2023年6月30日2,841 View

【取材】白血病と闘いながら16歳目前!介護施設でセラピー犬としても活躍した「天性の愛されブヒ」 #71さくら

10歳を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench Bulldog life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。今回ご紹介するブヒは2007年8月4日生まれ、もうすぐ16歳になるさくらちゃん。白血病で余命1年と宣告されてから、3年たっても元気に毎日を過ごしている奇跡のレジェンドです。

さくらちゃんプロフィール

レジェンドブヒ,フレンチブルドッグ

年齢&性別

15歳の女の子(2007年8月4日生まれ)

体重

9.6kg(MAX 10.8kg)

大好きなこと

遊ぶこと、食べること、きまま散歩

 既往歴

・4歳で首のヘルニア

・11歳で眼球摘出

・12歳で急性膵炎

・13歳で膵炎、白血病、前庭疾患

・14歳で前庭疾患

 

お仕事も元気の源

フレンチブルドッグ

 

さくらちゃんのオーナー・戸塚さんは、ご主人との結婚の条件に“犬と暮らすこと”を挙げるほどの犬好き。 3代のシェパード、そして先代のフレブル・文太くんの後に、さくらちゃんを迎えました。

 

「従順なシェパードに慣れていたので、文太の時は少し育児ノイローゼ気味でした(笑)。犬っぽくないというか、頑固で言うことを聞かないし、扱いも繊細で。

 

でも大人になってからは良い子になり、さくらのしつけは文太がしたっていうくらい、よく面倒を見てくれました。

 

さくらは文太とは違って、素直でポジティブな子でしたね。人が好きで空気が読めて、夫婦間の空気が悪くなると、間に入ってきたりもしてたんですよ」(戸塚さん=以下「」内同)。

 

フレンチブルドッグ

 

その性格や、他の人に抱っこされても大丈夫なことから、セラピー犬として活躍していたさくらちゃん。

 

2歳前から10歳過ぎまで、介護施設などを回り、寄り添ったり握手をしたり、ハンカチレトリーブをしたりと、たくさんの人を笑顔にしてきました。

 

“皆さんに元気になってほしい”という気持ちで始めたものの、接する方々の笑顔で、さくらちゃんや戸塚さんの方が元気をもらったのだとか。

 

フレンチブルドッグ

 

多くの人に喜ばれ、愛犬にも刺激や充足感が得られるドッグセラピーのお仕事。適性があり、本人や家族が楽しめそうなら、とても良いライフワークになりそうですね。

 

賢い食いしん坊

フレンチブルドッグ

 

続いては、今も食欲旺盛で食べムラもないという、さくらちゃんのフード事情を伺いました。

 

「若い時はペットショップで勧められた『ユーカヌバ』をあげていました。その後、2歳の時にドッグカフェで見つけた『ナチュラルハーベスト』に変え、今に至っています。

 

ドライフード以外に、ウェットフードや添加物が少ないおやつなどもあげていますが、それもこのカフェで勧められたものです。 ここのオーナーさんは、自分の目で確認するためにフードの製造工場まで行ったりされていて、本当に犬のことを考えている方でした」。

 

ドライフードは真空パックで、開封後も『ジップロック』などでできるだけ密封して保存。あげるときは、ぬるま湯を少しかけて喉に詰まらないようにしています。

 

ほかに鶏のササミ、リンゴ、サツマイモ、キュウリ、お麩、豆腐などをあげることもありますが、小さく切ったり薄くスライスしたりと、すべて丸飲み対策済みです。

 

フレンチブルドッグ

 

因みにさくらちゃんはこのカフェの犬用マフィンが大のお気に入りで、“明日マフィン食べに行こうね”と声をかけると、翌日は楽しみに待っているのだとか。

 

ご家族の中で“人間語検定1級”といわれているさくらちゃん。自分や食べ物の話はしっかり聞いて憶えているそうです。

 

悩んだ末の眼球摘出

散歩するフレンチブルドッグ

 

仕事もごはんも大充実の犬生を送ってきたさくらちゃんですが、病気も少なからず経験しています。

 

「4歳の時、散歩中に他の犬と出会い頭でぶつかりそうになったことがありました。その時さくらもですが、私もびっくりして、リードを引いてしまったんです。 すると頭を下げて固まったような状態になり、病院に行ったら首のヘルニアとの診断でした。

 

痛み止めの注射をしてもらい、1週間ほど入院して安静にしていましたが、幸いそれで回復し、その後は再発していません。

 

フレンチブルドッグ

 

それからしばらくは元気で、次は11歳の時です。右眼の奥が透けて見えるというか、ほんの少し白っぽいものがある気がして、まずかかりつけ医に行きました。

 

先生には“何もないよ、キレイだよ”と言われたのですが、どうしても気になって。 別の眼科に行ってみると、僅かな異変が見つかり、腫瘍かもしれないが、眼なので針を刺して検査することができず、悪性か良性かも取ってみないと判らないと言われました」。

 

悪性ならもちろん摘出すべきですが、良性でも大きくなって周辺を圧迫し、痛みなどが出てくる可能性は否定できません。

 

そして年齢のことを考えれば、手術するなら早いに越したことはなく⋯。悩み抜いた末、戸塚さんは眼球摘出を選びます。

 

フレンチブルドッグ

 

その結果、手術は無事成功し、良性だったため転移等もなし。右眼は失いましたが、また安心して暮らせるようになりました。

 

余命宣告の2択

フレンチブルドッグ

 

眼球摘出の翌年、今度は急性膵炎に襲われます。

 

「深夜12時頃、気持ちが悪くて寝付けないような様子から、頭を下げてお尻を上げる“痛みに耐えるポーズ”もするようになって。 夜間に診てくれる救急病院を探しましたが、見つからないまま朝の開院時間を迎え、通常の病院に行きました。

 

診断は急性膵炎で、治療は注射と薬、それから絶食で入院でした。食べるのが大好きな子なのに食欲がなかなか戻らず、退院までは3週間ほどかかったと思います。

 

原因ははっきりとは判りませんでしたが、食べ物だったのかもしれません」。

 

フレンチブルドッグ

 

そして、13歳を迎えたさくらちゃんに最大の危機が訪れます。

 

「慢性リンパ球性白血病になり、県外の腫瘍専門医にかかったところ、抗がん剤治療がうまくいって余命2年、そうでなければ余命1年だろうと宣告されてしまいました。

 

それで先生とも主人とも相談を重ねましたが、抗がん剤の治療と副作用に苦しむ2年より、そうでない1年を過ごさせたいという結論になり、抗がん剤治療はしませんでした。

 

その時点でまだ食べられるし元気もあったので、短くても今のこの時間を過ごせる方が、さくらにとっては幸せなんじゃないかと思ったんです」。

 

命の決断から3年。WBC(白血球数)の数値は悪いままですが、さくらちゃんは病院の先生が驚くほど元気に過ごせています。

 

悲観的にならず、さくらちゃんの楽しみをサポートすることに徹して、穏やかな最期に向かってほしいと望んだ戸塚さん。その想いが、奇跡的な“今”をもたらしました。

 

シニアのお悩みも

フレンチブルドッグ

 

白血病を発症した後、2度の前庭疾患にも見舞われましたが、いずれも抗生物質で改善し、今は平穏な日々を送れています。

 

「前庭疾患が収まってからは、よく食べて散歩にも行って、元気ですよ。ただやはりシニアなので、去年くらいから耳が遠くなり、残った左目も見え辛くなってきました。

 

それからお座りもきつくなっていて、立っているか伏せていることが多いですね。 トイレはオムツもせずちゃんとできていますが、夜中にしたがるようになったので、私は少し寝不足です(笑)。

 

あと精神的な面では、私に引っ付いてくることが多くなり、留守番も難しくなりました。独りでサークルにじっとしていられず、玄関の方を見てクンクン鳴いてしまうんです。

 

なので、あまり長く家を空けないようにして、どうしてもの時は母に来てもらったりしています」。

 

フレブル

 

ほかに食事の誤嚥対策もされていて、戸塚さんが器を持ち、頭と背中が水平になる位置で食べさせているそう。食べる様子も近くで観察できる、若い頃からの習慣です。

 

そしてもう一つ小さなお悩みが。細かな力加減が難しくなったのか、以前はおやつを指ごとカプッとされても全然痛くなかったのに、最近は痛みを感じるようになってきました。

 

いつもしていたこと、いつもできていたことができなくなるのは、シニア期や病気のサインかもしれません。気になることがあれば、病院で相談しておくと安心ですね。

 

今を生きて

フレンチブルドッグと家族

 

片目を失い、白血病を抱えながらも、元気に16歳を迎えようとしているさくらちゃん。可愛いベビーフェイスとスリムボディに隠された、長寿の秘訣を伺いました。

 

「とにかくよく体を動かしていましたね。毎日の散歩に、休日は大きな公園にも出かけたり。 休日は主人と二人きりのラブラブタイムなのですが、私より甘々な主人との時間は、癒しにもなっていたんじゃないでしょうか(笑)。

 

それから家での遊びもトレーニングを兼ねたものでした。足の間を通らせたり、おもちゃやハンカチに包んだフードを探させたり。体だけでなく、鼻や手や頭も使わせて」。

 

歯磨きするフレブル

 

体を鍛えるだけでなく、ケアもしっかりされてきました。

 

「目、耳、手、どこを触っても大丈夫なように慣れさせ、毎食後に歯磨きもしてきたので、体の変化は見つけやすかったです。スキンシップが、病気の早期発見にも繋がったと思います。

 

それから病院で正確に症状や体調を伝えられるように、先代の文太から専用の手帳を作り、日々の体調などを細かく記録していました。 あとは白血病の定期検査を1〜2カ月に1回、犬ドッグを年に2回受けているくらいでしょうか。

 

長生きしてくれるのはもちろん嬉しいのですが、それより今が幸せであることを大事にしたいと思っています。犬は今を生きているから」。

 

年齢や人間の主観、そして願望ではなく、犬の気持ちを尊重し、犬の今を大事にすること。 戸塚さんのこの視点が、重い病気にも負けない元気なレジェンドライフを支えています。

 

フレンチブルドッグ

 

取材・文/橋本文平(メイドイン編集舎)

 

★「#レジェンドブヒ」で投稿お待ちしています!

フレンチブルドッグライフでは、取材にご協力頂けるレジェンドブヒを探しております!

10歳を超えたブヒたちは、「#レジェンドブヒ」をつけてInstagramに投稿してみてくださいね。

編集部から取材のお声がけをさせて頂くかも!?

 

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