する前に、洋服を着ることで得られるメリットとデメリットについてご紹介します。

 

■メリット

洋服を着ることで以下のようなメリットが考えられます。

・防寒

・紫外線や害虫などの外部刺激を防ぐ

・掻いてしまう場合などに直接的な皮膚へのダメージ軽減

・傷、床ずれの保護

 

主に体を衞ってくれる役割を果たすのが洋服。

外的要因から皮膚を保護するメリットが大きいです。

 

最近では手術後にエリザベスカラーではなく、術後服というもので傷口を舐めないよう保護することも多くなってきました。

また、高齢化に伴い、介護の際の床ずれ予防としても洋服が有効です。

 

■デメリット

逆にデメリットは以下のようなものがあります。

・ストレス

・皮膚の擦れ

・熱中症

・飾りの誤食

 

人間のように洋服を着ることに慣れていないためか、洋服を着ること自体が大きなストレスに感じてしまう子が多いようです。

 

また、体質によっては綿100%でないと皮膚が荒れてしまったり、サイズが合わなくて擦れてしまったりすることで皮膚にダメージを与えてしまう場合もあります。

 

生地によっては気温に対して暑すぎてしまい、熱中症の要因になることも考えられます。

 

特に他の犬種に比べて熱中症リスクが高いとされる短頭種では、夏場の洋服の着用は、より注意が必要でしょう。

 

さらに、ボタンやリボンなどの装飾は誤食の原因となる可能性があります。実際に、少し目を離した隙に取れた装飾を誤食してしまい、手術になったケースもあるので要注意です。

 

洋服が必要な場合

フレンチブルドッグ

 

様々なシチュエーションがありますが、以下のような場合には洋服が必要と言えるでしょう。

 

・寒い日、寒さが苦手な子

・病気や体質で皮膚バリアが低下している

・舐めてほしくない、掻いてほしくない傷口がある

・手術後

 

皮膚の病気にかかっていたり、治療中の傷口があったりする場合に、病院の先生から洋服が必要と判断される場合があります。

 

ただし、病気や傷の程度や場所、本人の性格などを加味して総合的に判断されるため、病院で先生とよくご相談されることをお勧めします。

 

洋服を着る際の注意点

フレンチブルドッグ

Oksamutnaya/Shutterstock

 

愛ブヒに洋服を着用させる場合は、以下の点に注意しましょう。

 

・着ること自体がストレスになっていないか

・気温にあった素材、生地かどうか

・サイズが合っているか

・体質的にかぶれないか

・取れてしまいそうな装飾はないか

・長時間着ていないか(術後服は除く)

 

初めて洋服を着せる場合、どんな反応をするかをよく観察しましょう。

 

ストレスで毛が抜けてしまったり、ずっと手足を噛んでしまったりしていないでしょうか? 

 

ストレスを感じたときの行動は犬によって様々ですが、いつもとは様子が違うと思う場合は、一旦脱がせてみてください。そこで反応が落ち着くかを観察することも重要です。

 

世の中には可愛い洋服が溢れ、つい我が子に着せてあげたいと思う気持ちになりますが、本人にとってはストレスに感じる場合もあるということをぜひ覚えておいてください。

 

そして医学的に必要と判断された場合以外は、本当に今のその子にとって、洋服が必要なのかをしっかりと考えることが重要です。

 

獣医師:小泉しずか

獣医師:小泉しずか

2018年 日本獣医生命科学大学卒業。埼玉県内の動物病院にて勤務後、アイデックスラボラトリーズ株式会社にて臨床病理医として勤務。

 

 

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